魔法少女リリカルなのは☆ |
魔法少女リリカルなのは☆
海鳴りの街、窓辺から海浜公園にむかって流れ落ちる流れ星を見つけて、
私は自室から抜け出して朝方の町を自転車で進む。海浜公園の駐輪所に自転車を止めて、
あたりを探すと・・・私の目の前に突然、流れ星が落ちてきて・・・
びっくりして身を竦ませる私の胸にその強い光が飛び込んできた。
「あれは、夢だったのかな?」
・・・ひどく現実味のない。でも、胸を摩るとほのかに熱い感覚が、あの星を受け止めたときに感じた熱さが残っていた。
それが、私が魔法少女になる最初のきっかけだった。
夜勤の準備をしつつ夕食の準備、帰ってくる人に会えないのがさびしいな。
でも、それが私の仕事なんだって思っている。人を守る仕事。私のお仕事はその夜を守る仕事。
サムライ型魔導士。ベルカやミットチルダとも違う古代魔導術式伝承保有者。
管理局の局員の制服に身を包み、夜を守る夜間警護騎士が私の職場。
首都防衛隊に所属し、犯罪の未然防止や防災の初動活動などといった多岐にわたる活動を行っている。
その部署のSSSランクが私、桜庭愛。自宅に戻っている局員に有事の際は即時伝達。命令系統の構築前の暫定指揮権を有し全局員を動かせる。
日本呪術を取得し、陰陽道の使い手でもある愛は限定的な未来予知と危険回避。
「式神」と呼ばれる単眼の漆黒の鎧武者集団を統率し各主要施設の警護および、防衛に当たっていた。
局員の当直はあるものの、武装局員が温存できるようになったのは桜庭愛の入局が大きいといえた。
「黒鬼」たちはベルカの騎士と同等の戦力を持ち、かつての神としての零落した存在なため力が強く、主君である愛のみ命令を聞くため
管理局上層部も愛にそういった権限を与えるしかなかったというのが本音である。だが、今まで夜間警護に当たっていた人員が大幅に削減できたことは
大きく、通常は札(地雷式の発動型警護式神)であるため管理局のイメージダウンにならなかった。
「・・・愛ちゃん、顔色悪いよ?大丈夫?」
そうだとしても管理局を壊滅しかねない個人騎士軍を有する人間をそのままというわけにもいかず、常時二名のエースを監視に当たらせた。
古い友人であり、幼馴染でもある高町なのはとフェイト執務官である。とくに高町教導官は愛と同棲し一緒の社宅で暮らしていた。
それはヴィヴィオが高町なのはの娘になっても変わらず親子は愛に変わらない愛情を注いでいた。
入局前後の事件でもわかるが桜庭愛にはある致命的な欠点があった。
一週間に一度行わなければならないある事。なのははその相手をよくしたが、フェイトもはやてもその相手を買って出ることもあった。
定期的に行わなければ愛は情緒不安定を引き起こし黒軍の指揮を低下、黒軍がもとの魔軍となることも危惧されていた。
過剰な抑制は愛の指揮系統を鈍らせるだけであり、主のみに忠誠を誓う騎士たちの反感を買う怖れもあった。黒い鎧武者たちは桜庭愛の防衛機構
そのものであり、防衛機構としては『闇の書』の管制融合騎とほぼ同等の魔法力を有している。
主が不当な抑圧を受けていると判断すれば黒軍は総力を結集し全力で障害を排除するだろう。
「うん。へーき。…心配してくれるの?、ありがとう」
混沌の魔軍を統べる少女は、魔王となれる未来を放棄した。
この力を役立てたいと願うようになったのは18歳の頃、
この物語は、その前、魔王となる可能性を秘めて高町なのはたちと戦いを繰り広げた頃のお話
魔法の覚醒と海鳴市を舞台とした魔法少女たちの戦闘の記憶。
・・・不思議な夢を見ることが多くなった。
何処とも知らない土地。控えるのは黒い甲冑をまとう鬼の群れ。
私はその鬼武者たちを指揮して空飛ぶ戦船を駆け、敵陣を打ち崩す。魔法の光を打ち破り、国を滅ぼす。
