カーニバル 20話目 |
「誰が、ワンちゃんだ!」
と言いながらオリンズの指差す方を見る。
ボクもつられて、その方向を見ると一頭の馬に跨った騎士が、こちらへやってくる。
青の鎧を身に纏った騎士が、下馬して
「レッドディザイア国の方々ですか?」
「はい、そうです」ボクは答える
「私はブルーティア国、第三騎士団長のサーフィンと言います、同盟国とはいえ勝手に入国して申し訳ない」
「一体、どうしたのですか?」
「実は、この人物を探しているのですが、見かけませんでしたか?」
サーフィンが、手配書を出す。
ボクら五人は頭をつき合わせて、その手配書を覗き込む。そこにはドワーフが写っている。
「元十騎士のドギルド……」
ウオッカがボソっと言って、慌てて口元を押さえる。
サーフィンがウオッカを見て
「そうです、今は反乱軍に加担している者です。もし見かけても手を出しては、いけません。ブラッドさんか、我々に報告してください」
馬に跨り
「それでは失礼しました。またどこかで」
数日後
空を舞う、一羽の鳥。
「ブラッドが帰還している頃なので停戦命令が解除されたみたいよ」
「はあ?ブラッドが帰ってきてるって。どこにだよ」
「……どこかで道草ね、たぶん」
シアさんが、ため息まじりで言う。
「おいおい、停戦命令が解除されたらガリズの連中が攻めてくんだろ」
少し重い空気が部屋を覆う。
「その時は、あなた達がいるもの……はっ!!もしかしたらブラッドは、あなた達の初陣の為に
わざと帰りを遅らせているのかも……きっとそうよ」
ボクらは「それは違う」と手を左右に振った。
ブラッドさんが帰らぬまま数日が過ぎ
ガリズの軍が攻めてきた。
「おい、レッドディザイアの者よ、国を明け渡せ!そうすれば命だけは助けてやるぞよ」
王冠を頭にのせたヒョロヒョロした男が前にでてきた。
シアさんが城門を開ける。
「ふふふ、よしよし、なかなか素直でよろしいぞよ」
ガリズ王が近づいてくる。
「ガリズの王、止まりなさい」
キッとした圧力でガリズの王がたじろいだ。
「ぐぐぐ」
「こざかしいエルフめ、よ、よし我が国の優秀な騎士団よ、城を攻め落とすんだぞよ」
王の後ろから、すごい勢いで何かが飛び出してきた。
シアさんが危ない!
キィィィィーン!
ワンロックが体を張って、撥ね返す
「なんだ、軽すぎてハエかと思ったぞ」
軽装のガリズの剣士は、ゴロゴロと回転して、体勢を立て直した。
「ネイヤ、一撃で仕留め損なう、どころか反撃されるなんて、みっともないぞよ」
「ハッ!申し訳ありません」
ネイヤと呼ばれたガリズの剣士は、ワンロックに剣先を向けて
「守ることには、長けていそうだな、だが動きは遅い」
「ふん、いくら動きが速くても、軽い攻撃じゃオレには効かんぞ」
仁王立ちでネイヤを睨む。
その視線を外して、ワンロックの横を前転で飛び込み、背後を奪った。
「これでも、喰らえ」
ネイヤの思いっきり振りかぶった一撃がワンロックの背を捕らえる。
キィィィィーン!
すぐさま、その間合いからネイヤは離れる。
「ん?背に何か隠しているな?」
「ああ、オレもそろそろ攻撃していいだろ」
背には三点に分かれた短い棒がある、それをくっつけて長い槍にした。
この様子を見ていたガリズの王が後ろに控えている、魔導士に何か耳打ちした。
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剣と魔法のファンタジー小説です。 続きものです。 |
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