仮面ライダー Rainbow of the oblivion―忘却の虹― 22話 |
「…………………………」
暗い……ただそれだけの場所…
リトはそこに浮かんでいた。
「…こ…こは…?」
『ここはお前の精神世界だ』
「!?」
突然後ろから声が聞こえ、振り向く。
そこにはマントを羽織り、腕を組んでいる男がいた。
そしてその顔は、リトが一番親しいと思う人物…ツナと瓜二つ。
「T世…」
男…ボンゴレT世は静かにリトを見ていた。
『クウガ……お前はいままで何をしてきたか、わかるか?』
「……………!!!あ、ああ……覚えてる、覚えてるさ」
T世の言う通り、リトは先程までの自分の行動を覚えていた。
目の前で人が死に、それに怒って鉄機兵達を狂ったように倒し……仲間を、獄寺を襲った。
思い出すだけで震えが止まらない、あの時は変身解除までだったが最悪……殺していたかもしれない。
『……シモンのアマダムを吸収し、陰と陽のアマダムが一つとなり完全なものとなった。お前の命も常人と同じになった……だが、その力の制御はできていないがな』
「制御…?」
『深い悲しみ……激しい憎悪…そして煮えたぎるほどの怒りによってお前のもつアークルは闇に染まる。…“聖なる泉枯れ果てし時 凄まじき戦士雷の如く出で 太陽は闇に葬られん”』
「!?それ……まさか、いままでの声全部……」
『いいか、クウガ。この言葉の姿はついさっきお前がなった姿だ。最強の武器にして最凶の敵……まさに諸刃の剣だ』
「俺は…俺はどうやったら使いこなせるんだ!?」
『その答えはお前がよく知っている…じゃあな、そろそろ時間だ』
そう言ってT世は闇の中に消えていく。
リトは思わず手を伸ばすも、届かずにいた。
並盛町上空、銀色の戦艦……アークグレン内部
その内部の会議室…ツナと守護者、シモンファミリーに白蘭にタロスズ…それにリボーンを含めたアルコバレーノがいた。
ツナ達はあのあと、シモンが手当てが必要と判断して仲間の一人…リーロンに連絡。
世界各国で暴れていたUFOと戦闘し終えた仲間達を引き連れ、アークグレンを呼んだ。
ツナは警察で唯一事情を知る一条に連絡し、ことの次第は後と伝えておいた。
リトは手頃なベッドがないため、被害が殆んどなかったアパートに寝かせている。
手当てがすんだツナ達はシモンの事情を聞いていた。
「えっと……つまりこういうこと?」
――――――。
シモンのいた星では人間は地下に住んでいた。
けど自分がいた村の上からロボット……ガンメンの一体と後に仲間となる少女…ヨーコとの出会いから地上に出るきっかけを作ることになった。
その時シモンは小型ガンメン・ラガンとコアドリルというものを堀あてていた。
最初は同じ村にいたカミナという少年に乗らせるはずがシモンが乗ってしまい、地上に出た。
その後、カミナも地上を支配していた獣人の乗っていたガンメンを強奪…グレンと名付けた。
後でわかったのだがラガンは別のガンメンに無理矢理合体して支配し、構造を作り替える能力を持っていた。
そのおかげでグレンとラガンが合体したガンメン…グレンラガンが誕生した。
シモンとカミナとブタモグラのブータ…そしてヨーコとリーロンは旅に出て様々な所へ行く。
倒すべき敵、螺旋王・ロージェノムの存在の確認、そして自分達と共に戦う仲間が集まり『大グレン団』を結成した。
だが……リーダーになるはずだったカミナが戦死、強奪したダイガンザン…後のダイグレンの代わりに一人の命が終わってしまった。
それから誰がリーダーになるかのわだかまり、シモンの精神不安定が続いていた。
その中でシモンは螺旋王の娘・ニアと出会う。
最初は捨てられたことに気がつかなかった世間知らずのニアだったが、彼女のおかげでシモンは再び戦うことを決意、戦線復帰した。
大グレン団の新しいリーダーをシモンとして獣人、そして螺旋王の拠点…テッペリンを目指した。
そしてついに、テッペリンへと到着し、別の場所から人間の援軍が駆けつけ応戦。
シモンとロシウ、そしてニアはロージェノムへと挑む。
驚くことにロージェノムはシモンと同じ螺旋力を使うガンメン・ラゼンガンを操縦していた。
圧倒的な差の前に絶体絶命と思われたがシモンのもつコアドリルを使い、逆転。
ロージェノムは死に際に「螺旋の民、監視者を退け地上に多数現れしとき、空からの使者きたりて螺旋の民を滅ぼさん…」と言い残した。
後に『テッペリン攻略戦』と呼ばれる戦いに勝利した大グレン団は人間がすみやすいように新たな町を作ろうとしていた。
――――。
「そう………だけどそれから三ヶ月たった後…あいつらが来たんだ」
――――。
テッペリンを中心にした町・カミナシティの建設中…突如空間を割って現れたものがきた。
それは先程のUFOであり、シモン達は顔がないことから『ムガン』と名付けた。
大グレン団は対処に遅れ、作業場所の半分が損傷……さらにはニアを連れ去ってしまった。
