バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第二十二話
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 翌日の朝の9時前。文月学園校門前、鋼牙、雄二、土屋、秀吉、姫路、美波、霧島、優子、工藤と他のクラスが待っていた。他のクラスからFクラスというだけあって目立つ。

「なんだか俺たちが場違いみたいな存在のような目で見られているな。」

「・・・・人として間違っているところがある。」

「仕方がないだろ。大抵の人間は周りの認識する固定概念に流され、自然のうちに自己認識を周りと同じようにする。」

「つまり孤独になりたくないが故にそうしているんじゃな。」

「大方そうだな。」

 鋼牙と秀吉が話していると周りがガヤついてきた。

『お、おい!あれ!』

『本物のリムジンだぞ!』

『しかもめちゃくちゃ長え!』

 ん!来たか。

 5メートルのリムジンが校門前に止まる。皆の視線が注目する中運転席からガンザが姿を表し、鋼牙の元へと歩み寄る。

「鋼牙様、お待たせいたしました。」

「すまないな、ゴンザ。」

「いえいえ、これも勤めですから。おや!そちらの方々は?」

「同じクラスの・・・」

「さ、坂本雄二です。」

「木下秀吉じゃ。」

「・・・・土屋康太。」

「ひ、姫路瑞希です。」

「し、島田美波です。」

「き、木下優子です。」

「く、工藤愛子です。」

「・・・霧島翔子。」

「これは自己紹介していただき、まことにありがとうございます。わたくし、冴島家の執事長を務めております倉橋ゴンザと申します。以後、お見知りおきを。」

 ゴンザは深々とお辞儀をする。それに釣られて皆もお辞儀をする。

「皆様、どうぞお車にお乗りください。」

 ゴンザに言われるがまま一同はリムジンに乗る。

「それでは発車致します。」

中はかなり広く冷蔵庫内臓、クーラーが適度に効いている。窓はCVカット並びに外から見えなくなっている。

「・・・・・本格的だな。」

「りん様が車内で会議をされる際に外部から見られてはいけない方もいますゆえ、こうなっております。」

「あれ?でも確か鋼牙のお袋さんってファッションデザイナーじゃなかったか?」

「それは一般的に知られている仕事で企業を立ち上げている。」

「どんなのことをしているんだ?」

 雄二の問いにゴンザが答える。

「様々でございますよ。一つの企業に保険、貿易、医薬、防犯グッズなどを扱っております。」

「・・・・そんなに!」

「はい。りん様は人の命を守りたい一身でその仕事をなされております。世界各国を飛び回るため日本に帰れる時間はほとんどありません。」

「じゃあアンタはほとんど暇なのか?」

「とんでもございません。私はいつでもりん様、鋼牙様、玲様をお迎えするために家事を怠りはしません。」

「結構真面目なんだな。」

「ゴンザは俺が幼い頃から執事をしている。父親であり、母親のような存在だ。」

「鋼牙様にそう言っていただけるとこのゴンザ、とても嬉しいです。」

 

