バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第二十三話 |
翌日の朝。鋼牙は旅館の周りを走っていた。
「はっ、はっ、はっ、はっ・・・」
何周も走っているが鋼牙は全く呼吸を乱さない。
「鋼牙。」
突然呼び止められた鋼牙は足踏みをしながら声のする方を向くとワタルの姿があった。
「やっぱり習慣は抜けないものだな。」
「ああ。すこしあれをするか?」
「ああ、構わない。場所は・・・・・旅館の中庭になるな。」
「そうだな。だが人の目を気にしない。」
二人は中庭の方へ移動する。
「んん・・・・」
バキッ、ガッガッガッ
なんだか外で音がするな。なんだこの音?
雄二は外から聞こえてくる音に目を覚ます。外を見ると鋼牙とわたるが戦っていた。
鋼牙が脚払いをするがワタルはジャンプし回避する。鋼牙は剣をワタルに向けて突くがワタルは剣の柄頭でその攻撃を受け止め弾き飛ばされる。
「なかなかやるようになったな。」
「まだだ。もっと精進しなければお前に追いつけん。」
ワタルは力いっぱい剣を振り折らす。
「おおおおおお!」
鋼牙はその攻撃を受け止める。
「くっ(相変わらず重い一撃だ。)」
鋼牙は歯を食いしばりながら攻撃を押し返す。
「うう・・・・・・うぉおおおおおおおお!」
「ぬおっ!」
ワタルはチュを舞いながら距離を取る。
二人は互いに接近し剣を何度もぶつけ合う。
ガキキキガキキキンガキキキガキキンキキガキキキキキキキン
次元の違う音が響き渡る。
(次元が違いすぎるぞ、おい!)
雄二は二人の斬撃に恐怖する。
二人は距離を取り、ワタルが剣を鞘に収め、構える。
「はっ!」
ワタルは鞘を鋼牙に向けて跳ばす。鋼牙は体を反らし鞘を片手で取る。ワタルは鋼牙に接近し、剣を突く。
「甘い!」
鋼牙は剣先に鞘を向け、ワタルの剣を鞘に収める。ワタルはその衝撃でこける。鋼牙はワタルの喉に剣を突きつける。
「・・・・・俺の負けだな。」
鋼牙は剣を鞘に収め、ワタルに手を差し伸べる。ワタルは鋼牙の手を握り立ち上がる。
「さっきの鞘を跳ばす戦法は良かったぞ。」
「そうか。だがこの手もお前に通用しないかったがな。」
「まぐれだ。それと斬撃の重さなんだが体重を掛けすぎていて腰が入ってなかったぞ。」
「むっ、そうだったか?すまないな。」
「気にするな。それよりお前は飯はどうするつもりだ?」
「まあ食堂に食いに行くな。」
「なんだ、こっちと同じか。じゃあ久々に共に食うか。」
「そうだな。」
二人は自室に戻ってゆく。
「・・・・雄二、一緒に勉強できて嬉しい。」
「待て翔子、俺の隣に座ろうとするな。クラスの連中が靴を脱いで俺を狙ってくる。」
教は予定通りにAクラスと合同学習だ。まあ、簡単に言えばFクラスのモチベーションを上げるためにこんなことをするのだが・・・・・組み合わせを少し間違っている機がするのは気のせいか?
