IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者?
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episode188 調査と監視する者と破壊者再臨

 

 

 

 それから二日を有して、ネェル・アーガマは大西洋の魔の三角海域と呼ばれる海域へと到着する。

 ネェル・アーガマは海域の外側の上空にて待機する。

 

 

 

 

 

「しかし、外は予想以上に嵐が酷いな」

 

 アーロンは格納庫のモニターより外の様子を見る。

 

 水中での活動を想定し、アーロンも全身型ISスーツを身に纏い、ヘルメットを被るとバイザーを下ろす。

 

「最近この海域周辺ずっとこの状態みたい」

 

「・・・南極と同じ状況か。偶然とは思えんな」

 

 アーロンはダークハウンドを展開すると、束がコンソールで格納庫のアームを操作して水中戦装備をダークハウンドに施す。

 

 水中戦を想定し、武装はすべて実体系に変更され、リアアーマーにマウントされているビームサーベルの代わりにダガーを搭載し、両脚に小型ミサイルを搭載したポッドを装備する。

 

「ランスは形状こそ変化はないけど、ビーム弾の代わりに実体弾に変更しているから残弾数には気をつけてね」

 

「分かった」

 

 そのまま数歩前に出てカタパルトの発射台に足を置く。

 

 

「・・・アーロン」

 

「・・・・?」

 

 不安げな束の声に呼ばれ、後ろに振り返る。

 

「・・・無理はしないでね」

 

 束は心配そうで不安の色がある表情でアーロンを見る。

 

「・・・あぁ。分かっている」

 

 軽く頷くと、前を向くと膝を少し曲げて前かがみになる。

 

「ダークハウンド。出るぞ!」

 

 と、格納庫のハッチが開き、暴風が入ってくるも、そのまま勢いよく発射台が走り出し、カタパルトより飛び出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

 水中の調査メンバーが発進したのを確認し、隼人もヘルメットを被るとオレンジ色の半透明のバイザーを下ろす。

 

(一夏がリタイアとなったのは想定外だったな。別に何も無ければ問題は無いが・・・)

 

 バンシィの次に性能が高いインフィニティーを失ったのはかなり手痛い。

 

(それに、水中戦は初めてだが・・・やってみせるさ)

 

 気を引き締め、バンシィ・ノルンに変身しようとする。

 

 

「お父さん・・・」

 

「・・・・?」

 

 後ろから声がして振り返ると、そこにはヴィヴィオが立っていた。

 

「ヴィヴィオ?どうしたんだ、こんな所に来て?」

 

 隼人は後ろを向いてバイザーを上に上げると、ヴィヴィオの前に来てしゃがみ込んで目線を合わせる。

 

「・・・行っちゃうの?」

 

 悲しそうな表情を浮かべ隼人を見ている。

 

「ごめんな。どうしても行かないといけないんだ」

 

「・・・・」

 

「大丈夫だ。いつもの通りちゃんと帰ってくるよ」

 

「・・・・」

 

 それでもヴィヴィオの表情は不安げであった。

 

 

「そうだ。帰ったらプリンを一緒に食べような」

 

「・・・う、うん」

 

「約束だ」

 

 と、隼人は右手の小指を出すと、ヴィヴィオも左手の小指を出して引っ掛けると、指きりを交わす。

 

 

「それじゃぁ、行ってくるよ」

 

「・・・行ってらっしゃい」

 

 ゆっくりと手を振るヴィヴィオを見てから隼人は立ち上がると、数歩前に歩いてバンシィ・ノルンに変身し、右手にハイパーバズーカを展開して担ぎ、カタパルトの発射台に足を置く。

 

「神風隼人!バンシィ・ノルン・・・出るぞ!!」

 

 そしてカタパルトが開くと、勢いよく発射台が走り出して暴風が吹く中に飛び出す。

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

「っ!」

 

 外に出た途端暴風によって機体が揺れる。

 

(とは言ったものも、予想以上に空は荒れているな・・・!)

