英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 541
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〜星見の塔〜

 

「これは……」

「……すごいわね……中世の建造物だそうだけど。あの光っているのは蛍か何かかしら……?」

塔内に入ったロイドとエリィは塔内の景色に驚き

「うーん、そうみたいですね。どうもこの塔、封鎖されてから十年近く放置されてるみたいで。本当は、ちゃんと調査をした方がいいとは思うんですけど……」

ノエルはエリィの言葉に頷いた後、溜息を吐いた。

「ま、あの事なかれ主義の司令のことだ。提案しても予算の無駄だって却下するのは目に見えてそうだな。」

「はあ、そうなんですよね……先輩、よくあんな司令の下で働いていましたよね?あたしにはとても無理ですよ。」

「ハハ、だから俺も警察なんかにいるんじゃねえか。」

「あ、なるほど。」

「あら……でも。あなたが警備隊を辞めたのは女性関係が原因じゃなかったの?」

「そういや、そんな話をしてたな。」

ランディとノエルが会話をしていると、エリィとロイドが割り込んだ。

「おっと……まあ、それもあるけどよ。」

「んー、おかしいなぁ。ベルガード門にいる友達からはランディ先輩の浮いた話しってあんまり聞きませんでしたけど……」

「あー、色々あんだよ。男と女の関係ってのはな。」

考え込みながら呟いたノエルの言葉を聞いたランディは苦笑しながら答えた。

「「………………………………」」

一方、ティオとセティは呆けた様子で黙り込んでいた。

「どうした、ティオ、セティ?何か気になるのか?」

「いえ……どうやらこの場所は、少々、変わっているようです。」

「ええ。それは私も感じました。」

「変わっている……?」

「どういう事だ?」

2人の答えを聞いたロイドとランディは首を傾げ

「………なるほど。なんとなく感じていたけど”影の国”と似たような感じね?」

カーリアンは納得した様子でティオに尋ね

「ええ、そんな感じです。」

尋ねられたティオは頷いた。

「”影の国”?」

「前にもティオが口にした事がある言葉だけど………どこの事なんですか?」

一方2人の会話を聞いていたノエルは首を傾げ、ロイドはカーリアンに尋ねたが

「あ〜………ま、貴方達が気にする事じゃあないわ。」

「ハ、ハア……?」

カーリアンは答えを濁し、ロイドは戸惑いながら頷いた。

「地・水・火・風………4属性以外の上位属性が働いている気配を感じます。」

「えっと、それって……」

「導力魔法(オーバルアーツ)の属性のこと?」

一方ティオの説明を聞いたロイド達はそれぞれ首を傾げ、ノエルが尋ねた。

「……はい。地・水・火・風のアーツが弱点という魔獣はいますよね……?ですが、上位属性である時・空・幻のアーツに関しては強力ですが弱点の魔獣はいない……その法則が歪んでいる感じです。」

「うーん……よくわからないけれど。要するに、アーツの効き方が他の場所とは違っているんだな?」

「はい。アーツと同じ属性を持つ魔術も同じだと考えて下さい。」

ティオの説明を聞いて考え込んだ後、答えたロイドの言葉にセティは頷いた。するとその時、何かの足音が聞こえて来た。

「この音は……」

「魔獣か………?」

足音に気付いたロイド達が振り向くと、なんとロイド達の身体と比べて倍以上の大きさを持つ機械人形達が近づいてきた。

「な……!?」

「こ、これは……!?」

「おいおい……こいつは何の冗談だ!?」

機械人形達を見たロイドやノエルは驚き、ランディは目を細めて声を上げ

「魔導人形の類……?」

「―――来ます!」

セティは眉を顰めて呟き、エリナは警告した。そしてロイド達は戦闘を開始した!

