決戦 |
決戦
『フリゲート艦オルフェウス』
「敵艦隊より多数の対艦ミサイルの発射を確認!本艦隊に接近中!」
《ECM起動!全艦迎撃開始!》
本艦隊が攻撃を開始と同時に敵艦隊も攻撃を開始した。
両艦隊共に接近してくる対艦ミサイルを迎撃するため、ECMを起動し迎撃ミサイルを発射。
ECMの影響で一部の対艦ミサイルは目標を見失い海面に落ちたり、上空に飛んでいく。
ECMの影響を受けなかった対艦ミサイルに今度は迎撃ミサイルが襲い掛かる、艦隊の前方に迎撃ミサイルに当たって爆発した対艦ミサイル光が多数起きる。
「何割迎撃出来た!」
「全体の7割です!」
迎撃できなかった対艦ミサイルは艦隊に襲い掛かる。
「迎撃!ファランクス、撃ち方始め!主砲も迎撃にまわせ!この距離じゃ主砲で敵艦隊に有効弾無理だ!」
「了解!」
本艦隊の各艦は主砲及びファランクスのよる迎撃を開始。凄まじい弾幕が展開される。対艦ミサイルは次々と迎撃され爆発する。
「うわぁぁぁぁ!」
「落ち着け!」
本艦の右舷側で対艦ミサイルが爆発。
距離はあったものの艦が揺れ乗組員たちが悲鳴を上げる。
俺は落ち着けと言ったが内心ではかなに緊張していた。
60隻以上の海戦はベルカ戦争でもなかった。
こんな、60隻以上の開戦は初めてだった。
次々と本艦隊に襲い掛かる対艦ミサイルで一部の艦が迎撃間に合わず被弾している艦もすでに出て行った。
《こちらアリーナ!直撃を喰らった!火災発生!被害状況は不明!》
《こちら、シルバーバレット。火災発生!消火活動中!》
いくつかの艦が被弾する中、どうにかして全ての対艦ミサイルを撃ち落とした。
それに続いて被弾した各艦の被害状況を伝える無線が次々と入る。
《こちら、アリーナ。システムすべてダウン!復旧は不可能!本艦は戦闘不能!繰り返す!アリーナは戦闘不能!》
《こちら、シルバーバレット。火災は収まった。損傷も軽微》
《こちらプロメシュース!本艦の被害甚大!艦長は先程総員対艦を決意!プロメシュースはこれより総員対艦する!繰り返す!プロメシュースは総員退艦する!》
先程の攻撃でそれなりの僚艦が被弾していた。
中でも一番酷いのは本艦の右舷側にいった、イージス艦プロメシュースだった。
対艦ミサイルを二発命中し、火災が発生。
さらに、浸水も激しく艦は右側に傾斜していった。
「敵艦隊の損害は?」
「レーダーから一隻消えています!おそらく撃沈したかと!また、多数の艦が炎上中!」
報告を聞いて、敵艦隊も本艦隊と同じ被害がだろう思った。
《アリーナ航行は可能か!》
《かのじて可能です》
《わかった、アリーナはプロメシュースの乗組員の救助に向かえ!》
《了解》
《ハルシオンCICから各艦へ。艦隊陣形を立て直す。航空機隊は敵艦隊の攻撃を開始しろ!》
《了解!バーラット隊各機行くぞ!》
《ストーム1からストーム隊各機へ。バーラット隊に後れを取るな!行くぞ!》
《スナイパー1からハルシオンCICへ。我隊は艦隊上空で待機。敵機に備えたい》
《ハルシオンCIC了解。スナイパー隊は艦隊の防空を任せる》
《了解》
アリーナは艦隊から離れ、プロメシュースの乗組員の救助に回る。
そして、この二隻が開いた穴を直すためと、損傷艦を後ろに回すため艦隊陣形を立て直しを開始した。
それは、敵艦隊も一緒であるが、そこに空母バーベットから飛び立ったストーム隊とバーラット隊、計24機のF/A-18Cが敵艦隊を攻撃するため、低空から敵艦隊へと接近する。
《敵機接近!》
《接近を許すな!弾幕展開!撃ち落とせ!》
敵艦隊は接近してくる、F/A-18C編隊へと攻撃を開始。
SAMやファランクスが展開され、凄まじい弾幕がストーム隊、バーラット隊へと襲い掛かる。
《くそ!SAM!だが、射程内だ!ストーム3発射!》
《バーベット4発射!》
《ストーム5発射》
3機のF/A-18Cが対艦ミサイルを発射し、接近してくるSAMを回避するため急上昇し回避機動を開始。チャフ、フレアを散布しながらバレルロールなどの機動をとり、2機は回避成功。
しかし、バーベット4のF/A-18Cが回避に失敗。左翼にミサイルが命中。
