英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 509
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〜ウルスラ間道〜

 

「………あ………」

「す、凄い………」

(………!あの人間は………!)

(へ〜、やるじゃないか!)

栗色の娘達が魔獣を倒し終えるところを見ていたロイドとエリィは呆け、メヒーシャは驚きの表情で栗色の髪の娘を見つめ、エルンストは栗色の髪の娘達の実力に感心し

「………え………あの人達は…………」

(うむ。まさかこんな形で再会する事になるとはな………)

ティオは驚きの表情で栗色の髪の娘達を見つめ、ラグタスは静かな表情でティオと共に見つめていた。

「………ふう。何とか間に合ったかな。エステル、ミント、フェミリンス。大丈夫かい?」

そして戦闘を終えた青年は娘達と共に武器を仕舞って娘達に視線を向け

「ミントは勿論、大丈夫だよ!」

「無用な心配ですわ。」

視線を向けられた蜂蜜色の髪の女性と金髪の女性はそれぞれ頷き

「うん、あたしは別に。何とかみんなの切りこみのタイミングを作れてよかったわ。それはそうと………」

栗色の髪の娘は頷いた後、ロイド達に視線を向けた。

「えっと、もしかしてクロスベル警察の人かしら?南口のところで、交通課の人から話を聞いたんだけど。」

「あ、ああ………その、君達は………」

「あ、いきなり現れて混乱させちゃったみたいね。」

困惑しているロイドに栗色の髪の娘は苦笑した後、気を取り直して自己紹介を始めた。

「初めまして!あたしはエステル。エステル・ブライトよ。」

「ミントでーす!よろしくね!」

「僕はヨシュアと言います。遊撃士協会・クロスベル支部に正式配属になったばかりです。」

「………私の名はフェミリンス。遊撃士ではないけれど、エステル達の仕事を手伝っていますわ。」

「(やっぱり遊撃士か………)自分達はクロスベル警察、特務支援課に所属する者です。危ないところをありがとう。本当に助かったよ。」

栗色の娘達―――エステル達の自己紹介を聞いたロイドは心の中で溜息を吐いた後、一歩前に出て名乗り出た。

「あはは、いいって。あなたたちも結構やりそうだし、余計なお世話かなってちょっと思ったんだけど………」

「いや………正直、危なかったよ。―――俺はロイド。ロイド・バニングスだ。」

「うっす。ランディ・オルランドだ。」

「エリィ・マクダエルです。………お久しぶりですね、エステルさん。」

「………お久しぶりです、エステルさん、ヨシュアさん、ミントさん、フェミリンスさん。まさかこんな形で再会する事になるとは思いませんでした。」

ロイドとランディはそれぞれ名乗り、エリィは名乗った後エステルに微笑み、ティオは静かな笑みを浮かべて軽く頭を下げた。

 

「ロイドさんにランディさん………って!エリィさんにティオちゃんじゃない!2人とも久しぶり〜!まさか2人が揃って同じ仕事をしているなんて、ビックリだわ!」

「久しぶりだね、ティオ。」

「えへへ………また、会えたね!」

「フフ…………………」

ロイド達の名前を聞いたエステルは驚きの表情でエリィとティオを見つめた後笑顔になり、ヨシュアとミントはティオに微笑み、フェミリンスはエステル達の様子を微笑みながら見つめていた。

「え………」

「お嬢とティオすけの知り合いなのか?」

エステル達の様子を見たロイドは呆け、ランディは驚いた様子でエリィとティオに尋ね

「え、ええ………まさかティオちゃんもエステルさんと知り合い同士だなんて………」

尋ねられたエリィは戸惑った様子で答えた後、驚きの表情でティオに視線を向け

「………私も驚きました。」

視線を向けられたティオも驚きの表情でエリィに視線を向け

「あはは、凄い偶然があるものね!」

その様子を見ていたエステルは笑顔で言った。

「………というか、フェミリンスさんの自己紹介を聞いた時、かなり疑問に思ったのですが、何でフェミリンスさんがエステルさん達の仕事を手伝っているんですか。エステルさん、その方が何者か一番よく知っているでしょう?」

そしてティオはフェミリンスに視線を向けた後、ジト目でエステルを見つめて尋ねた。

「ん?どうせずっと一緒にいるのだからあたし達と同じ立場でみんなを見直してもらおうと思って、あたし達の仕事を手伝ってもらっているのよ。第一、フェミリンスは凄い実力を持っているんだから、眠らせておくのはもったいないじゃない!」

「そういう問題じゃないと思うのですが。…………というか貴女もよくエステルさんの頼みに応じましたね。貴女の事を知っている身としては正直、信じられない思いなのですが。」

