EXCITORS エキサイターズ エピソード001「少年・ミーツ・少女」 #002
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EXCITORS エキサイターズ

エピソード001「少年・ミーツ・少女」 #002

TEXT/ILLUST by:尾岸 元(OXY_GEN)

LOGO by:Dr.N

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「ああ? 何だてめーらは?」

 アックスヘッズの一人がいぶかしげに問うた。

「フフフ……。悪党に名乗る名などないが、仮に猿喰 幸之進[さるはみ・ゆきのしん]とでも名乗っておこうかな。気軽にノシンと呼びたまえ」

 幸之進がニヤリと笑いながら答える。

「仮じゃねーだろ! 思いっきり本名言ってるてるじゃねーか!!」

 ツッコむ力。

「ゼン(じゃあ)、あたしは仮に太刀浦[たちのうら] こころって名乗っておくね。ザットはブラザーの太刀浦 力[たちのうら・ちから]だよ」

「こころまでマネしなくていいから! オレの名前まで教えてるし!!」

 グダグダである。

「と……とにかく、その女の子を離せ!」

「ああん? 中坊が正義の味方ごっこかぁ? こいつぁ傑作だぜ!」

 笑うアックスヘッズたち。その笑いが消える。

「なめたマネしてると、痛い目に遭うぜ……?」

 暴走族たちがそれぞれ格闘技の構えを取る。その数5人。いずれも大男だ。普通の中学生なら、相対しただけで震え上がっただろう。だが。

 力たちも構えを取った。力とこころは、軽く拳を握った、空手に似た構え。幸之進は、開いた右手を前に出し、左手を引いた、独特な構えだ。

「ノシン、その構えって何だ?」

 力が横目に見ながら尋ねる。

「通信教育で習った忍術の構えさ」

「通信教育……? 忍術……?」

 もはやツッコむ気力もない力であった。

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「おらあぁ!!」

 男が殴りかかってくる。力は体をわずかにひねってそれを軽くかわした。

「でやっ!!」

 次の瞬間、強く踏み込んだ力のアッパーが、男の顎に決まった。

「おごぁっ!?」

 のけぞって倒れるアックスヘッズの男。

「てめぇっ!!」

 いきり立って力に襲いかかった別の男が、後頭部に蹴りを食らって倒れる。こころのローリングソバット(飛び回し蹴り)だ。

「サンキュ! こころ!」

「ユアーウェルカムだよ! ブラザー!」

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 幸之進は、さらに別のアックスヘッズの男と対峙していた。男はボクシングのように体をゆすり、今にもパンチを打ち込んできそうだ。

「君はもう少し礼儀作法を勉強したほうがいいね。エレガントさが足りないよ」

 謎の軽口を叩く幸之進。その手のひらを相手に向け、クイクイと手招きする。

「っざけんなこらぁっ!!

 怒鳴りながら殴りかかってくるアックスヘッズ。その視界から、幸之進が消えたように見えた。男の大振りのパンチは虚しく空を切る。

「!?」

 幸之進はその場に身を屈めたのだ。そして、伸び上がりながら、みぞおちに手刀を叩き込む。

「ぃやーっ!!」

「ッゲホッ!?」

 泡を吹きながら後ろに数歩下がる男。

「うん、やっぱり打撃が軽いな。今後の課題というべきか」

 幸之進がひとりごちる。

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 力とこころがそれぞれ打撃を打ち込んだ二人も、首を振りながら起き上がった。

「てっ、てめえら! なめやがって! ぶっ殺す!!」

 アックスヘッズたちはチェーンや鉄パイプを構えた。バイクに積まれていた、板バネ製の模造刀を持ち出す者までいる。

「何か物騒なことになってきたな! そこの女の子、下がってろ!」

 力が拳を握り直す。その足元に、風が巻き始めた。

「あたしたちも、もっとシリアスにならなきゃダメだよね……!」

 こころは、両手を人差し指と親指を立てた拳、つまり指でっぽうの形にした。

「では、この猿喰 幸之進の、通信教育忍術の真髄をお見せしよう」

 幸之進は、懐から、なぜかミネラルウォーターのペットボトルを取り出した。

 

<to be continued......>

 

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