超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ラステイション編 |
鋼の巨人が空に舞った。
同時に翼と脚部に一部が開き、そこから筒状のミサイルが姿を現した。
波状にばら撒かれたミサイルの雨を俺達は、疾走しながらそれを躱した。
((守護女神を砕く者|ハードブレイカー))、つまり対女神を想定されラステイションの技術を集約され、製造された((兵器|ロボット))は両手の槍状に尖った突起物からレーザーブレイドを展開し、バックの翼から蒼白いブーストを吹かしながら突っ込んできた。
爆発と硝煙の合奏。黒曜日に魔力を流して、周囲の硝煙を吹き飛ばしながら体を回転させ、腕を交差させて突進してくるロボットに向かって黒曜日を振り下ろした。
「ぐぅ、ぅぅーーー!!」
腕に稲妻のように走る衝撃。俺の数倍の高さをするロボットは、微かな沈黙も許さず俺の動きを先読みでもしているかのように俺を躱して、背後を狙ってレーザーブレイドを振り下ろしてくるが直ぐに反転。黒曜日を盾にその攻撃を防御するが、ここは空中で、まともな姿勢制御も出来ず地面に激突した。
「−−クリティカルエッジ!!」
「ーーインパクトロー!!」
「−−カオスエッジ!!」
追撃。俺の方へ体を反転させているロボットに向かってネプテューヌ達が得意技を撃ち込む。
しかし、ロボットに武器が振れる瞬間、半透明のバリアがロボットを中心に展開させ、逆にネプテューヌ達は弾かれた。その体は俺と同じように地面に激突した。
「うつです!!」
「魔斬閃・牙龍!!」
身を小さくして、地面を大きく蹴り、強烈な突きを放つ。同時にコンパの遠距離射撃が火を噴く。
剣先がバリアと衝突して紫電を散らす。コンパの射撃の数発はバリアで防がれたが、一発だけ頭部に命中した。しかし、微かに装甲を凹ませただけだった。
『奴は、強烈な技にはバリアを一点集中するようだね。ここはみんなで分れて攻撃するのが得策だよ!』
「みんな、聞いたか!」
俺の声に体制を整えたネプテューヌ達は直ぐに頷き、バラバラに散開した。
すると、ロボットは頭部を回転させターゲットを一通り確認すると、機械的な翼が縦に分かれた。
そこから姿を現したのは、ディスク状の機構だった。それは、くるくると((何か|・・))を吸収している様にに回転し始めた。
無意識に、あれには嫌な予感がした。
理屈のない理由に、歯を噛むが、既に俺達は散開状態だ。−−−とにかく攻めるしかない!。
「ねぷねぷ!!どうしたのですか!」
「うっ……、力が…」
「……っ、なによ、これ……!」
「ちょっと、あなたもどうしたの!?」
突然だ。ネプテューヌとノワールの足が止まった。
手に頭を置き、ふらふらと足取りがおぼつかない。その顔色は悪い。
「っ、なにが一体どうなっーーー」
一瞬だ。目の前のロボットがこちらを見た瞬間、姿が((消えて|・・・))背後をレーザーブレイドで斬られた。
背中に激痛が走る。肉を焼く異臭がする。
「「「「紅夜!!」」」」
「ぐうぅぅ……!!」
更に二撃目が襲ってくる。これは、当る前に躱そうと前に跳んだが微かに脇腹を掠った。
体制を背中と脇腹を中心に襲う激痛に意識が混乱して、まともな体制も整えないまま地面に転がった。
「こぅさん!!!」
「来るな、コンパぁぁ…!!」
血相を変えて、俺に近づくコンパに叫ぶが既に遅くロボットの肩部が開き、主砲が姿を現す。射線上には、俺とコンパ。アイエフは間に合わない、ネプテューヌとノワールも謎の不調で直ぐに動けない。ギリッ、と口を噛んで俺は、叫んだ。
「デペアぁぁ!!!」
『((Armageddon|アルマゲドン)) ((Dragon|ドラゴン)) ((ovre|オーバー)) ((booster|ブースト))!!!』
手の甲から浮き出た漆黒の宝玉が光って、俺を包みドラゴンの鎧が着装される。
腕と足の装甲が開き、背中の翼のような突起物から魔力を放ち、一気に加速。コンパを抱えて直ぐに射線上から避難した。放たれた巨大なレーザーは、触れるありとあらゆるものを消滅させた。
「ギリギリセーフ……だな」
焦げた地面を見下ろして一息。もう少し展開が遅かったら骨も残らなかったかもしれない。
コンパを肩と足を抱きかかえるように持ち上げた状態で、俺はあのロボットの主砲の威力に驚愕した。
「あ、ありがとうございます…」
「俺こそ、ありがとうな。コンパの声で、ロボットの主砲に気づけた」
「そ、そんなこと……! こぅさん、怪我は大丈夫ですか!?」
「……ちょっと、痛いがな。問題ない」
……兜で表情が隠れていてよかった。
実は、滅茶苦茶痛くて表情が苦痛に曲がっている。女性の前で不安にさせるようなことはしたくないからな。
『ふむっ、この豊潤に実った二つの柔らか触感……正に天国の枕だ!!』
「ふぇっ!?」
デペアの歪みない変態発言に、コンパの顔が真っ赤になった。
確か、こいつの力で鎧を生成しているから、感覚があるのか!?確かに当っているのは直ぐに確認したけど鎧の上からだと俺は、分からないよ!