 

「分析を開始します………4属性に対して耐性を持ち、弱点は時属性です!!」

戦闘開始早々ティオはクラフト―――アナライザーで敵を分析して、ロイド達に助言した。

「わかった!なら……こいつを喰らえ!!」

「行くぜ……喰らいなっ!!」

助言を聞いたロイドは時属性を込めたクラフト―――ダークブレイクを、ランディは暗黒属性を込めたスタンハルバードで跳躍して思い切り叩き付けるクラフト―――闇切断を放って、それぞれ一体ずつダメージを与え

「行っくよ〜……それっ!!」

シャマーラも続くように時属性を込めたクラフト―――暗黒スマッシュを放って、もう一体の敵にダメージを与えた。

「えいっ!!」

「そこっ!!」

一方ノエルはサブマシンガンで、エリィは導力銃で敵を撃った。しかし敵は頑丈なのか、あまり効いている様子はなくそれぞれ、腕を振るってロイド達を攻撃した!

「クッ!?」

「っと!?」

「わわっ!?」

攻撃に気付いた3人はそれぞれ武器で防御したが、敵の攻撃の威力はすざましく、攻撃を武器で受けた3人は吹っ飛ばされた!

「出でよ、鋼輝の陣!イオ=ルーン!!」

「光の精霊よ、力を!槌の光霞!!」

そして魔術の詠唱をしていたエリナとセティはそれぞれ耐性の属性ではない魔術を放って、敵達を攻撃し

「―――闇に呑まれなさい!ティルワンの闇界!!」

ティオが弱点属性の高位魔術を放って、止めを刺し、消滅させた!

 

「な、何だ今のは………!?」

「明らかに普通の魔獣とは違いましたね……かといって、人間が入ったわけでもないし。」

戦闘を終えたロイドは声を上げ、ノエルは溜息を吐いた後表情を厳しくし

「ま、ま、まさか………亡霊とか?」

エリィは身体を震わせながら呟いた。

「よくわかりませんが………導力仕掛けのカラクリでは無さそうですね。中世の魔導師が造ったというゴーレムみたいなものでしょうか?」

「おいおい……何でそんなものが動いてんだよ。ひょっとしてこれも”銀”の罠なんじゃねえのか?」

ティオの推測を聞いたランディは溜息を吐いた後、目を細めて呟き

「……わからない。ただ、さっきティオとセティが言った事は正しかったみたいだな。」

「そうね……戦っている時、今までにない感じがしたわ。時・空・幻―――上位三属性か。」

ロイドとエリィはそれぞれ頷いた。

「どっちかっていうと、あたし達の世界で戦っている感覚だよね〜?」

「………そうですね。私達の世界は空―――神聖属性や時―――暗黒属性を耐性や弱点とする魔獣がいるのですから。」

そしてシャマーラが呟いた言葉に、エリナは頷いた。

「おそらく霊的な乱れが発生しているのではないかと。それ以上の事はちょっとわかりませんが………」

「………どうやら放置していたのは完全に間違いだったみたいですね………―――行きましょう、皆さん。あたしとしても、この塔の中をちゃんと調べたくなってきました。」

一方ロイド達の話を聞いていたノエルは真剣な表情でロイド達を見回して言った。

「ああ……慎重に探索を開始しよう。」

ノエルの言葉にロイドは頷いたその時

「その前に疑問があるのですが………」

ティオはある人物に視線を向け

「……なんでさっきの戦いに手を貸してくれず、一人だけサボっていたんですか?」

ある人物―――カーリアンをジト目で見つめて言った。

「ティ、ティオちゃん。」

「うは〜……度胸あるな、ティオすけ……」

ティオの言葉を聞いたエリィは慌て、ランディは感心していた。

「フフ……貴方達がどのくらいできるのか、ちょっと見させてもらったのよ。予想以上に連携もできているようだし………フフ、何だか貴方達を見ているとエステル達を思い出すわね♪」

一方カーリアンは口元に笑みを浮かべて答えた。

 