さらに左翼に搭載していたミサイルが誘爆し、バーベット4のF/A-18Cは一瞬して空中で爆散した。
《こちら、ストーム3…バーベット4がやられた…脱出は…確認できず…》
《おい、嘘だろ…バーベット4応答してくれ!バーベット4!》
一方、ストーム3、5バーベット4が発射した、対艦ミサイルはすべて敵艦隊の弾幕によって迎撃された。
《くそ!》
いまだに、敵艦隊に接近しているのはストーム1、4、8。
バーベット1、7、10の6機。
残りはこれ以上接近できないと判断し、対艦ミサイルを発射後に離脱。
もちろん、発射された対艦ミサイルはすべて、迎撃されている。
《まだだ!まだ、接近できるはず!》
6機のF/A-18Cは弾幕を回避しつつ敵艦隊にさらに接近。そして…
《この距離ならいける!バーベット1発射!》
《バーベット4の仇取らせともらう!バーベット1発射!》
《バーベット7発射!》
《スートム4発射!発射!》
《バーベット10発射!》
《スートム8発射!》
6機のF/A-18Cから発射された対艦ミサイルはそれぞれの獲物に向かっていく。敵艦隊は必死に撃ち落とそうとするが、もはや手遅れだった。
《対…ミサ…ル…近!迎…間に…ません!》
《くそ!こ…と…ろで!V1を入手するま…は!死ん…た…るk……》
バーベット1、7、10とストーム1、4、8が発射した対艦ミサイルはイージス艦に2発、フリゲート艦2隻にそれぞれ1発ずつ。駆逐艦に2発命中。
イージス艦は2発共に艦橋に命中し、艦橋は文字通り吹き飛び航行不能になる。
フリゲート艦2隻は、1隻は主砲に直撃し、主砲の中に入っていた砲弾が誘爆し一気に海へと沈む。
もう1隻の方は命中したもの艦が少し傾斜しているくらいで健在。
駆逐艦は艦橋、船首に1発ずつ命中し、これ、もまた、何かに誘爆したのか大爆発を起こし撃沈した。
「敵イージス艦航行不能!フリゲート艦、駆逐艦撃沈!」
これで、数的にはこちらが優勢になった。
そして、俺の中の一つの疑問が解けた。
それは、オーシア、ユークトバニアの好戦派の連中が協力しているのか。
好戦派の連中が敵同士と手を組むはずがない。では、なぜ奴らが手を組んでいるのか。
その答えおそらく先程沈んだ艦の1隻の通信をたまた傍受し、雑音だらけだった、一つだけはっきりと聞こえた。
V1を入手するま…は!
と。
この言葉から考えると旧ベルカはオーシア、ユークトバニアの好戦派の連中に「あなた方が協力して我々を守ってほしい。守ってくれて、なおかつ一番活躍した軍にV1をプレゼントしよう」と言って両軍の好戦派の連中をどうにかして協力状態にしているだろう。
だが、所詮は偽りの協力状態だ。
連携もとれてなく、艦隊陣形も立て直すも遅いう。
それに対し、こちらはすでに艦隊陣形を立て直していた。
この調子なら勝利は目の前…ない。
まだ、ベルカは切り札を出していない
「レーダーに新たな反応!」
それは、ベルカ戦争の初期オーシア、ウスティオ、サピンなどの国が劣性に立たされた理由の一つ
「航空機です!こちらに接近しています!IFF照合……オーシア、ユークバニアのもの。そして、旧ベルカ空軍です!」
「…来たか」
伝統あるベルカ空軍
《スナイパー1からハルシオンCICへ。レーダーに敵機!》
《こちらでも確認している。各艦対空戦闘用意。ただし、敵艦隊を攻撃するか、敵機を攻撃するかの判断は各艦に任せる》スナイパー隊各機は迎撃に入れ》
《スナイパー1了解。スナイパー1から各機へ!スナイパーの名の通り敵機を狙い撃つぞ!》
《《《《《《《《了解!》》》》》》》》
スナイパー隊のF-14は艦隊に接近してくる敵機の方向に機首を向け迎撃態勢に入る。
《レーダーロック!スナイパー1FOX1!》
《スナイパー4FOX3!》
《スナイパー8FOX3!》
《スナイパー3FOX1!》
《スナイパー5FOX3!》
《スナイパー9FOX1!》
発射コールと同時に次々と長距離ミサイルが発射され、敵編隊へと向かっていき見えなくなり、数秒後爆発の光が見えた。