『よし、ニヒル!ここは、景気づけに一発、このおっぱいを揉みーー』
「誰が、するかー!!!」
ミサイルが飛んできた。手元にはコンパがいる為、激しい回避行動が出来ないので、頭を強く振るった。
頭部から伸びた先端に刃が付いている触覚は、襲い掛かってきたミサイルを切り裂く。空間に爆音と光華が咲く。
また、来ると不味いので地面に降りてコンパを降ろした。その時、残念そうな顔をされた。
「戦闘中にイチャイチャするなんて、余裕ね」
「あ、あ、あいちゃん!?こ、これは違うのです!!」
「あら、あなた…顔が険しいわよ?」
「……ふんっ!」
ノワールは、不機嫌そうに表情を歪めて、俺から目を逸らした。
疑問が頭に浮かぶが、直ぐに意識を入れ替えた。
状況はぶっちゃけかなり悪い。ネプテューヌとノワールの顔色は悪い、アイエフは軽傷だ。
怪我をしていないのは、回復役であるコンパが助けだが、あのロボットが安全に回復させてくれるとは思えない。俺は元からの謎の回復力があるので、痛みさえ我慢すればどうとでもなるが、最大戦力の二人が弱ったのだ。
あいつには、なにか女神を弱体化させ謎の技術が搭載されていると、考えていい。……と、なると。
「−−−デペア、行けるか?」
『……なるほどね、ちゃんと三秒間しがみ付いてよ?』
俺の思考を呼んだデペアがそう返してきた。
『((漆黒の皇神鎧|アーリマン・ディメイザスケイルメイル))』は何も身体能力上昇だけではなく、兜の後部から伸びている触手を対象に刺して三秒間維持すれば相手のエネルギーを吸収できる能力があるのだ。
相手は、ネプテューヌのノワールの力を吸収して性能を向上させている。それを捕まえるなんて、ちょっと難しいかもな……けど、出来ないわけじゃない。
「みんな」
「なにかしら?あいつを倒す作戦でも思いついた?」
「そんなところだ」
兜の後部から伸びた刃付きの触手を動かす。
「こいつの能力で相手のエネルギーを吸収する。だけど、こいつは対象に突き刺して三秒間、その場を維持しないといけない」
「……分かったわ。紅夜が奴に引っ付いて、あのロボットを弱体化させるのね」
「ああ、だから……背中は任せるぞ」
「分かったです!」
「……仕方ないわね。それ以外に方法がないなら、……失敗は許さないわよ」
仲間達は、すんなりと疑問に浮かべることなく、俺を信じてくた。
構える俺達を見下ろすラステイションの技術を集約されて作り出された最強の兵器。
さっきの一戦は見事にやられたが、今度はこっちの番だ。魔力の噴射口に残りの力を込める。
『ターゲット、破壊スル』
レーザーブレイドを展開。
目にも止まらぬ、速さで突進してくるロボットは一瞬で俺達との距離を詰め必殺の斬撃を振り下ろすーーー。
「紅夜!!!」
「−−−っ!!」
俺単体とネプテューヌ達は左右に分かれた。
ロボットは一瞬、どちらを攻撃するか頭部を動かして俺達の姿をカメラに捉えたが、既にネプテューヌ達はロボット目掛けて各自に攻撃をおこなっていた。
バチバチバチ!!とロボットを纏うように展開されたバリアが火花を上げてネプテューヌ達の攻撃を防御するために出力をその方向に集中する。
俺が奴にしがみ付く為には、どうしても大きな隙がいる。((黒竜撃|ドラグーン・デストラクション))ならバリアを破壊できるかもしれないが、あれは燃費が悪いし、素早い相手だと当てるのは難しい、技の出すまでと出した後は隙だらけなる。だから、左右に分かれてバリアの出力を一点集中しなければならない状況を造り、薄くなった部分を俺が強行突破する!!!!
「魔斬閃・崩牙ァァ!!!!!」
渾身の力を込めたデペアと俺の魔力を込めた二重螺旋の刺衝攻撃は、バリアを貫きロボットの肩部の装甲に突き刺さった!。
触手を操り、内部に突き刺す。ロボットは、俺を直ぐに引き離そうと巨大な手で俺を掴み力を込めた。
だが、がっしりと突き刺さった黒曜日は抜けず俺自身も鎧で守られている状態だ。そう簡単に外れるか、デペア!!!
『((Deain|ドレイン))!!!』
宝玉から高鳴るデペアの声と共にロボットの力が弱まった。
『((Deain|ドレイン))!!!』
再度、響く声と共にこのロボットにあるエネルギーを更に吸収した。
『((Deain|ドレイン))!!!』
急激なエネルギーの減少に険しくロボットの顔部のライトがピカピカと危険信号を発した。
「決めろ、ネプテューヌ!ノワール!!」
ブーストに魔力の火を吹かして、その場を離れた。
既に、バリアを展開するほど、まともに動くこともできないほどカクカクとした動きが出来ないロボットは、迫りくる紫と黒の閃光を捉えることは出来ても、対処することは不可能だった。
「ーーーヴァリアブルエッジ!!!」
「ーーートルネレイドソード!!!」
そして、二人の流星にも似た紫と黒の斬撃は、ロボットの両手両足を切り裂いた。
倒れる巨体、砂煙を高く上げて、晴れた時、既にロボットの瞳に光は消えていた。
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