赤い戦衣を身に纏い、『魔王』と呼ばれるその男性の瞳を通して世界を見ていた。男は吼える。この争いを治め世界を平和にしなければならないと
赤い王様と黒い騎士たちの物語を私は夢の中で見続けていた。
『主との紅玉の戦衣の同期を確認』
主を守る防衛機構。黒い鎧の騎士たちは少女の夢の中で目覚めていく。
壮年の騎士が目覚めた仲間を見回した。銀色の口髭を生やした初老の男性。名はマサナリ。
「幼い身に過ぎたる力かと心配していたが、主の魔力量は歴代の王と比べても遜色なし。我らが仕えるべき君主であろう」
「それは早計というものだ。主は幼く善悪の判断はつかぬ。我らが支えねばこの世の悪害となろうぞ」
「まずは戦の調練で資質を高めなければ。力に飲まれかねん。それでは我らの宿願が果たせぬ」
「しかし、主自体が目覚めてもいない状況では私たちが教え諭すこともできないのではありませんか?」
一同を見渡し、一軍の老将は頷く。
「ではまずは我らの戦の経験を追体験していただき、目覚めを待つ」
少女の夢の中で騎士たちの戦いは始まった。
その戦いはいやおうがなく少女を闘いの渦中に巻き込んでいく。
「・・・紅玉の戦衣ですか?」
時空管理局データベース『無限書庫』司書長に就任したユーノ・スクライアは困惑していた。
発掘現場から盗掘されていた遺失物が失踪したという。
古代ベルカ時代の王、聖王と敵対し覇権を争った最大の勢力『魔王』の霊廟が盗掘を受けているという情報をスクライヤの身内から受け、
クロノ執務官の協力もあって盗掘犯を拿捕して初めて判明した。
「なんでも、赤い流星となり別の世界に飛んでいったと」
伝説にもあります。霊廟が暴かれ王の剣に危機が訪れたとき、王の剣と戦衣は次の後継者を求め流星となると。
「おそらく、転生機構をもった遺失物なんでしょう。」
闇の書。いや、夜天の魔導書と同じ能力を持つと思われる存在にユーノはなのはたちに協力を要請しようと思った。
(この事件でなのはの自信が取り戻せればいいけど・・・)事件で重傷を負い一時的に局の仕事を離れていたなのは。
両親の反対もあり、休職状態となっている。それは、執務官になりたてのフェイトやはやてにも重くのしかかっていた。
・・・たぶん、闇の書事件を越える事件になりそうな予感がある。ユーノはこの事件解決に「高町なのは」の存在はなくてはならないと思っていた。
海鳴市、喫茶店翠屋。
「なのは、今日も愛ちゃん来てるよ?」
桃子お母さんの声になのはエプロンを脱ぐ。同じ聖祥大付属小学校の制服姿でテーブルに座ったセミロングの女の子を見つけ、
なのはは微笑みかける。ケーキが大好きというその子はなのはが通っていた病院で知り合った子。怪我をした自分を勇気付け励ましてくれた
その子の笑顔になのはは友達になって・・・今ではすずかやアリサとも仲良し。フェイトやはやてとも友達になっている。
「絶対、許せないよね!当たり屋なんてさ」
そう語尾を粗くする愛に苦笑してしまう。すずかやアリサには管理局のお仕事の事はわかってもらえたけど、
愛ちゃんには未だ話せないでいた。なので、自分の傷のことは「交通事故」ということにしてある。運が悪かったと苦笑した自分を抱き寄せ泣いてくれた
愛になのはは居たたまれなくなってしまう。「悪いことをする人が悪い」とはっきり言う愛をみていて嘘をついている事がとても心苦しく思う。
愛ちゃんに話すことは躊躇われた。それは巻き込んでしまうと思うから。自分を襲撃した相手は未だ見当もつかない。
・・・話すことで危険に巻き込んでしまうかもしれない。そういう思いが高町なのはの心を萎縮させていた。
怪我をして両親を心配させた。友人に悲しい思いをさせた。