「へ………」

「カーリアン様はエステルさん達ともお知り合いなのですか?」

カーリアンの言葉を聞いたロイドは呆け、エリィは驚きの表情で尋ねた。

「ええ。というかティオや私、リウイ達が一緒にエステル達と共に戦った事もあるわよ♪」

「えええええっ!?」

「ティ、ティオちゃんが………エステルさん達やリウイ陛下達と……!?」

「おいおいおいおい………!ティオすけ、お前一体どんな体験をしたんだよ!?」

そして笑顔で言ったカーリアンの話を聞いたロイドは驚きの表情で声を上げ、エリィとランディは信じられない表情でティオを見つめた。

「カーリアンさん………あんまりその話を持ち出さないでくれます?説明を誤魔化すのもめんどくさいんですから……」

一方ティオは溜息を吐いた後、ジト目でカーリアンを見つめて言った。

「あら。”影の国”の件、話していなかったの?」

「あのですね……わたしはエステルさんや貴女達と違って、ただの一般人ですよ?第一あの後七耀教会の封聖省から来た人に絶対に口外しないように注意されているんですから、言えませんよ…………もし誰かに話したのがバレた時、面倒な事が起こるのはわかりきっていますし。」

意外そうな表情をしているカーリアンにティオは呆れた表情で溜息を吐いた後、ジト目でカーリアンを見つめて言った。

「別にそんなのどうでもいいじゃない〜。いざとなったらリウイ達が庇ってくれるわよ♪」

「………あんまり親しくなかったわたしをリウイ陛下達がかばうなんて、普通に考えてありえないんですけど………」

そして口元に笑みを浮かべながら言ったカーリアンを見たティオは溜息を吐いて呟いた。

 

「ティ、ティオ……本当に何があったんだ??」

「今、七耀教会や封聖省って聞こえたけど……まさか古代遺物(アーティファクト)関係?」

その時ロイドが戸惑いながら声をかけ、エリィは真剣な表情で尋ねた。

「―――はい。ですから、わたしからは詳しい説明はできないんです。わたしが体験した”特殊な事情”の詳しい話を口にすることは七耀教会や財団からも禁止されていますので。」

「だったら、もう一人の事情を知るお姉さん!俺達にティオすけの”特殊な事情”を教えて欲しいッス!」

ティオの説明を聞いたランディはカーリアンに視線を向けて尋ねたが

「めんどくさいからパスよ。」

「ガクッ……」

あっさりカーリアンに断られ、肩を落とした。

(フフ……まあ、あまり人に話せる事ではありませんものね。)

(そうだよね〜。というかまず、話を聞いて信じるかどうか妖しいよね?)

(ええ……あの時は本当に驚きましたよ……いつの間にか父様が”神格者”になっていたんですから……)

その様子を見ていたセティ達は苦笑していた。

「ま、まさかティオがエステル達と一緒に戦った事があるなんてな……」

「………あの、カーリアン様。先程リウイ陛下”達”とおっしゃっていましたが、他にもティオちゃんと一緒に戦った方がいるんですか?」

一方ロイドは驚きの表情でティオを見つめ、エリィは考え込んだ後カーリアンに尋ねた。

「ええ。フフ……その”特殊な事情”によって、ティオはさまざまな有名人と出会ったわよ〜?多分、あんた達でも知っている人達もいると思うわ。」

「……ティ、ティオちゃん。その事情で他に誰と出会ったの?そのぐらいなら、いいでしょう?(まさかお姉様とも会っているの……?)」

カーリアンの話を聞いたエリィは興味津々な様子でティオを見つめて尋ねた。

「……そうですね、そのぐらいでしたら。ただし、他言無用でお願いしますよ?――――クローディア姫。ユリア准佐。オリヴァルト皇子。リウイ陛下。イリーナ皇妃。カーリアンさん。ペテレーネさん。ファーミシルス大将軍。リフィア殿下。プリネ姫。エヴリーヌさん。ツーヤさん。ウィルフレドさん。セラヴァルウィさん。エリザスレインさん。……この中の最低でも2,3人くらいは皆さんも知っていると思いますが。」

「「「「………………………」」」」

ティオの説明を聞いたロイド、エリィ、ランディ、ノエルはそれぞれ固まり

 

「「「「えええええええええっ!?」」」」

 

それぞれ大声で驚いた!