シモン達は追いかけようとしたがさすがに空間を越えることができずに断念した。
ムガンの正体を調べるべく、ロシウはロージェノムの記録を探してみると地下深くにテッペリンと同等の大きさのダイガン・アークグレンの存在を察知した。
アークグレンには驚くことにロージェノムの細胞をもとに造られた頭部だけの存在…ロージェノム・ヘッドがいた。
ロージェノム・ヘッドはロージェノムが死ぬ前の記憶を保持しており、万が一ロージェノムが死んだ場合に起動し、その殺した相手と共に来るべき敵・アンチスパイラルを倒す目的で造られたものだった。
シモン達はアークグレンを起動させ、ロージェノム・ヘッドの記憶にあった、月に擬態した超々弩級ダイガン…カテドラル・テラを使いニアを救出しようとした。
――――。
「だけど、間違ってムガンがいる星…つまりここに来てしまったんだ」
「は、ははは…(間違ってって…どういった間違いだよ)」
「なるほど、これは興味深いな……螺旋界認識転移システムか……」
話についていけないツナ…それに対し関心をもつヴェルデ。
その中で獄寺がシモンに疑問をふった。
「だとすると、そのカテドラル・テラってのはどこにあるんだ?」
「えっ?もちろんこの星の近くだよ」
はぁ?、といった表情で近くの窓から空を見上げる獄寺とその他の人物。
シモンの言葉は当たっており、上空にカテドラル・テラが見える。
そう……その巨大さがわかるほどに。
「おおおおおおおおおおい!!?なんだありゃあ、でかすぎだろありゃあ!!地球の直径よりでかいんじゃねえか!!」
「だって月に擬態してたからそれだけ大きいのよ」
絶叫するモモタロス、それに答えるリーロン……あまり答えになってないが。
そこにリボーンがキックをして黙らせ、少し考える仕草を取った。
「しっかし、何でこのタイミングでムガン…アンチスパイラルの尖兵が来たんだ?」
「地球に螺旋力なんてものないし……何でだろうな?」
「むぅ…さっぱりだ!」
「それなら心当たりがありますよ」
考える一同に言いはなったのは骸…静かに彼は目を閉じていた。
「そりゃあどういうこった!?」
「考えてみてください、いままでのことを……彼の言う通りロージェノムという人物が監視者であるのなら、この地球での監視者は一体誰です?」
「……シモン=コザァート…」
「それって俺と同じ名前の大昔の人?」
「ええ……その監視者を倒したから来たとなるとその監視者を作ったのは誰か……」
「たしかT世が言ってたのは…えっと……バミューダ・フォン・ヴェッケンシュタインだっけ?」
「そしてその者も宇宙からやって来た……ということはつまり」
「アンチスパイラルとバミューダは同一人物…!?」
「もしくは協力しあっている、とも言えますね」
まあこの際どうでもいいですが、と言う骸をそのままにしてツナはシモンに頼み込む。
「シモン!!お願いだ…俺達もアンチスパイラルの…・バミューダの所へ連れていってくれ!!」
「ええ!?でッでも…危険だし…」
「いいんじゃねぇか、つれってっても?」
そう言ったのは金髪の男…キタン。
彼はツナ達をどこか気に入ったような目で見ている。
「キタン!」
「コイツら今まで戦ってきたんだろ?大したもんじゃねぇか…俺はこういうやつらは嫌いじゃねぇぜ」
そうだそうだ、と大グレン団のメンバーも後ろで騒いでいる。
シモンは一度目を閉じて考える。
そして何かを決心して目を開いた。
「……わかった…危険かもしれないけど、いいんだね」
「うん…」
「じゃあ決まりだ!みんな!これから大グレン団は仮面ライダー達と一緒にバミューダの母星に…」
その時だった…アークグレンの通信機から連絡が入ったのは。
近くの機械から生首のホログラムが出てくる。
恐らくあれがロージェノム・ヘッド…初めて見たツナ達は絶叫していた。
「「「ギゃァァァァァァァァァァァァ!!??」」」
「おおおおお、オバケェェェェェェ!?…ガクッ…」
「ちょっとちょっと!?どうしたのよ!?」
『カテドラル・テラ近辺に大型ムガンおよびムガン多数が出現した。製造途中のグラパールを出撃しようにも数が足りなすぎる。至急帰還を要請する』
「なんだって!?」
『事態は一刻を争う…』
「わかった…ツナヨシ、いいか?」
シモンはツナにこのまま行ってもいいか訪ねる。
ツナは何を思ったのかシモンに頼みごとを言っていた。
「……シモン、お願いがあるんだ」
「ここは……」
リトはアパートの部屋で起きた。
どうやらここに運び込まれたようだ。
リトは誰もいないことを確認すると外に出る。
外は瓦礫の山で一杯……その光景を見て胸が苦しくなる。
するとそこに一人の少年がやってくる。
「あなたがヒラサワ・リト?」
「お前は……?」
「俺はシモン、別の星から来たんだ」
「!?…シモ…ン?」
「驚くよね……それより、ツナヨシから伝言を頼まれてるんだ」
「ツナから……?」