局の仕事に復帰しても、この気持ちでは闘えない。また、同じ事をしてしまいそうで・・・すごい、怖い。
怪我をして自分の無鉄砲と慢心が見えた。願いを通すためにがむしゃらに、でも、そんなことを続けていてはダメだって気づいたから。
愛は親身に通ってきてくれた。
悩みを聞いてくれた。それは桜庭愛にしか聞けないこと。
はやてちゃんには告げることの出来ない「贖罪」の道にいるはやてちゃんに心配させられない。
フェイトちゃんにはいっぱい心配かけちゃって執務官試験をダメにさせてしまった。これ以上、負担をかけるわけにはいけない。
魔法のことを知っているアリサちゃんやすずかちゃんにも抱えている不安や悩みを話すわけにはいかない。もっと心配しちゃうから。
・・・強がってばかりの自分を何も知らない愛ちゃんだけが励ましてくれる。
強がらない。強がらなくていい私を励まし、勇気をくれる。フェイトちゃんもはやてちゃんも大親友だけど、愛ちゃんは特別な人になりつつあった。
悪を憎む心。強い闘志。
愛は夢の中で戦場を駆ける。赤い戦衣を身に纏い剣を避け、槍の一撃をかわす。
魔導の閃光を受け止め、攻撃を切り返す。騎士たちが定義する戦場を打ち破っていく愛に防衛機構の騎士たちも次第に懐疑的な視線を改め、
愛を認めるようになっていた。『思い描くのは最強の自分』。友を思う正義の心。なのはを守ろうとする強い意志は愛の魔導士としての成長を促し、
あとは・・・主本人の闘う決意のみが起動のキーワードになった。
自ら闘う決意。誰の強要でもなく自身で運命を選ぶ。これが甘えや弱さを捨てる王としての決意となる。
「くそっ、大部分が管理局につかまったか」
盗掘犯の統率者は舌打ちした。・・・依頼は順調だったのに遺跡の罠解除を依頼したスクワイアから情報が漏れるとは。
研究者からの依頼で「魔王」の遺品を収拾しているというその依頼とメッセージをよこした銀髪の秘書の提示した金額にこれはヤバい仕事だと。
思ったが、その予感は的中したようだ。・・・だが、打ち込んだビーコンに反応がある。そして、その研究者から保険として預かった剣が男に勝機を
もたらすだろう。発掘した年代ものの魔王の剣。事象を限定的に支配するこの魔剣があれば・・・怖いもんはねぇ。
男は次元航行船のキップを手にターミナルから一番近い管理外世界へ行くことにした。
・・・そこから、闇業者に金を払い、97管理外世界へ渡航すればいいだろう。
遺失物はその性質上、受け入れられる固体を識別し、融合しようとしているはず。最悪、拉致することになるだろうが。
子供が行方不明になることなんざ、そんなに驚くことでもねぇ。・・・案外、適応するかもしんねぇしなと勝手に思い込む。彼もまたそうだあったのだから。
「・・・なのは」
その念話にぴくんと反応した。
「ユーノくん。・・・どうしたの?直接、お話してくるなんて」
司書の仕事もあってなかなかお話が出来なくなっている。・・・本当はユーノくんに相談にのって貰いたかったのに。
「その、連絡できなくて・・・ごめん。なのは」
「ううん。いいよ。お仕事、忙しいのわかっているから。・・・私こそ、ごめんなさい」
気まずい空気の中、ユーノは話を変えるように「ロストロギア」の話をした。
「・・・紅玉の戦衣?」
「ああ、闇の書、夜天の魔導書と同じ転生機能を有した古代の王の鎧。それが地球に落ちたみたいなんだ」
現在、クロノ提督がアースラで追尾中なのだという。はやてやシグナムたちも捜索に協力してくれているらしい。
「なのは。戦衣は魔力の高い土地で自分にあった子に宿る融合型のロストロギアなんだ。そして、なのはの周りでその波動を感知した。」
・・・心当たりはない?その言葉に愛の言葉を思い出す。
「ん、最近。映画みたいな夢みるんだよね。」
・・・どんなゆめ?