 走行中の車の中は何かと暇である。勉強道具を持っていても飽きるものは飽きる。

「誰か何か持ってないか?」

 雄二が皆に問い掛けると美波が何かの本を取り出す。

「百円ショップで買った心理本があるから試してみない?」

「おっ!いいね。」

「おもしろそう。ちょっと私に出題させて。」

 美波が優子に本を渡す。

「え〜っと・・・・・じゃあこれ。『これらの色から自分の知っている異性を連想してください。青、オレンジ、ピンク。』

「俺は青に霧島、オレンジに工藤、ピンクに姫路、美波、優子だ。」

「俺は青に木下、オレンジに姫路、島田、工藤、ピンクに翔子だ。」

「ワシは青に霧島、オレンジに工藤、姫路、島田、姉上、ピンクは無いのじゃ。」

「・・・・俺は青に霧島、木下優子、オレンジに姫路、島田、ピンクに工藤愛子だ。」

「私は青に坂本君、土屋君、オレンジに木下君、ピンクに鋼牙君です。」

「ウチも美波と同じ。」

「私は青に坂本君、オレンジはなくて、ピンクに鋼牙君。」

「・・・・私は青に冴島、オレンジに木下、ピンクに雄二。」

「ボクは青に木下君に坂本君、オレンジに木下君、ピンクにムッツリーニ君かな。」

「えっと・・・・なっ!////」

 優子が急に顔を赤くする。

「何が書いて・・・・っ!/////」

 美波と姫路が本の中をのぞきこむと同様に顔を赤くする。雄二が本を手に取り内容を読み上げる。

「なになに、青は自分に正しい判断を教えてくれるて、オレンジはムードメーカー、ピンクは―――――おいっ!」

「雄二、私達はお似合い。」

「ムッツリーニ君、僕たちおんなじ結果だね。」

「・・・・・・・ぐ、偶然だ。」

 なんだか皆顔を赤くしている。

「おやおや、その本はある意味、いいものなのですね。」

 ゴンザが笑いながらそういうが・・・・・何が書いてあったんだ?

 

 心理本で随分楽しむもまだ少しばかり距離はある。

「そういえば鋼牙よ。」

「何だ秀吉?」

「おぬしが持っている鎧なのじゃが名前があるのか?」

「あっ!それ僕たち前に聞いたけどもう一回教えて。」

「わかった。まず二本の角が前に出ている紫の鎧は『閃光騎士・狼怒』。蒼く全身に刃がついているよりは『雷鳴騎士・破狼』。槍を持っている白い鎧は『白夜騎士・打無』。二刀流で銀の鎧は『銀牙騎士・絶狼』。そして金色の鎧が『黄金騎士・牙狼』だ。」

「皆漢字で書けるのかよ。」

「じゃが鋼牙よ、六つ目の鎧が出ておらんぞ。」

「ああ。あれは継承が実質的にできないんだ。」

 鋼牙の言葉に一同は疑問符を浮かべる。その疑問にゴンザが答える。

「確かあれは継承する際に決まった服装をしなければならない規定がありましたね。」

「そうだ。ゴンザ、代弁してくれて助かる。」

「いえいえ。」

「で、その鎧の名前はなんていうんですか?」

「『邪狼騎士・邪悪』色と形が画廊に全く似ている。別名『闇の牙狼』とも呼ばれた時期があった。」

「そんなに似ているのか?」

「瓜二つと言っても過言ではない。」

「皆様、そろそろ目的地に到着いたします。」

「そうか。迎えは三日後だ。頼むぞ、ゴンザ。」

「かしこまりました。」

 ゴンザは合宿場の旅館の前にリムジンを止める。外はもう夕焼け色に染まっていた。皆はリムジンから降りる。

「では皆様、良きお時間を。」

 そう言ってゴンザはリムジンを走らせる。

「着いたな。」

「ああ。雄二達は先に部屋に行っててくれ。俺は観察処分としての仕事があるから少しばかり遅れる。」

「わかった。」

 鋼牙は荷物を担いで走る。

 

 観察処分の仕事が終わる頃には二年生生徒全員が合宿場に来ていた。

 鋼牙は西村先生と共に仕事をしていた。

「それにしてもここの学校はなんて贅沢なんでしょうね?」

「冴島、それを言うな。」

 ここは文月学園が買い取ったことにより合宿場になっているが元は旅館。年に数回しか使わないのに。

「使わないときは普通の旅館経営をしたらいいかと思うんですけどね。」

「それは最もだな。だがここはあくまで学校だ。」

「でも私立ですよね。形的には。」

「まあな。」

「ところであの件ですが・・・・」

「わかっている。今日にも行動を起こすのだろう。」

「はい。」

「毎年やっているが今回はお前しかいないからな。それはそうと他の魔戒騎士が二人ここに来ているぞ。」

「あいつらですか!」

「・・・・残念ながら違う。だが腕は確かだ。機会があれば戦うかもしれないぞ。」

「それはないかと。」

「まあいい。これで仕事は終わりだ。部屋に戻れ。」

「わかりました。失礼します。」

 鋼牙はお辞儀をして西村先生の前から去る。

 

