一刀の晋王転生録 第四章拠点・澪羅、綺羅
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  拠点、澪羅・綺羅

   「澪羅の友、綺羅の師」

 

 

 一刀は、見回りついでの気晴らしに、水軍の訓練を見学することにした。

 

(ありゃ? ひょっとして終わった?)

 

 だが彼が訓練場所に着くと、既に後始末をしているところだった。

 

(うーん、どうしようか? ……ん?)

 

 一刀が回りを見渡すと、澪羅と綺羅が何事かを話していた。そして澪羅は頭を捻っていて、綺羅は指を額に当て何か考えている。

 

(気になるな……)

 

 その様子が気になった一刀は二人の話に混ざることにした。

 

「どうしたんだ、一体?」

 

 一刀が声を掛けると二人はすぐ反応し、振り向いた。

 

「あ、お頭!」

 

「一刀? どうしたの?」

 

「いや、二人の様子が気になってな……」

 

 二人はお互いを見て頷いた後、一刀に言う。

 

「さっき、澪羅がね……私の兵の指示や軍略を見て懐かしい感じがしたって言うのよ」

 

「そうなんだよ、でも綺羅とは知り合ったばっかだし……何でだろうって話になったところでお頭が声を掛けて来たって訳」

 

「……成程ね」

 

 先ほどの二人の様子に納得した一刀は、二人と一緒にその原因を考える。

 

(二人は知り合ってばかりでありながら、綺羅の用兵術に懐かしさを感じたってことは……澪羅は綺羅と似たやり方をする人物と出

 

会ったことがあるってことなのか? ……あっ! ひょっとして……)

 

 何かに思い当たった一刀は綺羅にそれを言う。

 

「綺羅、もしかしたら澪羅はあの人の事を言っているんじゃないか?」

 

「! そっか……それなら」

 

「? どういう事?」

 

「ねぇ澪羅、羊叔子って人に覚えはある?」

 

「……! そうか! 羊?ばあさんか! 言われてみれば綺羅とばあさんの戦い方、確かに似てる」

 

「私、あの人から軍略の基礎を学んだの」

 

 羊?、字は叔子。彼女は綺羅に用兵術の基本を教えた師だった。そして彼女の戦い方を何度か見たことがあり、それを参考に自分の

 

戦い方を構築したのだ。だから綺羅と彼女の戦い方は似ていてもおかしくは無い。

 

 そして彼女は既にこの世には居らず、他界している。

 

「そうか……成程ね……」

 

「で? アンタは先生の軍略を見たことがあるって訳?」

 

「ああ、というより数回ほどだけど、実際にあのばあさんの指示で戦ったことがあるんだ」

 

「ひょっとして、先生が言った生意気な小娘って言うのは?」

 

「ああ、十中八九アタシの事だろ……思えば、お頭に出会う前までは漢でまともな人間はあのばあさんだけだと思っていたな……」

 

「なぁ、もしかして反乱しようとしていたのって?」

 

「そうさ、あのばあさんが無実の罪で死刑されたと知ったからだよ」

 

 澪羅の言うように、羊?の死因は十常侍の陰謀により、不当な死刑によるものだった。

 

「そうだったんだ……」

 

 綺羅はその時ことを思い出し、声に悔しさを滲ませる。

 

「なんだかんだ言って、あのばあさんの事を友と思っていたんだ。だから悔しくてさ……それで行動を起こそうとして、お頭に出会っ

 

た……なぁお頭?」

 

「ん?」

 

 澪羅は雰囲気を真剣なものに変え、一刀を見つめる。

 

「頼むぜ、もうあんなこと許さないようにしてくれ、そのためならアタシは何でも協力する」

 

 綺羅も澪羅に続く。

 

「私も、もうあんなのは御免だわ!」

 

 二人の意思に一刀は笑顔で頷き応えた。

 

「ああ、分かっているよ。そのために、二人とも力を貸してくれ」

 

 二人は互いを見合った後、一刀に頷く。

 

「ああ!」

 

「ええ!」

説明
投降分その五。
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コメント
羊?……………ばあさん……………………ってか既に死んでいたとは。折角の登場だったのに(ohatiyo)
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