クウガTFが投げ込まれる数秒前、そこで仮面ライダー達は一ヵ所に集まり、苦戦していた。

それもそうだろう、ついさっきまで未確認生命体のゾンビと戦い、その後に鉄機兵の軍団と戦ったのだから体力を使い果たしている。

その状況で苦戦していないのはおかしいことだ。

――だが、そこへたった一人の援軍がやって来た。

「―――ぉおあああああああああ！？」

『ギギ！？』

アークグレンの壁を貫いて来たのはクウガTF｡

勢いよく鉄機兵の一体にぶつかりながらも無事に到着した｡

「リトッ！？」

「ちょっと今どこから…！？」

「宇宙……からしかないやろ？」

「さすがっす、リトさん！！」

「「「いやそこツッコめよ」」」

ファイズの台詞にタロスズ三人はつっこむ。

そして放置されていたままの穴の空いた壁はリーロンの操作で緊急シェルターをして外からも中からも出られないようにふさいだ。

「ドラッ！！」

『『ギギ…！』』

こうしている間にもクウガTFはライジングマイティに超変身し、鉄機兵を攻撃中……だが流石に一人増えたからといって選曲が傾く訳でもなく再び囲まれていた。

「やれやれ…………また振り出し…ですか」

「きびしーのな…」

「皆…下がってて…」

「リト…？」

いい加減にしろ、という気持ちで響鬼達は構えるが、その前にクウガRMが立つ。

「まさか……リトッ！さっきの姿に！？」

「ああ……でも大丈夫だよ……もう、決めたから…」

クウガRMはふぅ、と息を吐き構える。

そして只一つのことを考える｡

「俺はもう、惑わされない………コイツらを倒すことのために……コイツらに殺された人達の敵を取るために変身するんじゃない…｡俺は…怒りや憎しみで戦わない」

クウガRMはいつもの要領で超変身の動作を行う。

「皆の笑顔が好きだから……超変身…！」

刹那……65分の1秒で周りの鉄機兵は殆ど倒されていた。

クウガRMが放った衝撃波によって。

いや、もうその姿はライジングマイティではない。

ディケイド達にとっては数時間前に見た姿……アルティメットフォーム｡

ブレイド達はまた暴走しているのでは、と警戒しているが…ディケイドはそうではなかった。

超直感で分かったのだろう……今いるクウガは先程とは違い、

「皆の笑顔を…守るために…」

リトの優しさが表れているような……赤い目をしていた。

そこに数十体の鉄機兵が突撃してきたがクウガUFは手をかざし、鉄機兵を燃やす。

【超自然発火能力】と呼ばれるその能力は圧倒的……だがそれはすべての範囲で使える訳ではなく、まだ奥の方に鉄機兵がまだ残っている。

鉄機兵は遠距離用の攻撃ではないとわかると腕を銃型に変えて撃とうとする。

それに対してクウガUFは腕を横に振るう。

するとどうだろうか……クウガUFの目の前に小規模だが竜巻が発生する。

その竜巻は鉄機兵の場所へ素早く移動すると鉄機兵の体を切り刻んでいた｡

『ギギィ！？』

「ど、どうなっとるのだ！？」

「わかりませんが……あれは平沢梨斗がやっていることとしか言えませんね」

「素晴らしい……あれは彼の腕から出てくるプラズマを周囲と同調させて炎を作り出し、腕を一時的に高温にし台風や竜巻等の現象を再現しているのだ。……まるで彼は地球そのもの…」