 

 何とか姿勢を保ち、調査メンバーの元に来る。

 

「集まったな」

 

 荒れる海の上に海底調査するアーロン、輝春、ラウラ、シャルロット、シノン、ユニコーン、バンシィ、そして隼人が集まっていた。

 それぞれ水中戦仕様の武装を装備していた。

 

「これより海の中に入り、海底を調査する。見ての通り海はかなり荒れている。あまり時間は掛けられない。

 それと、ISの活動限界時間にも留意しろ」

 

 全員縦に頷く。

 

「では、これより突入する!」

 

 そしてアーロンを筆頭に、他のメンバーが次々と海の中へと突入する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ってしまいましたわね」

 

「あぁ」

 

 ネェル・アーガマの甲板上で、風に耐えながらその様子をISをGモードにして展開していた箒とセシリアが見ていた。

 

 と、甲板の右下部格納庫のハッチが開き、そこよりフォビドゥン・ヴォーテクスが出撃し、海へと突入する。

 

 

 

 

「・・・兄さん」

 

 ダイダルバズーカを担ぎ、暴風に耐えている颯は心配そうに海を見ていた。

 

『隼人さんなら大丈夫ですよ、颯さん』

 

 ツヴァイは背中の翼を畳んだ状態で、颯の近くまで来る。

 

「リイン・・・」

 

『今回は調査だけですから、無事に帰ってきますよ』

 

「・・・・」

 

 

 

『そうだと、いいんだがな』

 

 と、ツヴァイ同様に背中の翼を畳んでいるリインフォースは少し不安げな声で言う。

 

『どういう事なんですか、お姉ちゃん?』

 

 風に気をつけながらツヴァイはリインフォースの方を向く。

 

『いや、私にもよくは分からない。ただ―――――』

 

『ただ?』

 

『・・・胸騒ぎが収まらないんだ』

 

「胸騒ぎが・・・ですか?」

 

 全身装甲で見えないが、颯は怪訝な表情を浮かべていた。

 

『あぁ』

 

『・・・・』

 

『リイン。お前の言う通り、何も起こらなければいいんだがな・・・』

 

 心配そうに海を見つめる。

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

「しかし、思ったより海の中は荒れてないのだな」

 

 と、ラウラが周囲を見渡す。

 

 海上では光がほとんど無い為に海中は真っ暗で、全員ライトを照らして前へと進む。

 

「でも、やっぱり水の抵抗があって上で戦うより動きづらいね」

 

 シャルロットは動きづらさを感じながら、周囲を見渡す。

 

「だからこそ今の内に慣れろ。ここぞと言う時にうまく動けないぞ」

 

 と、輝春が二人に呼び掛ける。

 

 

 

「・・・・」

 

 シノンは手にしているライフルを前方に向け、周囲を警戒する。

 

「どうだ?水中戦使用のジェスタ・キャノンは?」

 

 隼人はシノンのジェスタ・キャノンに接近して通信を入れる。

 

「問題はない」

 

 シノンはモニターに表示されている各パラメーターを確認する。

 

 ジェスタ・キャノンの両脚と背中にマリンモーターが搭載され、グレネードも魚雷に換装されて、背中のビームキャノンは実弾仕様に変更され、右手に持つライフルも水中戦を想定し、実弾仕様になっている。

 

「しかし、篠ノ之博士もよく短期間でこんな物を作れたものだな。

 それに、あの無人機もな」

 

 と、隼人達の後ろには、十機のフォビドゥン・ヴォーテクスが背中のユニットを上半身に移動させ、編隊を組んで水中を移動していた。

 

「そういう人だからな」

 

「・・・・」

 

 

 

「・・・しかし――――――」

 

 隼人は海底にライトを照らすと、そこには自然の物ではないものが大量に沈んでいた。

 

「飛行機に船舶の残骸がこうも沢山沈んでいるとは・・・」

 

「やっぱり噂は本当なのかな?」

 

 残骸を見てシャルロットは少し不安げな声を出す。

 

「さぁな。だが、残骸がこんなにあると言う事は・・・可能性はあるかもしれんな」

 

「・・・・」

 

 

(とは言っても――――――)

 

 残骸を見て隼人は少し違和感を覚えていた。

 

(ただ沈んだだけとは思えんな。いくつか何かに撃ち抜かれた痕があるな)

 

 残骸のいくつかに蜂の巣に撃ち抜かれたものが時々見られる。

 

(これは一体・・・)

 

 

 

「・・・・」

 

 アーロンはいつもより集中させて周囲を警戒していた。

 

(それにしても、あの時もこんな感じだったな。

 そう・・・こんな嵐の日だった・・・)

 

 移動しながらも、数年前の事を思い出す。

 

(・・・やつが偶々ここに居たのなら、それでいいのだがな。

 だが、もしやつがここに今も居座っているのなら、いつ襲ってくるか分からんな)

 

 今での脳裏に焼きついているあの光景を思い出すだけでも、身体中が疼く。

 

 

 

 

 

 

 そして隼人達が巨大な岩を通り過ぎた所で、怪しい影が岩陰より動き、緑色の一つ目が隼人達を見る。

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「・・・・」

 

 簪はヘヴィーハンマーの柄頭をカタパルトに突き付けて、暴風から体勢を保つ。

 

(隼人・・・大丈夫かな・・・?)

