IS 2体の魔神皇帝
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箒が目を覚ましたのはナノマシンを投与された翌日の朝だった。

起き上がろうとするが体の動きが鈍い。

 

箒「大分鈍っているな・・・最低限の運動だけはしておこう」

 

起き上がろうとするとベットとは違う感触があり、ベットよりも若干高い位置に手があるのがわかる。

気にせず起き上がると「グエッ」という呻き声が上がる。

 

箒「何なんだ?」

 

箒が自分の右隣を見てみると、其処に居たのは一夏だった。

箒の手は一夏の腹の位置にあり起き上がる時に腹を押して一夏は苦しくて呻き声を上げた事を箒は理解した。

 

箒「スマン、一夏・・・」

 

箒は起き上がり着替えようとするが・・・

 

箒「ってこれは一夏のベットじゃないか!?」

 

自分が一夏のベットで眠っていたことにやっと気が付いた。

其処へ束が現れた。

 

束「箒ちゃん目が覚めたんだね。ってドシタノ?」

 

箒「姉さんですか!?私を一夏のベットに寝かせたのは!?」

 

束「ふぇ?!違うよ。私は確かに箒ちゃんは箒ちゃんのベットに寝かせたもん」

 

箒「なら誰が・・・」

 

箒が自分のベットに座って考えていると一夏も起きた。

腹を押さえているので箒は最初に一夏に事の次第を説明して謝った。

 

一夏「知らなかったんだからしょうがない。だが俺的には箒と一緒に寝れて良かった」

 

箒「い、一夏/////流石に恥ずかしい//////」

 

一夏「ん?恥ずかしがって如何する。俺の女だろ?」

 

束(此処まで真顔でいえるんだ・・・相当なベタ惚れっぷりだね・・・)

 

箒は更に顔を赤くする。最早トマトだ。

 

一夏「今の内にダブルベットにしてもらって将来の為に慣れるか?」

 

束(砂糖吐きそう・・・)

 

箒は更に恥ずかしくて顔を太陽のようにオレンジ色に染める。

ここまでドストレートに色々言われると流石に恥ずかしいようだ。

 

箒「はにゃにゃにゃにゃ!?!?!?」

 

一夏「何慌ててるんだ?」

 

束「いっくん、少しは言い方を考えた方が良いよ?」

 

束に言われて一夏は少し考えたが首を傾ける。

 

一夏「さっぱり解らん・・・。自分の思ったことを伝えるだけじゃ駄目なのか?」

 

束「もう少し穏やかにした方が良いかもね。箒ちゃんが着替えるからちょっと外に出てて」」

 

一夏は恋人だから良いのでは?と思ったが聞いたらいけないと感じ取って部屋の外に出た。

箒はまだ真っ赤に染まっている。

 

箒「将来って、まだ恋人で夜伽もしていないのに・・・いやそれはマズイ。

  というか学生なのにそんな事が出来る筈ないだろう・・・」

 

束「箒ちゃ〜ん?もしも〜し?聞こえてますか〜?」

 

箒に問いかけるが箒には聞こえていないようだ。

 

箒「もし子供が出来たら如何するのだ・・・って一夏はこの程度じゃ慌てないか・・・

  だが学生の内に出産など言語道断な訳で・・・しかし女性は16で結婚できるから・・・

  私も今月に16になったから良いのか・・・いや良い訳が無い・・・しかし・・・」

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思いっきり妄想で暴走している箒に束は苦笑いしている。

10分程経っても元に戻らないので軽くデコピンをして箒を元に戻した。

流石に10分間も箒の暴走を聞いているのはきつかったらしい。

 

束「ほら着替えて着替えて」

 

箒「解りましたから体を弄繰りまわそうとするのは止めて下さい」

 

そして箒は着替えると外に居る一夏に声をかけるが一夏は外には居ない。

束はまさかと思い、トレーニングルームの画像を出すと・・・

 

一夏「フッ・・・フッ・・・」

 

何時もと比べるととても軽いが、トレーニングをしている一夏が映っていた。

束は一夏の居るトレーニングルームにリニアモーターカーの如く走っていった。

 

箒「姉さんって意外な所で千冬さんと似てるよなぁ・・・」

 

