真・恋姫無双 刀蜀・三国統一伝 第八節_拠点:鈴との初デート、支え合う二人 |
まえがき コメントありがとうございます。もうすぐ夏休みだよ!全員集合!と自分の脳内俺を招集しまくってお祭り状態のsyukaです。その前に前期試験という山場があるのですが気にしません。さて、今回は久し振りのヒロイン別拠点です。以前より女の子が増えたので書く楽しみもうなぎ登りですね。それではごゆっくりしていってください。
おはよう、鈴だ。今日は実に機嫌が良い。一刀からデートに誘われたのでな。とは言っても・・・デートとは好いている者どおしでのんびりした時間を過ごすものだと流琉に聞いたのだが、如何せん私には経験がない。どうするべきか・・・。この機会に押し倒すのもありなのか?
「なんか難しい顔してるね。 考え後?」
寝台に座っている一刀がこちらに視線を向けてくる。
「今日のお前とのデートで何をしようかと考えているのだ。 私の初デートだ。 せっかくなら印象に残るようにしたいからな。」
「そう言えば鈴とはデートしたことなかったね。」
「桃香や百合たちとのデートについていった事はあったのだがな。」
「ついてきてたの? 全然気付かなかったんだけど・・・。」
「我が勾玉に入っていたのを忘れたか?」
「・・・忘れてた。」
少し顔を赤らめる一刀。あぁ、構ってやりたい。
「と、とりあえず! 朝ごはん食べたら出掛けるからね。」
「了解した。」
・・・
さて、支度を済ませて庭へ向かうと朝食が既に準備されていた。本日は昨日制裁?を喰らった蒼がつくったようだ。馬騰さんの命令だろう。
「昨日も思ったけど、蒼って自炊できたんだね。」
「姐さんと村にいた頃は一人暮らしだったからな。 村の連中に余り物を貰ったりもしてたが、どうにか自炊出来るようにはなったぜ。 姐さんという良い先生もいたからな。」
「なるほど。 清羅なら間違いないね。」
「蒼が最初に作ったものなんて人様には見せられませんもの。」
「うちのバカ息子が迷惑をかけたね。 韓飛さんが嫁に来てくれれば私の不安も一つはとれるんだが。」
「すみません、私には先約がいますので。(ちらっ)」
「清羅は俺がうちに誘ったからね。 責任は取らせてもらうよ。」
「不束者ですが、よろしくお願いします。」
お互いにペコッと頭を下げ合う。頭を上げると清羅と視線が合って思わず吹き出してしまう。
「ふふっ、何だかおかしいですね。」
「そうだね。」
「青春してるねぇ。 付き合いたての恋人のようだ。」
「あらあら、馬騰さん。 おだてても何もしませんよ〜♪」
「おだてちゃいないんだけどね・・・。」
馬騰さんの隣で蒼が苦笑している。
「兄貴、とっとと付き合っちまった方が姐さんも喜ぶぜ?」
「私は皆と一緒にご主人様に愛してもらうから問題ないわ♪」
「そうかい・・・。 もう何も言わん。」
呆れ顔をする蒼の隣で俺はのんびりとした朝食を楽しんでいた。
「それにしても、最初は鈴さんか〜・・・羨ましいですね〜。」
俺の隣で点心をもきふもふと食べる百合が呟く。なんだか子リスみたいで可愛いなぁ。癒される。
「ほら、口に餡が付いてますよ。 取りますからじっとしていてくださいね。」
「わぷっ。」
「劉協ちゃんはしっかりものなのね。」
「姉がこうですから。 私がしっかりしないと。 ・・・はい、取れましたよ。」
「いつもありがとね〜。」
「どういたしまして。」
天然の姉としっかりものの妹・・・ね。珍しいタイプだよなぁ。
「鈴々! 食事くらい落ち着いて摂らないか!」
「ご飯の時くらい好きにしたいのだ!」
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて。ね?」
「桃香様はご主人様と同じくらい鈴々に甘いです。 もう少しくらい厳しくせねば付け上がります。」