 

 心配そうに海を見つめる。

 

 

「こりゃライフルビットは飛ばせそうにないなぁ・・・」

 

 エリーナは両足で甲板に踏ん張って暴風に耐えていた。

 

「そもそも、奴さん達もこんな中で動けるとも思えんしなぁ・・・」

 

 

「っ・・・!さっきより風が強くなっているな」

 

 千冬も足を踏ん張って暴風から何とか体勢を保っていた。

 

「束!この嵐はいつまで続くのだ!」

 

『いやぁ、それよりもっと不思議な事が起きているんだよねぇ』

 

 と、束は飄々しているが、緊張味のある声で言っていた。

 

「・・・何が起きている?」

 

『実はね、その海域を中心に厚い雲が張ってハリケーンが起きているんだよね』

 

「そんなのは身をもってして分かっている!」

 

『まぁまぁ話しはちゃんと聞いてよ。

 普通ならハリケーンは移動するものなんだよ?

 でも、このハリケーン・・・・・・全くここから動いてないんだよねぇ』

 

「・・・なに?」

 

 千冬は眉を顰める。

 

『あんまりにもありえない事だし、明らかに人為的なものかな』

 

「こんな嵐が人為的なものだと?」

 

『そりゃ現代科学じゃここまで巨大な嵐は出来ないよ。

 無論嵐を留めて置くのもね』

 

「・・・・」

 

『つまり、それ以外の何かによって起こっているかって所かな』

 

「・・・バインドによる仕業と言いたいのか?」

 

『確証は無いよ。でも、可能性としてはありうるんじゃない?』

 

「・・・・」

 

 全く持って可能性が無いわけではないので、千冬は静かに唸る。

 

『そうだねぇ。この暴風の中だと私達はまともには動けない。

 と、なれば、敵さんはこの状況を有効活用しないわけじゃないはずだよねぇ?』

 

「・・・・」

 

 

 

 

 ドガァァァァァァンッ!!!

 

 

 

 

 すると上空より太いビームが落ちてきて、ネェル・アーガマの左甲板を撃ち抜き、大爆発を起こす。

 

「っ!?」

 

 それによってネェル・アーガマは大きく揺れ、警報が鳴り響く。

 

「敵襲だと!?」

 

『あり?私の予想が当たっちゃったのかな?』

 

 いきなりの事に束は少し呆然としていた。

 

「何呑気な事を言っている!」

 

 千冬は怒鳴るとすぐに甲板から暴風に耐えながら飛び上がる。

 

「各機!周囲を警戒しろ!」

 

『了解!!』

 

 防衛メンバーは臨戦態勢を取って周囲を警戒する。

 

 

 

 

 すると上空より一体の機体が下りて来る。

 

「まさか貴様らがここまで来るとはな。しつこい連中だ」

 

 と、赤い機体・・・クイーンはコートの様なアーマーを身に纏い、ネェル・アーガマを見下していた。

 

「だが、ここに来たのがお前達の運の尽きだな」

 

 クイーンは左腕を上げると、指を鳴らす。

 

 

 

 するとネェル・アーガマの後方の上空に五つの巨大な裂け目が現れる。

 

 

「あの裂け目は・・・!」

 

 ラウラはその裂け目に見覚えがあった。

 

 

 それはドイツ本土奪還戦でバルバトス・ミラージュが出現した時や、その後のバルバトスが出現した時に現れた裂け目だった。

 それ以前にIS学園で自分達が誘拐されたあの時もバルバトス・ミラージュが出現した時も同様の現象が起きている。

 

 

 そしてその五つの裂け目より巨大な何かが五つ出て来た。

 

「な、何・・・!?」

 

 それを見た千冬は目を見開いて驚愕する。

 それは箒とセシリア、颯、リインフォース、ツヴァイも同様に驚いていた。

 

 それもそのはず。出てきたのは・・・・・・ベルリンに現れ、一瞬で街を壊滅させたバインドの巨大兵器・・・『デストロイ』であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかも、それが『五体』も現れたのだから・・・

 

 

 

 

 

 

説明
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

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ユニコーン バンシィ ガンダム インフィニット・ストラトス IS 

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