リリカルなのはSFIA
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 第三十話 誇り高き○○の男

 

 

 

 カリム視点。

 

 「だ、大丈夫ですか?『傷だらけの獅子』さん」

 

 「ああ。大丈夫だ。あれだけ熱唱したからテンション上がっているからっ」

 

 …そ、そうですか。

 まあ、これでお話が出来るのなら…。

 

 「ここに来るまでにいろいろとあったからなぁ」

 

 はやてが言うには六課からこちらに向かう前に、高志とはやて。そして、ヴィヴィオの三人を見送る際に…。

 

 

 

 回想開始。カリムのツッコミ付き。

 

 「これが終わったら一杯奢ってやる」と、ザフィーラが言ったらしい。

 その台詞は…。死亡フラグなのでは?

 ザフィーラとしては、疲れている高志を気遣ってのことなのだが…。

 

 「…無事に。…帰ってこいよ」と、シグナムが。

 聖王教会はそんなに物騒な所じゃないですよ!

 

 「これが終わったら伝えたいことがあるの…」と、アリシアが。

 …だから。その台詞は。

 

 「私、待っているから…」と、すずかが。

 …あの。そんなに死亡フラグを立てると。

 

 「お前はもう助からない」と、ヴィータが。

 死亡宣告?!

 というか、ばしばし死亡フラグを建てるのはやめてあげてください。

 

 「…だが、俺は。誇り高きツッコミの男だ」と、高志が。

 ○ムウとシー○ーを髣髴させる台詞を。

 

 「アリサーッ!これが俺の最後のツッコミだぜぇええっ!受け取ってくれぇえええ!」

 ツッコミのバトンをアリサに渡そうとしたが、

 

 「いやよ。このメンバーのボケを捌ききるのは骨が折れそうだもの」

 と、断られた。

 私もこれだけの死亡フラグを連発しながらボケも捌くというのは、確かに骨が折れるだろう。

 

 

 以上回想終了。

 

 

 

 「もう何も怖くない」

 

 ちょっ?!

 それはこっちが怖くなるから止めてください。

 個室に呼び出した『傷だらけの獅子』こと高志さんはどこか遠いところを見つめるかのような表情をしていた。

 そして、入ってきた扉から一番近い椅子に座っていた。

 そ、そんなに警戒しなくても…。

 

 「…騎士はやて」

 

 シャッハも呆れたかのようにはやてを見る。

 はやてもその視線から逃れるようにどこか遠い方を向く。

 

 「…にゃー。まだ終わらないの」

 

 そういうはやて達が保護した少女、ヴィヴィオは高志の膝の上でうとうとしている。

 先程、熱唱していた高志の歌ではしゃいでいたので疲れて眠そうだった。

 

 「もう少し我慢なー」

 

 「…にゅ〜」

 

 よしよしと撫でながらヴィヴィオをあやしていた。

 この光景を見ていると彼があのアサキムに対抗できる人物には見えない。

 

 「そうしたら…。家に、帰ろうな」

 

 どうして区切るんですかっ。

 どうしてそんなに哀愁が漂っているんですか?!

 どうして体を全身プルプル震わせているんですか!?

 

 「…っ」

 

 高志は目があったカリムから目を逸らす。

 顔を((青|・))ざめさせて。

 

 「…高志君。今度からもっと優しくしてあげるからな。カリムは怖くない。怖くないで」

 

 高志に優しく声をかけるはやてではあるが、その原因の一端を握っている人物が言っても説得力がないのである。

 

 「ちょっと待ってください!顔を赤くして目を逸らされることはあっても、青くされることはありませんよ!どれだけ美人恐怖症にしているんですか?!」

 

 「何気にカリムは美人宣言してとるな」

 

 「…え、あ、いや、その」

 

 「あ〜、うん。…カリムさんは、美人、ですよ」

 

 「顔を青くしながら言われても嬉しくないですよ!」

 