「30機中、15機の撃墜を確認!残りは接近中!」
「対空戦闘用意!」
「了解。対空戦闘用意!」
《スナイパー隊各機へ!もう一度…ちっ!ロックオンされたか!全機ブレイク!ブレイク!》
スナイパー隊は編隊を解け、それぞれの回避機動を開始。
チャフ、フレアを散布しつつ激し回避機動をし、敵機から放たれた長距離ミサイルを回避する。
しかし、2機回避できずに命中。1機は右翼が吹き飛び。もう1機は機体後部が吹き飛んでいた。
《右翼が吹き飛んだ!クソ!イジェクトする!スナイパー8イジェクト!!》
《やられた!すまない、スナイパー11イジェクト!》
命中した2機のF-14はキャノピーが吹き飛び、パイロットが打ち出され、しばらくして機体は爆発する。
打ち出されたパイロットは無事にパルシュートが開き、海へとゆらゆらと落ちていく。
《くそ!ハルシオンCICへスナイパー8、11がベイルアウトした!救出を頼む!》
《ハルシオンCIC了解。救難ヘリを向かわせる》
《頼んだ!スナイパー1からスナイパー隊各機へ!ドックファイトに入るぞ!来るぞ!》
スナイパー隊のF-14と敵編隊がヘッドオン。
両編隊共にバルカン砲を撃ちながらすれ違い、その後急旋回。互いの後ろを取り合うドックファイトが開始された。
「スナイパー隊、敵編隊と交戦を開始」
「対空戦闘中止!下手に撃てば味方機に当たる」
スナイパー隊と敵機は本艦隊の上空でドックファイトがおこなわれている。
そのため、主砲、ファランクス、SAM共に射程内だが、敵、味方が混ざった状態のドックファイトでは、下手に主砲、ファランクスの攻撃をしたら味方機が巻き込む可能性がある。
そのため、艦隊は対空攻撃が出来なかった。
《Su-35。いや、違う。Su-37か!》
スナイパー1の後ろに取りついた機体をSu-37と確認しつつ、回避機動をとる。
Su-37はスナイパー1を逃がさず後追う。
スナイパー1はロックオンされないように急上昇、急降下繰り返すが、Su-37はピッタリと後を追い、そして、ロックした。
だが、その時にスナイパー1は急減速を掛けながらバレルロールをし、一瞬してSu-37の後ろに付く。
形勢逆転。Su-37はすぐに回避機動をとるが、時すでに遅し。
スナイパー1後ろをとると同時にバルカン砲を放っていた。
Su-37は蜂の巣にされ空中で爆散する。
《1機キル!》
《しまった!ミサイル…駄目だ!避けきr……》
スナイパー1が1機落とした一方でスナイパー7はSu-35に後ろをとられミサイルが発射された。
スナイパー7素早く回避機動をとり、チャフ、フレアを散布したものの、ミサイルはチャフ、フレアには騙されず、スナイパー7のF-14に命中し、空中で爆散する
《スナイパー7がやられた!》
《くそったれ!》
上空の空戦はさらに激しくなる
後ろを取られたら、逆に後ろをとり。僚機が後ろを取られたら、後ろを取られながらもその僚機を助ける。一つのミスですぐ撃墜される。それがドックファイトだ。
そんな中俺は一つおかしいことに気付く。
「おかしい。なぜ、Su-35やSu-37だけだ」
現在スナイパー隊と交戦しているのは旧ベルカ軍のSU-35とSu-37。
この二つの機体は一応、対艦ミサイルを搭載できるが、それではこの2機の特徴である高い機動性が犠牲になるため、よほどなことがない限り対艦ミサイルを搭載しない。
現に先程から敵機は空戦に集中しており、また見た限り対艦ミサイルを搭載した機体も1機もいない。
旧ベルカが本艦隊に勝つためには航空機による対艦ミサイル攻撃が一番いい手のはず。
それなのに、対艦ミサイルを搭載した機体は1機もいない。
最初の攻撃ですべて撃墜されたのか。それとも、別の航空機隊がいるのか…
《ハルシオンCICから各艦へ。上空にいる敵機は囮の可能性が。低空から接近し来る敵機に備えろ》
アンダーセン艦長もそのことに気付きハルシオンCICのオペレータを通し各艦に警戒を呼び掛ける。
そして、それは当たった。
《こちら、クリティク。本艦隊の右舷から敵機発見!Su-34だ。数は10機》
「やはり、上空の敵機は囮か。迎撃開始!」