「どうした鋼牙?」
「いや、このクラスとの組み合わせはいろんな意味で。」
「・・・・それはある意味では合ってる。」
「まあ気にすんな。俺は昨日のことが頭に残ってるぜ。」
「何かあったのか?」
「後で話す。」
鋼牙が座ると工藤が霧島に話し掛けてくる。
「あ、代表ここにいたんだ。ボクもここに座っていいかな?」
「・・・・いいよ。」
「俺も構わないぞ。」
「ありがと。」
工藤は近くにいた土屋の隣に座る。さっき影もなく座った土屋は相変わらず隠密行動派だな。
「ムッツリーニ君、実技の方を教えてあげようか?」
「・・・・・っ!!(ブシャァァァァァァ)」
毎度おなじみの鼻血を噴く。
「工藤・・・・いい加減に覚えろ。」
鋼牙は工藤に注意しながら土屋の輸血をする。
「あはは・・・・ゴメンね。」
「ん!そのボイスレコーダーはなんだ?」
「ああこれ?これ結構使いようによっては面白いんだよ。」
―――ピッ〈〈工藤〉〉〈〈お前と〉〉〈〈寝る〉〉
「ちょっと待て!なんでそんなことをする!」
「いや〜、からかいたいから☆」
・・・・・拳骨準備しようか?
「・・・・・ねえ瑞希、あれ準備する?」
「・・・・・いいですね、美波ちゃん。」
「なんだお前ら、顔は笑っていてもなんだかドス黒いぞ。」
「・・・・・お前ってほんと鈍感だな。」
何を言っているんだ雄二は?
「とりあえずお前ら、勉強しろ。」
「お前も人のこと言えないだろ。」
「何を言っている?もう課題と予習復習は済ましているぞ。」
鋼牙の言葉に雄二達は驚く。
「鋼牙、嘘言うなよ。」
「嘘は言っていないぞ。俺はさっきの会話中に課題を終わらせたからな。ほれ。」
そう言って鋼牙は課題を雄二に見せる。
「・・・・・完璧。」
「か、回答枠は埋まっていても答えは合ってるかどうかわからないだろ。」
「大抵教科書に出ている単語や公式ばかりだから案外楽に解けた。暇だから聖書でも読んでおく。」
「・・・・・(クワッ)」
「・・・・・何故土屋はカメラを構えている?」
「お前が紛らわしいことを言うからだよ。」
「?まあ見たいならいいが・・・・・」
鋼牙はカバンの中から英語の聖書を取り出す。
「お前読めるのか?」
土屋は両膝両手を突く。
「本当に聖書かよ。」
「お前は何と勘違いしたんだ?」
「・・・・・鋼牙。」
「なんだ霧島?」
「・・・どうしてそんなのを読むの?」
「まあ一つは興味がるのともう一つは勉強のためだな。」
「・・・・でも何で聖書なの?」
「聖書は日本で言うところの古典の要素が含まれていてなお且つ英文読解に役立つ。」
「なるほど。でも他にも物語でもいいんじゃないの?」
「まあそれもあるが身近にあるものがこれしかなかったんだ。」
「・・・・なら仕方ないか。」
鋼牙は聖書を声を出さずに早い速度で読む。
部屋に戻り鋼牙は雄二達と犯人について話していた。
「犯人はわかったか?」
「・・・・・いや。だが工藤の可能性がある。」
「その根拠は?」
「・・・・あのボイスレコーダーだ。」
「よし。それならこれから作戦を行うか。」
雄二がそう言った瞬間にFクラスの男子がぞろぞろと入ってくる。
「なんだ坂本、話って?」
須川が雄二に聞く。
「まあ落ち着け。皆に提案があるんだ。」
『なんだよ提案って?』
『どうせめんどくさい事だろ。』
『早く部屋に戻ってダラダラしたいぜ。』
「―――お前ら、女子風呂を覗きたくないか?」
『よしわかった。話を聞こう。』
流石Fクラスだけあって悪い意味での馬鹿の勢ぞろいだな。
