Starting from the leaves ruin
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初めてアールス教授の研究室を訪ねた日からしばらく時が流れた。その間は本が意外に長かったのでそれを読んで過ごしていた。そろそろ本が読み終わりそうな、そんなある日、朝目を覚ますと箱と張り紙が部屋の外においてあった。見てみるとそれは教授のメモだった。パソコンとディスクが入っているから見ておいてくれという内容だった。内心やっとかと思いながら箱を持って中へと入る。

 

どんな内容なんだろう。少し緊張しながらパソコンを取り出すと説明に従って準備をしていく。壊してしまわないかという心配もあったがなんとか出来たようだ。以前使ったことがあるのかもしれない。何はともあれ、あとはディスクを入れるだけだった。一呼吸置くとディスクを取り出し、パソコンに入れる。

 

しばらくしてディスクトップに出たそのアイコンをクリックする。最初に出てきた画面は植物の写真と建物の写真があり、下に文字があるテキストファイルだった。読み進めていたがとても信じられる内容ではなく、段々と混乱してきた。少し整理しようと適当に紙とペンを出し、口に出しながら書き進める。

 

1、ここは軍の兵士育成所である。

この国の兵士を育成するための機関であり、対象は男女問わない。基本的に親の稼ぎでは生活できないもの、孤児を引き取り育成している。例外は自ら志願した者等。自分も恐らく前者の場合だろうとのこと。

 

ここまでは多少は驚くがそこまで驚くことでもない。問題は次だ。

 

2、兵士の育成方法について

育成方法は基盤に植物を使う。この植物は体内で育ち、体内の栄養を一部吸い取るかわり強大な力を引き出すことができる。基本的な物書き計算、軍としての規範などを一通り学んだ訓練兵士はこの植物の種を植え付けることになる。方法は軍の機密に当たるため公表はできない。具体的な力については別のページで紹介する。

 

 

これが二つ目の内容だった。つまり自分の体内には植物が育っているということだ。まったく見た目も変わらない筈なのに体内が違う、言わば改造されている等誰が信じられるだろうか。現実味が無さすぎる。記憶にない自分と比べることはできない。しかし今の自分は恐らく常識的な「人」とは違う特性があるんだろうか。そうでなければこんなことはしないはずだろう。

 

 

そして最後に記憶について。

僕が記憶を失った原因を教授は知っているらしい。ただ、ここには書かれていない。説明に困るのか、それとも教えると何か不都合があるのか。今は考えても仕方ない。気になるが置いておくことにした。名前は適当に名乗れと無責任なことが書かれている。参考までに名前の載っている本等のタイトルが書かれていた。その他には自分のデータ(年齢、出身など)が書かれていた。ちなみに17歳のようだ。

 

最後に書かれていた注意事項にこの文書の内容、存在については口外しないようにと書かれていた。

 

 

 

一通りまとめるとペンを置く。その他は習うより慣れろらしくこの場所の見取り図などだった。プリンターで印刷してくれれば良いのに、意外と無責任なんだなとため息をつく。しかしそのあと、軍には多機能無線機PSCが普及していて訓練兵士にも配られる事を知った。恐らくパソコンと変わらない機能を持つのだろう。データを移せるかもしれない。無責任とか言って申し訳なかったなと一応心の中で少し反省する。

 

 

ともあれこれからすることはとりあえず名前とPSCを貰うことだろう。思い立ったら吉だと言う言葉もある。今から書庫。に向かうことに決め身支度を始める。

 

自分で自分の名前をつけるなんて可笑しな話しだと思い少し頬が緩んだ。分からないことだらけだがようやく何とかなりそうだという安堵もあってだろう。身支度を終えると微かにこれからを期待しつつ部屋を出た。

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