低空より接近してくるSu-34に対空攻撃を開始。
僚艦が放ったSAMが2機のSu-34に命中しコントロールを失った2機は海へと墜ちた。
また、3機のSu-34がファランクスよる弾幕の数発が命中し、煙が出すがなお接近し、そして、対艦ミサイルを発射。
そして、離脱しようとするが、そこで隙を見てドックファイトから抜け出し艦隊の援護に来た、F-14が後ろに付く。
《間に合わなかった!だが、墜とす!スナイパー9FOX3!ガンファイヤ!》
スナイパー9は残っていたXAA発射し、4機のSu-34を撃墜し、さらに、バルカン砲でもう1機を撃墜する。
スナイパー9一気に残ったSu-34を撃墜しようとするが、後を追ってきたSu-35に後ろを取られ、再度ドックファイトに入る。
「迎撃!迎撃!僚艦を守れ!」
全部で5発の対艦ミサイルを迎撃するために、ファランクスによる弾幕を展開。
どうにかして、2発を撃ち落とすが、残った3発はすべて巡洋艦クリティクに命中し、うち1発が弾薬庫付近に命中し、そして、引火。
大きな爆発共にクリティクは真中から折れ、艦首が空へと突き上げ海へと一気に沈んだ。
「クリティク轟沈!」
「くそ!」
あの爆発と沈み方をみて、恐らく生存者は恐らく誰一人もいない。
だが、悲しみに暇もなくまた別の艦が爆発炎上する。
《こちら、シルバーバレット!敵機が本艦に突っ込んできた!被害甚大!火器管制システムダウン!》
「奴ら特攻だと!」
Su-34の特攻を受けたシルバーバレットは最初の攻撃すでにダメージを受けており、そのダメージのせいか艦の傾斜が早い。
《駄目だ!ダメージコントロールが追いつかない!シルバーバレットは総員退艦する繰り返すシルバーバレット総員退艦する!》
だが、そんなシルバーバレットもう1機のSu-34が突っ込んでくる
《シルバーバレットもう1機来るぞ!回避!回避!》
《嘘だろ、おい!艦橋に突っ込んでくるぞ!伏せろ!……》
火器管制システムがダウンしている、シルバーバレットに迎撃できるはずもなく、Su-34は艦橋に突っ込み、半壊する。
「くそ!いや、待てよ…もう1機は…もう1機は何処だ!」
艦隊に攻撃を仕掛けて来たのは10機。そのうち2機は僚艦が放ったSAMで撃墜。5機はスナイパー9によって撃墜し、残りの3機のうち2機が特攻。
もう1機は何処だ!
「いました。本艦右舷です。これは…フィンチに突っ込む気か!」
「弾幕展開!フィンチを守れ!フィンチ!右舷から来るぞ!迎撃!迎撃!」
《くそ、本艦に特攻か!迎撃!》
本艦前方にいるフィンチに特攻しようとするSu-34を迎撃するため、フィンチと本艦そして、フィンチ周辺の僚艦がファランクスによる弾幕を展開。
いくつかの弾がSu-34に命中するが、Su-34は墜ちなかった。
《間に合わないか!総員衝撃に備えろ!》
「救難ボートをいつでも拾えるように準備しろ!…最悪の事態に備える!」
Su-34はフィンチに突っ込んで行く。フィンチの艦長は乗組員に特攻時の衝撃に備えるように指示し、俺はフィンチが退艦命令が発動された場合に備え、救難ボートをいつでも拾える準備をさせる。
そして、Su-34は艦橋に突っ込んで…いかなかった。
いままでの、ダメージが今になって出たのかぶつかる直前に左にズレ、船尾にぶつかった。
艦橋には被害がないようだが、Su-34がぶつかった船尾から煙が出て、動きが止まる。
「フィンチ、被害状況を知らせろ!」
《火災が発生!スクリューもやられた!本艦は航行不能!ただし、攻撃系統は大丈夫です!》
フィンチはスクリューがやられて、身動きができなくなった。だが、戦闘能力は無力化されていないため、戦闘継続は可能であったため、まだ、マシのレベルであった。
《ストーム1からバーベットへ!退艦ミサイルをすべて使い切った!燃料もそろそろ危険だ!着艦許可求む!》
《こちら、バーラット1!こちらも、同じ状況だ!ミサイル0!燃料もない!着艦を求む!》
《こちら、バーベットCIC。現在、本艦上空では空戦がおこなわれている。そのため、着艦は極めて危険だ!》