「昨夜俺たちは女子風呂を覗こうとしたんだが、そこで卑劣な待ち伏せをしていた教師陣に妨害を食らってな。」
『それで?』
「そこで女子の時間になったら女子風呂警備部隊の排除に協力してもらいたい。報酬はその後で見られる理想郷の光景だ。」
『『『乗った!』』』
交渉のために自分の命を投げ出す覚悟はいささか感心はしないな。
「雄二、すまないが―――」
「観察処分の仕事だろ?なら仕方ない。お前はそれに行け。」
「すまない。」
鋼牙は部屋から退室する。
「ムッツリーニ、今の時間は?」
「・・・・・・・二〇一〇時。」
「今から隊を四つに分けるぞ。A班は俺に、B班は須川、C班は秀吉、D班はムッツリーニにそれぞれ従ってくれ。」
『『『了解っ!』』』
「いいか!俺たちの目標は!」
『『『理想郷!!』』』
「よしいくぞ!」
『『『おおおおおおお――――――!!』』』
「女子の軍勢に負けるものか!」
「この変態たちを抑えるわよ!」
二回の階段でA班は女子防衛隊とぶつかっていた。
Dクラス女子の一人の召還獣がFクラスの召還獣一体を倒すと後ろにいる召還獣がその召還獣を倒す連鎖が止まない。
と、そこへ赤い仮面の魔戒騎士が上から現れる。
「な、なによこいつ!」
「俺は赤い仮面の魔戒騎士だ。教師に試召戦争を「させないわ!」邪魔をするな!依頼は教師のみだ!試獣召還!」
Aクラス 山本君子 VS 赤い仮面の魔戒騎士
総合科目 2608点 12380点
「な、何よその点数!」
「随分余裕だな。」
「しまっ!」
Aクラス生徒の召還獣が一瞬で消える。
「半端じゃないわ!こうなったら―――」
「悪いがそれは俺たちの獲物だ!」
「すみませんがお引取りをお願いします。」
突然二人の声が聞こえてくる。皆その声の主を探すと金髪に神に飾りを結びつけ、赤いコートを着た青年と、黒髪で髪を半分に分け眼鏡を掛けており、藍色のコートを着ている青年が階段の手すりに立っていた。
「蛇崩猛竜(じゃくずれたける)。」
「楠神哀空吏(くすがみあぐり)。」
『赤い仮面の魔戒騎士に試召戦争を申し込む。試獣召還!』
蛇崩猛竜 & 楠神哀空理 VS 赤い仮面の魔戒騎士
総合科目 7989点&8709点 12380点
「なによあの点数!」
「こいつら化け物かよ!」
試召空間に二人と同じ服装の召還獣が現れる。蛇崩は青龍刀のソウルメタル、楠神は弓の端にソウルメタルの刃がついている魔道弓を持っている。
「貴様ら・・・・魔戒騎士か。」
「ああそうだ。依頼でお前と戦うように言われてんだ。」
「僕たちとしては君を倒したいんだよ。」
「ならば・・・・・来い!」
「おっしゃいくぜ!」
蛇崩の召還獣が魔戒騎士に向かい上から剣を振り下ろす。魔戒騎士の召還獣は後ろに爆転し回避する。そこを楠神の召還獣が矢を射る。魔戒騎士の召還獣はその矢を二つに斬る。
「こいつ・・・・」
「只者じゃないな。」
二人は武器だけを召還する。蛇崩の召還獣は青龍刀を逆手に持ち殴りかかるように振り下ろしてくる。魔戒騎士の召還獣は剣で受け止める。楠神の召還獣は三本同時に矢を射る。魔戒騎士の召還獣は蛇崩の召還獣を踏み台にし回避する。蛇崩の召還獣はギリギリで回避する。
「あっぶね!」
「よく交わしたな。」
「あってりめえだ!あの人に憧れて俺たちは鎧を継承したんだ。」
「その通りだ。お前を倒せなければあの人に追いつけん!」
「ならば貴様ら三人でこの俺にかかって来い。」
「おうっ・・・・・て、三人?」
「・・・・・どうやら、俺たちと同じ依頼を受けたのがもう一人いるようだな。」