エステルの話を聞いたティオは呆れた後、ジト目でフェミリンスを見つめ

「………この娘の説得と強引さに負けてしまったのですよ…………それに……エステルとミントがどうしてもと頼みますから、彼女達に救ってもらった身としては断りきれないですし………」

フェミリンスは溜息を吐いた後、苦笑した。

「なんというか………わたしやエステルさん達と出会った時と比べて、随分性格が変わりましたね…………」

「フフ…………エステルとずっと付き合っている影響ですかね?自分でも以前と比べ、性格が変わった事は感じていますよ。………今、こうしてエステル達と共にいる事…………何故かその事にとても穏やかに感じています。」

ティオの言葉を聞いたフェミリンスは苦笑した後、穏やかな目をした。

「ハ、ハア…………(凄いですね、エステルさん………まさか”神”の性格を変えるなんて………)」

フェミリンスの話を聞いたティオは戸惑いながらフェミリンスを見つめていた。

 

「そういえば………導力バスの方はどうですか?どうやらエンジントラブルを起こしているようですけど………」

一方ヨシュアは運転手に状況を尋ね

「あ、ああ………結晶回路(クオーツ)の接続不良が原因なのは確かみたいだが………困ったな、こんな事ならもう少しちゃんと整備研修を受けとくんだったぜ。」

「その、よかったら少し見せてもらえますか?ひょっとしたら何とか修理できるかもしれません。」

「ほ、本当か!?」

ヨシュアの話を聞いた運転手は明るい表情をした。

「そういえばヨシュア、飛行船の操縦とか出来るもんね。簡単な整備ならお手のものか。」

「いや〜、さすが遊撃士!いざっていう時は頼りになるなぁ!」

「いえ、たまたまですから。」

運転手に賞賛されたヨシュアは静かな表情で答え、その様子はロイド達は黙って見つめた後

(なあティオすけ………お前、エンジン修理とかは?)

ランディは小声でティオに尋ね

(いえ………門外漢です。導力ネットの関連機器ならそこそこわかりますけど…………(こんな事ならティータさんに少しでも教わっておけばよかったです………))

尋ねられたティオは心の中で後悔しながら疲れた表情で答えた。

「そういえば………あなた達はどうしてここに?」

「あたしたちみたいに手配魔獣を捜しに来たとか?」

「い、いや……そういう訳じゃないけど。」

「警察の任務で、この先にある病院に向かう所だったんです。そこで丁度、この騒ぎに出くわしてしまって。」

「この先の病院………”聖ウルスラ医科大学”でしたか。」

「へ〜、そんな場所があるんだ。あ、それじゃあこの場はあたし達が引き受けるわよ。用事があるんだったら先に行った方がいいんじゃない?」

「バスの運転手さん達はミント達が護衛するから、安心して大丈夫だよ。」

「そ、それは………」

エステルとミントの話を聞いたエリィは戸惑い

「………折角だからお願いしよう。えっと………エステルさんにヨシュア君、ミントさんにフェミリンスさんだったかな?」

ロイドは考え込んだ後頷き、そして確認した。

「あ、呼び捨てでいいわよ。見た所同じ年くらいだし。」

「そうだね………できればお近づきの印に。」

「ミントもいいよ〜。」

「今更呼び方に拘りませんわ。貴方達の好きにしなさい。」

「あ、ああ………―――それじゃあ、エステル、ヨシュア、ミント、フェミリンスさん。導力バスのこと、よろしくお願いするよ。」

「うん!」

「ええ。」

「ミント達に任せて!」

「君達の方も気を付けて。」

そしてヨシュアはバスのエンジンの修理を始め、ロイド達はエステル達から去って行き、徒歩で『聖ウルスラ医科大学』に向かい、ある程度エステル達から離れると立ち止まった。

 

「ふう………遊撃士協会の新顔(ニューフェイス)、エステルとヨシュア、ミント、そして3人のサポーターのフェミリンスさんか………」

立ち止まったロイドは溜息を吐いた後、考え込み

「まさかエステルさんがクロスベルに来るなんて………エステルさんもそうだったけど、他の3人の身のこなしも凄かったわね。きっとエステルさん達は相当高位の遊撃士じゃないかしら?」