「こう、魔法みたいな光を避けたりするの。楽しいよ」
そう微笑む愛の顔。高町なのははレイジングハートを握り締めていた。
桜庭愛に危機が迫っていた。そう感じた。そのロストロギアを探して未だつかまっていない盗掘犯のリーダーが動くかもしれない。
幾度もロストロギアに携わり、教導官としての直感がそう感じた。友人として愛を守らなければ。弱っていた心に再び躍動する意志が芽生える。
高町なのはは魔法少女となり、変身して空に舞い上がった。愛の姿を探すのならこの格好のほうがわかりやすい。
データとして転送された魔力パターンから算出した情報と照らし合わせる。
「おらぁ・・・邪魔するなら、おめぇから死ねぇー」
高町なのはに襲い掛かる盗掘団の男。未だ、魔法の戦いに恐怖があるなのはの動きに繊細さはない。
「なのちゃん・・・危ない!」
振りかぶった袈裟懸けに飛び出した愛。その攻撃が当たる瞬間。闘う決意とともに最終防衛機構が解除された。
赤い炎の渦が巻き起こり、桜のような花びらが愛の身体に纏わりつき「強い自分」へと進化する。魔王の剣は正統な所有者に触れ、
彼女の意志に従い、分解して拳に纏う手甲に姿を変え、その爆発が収まったとき、桜庭愛が望む「最強の自分」を顕現させていた。それは、
栗色のセミロングの左右を飾る赤い髪飾り、
重厚な赤い手甲と首に巻いたリボンチョーカー、チューブトップの赤いハイレグ。赤いブーツ。
男の首にめり込むハイキックで一瞬にして失神させた愛。取り囲むように駆けつけたヴォルケンリッターとフェイトを前に愛の防衛機構から黒武者たちは
敵意をむき出しに魔導師たちを睨みつける。なのはの前には愛。白い防護服の高町なのはと、赤い水着の桜庭愛。
「主の覚醒、喜ばしい。だが、貴様らが主に敵対するなら切り捨てるぞ」
鎧の鬼武者はそう威圧的に刀を青眼に構える。その行動にシグナムたちも攻撃しようと身構える。
「紅衣の騎士団・・・か?」
黒刃を構える単眼の鬼武者たちを見てシグナムがかつてベルカ時代に見聞きした呼び名を告げる。
然り、我ら王に付き従う臣下。貴様らと同じにして古のベルカの業を振るう武者なり。シグナムたちとは異なり、具現化した十騎はそれぞれ槍や弓で武装
している。その鎧の瞳はすべて赤い単眼。威圧的な殺気を周囲に放ち威圧している。
その均衡をやぶったのは・・・
「そんことはしない!」
むっとした表情の愛だった。
斬るとか、殺すとか絶対にダメ。争いを収めるために闘うのに、相手を傷つけたら本末転倒でしょ?
そんなことじゃ世界は変わらないし、ベルカの戦乱の時代だって変えられない。だったらどうすればいいかわからないなら教えてあげる♪
ほかんとする一同に、愛は微笑んで見せた。
『相手が闘いたくなくなるまで何度も闘って凹ませればいいんだよ♪』
んと、なのちゃんはこの遺失物を回収したいんだよね。
でも、この遺失物は自分のしたいことがある。なら、お互いの筋を通すために闘わないとダメだよね。
でも、私は傷つけるなんて絶対にイヤ。
なのはちゃんもフェイトちゃんも、はやてちゃんも私は親友だって思っている。
だからね、『プロレス』で決着をつけようと思うんだけどどうかな?
その提案を受けて・・・私は防護服を『水着』に変えて桜庭愛ちゃんと闘った。
それは、高町なのはがもう一度飛ぶために必要な闘いだったことはよく覚えている。
こうして復帰できたのも、傍らで微笑むヴィヴィオに優しく語り掛けられるのも愛ちゃんがいたからこそ。
スバルやティアナにこの思いを伝えられたのも桜庭愛という少女が私に勇気をくれたから。JF事件の後に私たちのために入局してくれた愛。
その優しさに私たちは変わらない愛情を愛ちゃんに向けている。
「私、高町なのはは言います。
桜庭愛は、最強の美少女レスラーだって。心に勇気を与えてくれた私の大事な・・・ね♪」
説明 | ||
魔法少女リリカルなのはで新たな女主人公。 出会ったのはなのはが負傷し今だ精神外傷を抱える頃。 記述はありませんが、リハビリも含めて精神外傷は相当のものだったと判断。それに対し励ました人間が必ずいたと思います。 フェイトちゃんやはやてちゃんではなく、 アリサちゃんやすずかちゃんでもない人物。その人物があるロストロギアと生体融合し、魔法少女となった。 しかし、その少女は争うことを良しとしても相手を傷つけることを是としない。 ならば、「プロレス」でとあいなります。 まあ、これ、プロローグ的な物語なんで。基本的にリリなの多いですから 同じ事をしても意味ないし、どんなトンデモ能力つけても意味ないですから。むしろつけない方向で。 さあ、リリカルなのはで、美少女プロレスだー。 最初は誰が相手かはアンケートおよびコメントで。 |
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