ツナからだと知り、リトは真剣な表情になる。
「うん…『俺達はシモン達、大グレン団と一緒に宇宙に行ってバミューダと決着をつけに行く。もしよかったら一緒に着いてきてくれないか?無理は言わない…今一番傷ついているのはリトだから』……だってさ」
「…………ツ……ナ」
気付かれていた……先程の戦いでのことが、自分の頭の中で一杯なことを。
ツナは気付いていたんだ。
「今、ツナヨシ達はアークグレンに乗っている……危険が一杯な宇宙にいるんだ」
「俺…は………」
「…………歯ぁ食いしばれ…」
「えっ…?……ブッ!?」
シモンは一言呟くとリトの顔面をおもいっきり殴る。
突然のことに超直感は発動せず、リトは尻餅をつく。
「なにし…」
「何迷ってんだよ……テメェのダチが危ない時に、ここに一人で残るのか!?ツナヨシはテメェの身を案じていったんだぞ!!そんなやつを見捨てるのか!?テメェのダチを見捨てるのか!?」
耳が痛かった……だが、その言葉にリトは気付かされた。
自分が何のために戦うのか…
だけど怖かった、自分の手で理由を壊しそうで…
それでも……それでも守りたいものがある…そう気付かされたのだ。
「………………シモン、頼みがある」
「……………」
返事はない……だがそれでもいい。
首をたてにふらなくても、自力で行く、そう覚悟している。
「俺を…俺をツナ達の所へ連れていってくれ!!」
「……ああ、わかったよ…やっぱりそう言う顔してたよ」
シモンはにっ、と笑い承諾した。
「着いてきて!!一番いい席で宇宙に行ってみたくない?」
「ああ、そうするよ…ありがとう」
「何よあれ!?大きすぎる!!」
「んなこと言われたってよお!!」
宇宙空間…ここでは大グレン団のガンメンとムガンの戦闘が行われていた。
かなりの数のムガンが攻めているなかで、さらに別のムガンが転送されてくる。
開発中のグラパールと会わせても圧倒的に数が足りなすぎる。
さらにはアークグレン内部に鉄機兵が侵入し、現在仮面ライダー達が戦闘中。
これ以上侵入させまいと、獣人のヴィラルが乗るエンキドゥドゥがアークグレンの上で戦闘中。
だが前の戦いの損傷があり、動けなくなるのも時間の問題。
「くそッ……テッペリンの時と状況が違う…このままじゃ…」
「なんとか持ちこたえて頂戴!!シモンが来れば逆転は可能よ!」
操縦席ではアークグレンのシールド制御などで忙しいロシウにリーロンがいた。
そんな彼らの場所に、大量の鉄機兵が流れ込んでくる。
ロシウは身構えるが、そこにゼロノスAFと響鬼、アギトが現れ、押し戻していく。
さすがに多すぎるのか、仮面ライダー達は少々押されぎみだ。
「くっそ……このままじゃやられるぞ!!」
『Blast mode』
「ていってもなぁ…けっこーしんどいのな…」
『GUARD VENT』
戦いの疲れがあるのかほとんどの者が防戦一方だった。
「くそ………このままじゃ…やられる…!」
「やはり僕じゃ……何も役に立たないのか…?」
ディケイドとロシウ……絶望しかかっていた…その時、
『『諦めるなッッッッ!!!!』』
「「!?」」
突然どこからか通信が入ると、アークグレンの後ろからムガンのビームを跳ね返すガンメンがいた。
「あれは!?」
「へへッ…」
「おせーぞ!」
「「おそい!おそい!」」
「手柄をとりにきたか?」
「ふっ………待ち構えたぞ、我が宿敵よ…」
「おっ♪きたな…!」
「おそいっすよ!」
「……………」
「やれやれ」
「クフフ…」
「やっとか!待ちくたびれたぞ!!!!」
「この声…」
「まさか……」
ロシウとディケイドはこの声の主の名前をおもいっきり呼ぶ。
そう、どこまでも響くような声で。
「シモンさん!!」
「リト!!」
そこにはドリルを構えたグレンラガンがいた。
操縦者はラガンのほうにシモンとブータ、グレンのほうはリトがいる。
「諦めたらそこで終わりだッ!!忘れたのか?このドリルは天を突くドリルだってことをッ!!」
「俺達はどんなに強い敵が来ても、どんなにピンチになっても戦い続けた…そう大事なものを守るためにッ!!」
二人の言っていることはばらばら…
だが意思はひとつになっている。
「リト!!あれをやるぞ!」
「あれか……ぶっつけだけど、それも一興ッッ!!」
そう言ってグレンラガンはアークグレンの前に移動する。
「人と人との絆の道が……捻って交わる螺旋道ッッッッ!!!!」
「今日の戦友(とも)とで運命を砕く!!!明日の道をこの手で掴むッッッッ!!!!」
「「宿命合体!!!!グレンラガンッッッッ!!!!」」
「「俺を誰だと思っていやがるッッッッ!!!!」」
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やっぱ長編より短編のほうが人気あるわ… | ||
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