「ああ、間違いねぇだろ。あの身のこなしと技のキレ………かなりの修羅場をくぐってるぜ。」

「エステルさん達が今後の商売敵だと思うと気が重いですね………」

「そうだな………―――落ち込んでも仕方ない。俺達は俺達で頑張ればいいさ。それに商売敵というよりいいライバルって考えておこう。その方がやる気がでてこないか?」

エリィ達の話を聞いていたロイドは考え込んだ後、気を取り直して提案した。

「………ライバルというには実力差がありすぎる気が………」

ロイドの提案を聞いたティオはエリィ達と共に脱力した後ジト目でロイドを見つめ

「ま、それでもあのアリオスってオッサンよりはまだ追いつけそうではあるかもな。」

「うーん、それは確かに………」

ランディとエリィは納得した様子で頷いた。

「まあ、気の持ちようってことさ。」

「………まあ、モチベーションを上げる為として良いとは思いますが………エステルさんとミントさんはあの”ブレイサーロード”と”黄金の百合”ですよ?ぶっちゃけ彼女達をライバル視するのは無謀としか言いようがないのですが。」

「へっ!?」

「そ、そういえばそうだったわね………」

そしてティオの説明を聞いたロイドは驚き、エリィは疲れた表情で頷き

「なんだぁ?その2つ名は。あの嬢ちゃん達、そんなに凄い遊撃士なのか?」

3人の様子を見たランディは不思議そうな表情で尋ねた。そしてロイド達はエステルとミント―――”ブレイサーロード”と”黄金の百合”について説明した。

 

「遊撃士でありながら貴族の上、メンフィル兵を私兵として持っているって………おいおい………あの嬢ちゃん達、そんなとんでもない存在だったのかよ!?しかもエステルちゃんは6種類の異種族と契約してるって…………いくらなんでも反則じゃねえか、それは!?」

「(正しくは7種類ですけどね………)…………………」

説明を聞いたランディは驚き、ランディの言葉を聞いたティオは静かな表情で黙り込み

「俺もどこかで聞いた名前とは思っていたけど………まさか彼女達がそうだったなんて………」

ロイドは疲れた表情で溜息を吐いた。

「そういえば………2人とも、エステル達と知り合いのようだけど………」

そしてある事を思いだしたロイドはエリィとティオに尋ね

「え、ええ。姉の結婚式で知り合ったの。どうやら姉とエステルさんが知り合いだったようで………その関係でエステルさんを結婚式に呼んだみたい。ちなみにその時に、メヒーシャに食事の楽しさを教えてくれたのよ。」

尋ねられたエリィは一瞬焦った後、答えた。

「へ〜………ティオはどんな縁で会ったんだい?」

一方エリィの答えを興味深そうな様子で聞いたロイドはティオに尋ねた。

「…………わたしは”特殊な事情”でエステルさん達と行動を共にすることがありましたので、その時にです。」

(ま、また………)

(………ペテレーネ様やエステルさん達と知り合いだったり、”魔神”と契約したり、凄い防具を創ってもらったり、体力がついたりって………本当に一体どんな”事情”でそうなったのかしら…………)

(マジで気になるぜ………)

そしてティオの説明を聞いたロイドとエリィは苦笑し、ランディは真剣な表情でティオを見つめた。

「それで話の続きになるのですが、2人の事を知ってなお、本当にエステルさん達をライバル視しておくんですか?」

「ああ。さっきも言ったけど気の持ちようさ。」

「そうそう!なんてったって俺達にはルファディエル姐さんが付いてるしな!」

「フフ、そうね。」

ジト目のティオの疑問を聞いたロイドは頷いた後口元に笑みを浮かべ、ランディは笑顔で言い、エリィは微笑んでいた。

(フフ………丁度いい目標が現れてくれてよかったわ。)

ロイド達の会話を聞いていたルファディエルは微笑み

(エステルさんが契約している人達の中にはルファディエルさんの位階の上の天使であるニルさんや”神”のフェミリンスさんがいることは教えない方がよさそうですね………)

ティオは静かな表情で黙り込んでいた。

 

その後街道を徒歩で進んでいたロイド達は『聖ウルスラ医科大学』―――通称、ウルスラ病院に到着し、ある人物を呼び出して貰う為に受付に向かった………………

 

 

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原作とは違うエステル達との出会い、いかがでしたでしょうか?………感想お待ちしております。

説明
第509話
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コメント
感想ありがとうございます。 さすらいのハリマエ様 まあ、こんなチートキャラ、どこを探してもいないでしょうねww 本郷 刃様 楽しんでもらえて何よりです THIS様 ティオの事情(3rd篇)が明かされる時は零の間でありますので、その時を楽しみにしていてください♪(sorano)
これはもう・・・驚いてばかりの皆とすべてを知っているティオのツッコミがおもしろいです。特殊な事情はいつロイド達に明らかにされるのか・・非常に楽しみです。(THIS)
ロイドとランディの反応は普通ですよね〜w ああ、面白い再会でしたw(本郷 刃)
何もせずに強い味方からスタート・・・・どこのチートやねん(黄昏☆ハリマエ)
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