新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第016話 |
新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第016話「武将としての信念とあり方」
水関の城門が開き華雄の部隊が突撃してきたが、その数は重昌の予想に反して意外な程数は少なかった。
柑奈「まさかですね。お館様の策が外れるとは……」
重昌「それは違うぞ((通綱|みちつな))よ。私も人の子だ。神ではない。そりゃ軍師は絶対にその間違いを起こしてはならないものだが……今回のは以外過ぎた。どうやら、華雄を過信しすぎた様で、彼女は我々が考えているより、ずっと優秀な将なのかもしれない」
柑奈「それでしたらどうします?捕えますか?」
重昌「そうだな。出来れば彼女に従っている部下達も、出来るだけ生きたまま捕えたい」
柑奈「了解しました。それでは早速我が隊に――」
彼女は後方に向けて矢文を飛ばすと、既に華雄隊は重昌の直ぐ傍まで来ていた。
影村騎馬隊は猛烈な勢いで先に前線で戦っている重昌達に合流。
華雄隊を蹴散らしていく。
無論、生きたまま捕えて。
その間に連合は水関を攻略し、一番乗りは曹操軍が果たした。
重昌「華雄、潔く降伏しろ!お前は十分戦った!今降伏しても、誰もお前を咎めはしない」
華雄「黙れ!我が旗を燃やすという愚行を犯せし者よ!わが身はここで散りと果てるでも
貴様の首だけは貰い受ける!もし貴様に((武士|もののふ))としての尊厳があるのであれば、我と一騎打ちしろ、影村!」
重昌「生憎、私は軍師気質で、その様な尊厳は持ち合わせていない……だが――」
彼は柑奈より鉄傘を手渡され、二、三回豪快な音をたて振り回し肩にかけ、扇型に開いた鉄扇を華雄に向けて構える。
重昌「その意気込みに、私も本気で応えよう」
華雄は自らの武器、((金剛爆斧|こんごうばくふ))を振り回して重昌にかかっていき、一合、二合と彼に攻撃加えるが、いくら攻撃をせども、彼の防御は緩まる事を知らず、逆に返って華雄自身が大汗をかき、肩で息をしている感じになっており、華雄隊のほとんどは影村軍に捕らわれ、残るは華雄一人となった。
連合武将「華雄!その首貰った!」
そこに連合の武将の一人が、勝負に水を刺した。
疲れ切っている華雄はそれに反応することが出来ず、彼女自身もこれまでかと目を瞑ったが、しかしその斬撃は来なかった。
その将の胸に柑奈の武器である『槍大膳』に刺さっており命を落とした。
これは状況に気付いた柑奈が、とっさに((投擲|とうてき))した物であった。
柑奈「この者の主である者よ、出て参れ!我が主の一騎打ちを邪魔するなど、不届き千万!それともこの者はただ名誉欲しさに邪魔をした俗物か!?」
この一喝に誰も答える者はいないので、柑奈は槍を抜き取り、殺した者を二人の邪魔にならないように勢いよく何処かに放り投げる。
華雄「……邪魔が入ったな。影村、そなたはいい家臣を従えている。うらやましい限りだよ」
その言葉の後、少しの沈黙後彼は持っている武器を下に置き、華雄は「何のつもりだ?」と彼に問いかける。
重昌「邪魔が入った不手際と、我が臣を褒めてくれた礼だ。私は侍として君に応えよう」
華雄「さむらい?」
重昌「私の国の兵はそう呼ばれていて、自らの行動や責任に命をかける者の事を”侍”と言われたのだ」
そう言うと彼は腰に差している((毘沙門剣・妖|びしゃもんけん))を抜く。
その剣を抜いた途端、重昌の周りにはなんとも禍々しい妖気が立ち込め、近くにいた兵士は彼の気に当てられ気絶していった。
重昌「これは妖刀で、使えば使用者の体力も奪っていくが……君は特別だ……行くぞ!!」
