とある戦闘機と傭兵の物語〜 (SW編第五話後編)ソラノチカラ |
ブリーフィングルームでいつも通り定時会議
もといーーー
「始めまして、ヘイト・ルナイスです。一応少佐でしたがよろしくお願いします」
「と、いう事なので皆さんよろしくね〜」
ヘイトの自己紹介
うん、まるで昔の自分をみてるかのような流れだね
それからまた、皆が自己紹介をしていく
そんな流れや雰囲気がまた久しぶりだった
「連合軍司令部によると、明日にはロマーニャ地域の戦力強化の為に戦艦大和を旗艦とした
扶桑艦隊が到着する予定です」
大和・・・ヤマトーーー戦艦大和
私が知る限り世界最大の戦艦・・・やっぱりこっちにも存在してるんだね
確か・・・魚雷30本弱、爆弾40発被弾の上に沈没だったっけ?
UGB(無誘導投下爆弾)二発で沈む近代の護衛艦とは比べ物にならない程の耐久性能だよね
そして何よりーーー大和が搭載する主砲、460mm主砲は現在製造された艦砲としては
世界最大ーーー護衛艦が搭載する主砲はだいたい100mm前後
それが砲塔一基につき3門・・・それが三基搭載されている
流石日本人、何かすると何処か光るね
・・・個性的な人とかも含めて
ジリリリリリン!!
と、いきなり電話の音がブリーフィングルームに響く
「はい・・・大和で事故!?負傷者多数!?・・・ええ、わかりました。すぐに医療班をそちらに送り
ます」
・・・何やら不穏な事が聞こえた
それから中佐が忙しなく電話をかけていくのを見て、芳佳が名乗りを上げた
「私が行きます!!」
「私も行きます」
うん、芳佳はやっぱり芳佳だ
そして、それをフォローするリーネもまた同じようにリーネだ
「さて、芳佳に付いて行こうと思ったけど・・・」
目の前でプスプスと煙を上げている零式艦上戦闘脚に目を向ける
って、ええええええええ!?
「い、いえ・・・宮藤軍曹がストライカーの調子が悪いと申されまして、
予備の零式・・・大尉のストライカーを受け渡したんですが・・・」
「いやいやそれはいいんだけど・・・何が起きたんですか?」
「ええと・・・その・・・大尉のストライカーの安全装置が作動せず
魔法力超過による魔道過給機、及び加速器が損傷、大破したようです」
つまり・・・力が強すぎてエンジンが耐え切れなかったんですね
・・・待った
「それって・・・芳佳の魔法力にストライカーが耐え切れなかったって事?」
「そうなりますね。でも大尉が使って壊れてないのなら・・・」
・・・・・・
「えっとですね・・・私は零式を使う時、魔法力を雀の涙くらいしか送りませんよ」
「え!?」
じゃないとエンジンの調子が悪くなるからね
と、いう事はつまり
「芳佳の魔法力が強すぎて、ストライカーの方が悲鳴を上げちゃったのか・・・」
だから芳佳はあんなに寂しそうな顔をしてたんだ・・・・
自分が飛べなくなったのは自分が弱くなったせいと思いこんで
と、いきなり基地の警報がハンガーに鳴り響いた
「敵襲!?このタイミングでか!!」
「総員、全ユニット緊急発進用意!!回せー!!」
ハンガー内が一気に騒がしくなる
「嬢ちゃん!!急速離陸だ・・・っておい!!何だこのストライカーは!!」
あ、整備班長が零式の状態に気がついた
それから状態説明&今からの私の行動を話す
「ありえん話だが・・・あんたならやれるかもだな、分かった。十二番格納ユニットの武装コンテナ開
放」
班長さんが煙出る零式を格納している発進ユニットの武器コンテナを開く
「でも嬢ちゃん、失敗したらーーー」
「ええ、墜落します」
このだだっ広い大海原の暗く深い海の底・・・深海魚の仲間入りを果たすかもしれない
でもーーー可能なハズだ
「・・・オーケイ、行って来い嬢ちゃん!!」
「ありがとうございます」
私は世話の焼ける・・・仲間を救いに
あの時、同じようにできたあの技の発展型ーーーそして、本当の意味での”魔法の翼”
「ーーーーーーすぅっ」
肺に空気を送り込み、創造する
「・・・”ツバサ”」
背中にイメージを集約、鷲のあの強かで大きな翼
徐々に背中に集約されていく
ーーーーーバサッ
「うおぉ・・・・すげえ」
そして私はーーー私の背中にはあの大きな翼が具現化する
ストライカーという補助装置を必要としないーーー完全な自分の翼
私にとっての足枷は存在しないーーーただ飛ぶ為だけの、私だけのツバサ
「・・・本当に・・・人間なのか?」
整備員の一人がそんな事を呟いた
でも・・・私は人間だ
「ではーーーガルム1、飛びます」
翼を大きく広げ、そして一閃ーーー
フォッ!!