「愛紗よりお兄ちゃんと桃香お姉ちゃんの方が鈴々のこと、よーく分かってるのだ。」
「何だと!?」
「何をー!?」
「二人とも〜!」
わーわー!わーわー! あっちの姉妹は・・・どうなんだろ?むしろ友達?まぁ、俺の義妹たちだからあのくらい賑やかでもいいかなと思う。さて、仲介してこようかな。
「兄妹姉妹というのは同じというものではないのだな。」
「鈴さんには姉妹の方はいないのですか?」
「私にはおらんな。 というか、竜は基本生まれてすぐに独立するからいたとしても分からんのが正直なところだ。」
「へぇ〜、竜も大変なんですね。」
「そうでもないさ。 基本他の者たちに我関せずだからな。 私も一刀と出会わなければ地に降りることはなかったと思うぞ。 それはそうと、胡花に姉妹はいないのか?」
「私はいませんでしたね。 お母さんと二人暮らしでした。 それからお母さんが殺されて、奴隷として捕まって・・・平原に移動した際にご主人様に助けていただいたんです。」
「胡花捕らえた盗賊団はどうなったのだ?」
「ご主人様が殲滅してくれました。 今は跡形も残っていません。」
「そうか。 ・・・やはり時代が移り変わろうと愚か者はいるということだな。」
「何の話をしてるの?」
「ご主人様に助けていただいた時の話です。」
「なんか懐かしいね。」
「そうですね。」
あれから結構経つなぁ。まだ平原に拠点を置いてた頃だもんね。
「あの頃は胡花も朝弱かったからねぇ。 毎日起こしに行ってたのが懐かしい。 今もたまに起こしに言ってるけどね。」
「私なりに努力はしてるんですよ? けど、どうもお布団が気持ちよくて・・・えへへ。」
「俺的には可愛い寝顔を見れるから役得だったよ。」
「うぅ〜// それはまだ慣れません・・・。 今度、ご主人様の寝顔を拝みに行きます!」
むっと力を入れる胡花。力こぶは見えてないけどね。寝顔を見ますって堂々と宣言されてもなぁ。・・・ま、いっか。
「胡花が俺より早く起きてくるのを待っとくよ。」
「はい♪」
そんな会話をしながら朝食を楽しんだ。
・・・
時は昼前、今は鈴とデートということで市・・・の裏を歩いている。
「ね、ねぇ鈴さ。 人目に付かないとは言えこんなにくっつかなくても良くない?」
「でーとではこうするのが基本だと菊璃に聞いたぞ。」
母さん・・・これは多分、風香姉さんの入れ知恵もあるかも。
「それと一つ付け加えておくが、人前でもこのくらいはするつもりだぞ?」
「う〜ん、俺は別に良いんだけど・・・気にしない? どう見られてるか〜とか。」
「なぜ気にする必要がある? むしろ見せつけてやりたいくらいだ。」
「ならいいけど。」
随分と大胆になったなぁ。・・・前から変わってないか。
「それで、こんな路地裏に来てどこに向かっている?」
「前にこのあたりで店を構えてるおっちゃんたちと知り合ったからさ。 良い機会だし行ってみるのもいいかなって。 流琉や清羅が認めるほどだから味は保証出来ると思うよ。」
「ふむ、朝食から時間もなかなかに過ぎたしな。 私も珍しいものは一度食してみたいと考えている。」
路地裏を二人で歩きながら思ったことが一つ。鈴と目線が同じなんだよな。というか俺と身長が変わらないから当然と言えば当然なんだけどさ。うちで俺と背丈が同じなのは桔梗か紫苑くらいだもんな。祝融さんも同じくらいか。
「ん? 私の顔に何か付いているか?」
「いや、目線が同じだなぁって改めて思っただけだよ。」
「そうか。 私としては腕にしがみついても愛らしい一刀の横顔が間近に見えるからな。約得だ。」
「俺としても鈴の綺麗な顔が見れるからね。」
「もっと見て良いぞ。」
「じゃあもっと見る。」
「では私も。」
お互いにまじまじと見つめ合うこと一分。・・・恥ずかしくなってきた。というか顔が近いよ!