 それからしばらく高志と話していたカリムは高志に聖王教会に所属してみないかと勧誘したかったが、とてもじゃないが頼める雰囲気ではない。

 とりあえず、彼の人柄を確認出来ただけでも収穫と考えるべきか…。

 

 

 

 「失礼しました〜」

 「カリム。またな〜」

 「…ばいばい」

 

 三人を見送った後、私は『傷だらけの獅子』。そして、聖王オリヴィエのクローン。ヴィヴィオを自分の目で確かめて出た結論。それは…。

 

 「あの二人に戦い。戦争など争い事は似合いませんね」

 

 「貴女もそう思う、シャッハ」

 

 私は隣に並び立つシャッハに視線だけを運んで話を聞く。

 

 「オリヴィエのクローン。あの容姿。金の御髪にエメラルドとルビーのような瞳。見た目だけでもその筋の者と、少しでも聖王の知識を持っていれば勘ぐります」

 

 そして、はやて達機動六課や私達が調べたところでそれはクロと出た。

 聖王に子孫はいない。だけど、遺物。聖王が身に着けていたと言われる聖骸布からクローンを作り出した。

 しかも、『傷だらけの獅子』自身とそれに近しい人達の遺伝子も組み込んでいる。

 その狙いは聖王の復活。それに加えてスフィアの力も取り込むというものだ。

 圧倒的な防御能力誇ると言われる『聖王の鎧』。それにスフィアの力が加わったとなると恐ろしい事になる。

 

 「叶う事なら、あの二人には平穏に過ごしてほしいのですが…」

 

 「それを許さない存在がいます。『知りたがる山羊』。そして、あの強力無比の力を求める私達、聖王教会や管理局もですが」

 

 なにより、私のレアスキル。予言からは『傷だらけの獅子』『知りたがる山羊』に関するのが離れたことが無い。

 これはそれだけ彼が未来に関係しているという事だ。

 法の塔。『管理局』が落ちるという時空世界全体に響く争いに。

 

 「情けないですね。あれだけ子どもに優しいのに、あんなに好かれているのに、『知りたがる山羊』へのカウンターとして((教会|こちら))側に身を置かせようと考えていた事が」

 

 「仕方がないですよ、カリム。私とて騎士はやてとヴォルケンリッターがやられたという事を知らされた時は耳を疑いましたから」

 

 はやてとヴォルケンリッター達を倒した時の映像。そして、過去のデータ。一応スフィアリアクターの事は秘匿とはされているので口頭ではやて達から聞かされた私達は何が何でもその力を自分達の監視下に置こうと思った。

 その強大な力を自分に向けられるのを恐れて…。

 だが、実際会った彼はどうだろう。

 まるで戦う覇気など感じない。どちらかといえばヴィヴィオを膝に乗せてのんびりとしている方が似合う人だ。

 少なくても戦いとは無縁そうな人だ。

 それでもスフィアという強大な力は本人の望まないものまで引き寄せる。

 はやての闇の書。今は夜天の書というべきその力もただ家族の愛情に飢えていた少女の元に落ちた。

 

 「私は…。卑しい女ですね」

 

 「…カリム」

 

 彼等は被害者だというのに。保護すべきだというのに、それを求め、搾取しようとしている。

 それでもはやては喜んで私達に手を伸ばすだろう。そして、きっと彼女達を助けてきた『傷だらけの獅子』も。

 あの怯えたような姿を見せた高志だが、あの場にアサキムが襲い掛かってきたら真っ先に対峙していただろう。

 それははやて達からの話でも推測できるし、何より膝の上にいたヴィヴィオを本当に愛おしそうに撫でていたから。

 

 「だから、卑しい女は卑しく彼を守るとしますか。聖王教会から彼には出来るだけ関わりのないように指示を出すとします」

 

 「関わりがないように。ですか?」

 

 「そうすれば彼には迷惑をかけることを少しでも減らします。そして、それに感づいた彼は恩義を感じて私個人の為になら手を差し伸べてくれるかもしれないでしょう?」

 

 私はシャッハに悪戯が成功したような笑顔を向けながら答えた。

 