 鋼牙が自分の部屋に向かっているとなんだか女子の集団が部屋の前に集まっている。

「なんだ?」

 鋼牙は近寄り、中の状況を確認すると霧島のアイアンクローを喰らっている雄二と、正座の状態で太股の上に石を乗せられている土屋の姿があった。

「これはなんだ!」

「あっ!鋼牙!」

「鋼牙君!」

「美波に姫路!これは一体どうゆうことだ!」

「それはアタシが説明するわ。」

 Cクラス代表の小山が鋼牙の前に出てくる。

「女子風呂の脱衣所にカメラとマイクが仕掛けられていたの。」

「それで前科のある雄二達に目を向けたと。」

 鋼牙は溜息を吐く。

「とんだ誤解だな。それに確たる証拠も無い。」

「何を言うの?私達は間違っていないわよ。」

「ほざけ!貴様の出している証拠は状況証拠でしかない。」

「でもこいつ達以外にありえないわ。」

「ありえない?何故そう言い切れる?」

 突然他の男性の声が聞こえてきた。女子達はモーセによって海を割られるかのように空ける。そこには黒い服に黒いズボンを着て、首からひも状の首飾りをぶら下げて、袖が少しおしゃれな黒いコートを着ている男性がいた。

「ワタル!」

「久しぶりだな、鋼牙。」

「ホント、久シブリダネ。」

「ウルバ。元気にしてたか?」

「ウンッ!デモ今ハソンナ状況ジャナイネ。」

「そうだな。えっと・・・・」

「文月学園Cクラス代表の小山よ。あなたは?」

「元文月学園魔戒騎士の四十万ワタルだ。小山、貴様は周りの固定概念に縛られ、間違った判断をしている。更に言うなれば脱衣所は先生の監視付きだ。出入り口は一箇所。それたちが着いたのは夕時だ。それに西村先生が最初の監視員だった。いくら土屋でも無理だ。」

「うっ・・・・・」

「そういうわけだ。教はこのまま退く事を提案する。こもままではそちらが罪人になる。」

 鋼牙の言葉に従い女子一同は部屋に戻って行った。姫路と美波と霧島は部屋に残っている状態で。

「鋼牙、さっきの声はどこから?」

「ワタル。」

「ああ。」

 ワタルはポケットから魔導具ウルバを取り出す。

「ハジメマシテ。ウルバダヨ。」

「なんだか子供みたいですね。」

「失礼シチャウナ。コレデモ結構年上ナンダヨ。」

「オ前ノソノ話シガソウ思ワセテイルンダヨ。」

「そうだな。だが昔からウルバはこの話し方だ。この方が慣れている。」

「アリガトウ、ワタル。」

「だが何故お前がここにいるんだ?」

「学園長がいいバイトを紹介してくれな。」

「・・・・・なんだか作為的なものを感じる。」

「俺もだ。まあそんなことは無いだろうがな。じゃあ俺は自分の部屋に戻る。」

「ああ。姫路と美波も戻れ。」

 二人は鋼牙の言葉に従い部屋に戻って行った。

「霧島、お前もだ。」

「・・・でも・・・・」

「信じるというのも愛・・・ではないのか?」

「・・・うん。」

 霧島も部屋に戻って行った。

 

「大丈夫か二人とも?」

「あ、ああ・・・・助かったぜ。」

「・・・・恩に着る。」

 女子一同が去って鋼牙達は休息を取っていた。

「土屋、すまないが犯人についての情報はあるか?」

「・・・・ある。お尻に火傷がある。」

「よし。そこに正座しろ。拳骨を入れてやる。」

「待て鋼牙。少し落ち着け。ムッツリーニ、すまないがその情報は今あまり役立ちそうに無い。」

「・・・・・そうか。」

「だが感謝する。そこでだ、覗きに行こうと思う。」

「ナンデソウナル!」

「俺たちの犯人は知りに火傷の痕があるんだろ?なら覗きに行く方が正しいに決まっているじゃないか。」

「説得力はあるような言い振りだがやることは犯罪だからな!」

「鋼牙、西村先生カラダ。」

「わかった。」

 鋼牙は立ち、すこし離れた所に立つ。

「・・・・・・・わかりました。」

 連絡を終えると鋼牙は雄二達に話す。

「すまないが観察性分の仕事で抜ける。力になれなくてすまない。」

「気にするでないぞ。」

「そうだ。お前の分までやってやるからな。」

「・・・・・任せておけ。」

 鋼牙は多少不安はあるものの雄二達を信じて部屋を後にする。

 