「そんなにすごいのか、コラ！？」

「そんなことも分からないのかね、君は。そうだな…あの能力は【超自然発生能力】…とでも名付けようか」

周囲がクウガUFの能力に戸惑う中、アルコバレーノのヴェルデはかなり興味があるような目をしていた。

クウガUFは別の鉄機兵が他の仮面ライダー達を襲おうとした時、地面をおもいっきり踏み、その先にいた鉄機兵の場所のみにとてつもなく大きな地震を起こす。

当然その揺れにバランスを崩し、鉄機兵は倒れる。

クウガUFは手を上に突き上げるとそれに応えるかのように雷雲が現れる。

そしてその腕を振り落とすと雷が発生……倒れていた鉄機兵に墜ちていた。

「ワォ」

「す、すげぇ…」

「とてつもない能力…ですね」

「でもこれじゃあきりがない！どうするんだリトッ！？」

「……心配いらない、もう終わらせる」

その言葉と共に、クウガUFの腕にある棘が伸び始める｡

クウガUFは腕の棘で斬りつける動作をするとその棘から黒い斬激を放つ。

離れた場所にいた鉄機兵に斬激が当たった瞬間、鉄機兵を飲み込むように斬激は大きくなる。

そしてその場所を中心に鉄機兵達は斬激に飲み込まれていく。

「おお！まさにあれはブラックホール……素晴らしい…実に素晴らしいぞ！恐らくあの棘はシモンファミリー特有の炎、大地の炎を高密度・高圧縮した物を放てるのだろう」

「でもリトはボンゴレの血筋だから大地の炎は出せないはずじゃあ…」

「いや…地球にいたときにあの姿に変身する寸前、アイツシモン=コザァートのアマダム吸収したって話じゃねーか」

「だから大地の炎が使えると…」

風達が話している間に鉄機兵達はすべてブラックホールの中に吸い込まれていった｡

クウガUFは疲れたにのか変身を解き、尻餅をついていた。

「リトッ！」

「はは…けっこう疲れた…」

「無茶しないでよ…もう」

「ごめん……ツナ…」

「何？」

「ただいま…」

「…へへ…おかえり」

リトに次々と集まってくる仲間達…少し怒る者や感心する者等様々…｡

居心地がいい――そう思っているリトだった。

「余韻に浸ってるところで悪いんだけど〜…ちょっと捕まっててね？」

「？どうしたんですか？」

突然のリーロンの言葉に首を傾げるツナ｡

だがすぐにその言葉の意味が分かった。

リーロンの指す指の方向にあったのは…

「ちょ〜〜っとこれから…合体するとこなのよ」

下半身をドリルにしてやってくるグレンラガンの姿だった｡

「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああッッ！！？」」」

人は突然下半身をドリルにしたロボットが突っ込んできたらどうするか？

それは簡単………驚くのだ。

「ちょちょちょ！？突っ込んでくるぅぅぅぅ！？」

「ああ、大丈夫よ……突っ込んで変形するだけだから」

「「「そこが心配なんだよ！！」」」

そんなツッコミもむなしく……グレンラガンはアークグレンに突っ込んでいた｡

だが、突っ込んだ瞬間アークグレンに変化が起こる。

―――螺旋力が溢れているのだ。

「これが……アークグレンとグレンラガンの、合体！？」

「「「いや合体じゃねぇぇぇぇ！！」」」

次の瞬間、アークグレンは変形し始めた。

先端が足に、両側が腕に……さらには胴体になるように変形し始めている。

グレンラガンはアークグレンの上の部分にできた頭部の中のコックピットに収納される｡

そこにはドリルを入れる穴があった。

「ギガドリルッ！！スピンッオンッ！！」

グレンラガンはギガドリルをスピンオンし、『それ』を起動させる。

「因果も運命も突破してッッッ！！！」

「命の叫びが銀河に響くッッッ！！！」

「「怒濤合体ッッッッ！！！！アァァァァクッッ！！グレン！ラガァァァンッッッッ！！！！」」

アークグレンがグレンラガンと合体した姿……銀色の巨人・アークグレンラガン

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉおッッッッ！！！！」」

ここに誕生した。

「あの大きさで変形を！？」

「なんちゅうでかさだ…」

「すっげ〜…」

「質量保存の法則を冒涜してますね…」

「…………………」

変形し終わった後、それぞれがそれぞれの反応をしているなか…リトはいつぞやで見せたキラキラおめめをしていた。

リトを投げた後、シモンはエンキ・ドゥ・ドゥの中にいたヴィラルをグレンのコックピットに乗せて戦闘｡

大型ムガンのクウムガンとキョムガンに苦戦していたところにリーロンからアークグレンへの合体の提案を受けそれに乗り、現在にいたる。

「すごいよ！リーロン！こんなことできるなんて！」

「イヤ〜〜ン♪誉め言葉よりもほしいのはあなたのこ・こ・ろ♪」

「……殺していいか？」

「やめておけ……来るぞ！」

ヴィラルがリーロンに若干殺意を向けて失笑していると、キョムガンとクウムガンが合体していた。

「そっちも合体って訳か………こい！」

首をゴキゴキと鳴らし挑発しながら構えていると、クウキョムガンは突っ込んで来る。

一方のアークグレンラガンは迎え撃つ姿勢でいる。

「アークグレンラガン！！フルパワーッッ！！」

アークグレンラガンはクウキョムガンを殴り、押し合っている。

力はほぼ互角……アークグレンラガンはその中で必殺の体制に入る。

「時空裂断ッッ！！」

「バーストスピニングゥゥゥゥゥ…！！」

「「パァァァァァァァァァッンチッッッッ！！！！」」

アークグレンラガンは螺旋力を纏った右アッパーを繰り出す。

クウキョムガンは回転しながら上部に吹き飛ばされ、一定の場所で空間が割れる。

クウキョムガンはその割れた空間の中に入り、爆発していた。

「おいおい、なんだよありゃぁ…」

「どうやら時空を割ったらしいわね」

「かっけー…」

――――――。

「―――というのがことの真相だ」　

警視庁……リト達は昨日の戦いの後、一日休息を取った｡

その際、ヴェルデから怪しい薬を服用されたがその効果は絶大…体力をすぐに回復させていた。

リトはこの事を警察にも話すべきだと考え、シモン達大グレン団のこと、最後の敵が宇宙にいることを話し現在にいたる。

「なるほど……信じられない話だが、現実に起こってはしょうがない」

「だが君たちが宇宙へいくとして……地球はどうなるのだ！？またあのムガンとかいう奴等に襲われたりすれば…」

「心配はいらない。宇宙に行くのは俺を含めて10人……後は地球に置いていく。それと大グレン団の方からもガンメン…グラパールも何体かいてくれるらしい」

ムガンによる被害は酷かった。

世界中にムガンが散らばり攻撃を仕掛けたことにより、都市はほぼ壊滅状態｡

怪我人は数千人……死亡者は…八十万人を越えたそうだ。

リトは口を噛みしめながらも報告を終え、警視庁から出る。

トライチェイサーに乗り、もう殆ど無くなってしまった公園に行くと、そこにはグレンラガンとシモンの姿があった。

「リト…行こう。アンチ・スパイラルの母星へ」

「ああ……終わらせよう。全部……」

シモンはグレンラガンに乗りトライチェイサーをグレンのコックピットに入れる。

リトもグレンのコックピットに乗るが、一瞬だけ空を見上げる。

「また………見れればいいな…」

そうしてグレンラガンは空へと飛んだ。