一瞬・・・一呼吸の一瞬で私は大空に舞い上がった
「ここまで軽く・・・」
本当に自分の思い通りに・・・飛んでる
「ご一緒します」
と、ラプターを装備したヘイトが私に追従する
「かなり遅いと思うよ?私」
「何言ってるんですか・・・これでも私アフターバーナー炊きっぱなしですよ」
「・・・うそん」
体感速度が狂ってるのかな
「それにしても凄いですね・・・魔法力って」
「けっこう使えるよ〜」
クルッとバレルロール・・・戦闘機動もできるみたいだ
本当に体の一部のように・・・違和感がない
むしろーーー
「なんか・・・本当に人なのか疑いますよ」
「・・・・・・」
自分で言うのも何だけど・・・一瞬疑った。自分が人なのかを
敵機を・・・人を墜とすのを何とも思わなくなった自分が
同じ人間を・・・殺す事に躊躇いを持たなくなったあの空を
「・・・・・」
思い返すだけで・・・こんなにも胸が痛い
今がこんなにも”平和”だから・・・
私は今、意味もわからない場所の空を飛んでいる
ここに来る前、私は最後の戦いに身を投じていた
そこに存在するのは、冷たく、重く、そして悲しくそこに存在する要塞ーーー”メガリス”
空を満たすのは煌びやかな流星とーーーその迎撃に発射されたミサイルだった
照準用の赤いレーザーが曇り空を切り裂かんばかりにしきりに動いていた
そして・・・その愚者の要塞の最後の砦として空に舞うのはエース部隊
通称ーーー黄色中隊
自分が何度か渡り合い、そして本当にギリギリの状態で・・・私は勝った
そんな敵のエースに、何故か私は惹かれた
その辺のパイロットが持たない・・・何か奥底の強さを持っている気がした
でも・・・最後に、あの空に居た黄色中隊はそんな物を持っていなかった
何も・・・感じなかった
そして、その作戦を終えて基地に帰ろうとした時、それが起こった
キャノピー全体を真っ白な光に覆われ、FACSも何もかもが見えなくなった
無線もノイズが走って、意味もわからないまま意識を失った
それで、意味もわからない場所に居たわけだけど・・・
「(この人が赤い犬か・・・)」
横で蒼い髪をなびかせながら空を飛んでいる私と同じくらいの人
この世界の概要を教えてくれた・・・前に一度交戦した相手ーーーガルム
交戦した時は知らなかった・・・あの伝説のマーセナリーパイロットだとは
友軍戦力40%損失、敗色濃厚な密集戦闘空域・・・B7R ”円卓”に現れた二機のイーグル
かの有名な”片羽”と”鬼神”
その二機は太陽を背にする形で円卓に飛び込み、混戦する空域を潜り抜けながら獲物を喰らった
空が静かになる頃にはベルカ空軍は撤退し、悠然と飛ぶ翼をそれぞれ赤と青に塗られたF−15があった
という
その二機編隊の名前は、”ガルム”
噂でしかなかったそんな化け物は、私と同い年で私と同じような女の子だった
いつかの帰還飛行中、その一機が現れた
鮮烈な空戦の末、私達は共に撤退する形となって勝負付かず
ただその機体とカラーリング、そしてエンブレムは鮮明に頭に焼き付いていた
そしてーーーそんな化け物と同等の力を持っている私も、仲間に”死神”と呼ばれた
類は友を呼ぶという言葉があるが、私は何故か彼女に自分と同じ雰囲気を感じた
それにしても・・・
「なんか・・・本当に人なのか疑いますよ」
だって・・・アニメとかで見るように背中に翼が生えてるんですよ?
しかも凄いスピードで・・・ラプター振り切らんばかりですよ
でも・・・私が言った言葉に少し胸を苦しそうにしていました
どうしてでしょうか・・・?