《燃料切れで海へと落ちるよりはマシだ!着艦許可を求む!》
艦隊上空では空戦がおこなわれている中で着艦は極めて危険だ。
着艦中は無防備なるため、敵機に墜とされる可能性が高い。しかし、このままでは、燃料切れで海へと墜落する。
どの道、着艦するしかない。
《バーベットCIC了解。着艦許可する。スナイパー隊出来る限り、本艦に敵機を近寄せるな》
《スナイパー1了解!ストーム隊、バーラット隊俺達が守ってやるから安心して着艦してこい!》
《頼んだぞ、スナイパー隊!》
《ストーム1一番手はあなたです。着艦してください》
《ストーム1了解!着艦コースに入る!》
上空でスナイパー隊と旧ベルカ空軍が交戦している中、ストーム1は着艦コースに入る。
もちろん、無防備になったストーム1を墜とすために、旧ベルカ軍機が接近するが、スナイパー隊がそれを阻止する。そのおかげで、ストーム1は無事に着艦する。
《ストーム1急いで第4カタパルトに移動してくれ!そこで、弾薬、燃料補給する!急いでくれ!すぐに、次の奴が着艦してくる!》
《了解!》
ストーム1は着艦してすぐに、第4カタパルトに移動して、着艦スペースを開けて、すぐに、次の機体が着艦コースに入り着艦する。その機体は第3カタパルトに移動させ、また、着艦スペースを開け、3機目の機体が着艦する。
それと、同時に燃料、弾薬の補給を終えたストーム1が第4カタパルトから発艦し、開いた第4カタパルトに3機目を移動させる。
後はそれの繰り返しであった。
「あと1つ…もう一手があれば…」
バーラット隊、ストーム隊が着艦している中、俺は今の戦局を見ていた。
今の所は戦況はこちらの方に傾いてくれている。
しかし、勝利までの一押しが足りない。その一押しが来れば、勝利はすぐそこまでくる。
「レーダーに新たな反応!敵艦隊後方より、艦影と機影!それと、本艦隊右舷よりも多数の機影」
「なんだと!」
まずいことになった。今ここに、敵の増援部隊がくれば、戦局が一気に変わる。
「IFFは!」
「右舷からくる敵機は旧ベルカ軍。前方のは…」
その時、上空のドックファイトに異変が起きた。
《なんだ…敵機が急に回避機動を》
ドックファイトをしていた旧ベルカ軍機が回避機動を取り始めたのだ。
「このIFFは…」
回避機動しながらチャフ、フレアを散布する敵機。
そして、敵艦隊の方角から飛んできた、いくつかのミサイルが数機の敵機に命中し、撃墜された。
IFFはベルカ国防海軍と国防空軍です!
「ベルカ国防軍だと!」
なぜ、ベルカ国防軍がここに?
旧ベルカ軍の救援に来たのか?
いや、違う。先程のミサイル攻撃は方向から考えて国防軍の攻撃だろう。
だとすると、ベルカ国防軍はこちら救援に来たのか?
《聞こえるか?オーシア、ユークトバニアの混成艦隊。こちらは、ベルカ国防海軍第一艦隊だ。我々は政府からベルカの人々を再び戦争の悲劇に巻き込もうとする連中を排除しろと言う命令でこの場に来た。それと、同時にベルカにも平和と融和を望む人々がいることを証明しに来た!》
敵艦隊後方から現れた、ベルカ国防海軍の艦隊は敵艦隊に対し攻撃を開始。
突然後方から攻撃に対処できるはずもなく、何隻の敵艦が被弾し、そのまま撃沈する艦もいる。
それと同時にベルカ国防空軍が本艦隊の前方に姿を現した。
1機のSu-47と3機のSu-37の編隊を先頭した約16機の戦闘機の編隊だ。
《こちら、ベルカ国防軍第408戦術飛行隊レーゲンだ!オーシア機援護する!各機ブレイク!》
《《《了解!》》》
ベルカ国防空軍飛行隊は散会。残った旧ベルカ空軍に襲い掛かる。
機動性が極めて高い変わりに、安定性が極めて低いピーキーな機体Su-47を巧みに操り、素早くSu-37の後ろをつる。
《貴様…!同朋を撃つ気か!》
《黙れ!七つの核の悲劇を見てもまだ目を覚めず戦い続ける貴様らはすでに同朋ではない!我々の祖国。ベルカを汚す汚点だ!》
Su-37は急減速をしながらバレルロール機動をとり後ろをとろうとするが、Su-47の真上を通る直前にコブラをし、真上を通るSu-37を容赦なくバルカン砲で撃ち貫く。それを合図にベルカ国防軍機は次々と旧ベルカ軍機を墜としていく。
