カーニバル 19話目
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「いいけど、オリンズは部屋の、そ……」

振り返って見た部屋の様子に、ボクは言葉を失った。

 

 主にピンクの色が部屋を支配して、うさぎやリスの絵が何匹も壁一面にいた。

 

 こ、この数秒間で……どうやって。

 

「オ、オリンズここは君の部屋じゃないでしょ」なんとか冷静に諭すように言う。

 

「ふえ?」

 

 

 全く持って悪気もなく返事をする。そしてボクが喜んでいない様子を見て

彼女は不思議がっている。

 

「わかった。明日、草原へ行こう。オリンズも準備してきな」

 

「うん」そして足音が遠くへ消えた。

 

「はぁ……」

ボクはやるせない気持ちを抱えて掃除のやりなおしをする。

 

 

 

「ううーん」

ボクは布団の中で大きく伸びをした。

 

そうだ、掃除にやたらと時間を取られ疲れて、横になったとたん寝てしまったんだ。

 

 窓から射す光が、どんどん部屋に入ってくる。

 

 布団を整えて、洗面所で顔を洗う。

しばらく、ぼーッとしているとドア越しから野太い声で

 

「おい、オーダー朝食が出来たってよ」

 

 大広間に顔を出すと

 

「貴女、スープにトカゲのしっぽを入れようとするなんて、どういう了見よ」

 

「えええぇぇぇ〜、良いお出汁がでるんだよぉ」

 

「はぁ〜、料理ってのは見た目も大事なの」

 

 てきぱきと、タマさんがテーブルに料理を運んでいる。

 

 

「皆、揃ったわね、こんな大人数で食事をするなんて久しぶりだわ」

金の髪を束ねながら、シアさんが席に着く

 

「いっただきまーす。」皆の声が合わさる。

 

「あれ?この肉料理、味付けが珍しいね」

ボクは女性陣に言う。

 

「へへっ、これはガリズの名物料理よ」

得意気にウオッカが答える。

 

「おい、何か少なくないか」

 

となりに座っているワンロックを見ると、すでに完食していた。

 

「ねぇ、オーダーこのスープ、もう一つ何か足りない気がしない?」

上目づかいで、オリンズが聞いてくる。

 

 そこへ

「しないわよ、この上品なスープは、これが完成の形よ」

ウオッカがピシャッと、シャットアウト。

 

 ボクは「ハ、ハハ……」

と、居心地の悪い笑いをした。

 

 

「今日は、この城の新人さん達だけで遊びに行ってらっしゃい、私は留守番をしているわ」

 

 シアさんが城門の所まで見送りにきてくれた。

 

 前を行く、四人の背を見ながら

「これから世界はどうなるんだろう?」

その場に流れている、穏やかな空気には似つかわない言葉をボクは不意に投げた。

 

 

 

 

「貴方、この世界は四つの大陸と一つの島で出来ているのは、ご存知?」

歩きながら顔を横に向けて、ウオッカが聞く。

 

「なんとなく……」

 

「私達のいる大陸は比較的、平和な所で、あとの三つは争い事が絶えない。

いつかこの大陸にも、他の大陸の者達が来て侵略されてしまうかもしれない」

 

「……うん」

 

 

「だけど、四つの大陸の中央にある島、聖地ボウレイン。ここに世界政府の本部があるのよ

今、秩序が保たれているのは、そこのおかげ」

 

 ウオッカは正面を向き

 

「それに、各大陸には十騎士が二人から三人いて何か起これば対処してくれる、この大陸には

ブラッドさんとブルーティア国の王ハヤブサさんがいる。」

 

 

 

 

「ねぇ〜、早く早く」

一足早く目的地に着いたオリンズが目一杯のジェスチャーでボクらを呼ぶ。

 

 そこで、この話はフッと消えていった。

 

 ぽかぽかの気候、ゆったりと時が流れるタマさんが食事の準備をする。

 

「ごっはん、ごっはん」

 

「お、メシかー」

 

でこぼこコンビが待ってましたとばかりに、お弁当を広げる。

 

 少し小さな手が、おかずを取ろうとしたところで、ピタっと止まる。

辺りをキョロキョロして何かを見つけ

 

「ワンちゃん、あれを見て」

 

説明
剣と魔法のファンタジー小説です。
続きものです。
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