彼は言い終わると瞬時に瞬脚で華雄と間を詰めて攻撃をかける。
華雄は今までの経験と判断で咄嗟に反応出来たが、一つ間違えば一刀両断されていたのは間違いない。
重昌は攻撃の手を緩めずに、次々と華雄に攻撃を加えていき、彼女も全ての攻撃を受け止めきれることは出来ずに、所々斬撃を貰う。
華雄の武器は重昌の斬撃を受け止めているうちに完全に破壊されてしまった。
まさか獲物が破壊されるとは思わなかった華雄だが、そこは冷静に判断し壊れた獲物を捨て、腰の剣を抜き取ろうとしたが重昌に溝を殴られ、彼に倒れこむように気絶してしまった。
彼女の気絶を確認したら、重昌は剣を鞘にしまい華雄を肩に担いで高らかに答える。
重昌「董卓軍武将の一人華雄。西涼の影村タナトスが討ち取ったり!!」
彼を中心に周りより雄叫びが響き渡る。
陶謙「……言ったであろう。関羽ちゃん、見てみるものであると。……関羽ちゃん?」
陶謙が振り返ると、何故か関羽の右目から頬にかけて一筋の涙が流れており、彼女も陶謙に言われて初めてそれに気付き、あわてて頬を手で拭き取る。
どうやら無意識だったようだ。
関羽【なんだ?影村が腰に差さっている剣を抜き放って戦っている姿を見たとき、何か哀しい感情がこみ上げてきた。なんなのだ、奴は?一体奴には何があるのだ?】
連合軍は無事水関を抜けて、虎牢関へと向かった。
水関一番乗りを果たした曹操軍は、余りにもあっさり関を奪えた事に驚きを感じていた。
重昌が外した読み通りならば水関に残っていたのは華雄が率いていた私兵五千だけであった。
その((殿|しんがり))である五千の兵以外の七万五千の董卓軍は、張遼が率いてそのまま虎牢関に撤退したようだ。
こうして連合軍は虎牢関から数里離れた場所に布陣し、今この場で軍議が開かれていた。
袁紹「皆さま、先の水関に関してはご苦労様でしたわ。さて、次は虎牢関を抜けなければなりませんが、何か皆さん意見はありませんか?」
その言葉にその場にいる諸将が「!?」となっていた。
???「お、おい麗羽?」
袁紹「なんですの、公孫賛さん?今は軍議中ですわよ。個人的な私情を挟まないためにも、今は真名で呼ぶのはお控えになった方がよろしいのかしら?」
麗羽と言うのは袁紹の真名であり、その袁紹に話しかけたのは公孫賛。
赤髪のショートヘアーでポニーテールが特徴の女性で、最近の悩みは『普通』と言われることであるらしい。
公孫賛「あ、あぁ済まない袁紹殿……ではなくて!!」
袁紹「ホントにどうしたのですか公孫賛さん?そんな普通の驚き返しをして――」
公孫賛「"普通”は余計だ!私の事よりお前だ、袁紹。どうした!?何処か頭でも打ったのか!?」
袁紹「失礼ですわね。なんでそんなこと言われないといけませんの?」
公孫賛「いやいやいや、いつものお前なら他人の意見を無視して、自分の意見しか通さないだろ!」
袁紹「何を言っていますの、公孫賛さん。大将たるもの、周りの意見を聞き入れた上で、自らの意見を主張し、そしてそれをまとめなければいけませんわ。そうですわね、上杉殿?」
袁紹は公孫賛の言っていた事を呆れ顔で全面的に否定し、逆に彼女に『大将とは何たるべきか?』を説き、上杉にその同意を求めると、彼女は「その通り」と頷いていた。
その袁紹の反応に、驚いていたのは公孫賛だけではなかった。
周りにいる諸将、特に家族として付き合いが長い袁術、元は同じ私塾出身であった曹操が一番驚いていたのである。
勿論、直臣である文醜、顔良にも同じことが言えた。
そんな中、とある二人がひそひそと何かを話していた。
周瑜「おい!どういう事だ雪蓮!あの袁紹がまともになっているぞ!」
雪蓮(雪)「あちゃ〜。これは影村塾の効果かもね」
周瑜「影村塾?」