「ーーーネウロイの気配がする・・・ヘイト、戦闘準備」
「え、りょ、了解・・・マスターアーム、オン」
うーん、やっぱりヘイトが戸惑ってる
慣れるまで・・・いや、現実を受け止めきれてないのかもしれない
でも受け入れてもらわないといけないんだよね・・・実戦だから
「武器何もらった?」
「えっと、MG42ですね。自分でも驚くぐらいヒョイッと持てましたよこの機関銃」
「それも魔法力のおかげ。ストライカーが身体能力の補助に魔法力を調整してくれる」
「・・・もう突っ込みませんよ」
「いい傾向だね、その調子でいいと思うよ。ストライカーでの飛行は?」
「問題ないですね。むしろ動き易いぐらいです」
うん、ストライカーは本当に素直に動いてくれるからね
軽いし機動性も段違いに上がるし・・・それにーーー
「魔法力を使ったシールドを張る事もできるーーー」
ビュッ!!
「うわぁっ!?」
と、前方から飛んできた赤いビームをヘイトが反射的にシールドを展開して防ぐ
「ええっと・・・これがシールドですか?」
「・・・うん、それそれ」
アドバイス不要じゃないかな・・・
それにしても今の攻撃はどこから飛んできたんだろう
「レーダーに反応アリ・・・艦隊です、中央に居る一番大きい船が居ます。距離は4500」
「扶桑艦隊だね・・・攻撃はそっちの方向から来た。急ごう」
「了解」
お、ヘイトの雰囲気変わった
目つきもエースのそれになった
「艦隊を目視で確認・・・扶桑艦隊旗艦”大和”応答を願います」
「”こちら扶桑艦隊旗艦大和、艦長の杉田だ。貴公はもしや・・・”」
あ、この人あの時の艦長さんだ
「挨拶はまた後ほど。艦長、状況をお願いします」
状況を艦長から伝えられる
事故が芳佳達のおかげで鎮静されたと思ったらネウロイ出現
戦闘機隊を出撃させるもほぼ壊滅させられ、リーネが囮になる形で艦隊は戦域を離脱
芳佳が試作ストライカーを用いて空に上がり、ネウロイを撃破
しかし増援のネウロイがいきなり出現して苦戦中
子機に手間取って本体がこの艦隊をーーー
ドォンッ!!
「護衛艦が!!」
傾斜していく護衛艦を下目に見下ろしながら空中に留まる
「ヘイトは芳佳達の援護に行って。私がコイツを相手にするから」
「で、でも一人じゃ」
「いいね?」
「・・・了解」
うん、ありがとう。ヘイト
それから芳佳達の方角にヘイトが向かったのを確認して、私はロングソードを鞘から抜いた
・・・正直怖いんだ、自分でも仲間を巻き込まない自信は無いから
「ガルム1・・・エンゲージ」
全力で羽ばたき一つ、一気に加速して大和とネウロイの間に入る
するとネウロイは最大出力と思われる出力でビームをこちらに向けてきた
「鬱陶しい」
ロングソードを横に薙ぐ
するとこちらに向かっていたビームが空中で弾かれるように拡散する
「さて、そろそろ消える時間だよ。ネウロイ」
今度は剣に魔法力を圧縮付加させて大きく振りかぶる
そんな私から逃げるようにしてネウロイは空域離脱を図った・・・でも、逃がさないよ
「視界から消えるんじゃなくてさ、この世から消えて」
ネウロイに向かって、振り下ろす
そして、コアが破壊される前に粉々に砕け散り、赤いコアが空中に舞う
それを手にとってマジマジと見つめる
「・・・・きれいなんだけどね」
宝石みたいな感じ、紅くて透き通ったコアに私は見とれた
・・・魔法力込めたらどうなるかな?
と、思った私は魔法力をそのコアに流し込んだ
スゥっと魔法力を溶け込ませる感じで同化させる
するとコアは紅い輝きを失い、やがて青く透明なクリスタルに姿を変えた
「うん、これなら大丈夫でしょ」
胸ポケットにしまい込んで、艦隊と通信する
「敵撃滅完了、艦隊の状況は?」
「二隻程中破ですが・・・おかげ様で助かりました」
「申し訳ありません。もう少し早く到着していれば・・・」
「何を言うんです、お陰で助かりました。また貴女に助けられてしまいましたね」
「助けたのは芳佳です。私はただ目の前に出現した敵を排除しただけです」
「どうであれ、救援を感謝します」
「いえいえ。それより降りてもいいですか?」
とりあえず休憩を取りたかった
「んぐ・・・ぷはっ、まさか戦艦大和の艦橋でコレを飲めるとは」
「はっはっはっ。他の国の武官も同じ事を言いましたよ」
ちなみにたった今、扶桑艦隊旗艦 戦艦大和の艦橋上の対空監視所にて冷たいラムネを嗜んでいた
横で同じようにラムネを片手に広い海を見ているのは大和艦長の杉田さん
私がこっちに初めて来た時、初めて話した人物だった
よくよく考えたら、この人も何回襲撃されてるんだろう?
