EXCITORS エキサイターズ エピソード001「少年・ミーツ・少女」 #001 |
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エピソード001「少年・ミーツ・少女」 #001
TEXT/ILLUST by:尾岸 元(OXY_GEN)
LOGO by:Dr.N
ピピピピ、ピピピピ……!
目覚まし時計が鳴っている。
柴犬の少年、太刀浦 力[たちのうら・ちから]は、眠ったまま、腕を伸ばした。そして、器用にスヌーズ機能のスイッチを切る。目覚まし時計は沈黙した。
10分、20分……。時間が過ぎていく。タイムリミットは近い。だが、力が目覚める気配は、ない。
その時。
「ブラザー(お兄ちゃん)! モーニン! 早くウェイクアップしないとスクールに遅れちゃうよ!」
明るくよく通る声と共に部屋に入ってきたのは、やはり柴犬の少女だ。力の妹、こころである。髪をポニーテールにまとめている。帰国子女で、話す言葉に英語が混じっている。
「ん……こころ……今何時だ……?」
寝言のように尋ねる力。
「7オクロック50ミニッツだよ!」
「やべえ!!」
力はガバッと身を起こした。その勢いでベッドから飛び出し、ダイニングルームへ駆け出す。
「母さん! 朝メシ! 超特急で!!」
「もー、ブラザーはいつもミスターお寝坊なんだから……」
腰に手を当ててはいるが、こころは腹を立ててはいない。彼女は兄が大好きだった。力も、血のつながりはないが、こころを心から大切に思っている。
二人が通っている学校は、十仁[じゅうじん]市立十央[じゅうおう]中学という。特に変わったところのない、普通の中学校だ。力は2年生、こころは1年生だ。
力は始業ベルが鳴る2分前に、2年3組の教室に滑り込んだ。
息を弾ませている力に、話しかけてくるクラスメイトがいた。
「おはよう。いやー、今日も絶妙なタイミングだねぇ」
「嫌味言うなよ、ノシン。こころが起こしてくれなかったらヤバかったんだぜ」
彼は猿喰 幸之進[さるはみ・ゆきのしん]という。垂れ目の猫だ。名前が長いので、力たちクラスメイトは「ノシン」というあだ名で呼んでいる。
幸之進は、平たく言えば変人だ。力は幸之進とは幼稚園時代からの付き合いだが、未だに分からない事だらけだった。
例えば、その服装。
「いつも思ってるけど、その格好って何なんだよ?」
幸之進は、指の部分を切り落とした黒い軍手を両手にはめていた。足元は、健康サンダル。十央中は、校則がそれほど厳しくないが、奇抜であることには変わりない。
「よくぞ聞いてくれました。足の裏には、全身のツボが集まってるんだ。だから、健康サンダルで足の裏のツボを常に刺激すれば、気を無限に活性化できるというわけさ」
ドヤ顔で語る幸之進。
「指なし軍手は?」
「カッコつけだよ」
「カッコつけかよ!」
思わずツッコむ力であった。
その時。
「みんな、静かにして。出席を取ります」
2年3組の担任、キツネの儚村 瀬里奈[はむら・せりな]が出席簿を開いた。
放課後。力とこころ、そして幸之進の3人は、家の近くにある「たこ焼き男爵」で買ったたこ焼きをつつきながら、家路をたどっていた。
と、けたたましいエンジン音が響く。暴走族がまたがった改造バイクだ。それが何台も走り抜けていく。
「最近多いよな」
力が、特製ソースがたっぷりかかったたこ焼きを飲み込みながらつぶやく。
「アックスヘッズ。この辺で一番凶悪な族[ゾク]らしいよ」
幸之進が答える。
「デンジャラスだなあ……。ポリスさん、もっとがんばろうよ」
と、こころ。
その時。
「きゃあぁーっ!?」
突然、絹を裂くような悲鳴が響いた。
「何だ!?」
考えるより先に、力たちは走りだしていた。
力たちが路地裏で見た光景。それは、先程のアックスヘッズたちが、一人の少女に詰め寄っているシーンだった。
「いやです! 来ないでください!」
ウサギの少女が、弱々しく叫ぶ。
「へへへっ。お嬢ちゃん、ちょっとくらいいいだろ? 俺たちといっしょに遊ぼうぜぇ……!」
リーダー格らしき男が下卑た笑いを浮かべる。その手が少女の腕に伸びる。
その時。
「待てよ! その子嫌がってるだろ!? 離してやれよ!」
「あ!?」
男たちが振り向く。そこには、力、幸之進、そしてこころの3人が立っていた。
<to be continued......>
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エキサイターズ仕切り直し。キャラ名とか色々変更してます。 タイトルロゴはDr.Nさんに頂きました! #002 http://www.tinami.com/view/597974 |
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