楠神が後ろを向くと二人の後ろにワタルの姿があった。
「四十万ワタル、赤い仮面の魔戒騎士に勝負を申し込む。試獣召還!」
四十万ワタル 総合科目 10458点
ワタルの召還獣はわたると同じ服装をして、黒い鞘に収められた双剣を持っている。
「貴様ら三人、全力で来い!」
魔戒騎士がそう言った瞬間、三人の召還獣は鎧を召還する構えに入る。
「いくぜぇ!」
蛇崩の召還獣は青龍刀のはを地面に叩きつけ、地面に円を描き片膝立ちの状態で両腕を伸ばす。
「ふんっ!」
楠神の召還獣は弓を両手で持ち、左、右と召還獣を挟むように円を描き右手で弓を持ち振り下ろす。
「うおおおお!」
ワタルの召還獣は剣を抜刀、剣先を地面に向けワタルの召還獣を囲むよう円をに描く。描かれた円はワタルの召還獣の上に上る。
三人の召還獣の鎧が一斉に召還される。
蛇崩の鎧は深紅の炎のような色をした騎士
『円刃騎士・ゼン』
楠神の鎧は蒼き鎧を身に纏い、全てを見通す紫の瞳を持つ騎士
『天弓騎士・ガイ』
ワタルの召還獣は雷鳴騎士・破狼の鎧を身に纏っている。
「いくぞ!」
「ああ!」
「もちろんだ!」
破狼が魔戒騎士に向かい振り下ろす。魔戒騎士の召還獣はその攻撃を剣で流す。破狼の後ろからゼンが高く飛翔し剣先を魔戒騎士に向け上から突き刺そうとする。魔戒騎士の召還獣は蹴りで押し返す。
「そこだ!」
ガイが横から矢を連続して放つ。魔戒騎士の召還獣は剣で相殺する。
「貴様らと対等になるか。」
「なに?」
「・・・・っ!」
「まさか!」
魔戒騎士の召還獣は自分の頭上に円を描く。円から光が触れ、鎧が召還される。
牙狼と瓜二つの姿をした漆黒鎧を身に纏った騎士
『邪狼騎士・邪悪』
「なんだよ・・・これ・・・・」
「文月学園に伝わる鎧・・・・」
「邪狼騎士・・・・・・邪悪・・・・なるほど。だからその服装をしているのか。」
ワタルは何故か納得している。
「いくぞ!」
三人は構える。邪悪は破狼に向かい接近、剣を振り下ろす。破狼は剣で受けるが邪悪は蹴りを腹部に叩き込む。破狼は後ろに飛ばされる。
「おりゃ!」
ゼンが剣をがむしゃらに邪悪に向かい振る。
「やけくそ二振っていても意味がないぞ。」
「うっせぇ!俺に指図すんな!」
邪悪はゼンに剣を突く。
「ぐヴぁ!」
ゼンは倒れる。邪悪は倒れたゼンを足で払いのける。
「喰らえ!」
ガイは矢を三本同時に連続して射る。だが邪悪はそれを回避と相殺しながらガイに近づく。ガイは弓を槍のように構え邪悪に向け振る。邪悪はその攻撃を左の手で受け止め。剣の柄頭を腹部に叩きつける。
「がぁっ!」
「助太刀します。試獣召還!」
高橋女史が参戦する。
高橋洋子 総合科目 7791点
高橋女史の召還獣が邪悪に攻撃しようとした瞬間、破狼が青龍等を高橋女史の召還獣の前に投げる。
「どういうつもり?」
「これは魔戒騎士同士の戦い。手出しをすればいくら先生であろうと斬ります!」
その時四人から電子音が鳴り響く。
「時間か。」
「ちっ、仕方ねえ。」
「決まりは決まりだ。従うしかない。」
「引き上げるぞ。」
四人は煙玉を地面に投げつけ、その場からいなくなった。
その後、Fクラスの全員が補習室行きになったのは言うまでも無い。
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フツカメニナッテヨウギシャガデタガショウコガナイ。 「魔戒騎士」 コイツラモ魔戒騎士カ? |
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