走り去る束を見て箒はポツンをそう呟くのであった。

そして束を後をゆっくり歩きながら追って行く。

束はトレーニングルームに居た一夏を縄で縛り上げて芋虫にしていた。

 

一夏「解せぬ・・・」

 

束「病み上がりなのに無理しない!」

 

一夏「いや物凄く軽くやってましたよね?」

 

束「問答無用だよ♪」

 

♪が付いて笑っているが束の目は笑っていない。ハイライトも消えている。

一夏は余り怖くないのだが逆らうのは止めておこうと心に決めた。

 

束「タンカお願いしま〜す」

 

所員A「あはは・・・自業自得だよ一夏君」

 

所員B「もう暫くはベットの上で静かにしててくれ。束ちゃんが暴れるから」

 

束と所員二人は一夏を芋虫状態のまま部屋に運び腕だけ開放して寝かしつけた。

途中で箒も連れ戻され、ベットに寝かされている。

 

一夏「ふわふわして落ち着かない・・・」

 

箒「同じく・・・」

 

束「もう直ぐ二人用の和室も出来るからそれまで我慢してね」

 

束と十蔵の部屋は和室で一夏と箒は専用の和室が出来るまでこの部屋を使っている。

もっとも束や十蔵が改装をしているので時間が掛かっている。

なにせ2人共研究が忙しい事が多いので其処まで手が回らないからだ。

一度業者に頼めば?と弓が提案したが即効で2人は却下した。

理由が「2人の部屋は自分達で作るから」というモノだった。

偶に一夏が、十蔵、束、箒の3人を「頑固者」と表現するように自分がやると言ったものは

自分たちだけで成し遂げようとする事がある。

 

一夏「もう業者にでも頼めばよかったのによ・・・」

 

束「でも私とお爺ちゃんで作るって決めてたんだもん」

 

一夏「ハァ・・・本当に頑固者だぜ・・・」

 

箒「お前もだろ・・・(芋虫状態で頑固者と言われてもな・・・)」

 

一夏「否定はしない」

 

一夏はそう言うと縄抜けをしてベットから起き上がった。

束はまたトレーニングするつもりかと思ったが一夏は衝動へ行くだけだ

と言って箒と一緒に部屋を出た。束も小さく笑い、その後を追う。

 

束「いっくんと箒ちゃんは何を食べるつもり?」

 

箒「点滴だけだったので少し多めに何かを食べるつもりです」

 

一夏「何時も通りだけど?」

 

束「いっくんのって・・・カツどん、親子丼、から揚げ丼に

  エトセトラエトセトラ・・・ってやつ?」

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一夏は頷くが束は頬を膨らませる。

流石に治療中の患者が其処まで食べるのは許容出来ないようだ。

 

束「それは駄目」

 

一夏「チッ・・・頑固者め・・・」

 

箒「舌打ちしなくても良いだろうに・・・」

 

一夏「食事は俺の数少ない楽しみなんだよ」

 

束「もう、少なくともあと5日は今までの6割までしか食べちゃ駄目だよ」

 

一夏「へ〜へ〜」

 

箒(十分食べすぎだろうに・・・)

 

食堂に着くとマドカが十蔵と朝食を食べていた。

マドカは白米、味噌汁、冷やっこ、出汁巻き卵に胡瓜の漬物を大盛りで食べていた。

十蔵は白米、味噌汁、卵焼きにカブの漬物を食べている。

 

マドカ「ハム・・・モキュモキュモキュモキュモキュモキュ」

 

十蔵「む、お前たちか」

 

箒「お早う御座います。お爺様」

 

十蔵「うむ、おはよう」

 

箒は何時も通りに挨拶をしている。一夏は挨拶より先に飯を取りに行っている。

束も十蔵に抱きついて挨拶している。周りからは羨ましそうな視線が集まっているが。

 

一夏「ようジジィ」

 

一夏はカツどんと牛丼に味噌汁の大盛りを持ってきた。

挨拶も簡単に何気に失礼な態度だが十蔵は気にせずに「ようやく起きたか小僧」と返している。

 

一夏「というかやっと起きられたって感じだ」

 

十蔵「フォフォフォ・・・生意気言いよるわ」

 

束「起こさなかっただけだよ?」

 

