同時刻同戦場

「ん？援護じゃと？誰かは分からんが感謝する！」

レーザー級が反対側山間部からの狙撃で数を減らして行くのを確認して聞こえる筈の無い感謝をした。

「さぁ！BETA共！キサマらに殺されたワシの息子夫婦と孫と幾多の戦友の仇取らせてもらうぞ！」

最早欠けた2本の長刀を振り上げ重レーザー級を仕留めて行く。

「ハァハァ！次！…………キサマで最後だぁァァァ！。」

雄叫びを挙げながら、遂に全ての重レーザー級を倒した。

「さぁ！つ………ガッ………」

残りのルクスを掃討しようとしたが口から血が噴き出し、機体も動かなくなった。

急に動きを止めたストライクイーグルに僅かに残っていたルクスがレーザーを照射する。

レーザー照射警告が鳴り響く中で最期の言葉を呟く。

「これで…終わりか…いい…人生…で…あっ……」

段々と光に包まれる自機の中で今迄の走馬灯が視えた。

「お…お…今度こそお迎えか…」

走馬灯が終わり空から死んだ筈の妻が降りて来た。

妻と手を繋ぎ空へと還って行った、その直後、

20を超えるマグヌスルクスと50を超えるルクスを掃討したストライクイーグルが光に包まれた。

ここに、たった1機で光線級強襲を成し遂げた英雄はその長い生涯を終えた。

「まさか、本当に1機で…。」

「「「……………。」」」

小隊長が言葉を発するが、他の隊員は目の前で起きた光景が信じられず言葉も出ないでいた。

「………はっ！まだルクスが残っている、さっさと片付けるぞ！」

「……！了解！」

「ハッ！了解です！」

「Yesマム！」

小隊長の言葉を聞き小隊が残り数匹となったルクスを掃討して行く。

すぐに敵が居なくなり辺りが静かになった戦場で小隊長が号令を掛ける。

「総員！名も知らぬ英雄に敬礼！」

小隊員の誰もが顔も名前も知らぬ衛士に心からの敬意を込めて敬礼をした。

「レーザー級の脅威が無くなった！我らも直ちに撤退する！」

理由が分からない撤退命令だが言いようの無い不安を感じた小隊は直ちに母艦へと飛び去った。

戦場になった場所の丁度ストライクイーグルが爆散した辺りに欠けた74式長刀が一振り墓碑の様に地面に突き刺さり焼け焦げた認識票が掛かっている、その認識票には漢字で、

…白銀正蔵…

と書かれていた。

第4話G弾発射…その時へ

後書きの様なもの

第三話完成しました。

7/8加筆と友人から指摘のあった一部誤字を訂正

7/9副題変更〔G弾発射…その時〕→〔老兵の戦場〕