《こちら、オーシア空母バーベット所属第24戦闘飛行隊スナイパーだ。レーゲン隊、君たちの援護に感謝する!》
《何、やることをやっただけさ!それより、お宅らの艦隊右舷から接近している敵機を墜とすぞ!》
《了解。スナイパー1から各機へ。ビンゴと弾切れの機体はバーベットに戻れ!大丈夫の奴はレーゲン隊共に右舷から来る敵機を叩くぞ!》
上空の旧ベルカ軍機をすべて撃墜したレーゲン隊とスナイパー隊の一部は艦隊右舷から接近してくる旧ベルカ軍機を迎撃しに行く。
残りのスナイパー隊の機体は補給のために、バーベットに着艦しにいく。
「しかし、現在のベルカ政府が動くとは…」
「艦長。違いますよ。動いているのはベルカ政府だけじゃありません!右舷から接近してくる敵機の後方に新たな機影!IFFはウスティオ空軍とサピン空軍です!」
《聞こえるか!こちらは、ウスティオ空軍第208戦術飛行隊だ!我々も助けに来た!》
《こちら、サピン空軍112飛行隊だ!大統領の話を聞いて助けに来た!別の国の出来事であるが、奴らがやることは見逃すことは出来ん!》
「こんなことが本当にあるのか…これが、本当の国境無き世界かもしれない」
ハーリング大統領とニカノール首相の言葉はオーシア、ユークトバニアの両国だけじゃなく、世界に届いていた。それは、今この状況を見ればわかる。
もはや、所属も軍も国境も関係ない。
これこそが本当の国境なき世界だ
そして、勝利の最後のカードが揃った。
現在敵艦隊の後方にはベルカ国防海軍。そして、前には本艦隊のオーシア、ユークトバニアの混成艦隊。
もはや勝敗は見えている。
《こちら、アンダーセンだ。現在敵艦隊の後方には【味方のベルカ国防海軍第1艦隊】がおり、敵艦隊を挟撃することができた。勝負をするなら今しかない。これより、敵艦隊に突撃し決着をつける。全艦、機関最大全速!》
「機関最大全速!敵艦隊に突っ込むぞ!」
「了解。機関最大全速」
《きちら、バーベット。バーラット隊、ストーム隊全機補給作業完了!スナイパー隊は一部補給作業中!》
本艦隊は一気にスピードを上げ、敵艦隊に突撃を開始。それと、同時にバーラット隊、ストーム隊の補給が終わり、全機再び空へと上がる。
《こっちら、ハルシオンCIC。ストーム隊、バーラット隊へ、これより、本艦隊は敵艦隊へ突撃をかける。両隊はその突撃の援護頼む!》
《了解!バーラット隊各機へ!敵艦隊を食い千切るぞ!》
《《《《《了解!》》》》》
《了解!ストーム隊各機へ。この戦争に決着を付けるぞ!》
《《《《《了解》》》》》
《きちら、ベルカ国防海軍第1艦隊だ。本艦隊も突撃を開始する≫
バーラット隊、ストーム隊は再び低空から敵艦隊の攻撃を開始また、ベルカ国防海軍も突撃を開始した。
敵艦隊は、突撃してくることに気付き艦隊陣形を変えようとするが、もとより指揮系統が乱れている上に、後方にベルカ国防海軍が現れたことにより混乱がおき、逆に艦隊陣形は乱れ始める。さらにバーラット隊、ストーム隊が敵艦隊を攻撃し、さらに混乱させる。
「敵艦隊まもらくです」
「主砲発射用意!目標、前方敵艦隊!」
本艦隊は全速力で敵艦隊に突っ込んで行く。それは、あのセントヒューレット軍港の封鎖線を突破した時のように。
だが、あの時とは状況が違う。
セントヒューレットの時は乗組員の大半が実戦慣れをしていない、中の封鎖線を突破するための突撃であった。
だが、今は乗組員は実戦慣れ、敵艦隊を叩く為の突撃である。
「敵艦対艦ミサイル発射」
再び、敵艦隊は対艦ミサイルを発射。しかし、一斉射ではまく、一部の艦だけの発射である。
「弾幕展開!迎撃!」
各艦は接近してくる数発の対艦ミサイルを迎撃するため、迎撃ミサイルを発射。迎撃ミサイルは大半の対艦ミサイルを撃ち落とた。
残った、対艦ミサイルもファランクスによる、弾幕で迎撃に成功する。
そして、
《各艦撃ち方始め!》
「主砲、撃ち方始め!」
「了解、ガレ艦長!主砲撃ち方始め!」
本艦隊が敵艦隊の陣形に突き刺さるように突入、アンダーセン艦長の号令と同時に各艦が撃ち方を始める。