 「…確かに。卑しいですね」

 

 確かにそれなら誰も文句のつけようがないかもしれないが、高志の人間性を把握したようなその手法は…。と、シャッハは眉根にしわを作りながら未だに悩み続けている。

 

 「…よろしくね。シャッハ」

 

 「私まで巻き込むんですね。断れないと知っていながら…」

 

 「そうよ。私は卑しい人間だもの。組織のトップに立つ人間なんて一癖二癖だけではやっていられないもの」

 

 「…カリム。貴方は卑しくはありませんよ」

 

 「あら、それじゃあ何かしら?」

 

 「ずるい人です」

 

 私はその言葉に少しだけ驚いた。そしてその表情を見れて少しは満足したのかシャッハもまた少し意地悪な笑顔をしながらも、私達二人はその場を後にした。

 

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 シャッハ視点。

 

 騎士はやてと『傷だらけの獅子』との会談から一夜明けて。

 私は修練場で異様な光景を目にする。

 

 「「「I CAN FRY!」」」「「「HEY!」」」「「「YOU CAN FRY!」」」「「「HEY!」」」「「「WE CAN FRY!」」」「「「HEY!」」」

 

 「「「「「MOTTO!MOTTO!!!」」」」」

 

 私は修練場で謎の雰囲気に圧倒されていた。

 昨日、『傷だらけの獅子』が置いて行ったCDの中に収められた歌が修練場で流されていた。

 明らかにその歌を聴いた若い騎士達のテンションがおかしいのだ。異様なほどにハイテンション。そして、そのテンションに連動してか今までにないほどの魔力量を帯びた攻撃や防御の訓練が行われていた。

 魔法は想いを力に変える。と、誰かが言っていたがこれはいくらなんでも…。

 

 「………これも『傷だらけの獅子』の力なんでしょうか?」

 

 カリムのつぶやきに私は違うと言いたかった。

 だが、その日の訓練でほとんどの騎士達が自己最高記録を叩き出したので私はそれを否定することも出来なかった。

 

 「「「「「「MOTTO!MOTTO!!!」」」」」

 

 とりあえず、あのCDは没収したほうがいいですね。

 このままじゃ騎士達全員が突撃思考になっちゃいます。

 

 

説明
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コメント
誤字修正しました。ありがとうございます(たかB)
暴走ストップです!絶対的法(ノーッタチ)を破るのならミニレオンがA戦士に代わってO・SI・O・KIよ?幼女は愛でるもの!(たかB)
そして紳士(変態)にヴィヴィオと言う要素を加えることによって変態紳士(ロりペド)と言う究極変態になる(匿名希望)
管理局員×高志の歌=筋肉、筋肉×罪袋=紳士(変態)(匿名希望)
何この流れ怖い(453145)
↓罪袋を被って紳士と言う変態になったアキサム(笑)wwwwwwヤベーちょっと見たいかも。(クロノ)
↓大丈夫だ、みんなが罪袋をかぶれば紳士と言う名の変態になるから!?(匿名希望)
↓・・・駄目だ、そんな事したら全員無慈悲に切り殺されかねん・・・どうせならアサキムもこれで洗脳して・・・w(神薙)
↓でもそうなったらアサキムとの戦いが楽になるかもwwwアサキムを見た瞬間襲い掛かる脳筋どもwww(匿名希望)
↓そんなことやったら全人類が脳筋の集いになってしまうじゃないですか、やだーwww(神薙)
忍さーん!ミットにも高志の歌広めてください。そうすれば管理局が歌の熱で煮沸消毒(浄化)できますから。(クロノ)
管理局でも歌えばまとも?な思考(熱血)の人間が増えて良い方向に進むんじゃないかな・・・(匿名希望)
誤字報告です。回想終わった直後のところで 怖くなるか⇒怖くなるから かと(支配人)
君賀為、流せねえな、滝涙の群集で。(道産子国士)
聖王教会は今後大丈夫なのか?・・・・(匿名希望)
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