一夏「なん・・・だと・・・OTL」

 

箒(起きていたかったんだ・・・)

 

マドカ「?」

 

マドカは何を話しているのかが解らず不思議そうに首を傾ける。

束はその姿が可愛くて頭を撫でている。

 

束「もぉ〜可愛いなぁ」

 

一夏「・・・・・・よく解らん」

 

箒「少しは解るのか?」

 

一夏「少しだけな」

 

一夏は感情が普通の人間より少ないせいなのかあまりよく解らない様子。

しかし若干なら解るようなので箒は改めて安堵した。

 

マドカ「お姉には?」

 

一夏「そういえば姐さん俺達の目が覚めたら連絡するとか言ってたよな」

 

一夏はメディカルマシンの中で聞いていた会話を思い出しながら束に問いかける。

すると束は顔を真っ青にしながらガタガタ震えだした。

4人は「忘れていたな・・・」と完全にハモっていた。

 

束「ど、どうしよう・・・」

 

箒「ご愁傷様です」

 

束「・・・アハハハハハハハハ!もう如何にでもなれってんだ」

 

一夏「こんな事で自棄になんのかよ(呆)」

 

束「だってちーちゃんのアイアンクローは超合金Zを凹ませるんだよ」

 

一夏と箒はそうだったか?と昔を思い出そうとしている。

マドカはどの位凄いのか解らない。やっぱり首を傾けている。

しかし束には心強い味方が居た。弓教授だ。

 

弓「おぉ、皆おきていたんだね。博士、お早う御座います」

 

十蔵「うむ」

 

弓「今朝二人が起きたと聞いて一応私から千冬君には連絡をしておきました」

 

束(助かった〜)

 

一夏(チッ・・・)

 

箒「?」

 

マドカ「お兄舌打ちした?(ボソッ)」

 

一夏はつまらんと内心舌打ちして残念がった。

束がアイアンクローを喰らうのを阻止された事に残念がっているのではなく

千冬に怯えているところを見るのが面白かったらしい。

 

束「いやしてたよね!?内心とはいえ舌打ちしてたよね!?」

 

一夏「何で解る・・・?」

 

束「女の勘」

 

束は勘だと即答したので一夏は苦笑いする。

 

一夏「なら確実・・・なのか?」

 

箒「そう思っておいたほうが良いと思うぞ」

 

マドカ「マドカもそう思う・・・」

 

一夏「・・・あぁ(尻に敷かれるってこういう事か?)」

 

一夏は解らない事に戸惑いながらも頷いておいたのだった。

朝食を食べ終えた辺りで千冬と弾が3日後にやって来ると連絡があった。

 

一夏「3日後か・・・」

 

箒「色々用事とか仕事があるんだろう」

 

一夏「いや、早すぎると思ってよ」

 

箒(早すぎるか!?千冬さんからしたら遅すぎると思うぞ!?)

 

箒は口にはしなかったが呆れ顔で心の中で突っ込んだ。

千冬のブラコンぶりを考えれば3日後というのは遅すぎると束も思った。

 

束「あのちーちゃんが・・・明日は富士山が噴火するのかな・・・」

 

十蔵「同感じゃ」

 

一夏「弓のオッサンが仕事片付けてから来いって言ったんだろ?」

 

弓「彼女も大人だからね」

 

弓は笑っているが箒達は千冬のブラコンを止めた弓をいろんな意味で敵に回したくないと思った。

一夏でも千冬のブラコンを抑えるのは一苦労しているが弓は普通に抑えてしまったからだ。

一夏はなんとも思っていないようだが・・・

 

束「というか3日で早すぎるって・・・」

 

一夏「姉貴の奴半月分の仕事溜めてたからな。ブラコン暴走モードでやっても5日は掛かる」

 

箒「千冬さん・・・キチンと仕事はしましょうよ・・・」

 

束「私でも其処まで仕事溜めないのに・・・」

 

一夏「一部は山田の姐さんに押し付けようとしてたのもあるし。だからこの前仕事サボったら

   離縁するって言っておいた。」

 

以外と千冬からすれば情けも容赦もない一夏だった。

説明
結構間が空いてしまいました。楽しんで頂ければ幸いです。
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