「なぜ顔を背ける?」
「恥ずかしいの!// 綺麗な顔がこんな近くにあるんだよ!? というか、鈴は恥ずかしくないの!?」
「まったく。 一刀の顔がみるみる真っ赤になっていって面白かったぞ。」
「〜〜〜//」
「ふふっ、また赤くなった。」
〜〜〜っ!自分の顔が真っ赤になってるのを自覚してるだけに言い返せない。というか言葉が見つからない。
「この話は終わり! それより早く行こう。」
「はいはい。」
なんか適当にあしらわれた気がするぞ・・・。少しもやもやを抱えながら俺たちは料亭へと向かった。
・・・
歩くこと数分・・・。
「ここかな?」
「ここだろうな。」
流琉に書いてもらった地図をもとに着いたところは、いかにも空き家というか外から見れば絶対に店とは思わない外装だ。目印といえば扉の横に店の看板らしきものが立てかけてあるくらい。俺と鈴はとりあえず扉をくぐり入店した。
「へい、らっしゃい!」
店長さんが出迎えてくれた。前に城の診療所で会ったから分かる。
「お、御使い様じゃねえか!」
「こんにちは。 席は空いてるかな? 二人分なんだけど。」
「空いてるぜ。 おい! 二名様お通しだ!」
「へい!」
俺たちはカウンター席に通される。活気溢れる声が店内に響き渡る。内装は居酒屋のような雰囲気だ。お客さんはそう多くないけど、出ている料理と食べている人たちを見て食通が集まっているのが分かる。
「今日は逢引かい?」
「そうだ。 今日は私の番なんだ。」
「今日は? っつうと明日は他の子なのか?」
「うん。 明日は張遼って子となんだ。」
「流石は御使い様だ。 何か秘訣とかあったりするのか?」
「う〜ん? 鈴、俺って何かある?」
「一刀は誰彼構わず優しいからな。 それで女も寄ってくるんだろう。」
「なるほど。 俺も参考にしてみるわ。 まっ、それは置いといて、とりあえず水を持っくる。」
店員さんは一礼すると厨房へと戻っていった。
「良い店だな。客が少ない上に路地裏にあるところから静けさに包まれている。この雰囲気は好きだ。」
「そうだね。 それに、内装とは裏腹に料理の品数も豊富だし甘味もある。 うちの子たちに教えてあげたら喜びそう。」
「普段は一刀たちの料理だけで外の食事はしたことがなかったからな。」
「確かにね。 そう言えば俺と会う前は食事とかどうしてたの? 空の上にいたら食べるものとかなさそうだけど。」
「体は大きくともほとんど動かぬからな。 食事もほとんどしなかった。 この体はなにぶん燃費が悪いからな。 まぁ、そのお陰で一刀の食事も楽しめるのだから不自由だと思ったことはないが。 むしろ毎日の食事が楽しみだ。」
「それは良かった。 普段から美味しいもの食べてて舌に合わなかったらどうしよう。 とか思ってたからさ。」
「そこは安心しろ。 私が今まで食した中でもっとも美味かったぞ。 自信を持っていい。」
「うん。」
そんな会話をしながら店員さんが来たから俺はサラダと酢豚、鈴はカニ入り炒飯とエビチリを頼んだ。食後のデザートは入りそうなら頼もう。ちなみに、鈴が頼んだのはどちらも大盛り。
・・・
料理が二人分揃ったから食べ始める。運んできた店長さんは俺たちの感想を聞きたいらしく、隣に立っている。
「ん! このサラダ美味しいね。 これは俺たちの世界でシーザーサラダって言うんだけど、何か隠し味があるでしょ! 俺が作ってるのと風味がちょっとだけ違うもん。」
「流石は御使い様だ。 よく気付かれた。 何を使っているか分かるかい?」
「う〜ん、ちょっと待ってよ〜。」
もう一口食べて咀嚼する。・・・このまろやかな舌触りとほのかな甘味は野菜のものでないのは分かる。もう一口・・・。
「分かった! 蜂蜜使ってるでしょ?」
「正解。 一応、うちの秘密だからな。 まぁ、野菜を盛り付ける際に一度試してみてくれ。 小さじ少々ほどで大丈夫だからよ。」
「ありがと。 今度やってみるよ。」
俺が店長さんと会話している間も鈴は黙々と箸を進めている。というかもう炒飯が残ってない!?