それと、同時にベルカ国防海軍第1艦隊も敵艦隊後方陣形から突入、攻撃を開始。
前からも、後ろからも、多数の攻撃を受けた敵艦は次々と被弾していく。
《くそ!ベルカ国防海軍が敵になるとは聞いていないぞ!》
《本艦航行不能!航行h…》
《落ち着け!艦隊陣形を整えろ!》
《オーシアの指揮なんか知るか!》
もはや、敵艦隊の指揮系統は完全に死んだ。
艦隊陣形は崩れ、次々と沈んでいく。
また、敵艦隊の中には味方同士で撃ち合っている艦まで出始めた。
「本艦前方に敵艦!」
本艦前方に進路を塞ぐように、右舷を晒したフリゲート艦が前方にいった。
おそらく、前後から攻撃に対処するためにしたのだろう。幸いのことに、敵艦のレーダは機能していないのか、こちらには気付かず、敵艦隊後ろから突入した、ベルカ国防海軍艦を攻撃していた。
「前方のフリゲート艦を沈める!主砲照準合わせ!目標、前方フリゲート艦!うぉ!」
本艦右舷側近くに流れ弾の砲弾弾着し、水柱があがり、艦が揺れる。それと、同時じにフリゲート艦は気付き主砲をこちらに向ける。
「くっ、てぇー!」
俺のは号令をかけ、主砲が火を吹く。
それと、同時にフリゲート艦の主砲も火が吹く。
「「「うわぁぁー」」」
敵フリゲート艦から放たれた砲弾は本艦右舷側に掠り、海面に弾着し、水柱が上がり、先程より艦が激しき揺れる一方、本艦放った砲弾は敵フリゲート艦艦橋に直撃し大破、航行不能になる。
「敵フリゲート艦沈黙!」
「本艦の被害は!」
「第12ブロックで浸水発生!ですが、まだ行けます!」
「くっ、第12ブロック閉鎖!隔壁を下ろせ!第12ブロックにいる乗組員は退避させろ!本艦はこのまま敵艦隊をたたく!」
もはや、指揮系統がない旧ベルカ艦隊には勝利はない。艦隊陣形は完全に崩れ、壊滅状態になり、頼りの空軍機もスナイパー隊。ベルカ国防空軍、ウスティオ、サピン空軍によって、全滅した。
それでも、彼らは戦いをやめなかった。
《まだだ!まだ、終わっていない!》
「敵残存艦こちらに突っ込んできます!」
「また、特攻か…」
残った10隻の艦が速度を上げ本艦隊に特攻を始めた。
クソ!セレス海戦の時と言い、先程のSu-34と言い、なんで、好戦派の連中はそんなにも死を急ぐのだ!
《各艦、敵艦隊の特攻を止めろ!》
「撃て!敵艦を止めろ!」
《オーシア、ユークトバニアの混成艦隊を護れ!各艦撃ち方始め!》
特攻してくる10隻の艦を止めるべく、本艦隊とベルカ国防海軍が攻撃を開始。
特攻してくる10隻の艦の周りには多数の水柱が上がる。
1隻の駆逐艦の艦橋に直撃を受け大破、航行不能に。また、フリゲート艦、駆逐艦の1隻ずつが撃沈する。
《怯むな!1隻でも多くの艦を道連れしろ!撃て!撃て!》
残りの7隻は特攻をやめずに、応戦を開始。本艦隊の1隻の僚艦が敵艦隊の攻撃受け、弾薬庫に引火、爆発する。また、別の艦が大破、航行不能になる。
《クソ!ストーム隊各機へ!残った対艦ミサイルすべて使うぞ!》
《これ以上、損害を出すわけにはいかん!バーラット隊各機!ここですべてを使い切る!》
ストーム隊、バーラット隊はすべての対艦ミサイルを発射。
敵残存艦隊は主砲、ファランクスによる迎撃を開始するも、すべて撃ち落とすことは出来ず、すべての、敵艦に対艦ミサイルが命中した。
《スクリューがやられた!本艦航行不能!ウワァァァァ…》
《弾薬庫に引火するぞ!退避!退避!どわぁ!…》
スクリューがやられて航行不能になった敵駆逐艦の艦橋に砲弾が命中し大破。また、敵巡洋艦は右舷に2発の対艦ミサイルを喰らい、火災が発生、その火災で弾薬引火し爆破し、爆沈。
もう1隻の巡洋艦は左右から2発、計4発の対艦ミサイルを喰らい、これもまた、弾薬庫に引火し大爆発を起こす。さらに、真中からへし折れ海へと沈む。
3隻のフリゲートは1隻ずつ対艦ミサイルを1発ずつ喰らい、撃沈。
残り2隻のイージス艦も1発ずつ対艦ミサイルが命中し、さらに、片方のイージス艦に多数の艦砲攻撃をくらい、撃沈。
もう1隻のイージス艦は黒煙が上がっているが、特攻をやめない。
