ダンガンスクール[1] 舞園さやか |
【ダンガンロンパIfストーリー・ダンガンスクール】
【希望ヶ峰学園デノ生活】
【第1話・舞園サヤカ】
【超高級のアイドル】
【シガツ・ジュウニニチ】
超高校級の生徒を集める私立希望ヶ峰学園。そこに通う生徒は一流の生徒ばかりだ。しかし、その中でも苗木誠は彼らの中でも異彩を放っている。
【超高校級の幸運】。私立希望ヶ峰学園では、ランダムに中学3年生の1人を選出し、その生徒を【超高校級の幸運】として私立希望ヶ峰学園で通わせるのである。苗木誠はそう言った経緯で学校にやって来た、所謂イレギュラー的存在であった。他の超高校級の才能を持つ彼らに比べて、自分はなんと愚かな、ちっぽけな存在なんだろうと彼は思っていた。
「はぁ……」
と、苗木誠はクラス内で教室をモップ掛けで掃除しながら窓を見てそう思った。何故、こうなっているかと言うと原因はその前の皆で決めたあみだくじのせいだった。
彼らの才能は個々において色々と差異があり、他の物で比べるとなるとそれぞれに得手不得手が生まれてしまう。と言う事で、あみだにて今日の掃除当番を決めることになったのだが、その選ばれた生徒である【超高校級の暴走族】、大和田紋土が
『こんな面倒な事、やってられるか!』
と、早々に帰ってしまったからだ。そんな彼を見て【超高校級の風紀委員】である石丸清多夏は
『待ちたまえ、大和田君! クラス内で決めた事には従うべきだ!』
と、なんともまぁ彼らしい言葉と共に彼を追いかけて行ってしまったのだ。
『じゃあ、苗木がやれば良い。俺は帰らせてもらうぞ』
【超高校級の御曹司】である彼、十神白夜がそう提案し、苗木もそれで良いかと思い反論しないでいるうちに彼が掃除当番に決まってしまったのである。
「はぁ……やっぱりこの学園に来たのは失敗だったのかも知れない」
と、彼はそう思っていた。
彼自身は超高校級の才能を持つ彼ら彼女らに憧れていて、そんな彼ら彼女らの助けになれば良いと思っていたが、実際は違った。彼ら彼女らは自分なんかとは圧倒的に格差がある超高校級の才能の持ち主で、彼ら彼女らに自分なんかが助けられることなど何もなかった。今では彼自身の方がここに居て良いのかと贔屓目を感じるくらい、彼は落ち込んでいた。
(ボク、本当に不幸だな……)
と、自分の運命を嘆いていると扉を開けて1人の少女が入って来た。
「【超高校級の幸運】である苗木君が不幸だと思ってしまったら、この世界の高校生の全員が不幸みたいじゃないですか」
笑いながら入って来た彼女を見て、苗木は緊張する。
「ま、舞園さん!?」
舞園さやか。【超高校級のアイドル】。
人組の国民的アイドルグループでセンターマイクを務める、黒髪ロングヘアにセーラー服、白いラインの入ったニーソックスという正統派の美少女。苗木の中学の時の同級生であり、苗木にとっては高嶺の花みたいな存在の彼女だが、一度もクラスが同じになった事が無いのに苗木の事を覚えていてくれた、苗木にとってこの学校で唯一友達とも言えるような彼女である。
「どうして、ボクが不幸だなと考えている事が分かったの?」
「私、エスパーですから」
「からかわないでよ、舞園さん」
はぐらかして笑う彼女に、苗木はそう言いながら心地よさを感じていた。そう、全てが安らいでいくような、そんな心地よい感覚。
「舞園さんはどうしてここに?」
「苗木君を呼びに来たんですよ」
「ボクを?」
突然の来訪の理由に対して苗木はきょとんとしていたが、舞園さやかは言葉を続ける。
「最近、物騒になって来ているじゃないですか。私、【超高校級のアイドル】ですから安全を確保したくて」
「それだったら――――――」
(ボクなんかよりも、大神さんや石丸クンに頼めば良いんじゃないかな)
と考えていると、
「いえ、大神さんや石丸君じゃなくて苗木君が良いんです」
とまたしても考えを読まれるようにして言葉を返された。
「……舞園さん。どうしてボクの考えている事が分かるの?」
「私、エスパーですから」
「だからからかわないでよ」
「それはともかく―――――――」
そう言って、近くにあった机に座る舞園さやか。その席は狙ったのか、そうでないのかは分からないが苗木の席だった。中学時代に高嶺の花と思っていた彼女のこんな姿を見てどきりとする苗木。それを見て、舞園さやかはクスクスと口に手を当てて笑う。
「苗木君って本当に面白いですね。中学と何も変わらない」
「そうかな? ボクだって成長していると思うよ?」
「例えば?」
「し、身長とか?」
その言葉を聞いて、舞園さやかは腕を組んで頭をコテンと横にする。その姿もやはり【超高校級のアイドル】である彼女の為せる技なのか、妙に可愛らしかった。
「私が言いたいのは、そう言う事じゃないんですけどね。
まぁ、良いです。苗木君、今日、私は苗木君と一緒に帰りたいんです」
「そ、それって……」
もしかしてボクの事が好きなんじゃないかと思う苗木だったが、すぐにアイドルである彼女が自分なんかを好きになるはずがないと思う苗木。
「どうしたんですか、苗木君?」
と、無防備に顔を近づける舞園さやか。そんな彼女の可愛らしい顔を見て、「ううん、なんでもない」と返すのが苗木の出来る精一杯の行動だった。
「じゃあ、掃除が終わったら一緒に帰ろうか?」
「手伝いますよ?」
そう言って、ロッカーを指さす彼女。苗木は良いよと言うが、舞園さやかは首を振る。
「私が好きでやっているんです。今だけは苗木君の助手、と言う事で」
そう言って、机から立ち上がり、ロッカーの中からモップを持って掃除を始めてしまった。
「ボク1人で大丈夫なのに……」
「今の私は苗木君の助手なので」
そう言って笑う彼女に対して、苗木は何も言わず、掃除を続ける。
気付くと苗木の心の中には、彼女が来るまでにあった彼ら彼女らに対する贔屓目は薄らいでいた。
(もしかして、舞園さんはボクを励まそうとしてくれた?)
そう思い、舞園さやかの方を見ると、彼女は夕陽を背にして柔らかい笑みを浮かべていた。
「―――――苗木君、落ち込んでいるみたいだったんで」
和らげに微笑む彼女に苗木はどうやって知ったのと聞く。その言葉に対して、舞園さやかはいつもの言葉を苗木に返していた。
「私、エスパーですから」
説明 | ||
ダンガンロンパIfストーリー。 もしも、彼ら彼女らが普通に学園生活を送っていたらどう言う生活を送っていたのか? 第1話、【超高校級のアイドル】舞園さやかの話。 |
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