「鈴、食べるの早いね。」
「腹が減っていたからな。 店長、どちらも美味しくいただいた。」
「ありがとうございやす。」
俺がサラダを食べ終わる前に全部食べ終わっちゃった。意外と鈴々や恋みたいに大食いだったりするのかも。
「御使い様が逢引に来たことだし、宴会でも開こうと思うんだが、どうだい?」
「また今度お願いしようかな。 今日は初デートだからね。 食後は二人でのんびり過ごしたいんだ。」
「なるほどな。 じゃあ今度来るときは皆様お連れしてくれや。 盛大に歓迎するぜ!」
「ありがと。 あっ、その時は特上のメンマを作っておいてくれると助かる。」
「趙雲様のことだな。」
「あれ? 話したっけ?」
「韓飛様が言ってたからな。 まぁそこは抜かりなく準備しとくから安心しな。」
「ありがとね。」
俺たちは食事を終え、今度は市へ・・・と思ったのだけど、静かな場所に行きたいということで森を抜け川辺のほうに向かった。
・・・
「やはり自然溢れる土地の方が落ち着くな。」
「同感。」
俺たちは食休みということで木陰に入り、木に寄りかかっている。
「一刀のそばにいるとやはり落ち着くな。」
「いきなりどうしたの? 藪から棒に。」
「いや、ただそう感じただけだ。 深い意味はない。」
「そっか。」
俺たちは無言のまま、ただゆったりとした時間が過ぎていく。木々のせせらぎと小鳥のさえずりが至福の時を形成している。
「一刀は・・・。」
「ん?」
「一刀は現状をどう思っている? 王となり、人の上に立ったものとして何を感じている?」
「俺? 幸せだよ。」
「なぜそう思える?」
「この立場だからこそ皆と出会えて心地良い時間を過ごせてるし、民の笑顔も見れるから。 自分たちの努力で街を、民の生活を形成していけてるって実感もあるしね。 こうやって鈴とデートも出来るのも大きいかな。」
「やはり人間と竜の違いか。 私は四竜の王だが、守る民もいなければ愛する者もいなかった。 ただこの地を見つめ、人間の歴史が移りゆく様を観察する日々が続いた。 竜どうしのいざこざは多少なりあったが、特に大きな問題はなかったからな。 私にとって一刀との出会いは運命すら変えたのかもしれぬ。」
「そんな大袈裟な。 それと、俺は王としてでなく一人の人間として幸せを反芻してるんだ。 鈴にもそう感じてもらえたらいいな、とは思ってるよ。」
「幸せ・・・か。 お前と一生を添い遂げられるのなら見つけられるかもな。」
「それで役に立てるのなら俺も頑張るよ。」
「くすっ、それは私からの求婚を受けると解釈しても良いのだな?」
「・・・!」
よく考えればそうじゃないか!いや、冷静に考えなくても求婚そのものだね。
「私としてはお前の嫁が何人いようが構わないと考えているぞ?」
「まだ俺もそこまでは考えてないよ・・・。とりあえず、三国同盟が締結してから。 まっ、その時が来たらちゃんと俺から言うから。」
「そうか。 では期待して待っておくとしよう。 私の愛を受け止められるかな?」
「大丈夫。 むしろ鈴のそれよりもっと大きいもので跳ね返しちゃうから。」
「ほう。 それは楽しみだな。 ではその時まで、お前のとなりでお前を支えよう。 もちろん、妻となりし後も・・・。」
「二人を分かつは死のみ。ってやつ?」
「お前が死んだら転生したお前の妻になってやる。」
「あはは、そりゃ大変だ。」
二人でくすくすと笑い合う。こんな時間がずっと続けばいいなぁ。
「永遠の一刀への愛を誓おう。 黄竜の名のもとに。」
鈴が唇を近づけ、キスをする。それは未来の結婚を約束する儀式のように思えた。
あとがき 読んでいただきありがとうございます。鈴との拠点、いかがだったでしょうか。鈴さん、個人的にはめっちゃ好きな人ですねぇ。や、竜か。それにしても竜って、存在するとしたら何食べてるんでしょうね?書いててふと気になってしまいました。鈴さんをもっといちゃつかせたい!作者的には鈴さんが攻め、一刀さんが受けという印象ですね。人物像が少々我の強いお姉さんですので。 それでは次回 第八節_拠点:霞の葛藤、悩み事の解消法 でお会いしましょう。
説明 | ||
何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。 | ||
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コメント | ||
サラダの蜂蜜以上にあま〜〜〜っぃ♪(らっしぃ) ある小説で竜は大きくなると日の光からエネルギーをもらうとかいう事を書いてあったような気が…鈴さんがそうなのかは分かりませんが。しかし鈴さんが一刀の嫁…子供が産まれたらどういう子になるのやら。(mokiti1976-2010) さすがは鈴ですね、一刀を手玉に取るとはw(本郷 刃) 店員が普通にサラダとか言ってるのはおかしくない?(アルヤ) 甘いなぁ〜もうお前ら結婚しちゃえよ!!って感じですね。(Fols) メンマ好きは星だよ。霞は酒が大好物だったような。(西湘カモメ) |
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