そして、距離が縮まるにつれ、最後のイージス艦はどの艦に特攻するのかわかってきた。
その艦は…
《本艦を前方のフリゲート艦にぶつけろ!それまで、艦を持たせろ!》
「敵イージス艦、本艦に接近!」
「特攻の目標は本艦か!」
敵イージス艦は本艦を特攻の目標にし、こちらに接近してくる。
「ぶつかる前に何としてでも、沈めろ!主砲てぇー」
《全艦オルフェウスを護れ!撃て!撃て!》
本艦に特攻してくる、イージス艦にベルカ国防海軍と本艦隊の一斉攻撃が襲い掛かる。
敵イージス艦の周辺には多数の水柱が上がり、イージス艦にも多数の攻撃が命中しさらに黒煙が上がる。
だが、あれだけの攻撃を食らっても、イージス艦は止まらない。
しかし、あれだけの攻撃を喰らって艦の運用に悪影響が出ないはずが無い
事実敵イージス艦は先程と比べ、速度が、かなに、落ちていた。
《機関室に被弾!艦の速度落ちます!》
《火災及び浸水が止まりません!》
《レーダーダウン!全武装使用不能!》
《きちら、消火班!火の手が強すぎて、手の施しようがありません!このままでは、あと数分で弾薬庫に引火します!》
《あと少しで、あのフリゲート艦にたどり着ける!なんとしてでも!艦を持たせろ!》
傍受した敵の通信内容からあのイージス艦内部が地獄の絵図になっていることは容易くわかる。
そんな、状態になっても、退艦命令を出さずに特攻をやめない。
もはや、哀れだと思った。
「ホワイト…敵イージス艦の艦橋に当てることは出来るか?」
「…できます。この距離なら確実にできます。ガレ艦長」
「わかった…主砲、照準合わせ。目標、敵イージス艦、艦橋。これで終わらせよ。この戦争も、彼らの憎しみも」
俺はそう言うと、他の乗組員たちも頷く。
「了解です。ガレ艦長。主砲照準よし。目標、敵イージス艦、艦橋」
「てぇー!」
俺は力強く号令を言い、主砲が発射される。
発射された砲弾は真っ直ぐに敵イジース艦に向かい、そして、艦橋に直撃し大破。
その数秒後に、火災が弾薬庫にまで到達し引火。
大爆発を起こし、海へと一気に沈んだ。
《こちらは、アンダーセンだ。我々は敵艦隊撃破に成功し、勝利した。協力してくれた平和を愛しる者たちへ感謝する。ありがとう。今度は陸の上で会おう》
うぉぉぉぉぉぉ!
アンダーセンの勝利宣言を聞き、艦隊から歓声が上がった。
こうして、この戦争の最後の海戦は幕を閉じた。
2010年12月30日23時30分
旧南ベルカ海域付近で起こった、大規模海戦は大きな損害が出たものの、ベルカ国防海軍、空軍、ウスティオ空軍、サピン空軍の協力をもらい、アンダーセン提督が率いる、オーシア、ユークトバニアの混成艦隊が勝利した。
その、10分後、ラーズグリーズ隊を中心としたオーシア、ユークトバニアが旧ベルカ本部であるノース・グランダー・IG社の攻撃。
攻撃目標であった大量報復兵器「V2」を搭載した戦闘衛星「SOLG(Strategic Orbital Linear Gun)」のコントロール室の破壊に成功した。
しかし、SOLGはコントロール室が破壊された場合落下するようにプログラムされており、同年12月31日午前4時45分にSOLGは衛星軌道からはずね、オーシア連邦首都オーレッドへの落下を開始。
これを阻止すべくラーズグリーズ隊が落下予測地点へ急行する。
しかし、その途中、旧ベルカ空軍であるオヴニル・グラーバク両戦闘機隊の妨害に遭い、戦闘となるものの、ラーズグリーズ隊を両隊を撃破。SOLG落下予測地点向かい(その途中でラーズグリーズ隊隊長が、2番機に告白したと言う未確認の情報があるが、真相は不明である)落下してきたSOLGに直接攻撃をし、破壊に成功。
これにより、環太平洋戦争、別名ベルカの事変は終結。
両国に平和が戻った瞬間でもあった
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環太平洋戦争最後の海戦 | ||
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