雪蓮(雪)「お父さんに教育された者は大抵頭がよくなったりするのだけども、袁紹の場合元々昔は私塾に通っていた様だし、基礎は出来ている。だからお父さんはその思考回路をまともに戻しただけなのかもしれないわね」
周瑜「たった半日やそこらで、あのバカだが固い思考回路を!?」
雪蓮(雪)「それが影村塾の凄まじいところよ」
袁紹「あの?袁術さんにお付きのそこのお二方。軍議を初めてよろしいかしら?」
周瑜「え?あ、はい――」
雪蓮(雪)「失礼したわ」
ちなみに袁術はと言うと、「麗羽姉さま怖いのじゃ」と張勲に泣きついたまま離れなかった。
袁紹「それから、上杉さんの主である影村さんには今回の連合では参謀として手腕を振るってもらうことになりますけど、よろしいかしら?」
虎「えぇ、構いません。我が主も喜んで引き受けるでしょう」
現在、重昌は用事の為、代わりに虎と一刀が重昌の代役を務めていた。
袁紹「それでは始めましょうか。水関では我々は大した被害も無かったので、兵力はそのまま維持されています。対しての敵軍の兵力は、虎牢関の兵二万五千を加えた十万となっていますが、皆さまどうでしょう?ここは数で勝っている我らが力押しに一気に制圧しましょうか?」
やはり考える策は前の袁紹のままであるのか?とここは思うのだが、勘違いしてはいけない。
彼女は「力押し」と言ったのだ。
前の彼女であれば、雄々しく勇ましく、華麗に(ryなどと言い出すのだが、ここで彼女が力押しと言ったのは、敵の兵の質と数、こちらの兵の質と数をしっかりと考えた上で、このような意見を言ったのだ。
未だに甘い考えであることに変わりはないのだが、周りから見ての彼女にしてみればこれは大きすぎる一歩に違いなかった。
そして参謀で重昌の代役である一刀の口が開く。
一刀「確かに袁紹殿が言う通り、この関を抜けなければならない限り洛陽には近づけないため、力押ししかないだろう。しかしこの関はそう容易く抜けられる関ではない。虎牢関には、飛将軍呂布がいる。呂布は黄巾の乱のおり、三万の大軍をたった一人で潰した程の豪傑だ。それに撤退してきた張遼も、神速と呼ばれ、その速さを生かした攻撃と軍の扱いは目を見張るモノがある。そしてこの関の軍師には陳宮という者もいる。まだ無名で未熟者であるが、なかなか切れるモノを持っている。だからこの関を抜けるのは、はっきり言って水関より困難だ。水関ではまともに董卓軍とはぶつからなかったが、本来董卓軍はよく訓練され精強な兵のはずだ」
公孫賛「ならば北郷殿、一体どうやって董卓軍に当たればいいんだ?」
一刀「方法はある。とりあえず、実際の董卓軍の実力を測る為、第一陣に袁術、劉備、陶謙の部隊を置く。第二に――」
そして軍議ではまた一刀の案が採用されて、連合の各諸将は各戦備体制に入った。
西涼軍ではただ今華雄の尋問が行われている。
華雄「……いいのか、縄で縛らなくて。私が暴れてここから脱走するとも考えないのか?」
重昌「脱走するのか?」
華雄「………いや、私は武人として負けたのだ。今更じたばたするつもりもない」
重昌「そうか……今回君を捕まえたのには理由がある」
華雄「理由?」
重昌「正直なところ、董卓軍の内部事情に詳しい直臣ならば誰でもよかった。まず尋ねるが……いいか落ち着いて聞けよ。華雄よ、そなたの主董卓は、本当に悪政を洛陽の民に敷いているのか?」
華雄「ゆe……董卓様が悪政だと!?馬鹿も休み休みにしt「『ガシッ』落ち着け。私は今回の戦の真実を、忠臣である君の口から聞きたいのだ。だから、落ち着いて私の聞き、落ち着いて質問に答えてくれ」……わかった」
彼は華雄の肩を持って諭すと、今回何故反董卓連合が出来たかの経緯を華雄に話し、重昌は実際の事実を彼女の口から聞いた。
彼女によれば、董卓は悪政など敷いておらず、むしろ洛陽を復興させているという。
