真・リリカルなのは 第八章 時空管理局入隊編 第八話 ミスショット |
ヴィータがウルフとシャークを倒してから1カ月後、今度はシグナムが任務を言い渡された
シグナム「工場を占拠して、立てこもり?」
上司「ああ、悪いがお前に出てもらいたい」
シグナム「わかりました」
上司「頼んだぜ」
シグナム「その立てこもっている犯人の名前などはわかっているのでしょうか?」
上司「いいや。多分初犯の奴だ、大したことはないと思うがな」
シグナム「そうですか、では行ってきます」
シグナムは部屋を出る
ヴァイス「任務ですか? 姐さん」
部屋を出ると、すぐそこにヴァイスが立っていた
彼はシグナムの副官的な存在である
シグナム「ああ、お前も来い。運転してくれ」
ヴァイス「わかりましたよ」
2人は車に乗り込む
ヴァイス「で? 何所です?」
シグナム「近くの工場だと言っていたからな、アントリーの工場だろう」
ヴァイス「え!?」
シグナム「どうした?」
珍しく大声を出すヴァイスに驚き、どうしたか尋ねる シグナム
ヴァイス「……………今日、妹が学校の工場見学で、アントリーの工場に居ます」
シグナム「何だと!?」
ヴァイス「姉さん……………アントリーの工場で何があったんです?」
シグナム「実はな、その工場で立てこもっている奴がいるらしい」
ヴァイス「!?」
シグナム「ヴァイス、逸る気持ちはわからんでもない。だが、今は冷静になれ!」
ヴァイスの胸ぐらを掴んで、冷静になることを悟らせる シグナム
ヴァイス「……………はい」
シグナム「スマン…………強く言い過ぎた」
ヴァイス「いえ、姐さんの言ってることが正しいですから」
シグナム「安心しろとは言えん。だが、必ずお前の妹は私が助ける。だから、落ち付いて行け」
ヴァイス「はい」
〜アントリーの工場前〜
隊員A「クソッ」
不味い……………初犯にしては、かなり手慣れているぞ
シグナム「状況を話せ!!」
隊員A「こ、これは、シグナム三等空尉!」
シグナム「犯人は何が望みだ?」
隊員A「いえ、それが………………………特に何もないらしく」
シグナム「何?」
どういうことだ………………では、何故立てこもりなどしたのだ……………
隊員B「シグナム三等空尉、あれを!!」
シグナム「ム?」
隊員が指を指している方を見てみると、
犯人「ヒャッハッ!!」
女の子「うわ〜ん!! 怖いよ〜!!」
人質を取っている犯人が、窓から姿を露わした
シグナム「クッ 人質を取られていたか!!」
隊員B「そんな!! あいつは!!!」
隊員Bは、犯人の姿を見て驚く
シグナム「知っている奴か?」
隊員B「はい、俺達の同期です」
シグナム「ッ!!」
元管理局員ということか!!
隊員B「アイツの名はパルプ・メーカーです」
シグナム「何故、管理局員である奴がこんなことを?」
隊員B「わかりません」
ヴァイス「姐さん! オッサンからの通達で、最悪射殺しろってッ!! ラグナ!!!!」
シグナム「どうした?」
ヴァイス「………………………………………………………」
動揺して、シグナムの質問に答えられない ヴァイス
隊員A「人質が妹ということですか?」
ヴァイス「あ、ああ」
シグナム「なんだと!?」
ヴァイス「何で……………こんなことに…………」
片手で顔を覆い、どうすればいいかわからず、悩む ヴァイス
隊員A「私に考えがあります」
シグナム「何だ?」
隊員A「あのビルの屋上からなら、犯人を狙えます」
シグナム「そうか、お前は銃の腕は確かか?」
隊員A「この中でなら……………………」
シグナム「頼めるか? 奴が持っている銃を弾いてくれればいい」
ヴァイス「俺がやります!!!」
シグナム「何を言ってるんだ! ヴァイス!!」
妹が人質にされ、動揺している人間が引き金を引くなどタブーである
ヴァイス「お願いします! 姐さん!! もし、万が一、他の奴の銃弾がラグナに当たっちまったら……………俺は一生…………そいつ許せなくなる」
シグナム「しかしだな……………………」
いや、ヴァイスの腕は確かだ
この目で何度も見ている
しかし、自分の家族が人質の場合、そこから必ず動揺が生まれる
シグナムは悩む
果たして、動揺している人間が、まともに狙いを定められるかを
ヴァイス「俺、行きます!」
ヴァイスは自身のデバイスを持って、ビルに入って行く
シグナム「ヴァイス!!!」
あの馬鹿!!