「毎回助けられてばかりですな。我々は貴女に」
「そうですね。艦長は何かネウロイに好かれてるんじゃないですか?」
「全く、そうとしか思えませんよ」
そんな風に会話をしながらラムネに口を付ける
カランと、ガラス球がビンの中で転がって澄んだ音を奏でる
それにしてもこの大和、本当に大きい
だって、今その一番高い所に居る訳だけど・・・ビルの屋上に居る気分だもん
「宮藤博士が遺した手紙から創られたストライカーですか」
「その名は”震電”、新型の魔道エンジン搭載型局地戦闘脚です。しかし製造されたのはいいですが
最大稼動させる事ができるウィッチが当初の日本には居ませんでした」
「それで、使える人が居ないままストライカーを積んでいたら芳佳が使った・・・」
そして、その時現れたネウロイは撃破された訳だ
「宮藤軍曹には驚かされるばかりですな」
「全くですよ。でも芳佳はまた飛べるようになった」
親からの贈り物によって
そうこうしていると無線に連絡が入った
「こちらメビウス1、今艦隊を目視しました。そちらに向かいます」
「こちらガルム1 了解 芳佳達は?」
「消耗してますが無事です」
「そう、それじゃあ大和の一番高い所で待ってるから」
「メビウス1 了解」
すると遠くから、ジェットエンジンの轟音が響くように聞こえてきた
「さて、仲間にも労いのラムネお願いします」
「もちろんです。何本でもおかわりしてください」
ん?今何本でもって言ったよね?
そして翌日、扶桑海軍を伝わって連合本部に届いた写真
それに写るのは・・・西洋のシンプルな剣を片手に携え、そして背中で大きな翼をはばたかせて
艦隊を背に守るように戦う、”蒼い長髪の少女”
もちろんこの写真は数日後に501基地にも届いていた
さて・・・これから私に向かって来るのは嵐かな
どちらにせよ、今までどおりの生活は送れない
それでも、私には守らなければならない存在が今はある
だからーーー私は再び ”人間” との戦いに身を投じる
それが唯一つの・・・一緒に生きるという道なのだから
私は砂浜で照りつける太陽に目を半分閉じながら、後に降りかかる苦難に対して宣戦布告していた
戦艦大和・・・プラモデル買ったなぁ
ちなみに幼き日の作者が一番好きな戦艦でもありましたね、大和
あ、武蔵ももちろん好きですよ!!
でも今では雪風がお気に入りになってたり・・・(ボソッ
そして読者の皆さんに謝罪・・・ペリーヌ&水着回はカットします
次回、物語は動き出すーーーハズです
意見感想募集中
よろしくお願いします
PS・・・ちなみにネウロイのクリスタルは飛行石ではないのであしからず
説明 | ||
害虫討伐作戦の翌日、主人公は戦闘機・・・もとい娘のフィアと街に繰り出した。しかし待っていたのはやはりトラブルだった 基地に戻ってもトラブルやらなんやらかんやらで主人公は色々苦労人になりつつあった |
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コメント | ||
やっぱ大和が一番ですね。某海戦シミュレーションで大和をベースに魔改造版を作ったのは良い思い出ww(ガルム) 駿河さん<条約が原因でしたっけ、改装する羽目になったのは・・・そしてやはり帝国海軍の艦船が人気ですね〜(雪下 夾矢) 自分は、赤城型巡洋戦艦か加賀型巡洋戦艦だと思います。空母にしたのが悔やまれます。(駿河) 僕は戦艦だと金剛か武蔵ですね。ただ一番好きなのは翔鶴だな。最上とか高雄も好きですね。(クラックス) 鈴音さん<やっぱり長門型が人気ですね。赤城は改修後のが自分は好きですね(雪下 夾矢) 自分は戦艦だと陸奥だな!しかし空母赤城の方が好きだな(音狐) デルタさん>私は雪風の幸運っぷりに惹かれましたね。長門は・・・長門の最後に自分は理不尽さを感じざるをえませんでした・・・もし接収されなければ、長門はミズーリと同じ道を歩む事になったのかもしれませんね(雪下 夾矢) 自分も大和が小さい頃大好きでした。でも初めて作ったのは武蔵でしたw 今では雪風が一番、戦艦は長門・・・・・・だって、美しいじゃないですか(デルタ) |
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