この情報は、こちらと曹操が掴んでいる情報と同じであり。
董卓は何処かで何者かに拉致監禁されているらしい。
これに関しても、曹操の大よその予想と似通っていた。
董卓軍は董卓の命惜しさにこの様な戦いを繰り広げていることを、改めて思い知らされる。
重昌「やはりな」
華雄「やはりとは?」
重昌「私は今回の戦は、大よそ事は知っていたし、何より董卓が悪政を敷いていないことを知っていた」
華雄「何!?」
重昌「君の仲間に、賈駆と陳宮といるであろう?あの者たちは私の教え子でね。たまに手紙も貰い董卓についても書かれているが、悪政どころか善政を敷いていると書いていたよ」
華雄「そこまで知って居ながr「待て!いいから落ち着け!」だが……」
重昌「落ち着いて話を聞くか、このまま暴れて無念を残したまま首を撥ねられるかどっちがいい?」
華雄「………話を聞こう」
重昌「――今回の戦、何か我々の想像以上に、大きな力が流れていると思うのだ。いいか、私は今から仮説を話すぞ……」
彼の話を聞き、華雄の顔は青ざめていく。
華雄「まさか!?いや、そんな事が。その様なことをすれば、あの方の立場は、自分の立場がどうなるか判っていないのか!?」
重昌「それがやっかいなのだよ。その立場の者を裁けるのは、その立場の者しかいないのだから」
華雄「くそっ!この世には正義も何も無いのか!?」
彼女はそう言いながら、つい地面に向けて拳を叩きつけ、その拳からは血が滲み出ていた。
重昌「正義……か――」
彼は懐より布を取り出すと、彼女の傷ついた手を取り優しく布で止血してやる。
重昌「正義なんてモノは人の考え方で変わる。今回董卓を討つために集まった連合。内部事情がどうであれ、民からすれば連合の行いが正義に映る。法や理念もそうだ。結局のところ、”時代”が正義か否かを決めるのだから、軍人にとってこれほどやりにくいモノはないかもな」
華雄「影村殿……」
重昌が落とした哀しげな瞳に、華雄自身はいつのまにか吸い込まれていた。
重昌「華雄よ、我が下に来る気はないか?」
華雄「……え?」
重昌「これから時代がどう動くかは判らない。確かにお前は猪だが、磨けば光る物は持っていると私は考えている。それに生き残ったお前にはやるべきことが残っている」
華雄「やるべきこと?」
重昌「そう……時代の流れを見届け、それを後世に伝えることだ。私がお前の道標となり、次の時代へと導いてやろう」
華雄「しかし私には――」
重昌「そうだな。『忠臣二君には仕えず』君が戸惑うのも判る。だから私が考えている考えを話そう」
そう言うと彼は華雄に耳打ちして、彼女に自身の考えている全貌の全てを話す。
華雄「………かしこまりました」
すると彼女は片膝を付き、重昌に臣下の礼を取る。
華雄「華固有、これより我が身、我が心を影村様に捧げる事を誓います」
重昌「我が名は影村タナトス。我が((真名|しんめい))は重昌。この名を君に預けよう」
華雄「重昌様、貴方様の真名、確かに受け取りました。我が真名h「待て。”今はまだ”だ」……?」
重昌「まだ我が事は完全には成ってはいない。我が事が完全に成った暁には、君の真名を預かるとしよう」
説明 | ||
こんちは。 最近の私はSAOにはまっておりますww そして再びスランプの冬が来そうなわけだが、めげずにやっていきます。 それではどうぞ。 |
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nakuさん〉スランプ=投稿スピード落ちる っと考えてくれればww(IFZ) | ||
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