隊員A「信じましょう、ヴァイス曹長の腕を……………」
〜屋上〜
ヴァイス「良し!! この距離なら外さず狙える!!」
スナイパーライフルを構え、パルプに狙いを定める
しかし、どうもピントが合わない
手が震えているのだ
もし、外してしまったら……………………
そのことを考えると、不安で一杯だった
ヴァイス「…………しっかりしろよ…………たかが、60mだろ?」
ヴァイスは自分に言い聞かせる
しかし、やはり不安が襲ってくる
もし、外した場合、妹は間違いなく殺されるからだ
しかも、非殺傷であるため、一撃で犯人が気絶するとも限らない
ヴァイス「クソッ!! 情けないぞ! ヴァイス!! テメェの妹ぐらい、テメェで助けろ!!」
今度こそ狙いを定める
ヴァイス「俺の妹を人質に取ったこと……………………後悔しやがれ!!!!!」
ヴァイスは引き金を引く
弾は真っ直ぐ、犯人に向かっている……………しかし
僅かにズレていた……………………この僅かなズレが最悪の事態を招く
ヴァイス「ッ!!!!!!」
銃弾は命中した………………………………………………………………………妹の………ラグナの左目に…………
パルプ「ッ!!!! な、何だ!!!!」
パルプは動揺してしまい、人質を手放す
それが、パルプの最大のミスだった
隊員A「突撃!!!!」
シグナム「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
シグナムは一気に二階まで飛び上がり、
シグナム「愚か者がぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
渾身の蹴りをお見舞いする
パルプ「ゲホッ!!!!」
パルプは気絶する
シグナム「大丈夫か! 少女よ!!」
シグナムは、ラグナの所まで駆け寄る
ラグナ「うぅぅ 目が…………痛いよ…………」
彼女は左目を抑えている
シグナム「………………………………………………」
左目は完全に光を失っていた
失明は確定だろう
シグナム(ヴァイス……………………………)
〜病院〜
ヴァイス「先生!! ラグナは!!!!」
医師「残念ですが、左目は完全に修復不可能です」
ヴァイス「…………………そうですか」
医師「申し訳ありません」
ヴァイス「いえ、先生の所為ではありませんから……………」
ヴァイスはゆっくりと、部屋から出ていく
すると、そこにはシグナムが立っていた
ヴァイス「姐さん…………………………」
シグナム「ヴァイス、そこに座れ」
ヴァイス「……………はい」
シグナム「その様子からして、妹の目はダメだったらしいな」
ヴァイス「………………………………………………………」
シグナム「落ち込むなとは言わない、お前の所為ではないともいわない………………………お前は妹の視力を奪った」
ヴァイス「………………………………………………………」
シグナム「だが、妹はお前に感謝していたぞ」
ヴァイス「……え?」
シグナム「お兄ちゃんのお陰で、死なずに済んだ………とな」
ヴァイス「…………ラグナ」
シグナム「しっかり前を向いて歩け…………そうでなければ、妹の視力の犠牲は本当に無駄になる」
ヴァイス「………………………………………………………………」
シグナム「行くぞ、妹の病室へ」
ヴァイス「……はい」
自身のミスショットで家族を傷つけてしまった ヴァイス
それと同時に、自分の心にも深い傷を負ってしまった
それから彼は、銃を握らなくなった
それが、唯一の償いだと思ったからだ…………………
次回は、お待ちかね!! はやて視点となります!!
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