「行くぞお前ら!」

 雄二が勢いよく女子風呂に向かって掛け走る。

「させません!」

 化学の布施先生が立ちはだかる。雄二は壁を蹴って布施先生の後ろに回ろうとした瞬間、

試召フィールドが展開される。

「しまった!」

「指導です、坂本君。試獣召還!」

「くっ!試獣召還!」

 二人の召喚獣が召還される。

「時間がねえから一気にいくぜ!」

 雄二の召還獣が布施先生の召還獣に向かい接近し連続して拳を叩き込む。

「おらおらおらおらおら!」

「ちょっ!まっ!」

「お前ら、先に行け!」

「わかったのじゃ。」

「・・・・・・(コク)。」

 秀吉と土屋が女子風呂に向かおうとすると大島先生が立ちはだかる。

「なっ!こんな時に!」

「余所見にとは感心しませんね。」

「しまっ!」

 布施先生の召還獣が雄二の召還獣を倒す。布施先生の召還獣が雄二の召還獣に止めを誘うとした瞬間であった。布施先生の召還獣がいきなり消滅した。

「なっ・・・・」

 そこにいた召還獣は黒いフードのような服装に長い髪を生やせ、緑色の瞳を持つ紅い仮面を付けた召還獣の姿がいた。二人はそのッ召還獣の主を探すがすぐに見つかった。その召還獣と同じ服装をしている人がそこに立っていた。

「文月学園の教師とお見受けします。」

「・・・・・あなたの召還獣ですか?」

「ええ。とりあえず紅い仮面の魔戒騎士とでも名乗っておきましょう。」

「何のためにこんなことをする。」

「大島先生ですね。あえて言うならば私はあなた方教師に試召戦争を仕掛けるように言われています。よって、あなたに勝負を申し込みます。」

「くっ!こいつらのことも相手にしなければならないのに・・・・しかたない。試獣召還!」

 紅い仮面の魔戒騎士 VS 大島先生

保健   1347点    663点

「なっ!こんな点数をいつの間に!」

「貴様らは今のうちに撤退しろ。場合によっては巻き込む。」

「お、おう・・・・」

「誰だか知らぬが助かったのじゃ。」

「・・・・・・感謝する。」

 三人は脱兎の如く逃げていく。

「待てお前ら!」

「敵前逃亡は戦死ですよ。」

「くそっ!」

 魔戒騎士の召還獣は剣を大島先生の召還獣に振る。大島先生の召還獣はそれをハンドアックスで受け止める。魔戒騎士の召還獣は右蹴りを大島先生の召還獣の左腹部に喰らわせる。魔戒騎士の召還獣は勢いよく大島先生の召還獣に剣を突き刺す。大島先生の召還獣は消滅する。

「扱いが苦手になってきましたか?」

「そんなことな・・・・・ん?」

 目の前にいる魔戒騎士は変なことを口にする。大島先生が疑問に思っている最中、後ろから他の先生が駆けつけてくる。そのとき電子音が鳴り響く。

「ん!今日はここまでか。時間のようなので私はこれにて失礼する。」

 魔戒騎士は煙玉を地面に投げつける。煙幕によって魔戒騎士の姿は見えなくなった。

 

「なあ、いまなんか変な音が聞こえなかったか?」

「気のせいだろう。それよりも明日は何かと騒がしくなるそうだ。勉強を怠るな。」

「でも二年生の勉強内容なんだぜ。お前と違って俺にとっては難しいんだよ。」

「そんなことでは憧れのあの人と肩を並べることはできんぞ。」

「わ〜てるよ。」

 

説明
ガッシュクトウジツ。ゴンザヲマッテイルンダガ・・・・オッ!イキタナ。
「合宿」
サテト、シゴトダナ、鋼牙。
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タグ
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