「ティ、ティオちゃんがあのクローディア姫やユリア准佐どころか、”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”や”蒼黒の薔薇”にまで会った事があるなんて……!いいな〜!」

「それどころか、エレボニアの皇族やあの”聖皇妃”を含めたメンフィル皇室関係者や武将達にも会った事があるなんて……!」

「なんか……急にティオすけが違う世界の人間に見えてきたな……」

(まさかティオちゃんがお姉様達に会った事があるなんて………あら?もしかして……ティオちゃん、私の事も知っているのかしら……?)

そしてノエルは驚いた後羨ましそうな様子でティオを見つめ、ロイドは驚きの表情で呟き、ランディは苦笑しながら呟き、エリィは疲れた表情で考え込んだ後、ある事に気付いた。

「フフ……気になるのはわかるけど、あんまりジッとしていたら、今みたいに新手がまたくるわよ?」

「へ……?」

カーリアンの言葉を聞いたロイドが驚いたその時、先程戦った機械人形が宙に浮く斧のような存在と共にロイド達に近づいてきた。

「く………」

「さっきの倍はいます……!」

それを見たロイドは表情を歪め、警戒した表情のノエルと共に武器を構えたが

「さ〜てと。貴方達にも見せてあげるわ♪……”戦妃”の力を。」

「え……」

双剣を構えたカーリアンの言葉を聞いて呆けた。するとカーリアンが敵達に一瞬で詰め寄り

「それぇっ!!」

クラフト―――乱舞を放った!すると斧のような姿をした存在達は一瞬で真っ二つにされて、消滅し、機械人形達は装甲のところどころへこまされて怯んだ。

「まずは1体!」

カーリアンは続けてクラフト―――北斗斬りで装甲が厚いはずの機械人形を真っ二つに斬って、消滅させ

「…………」

「2体目!」

反撃して来た敵の腕を軽やかに回避した後跳躍して、双剣で反撃して来た敵の頭を斬り裂いて消滅させ

「ラスト!!」

最後の一体に詰め寄ってクラフト―――五段斬りを放って、敵を五分割にして消滅させた!

 

「…………………………」

カーリアンの疾風迅雷かつ圧倒的な戦闘にロイドは口をパクパクさせ

「す、凄い………!」

「圧倒的………としか言いようがないわね……」

「ああ………技のキレもそうだが力やスピードも尋常じゃねえ………これが”大陸最強”の力か………」

ノエルは驚き、エリィは疲れた表情で溜息を吐き、エリィの言葉にランディは頷いた後目を細めてカーリアンを見つめ

「フフ、相変わらず凄いですね。」

「うんうん!カーリアンさんと一緒だなんて、本当に心強いね!」

「ええ……」

セティ達はそれぞれ微笑みながらカーリアンを見つめた。

「じゃ、行きましょうか♪”銀”とかいう奴の元へ。」

そしてカーリアンは不敵な笑みを浮かべてロイド達に言った。その後ロイド達は”星見の塔”の探索を開始した………

 

 

 

 

 

 

説明
第541話
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コメント
感想ありがとうございます。 本郷 刃様 まあ、これが普通かとw さすらいのハリマエ様 何を今更?セリカやリウイを筆頭とした戦姫シリーズの連中は軌跡のラスボスを軽く超える連中が多いですよww THIS様 まあ、3rd篇を知ったら色々常識が破壊されますものねぇ。特にエステルの事を知った日にはww(sorano)
ついにティオの秘密の一端が明らかにされましたね。しかも・・・・神殺しやエイドスの祖先、および父と母に当たる人物を隠している罠があるのもまたW。ロイド達・・・その驚愕すぎる真実をいつか知ることになるのでしょうか?知ったら絶対に常識が破壊こと間違いなしWWWW(THIS)
ラスボスより強い味方って反則じゃね?(黄昏☆ハリマエ)
ついにティオの知り合いが明かされ、ロイド達が驚愕しましたねw ロイド達の反応が面白いw(本郷 刃)
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