IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode197 失踪
次の日の日曜日の昼。
――――――――――――――――――――
『・・・・』
学園の敷地内でツヴァイは何かを必死に探すように周囲を見渡していた。
「どうしたんだ、リイン?」
と、一夏が近付いてきた。
『あっ、一夏さん。隼人さん見ませんでしたか?』
声に反応して一夏の方を向く。
「いや、俺は見てないけど?」
『そうですか・・・』
ツヴァイは少ししょんぼりとする。
「それで、隼人がどうしたんだ?」
『あ、いえ。朝からずっと探しているんですけど、隼人さんの姿が無くて』
「隼人が?」
『はいです。部屋に行っても居ないみたいで』
「隼人がなぁ。珍しいって言うか・・・なんて言うか」
一夏は右手で頭の後ろを掻く。
「リインちゃん!一夏君!」
と、ユニコーンが二人の元に駆け寄ってくる。
「ユニコーン?」
二人はユニコーンの方を向く。
『どうしましたか?』
「二人共、隼人君見てない?」
「いいや」
『リインもずっと探しているんですけど、見当たらないんです』
「やっぱり」
「やっぱりって、ユニコーンもずっと探しているのか?」
「うん。少し用事があって探しているんだけど、全く見当たらない」
『隼人さんが・・・』
「リインフォースは知っていないの?」
『それが、お姉ちゃん隼人さんの部屋から一歩も出てくれないんです。
しかもリインを部屋に入れさせてくれないんですよ』
「リインフォースが・・・?」
「・・・・」
『少し枯れたような声だったのが気になりますけど・・・』
「・・・・」
ユニコーンな表情を険しくする。
「どこに行ったんだ、隼人」
『隼人さん・・・』
(何かあったの、隼人君)
「・・・たぶん・・・どこかに行ったんじゃないかな・・・」
「『「・・・?」』」
と、後ろから声がして三人が振り返ると、そこには颯の姿があった。
殴られた右頬はまだ腫れが収まってなかった。
『颯さん!?』
「どうしたんだ!?その痕は!?」
傷を見て二人は驚く。
「・・・・」
理由を言うべきか、颯は悩んでいた。
「それより、さっきのはどういう事なの?」
ユニコーンは傷の事より颯の言った事に引っ掛かっていた。
「・・・・」
「隼人君がどこかに行ったって・・・」
「・・・・」
「・・・その痕・・・隼人君に殴られたんだね」
「えっ!?」
『隼人さんが・・・!?』
「・・・・」
二人が驚く中、颯はゆっくりと頷く。
「どういう事だよ?隼人がそんな事をするなんて!?」
『それも、何で颯さんを殴ったりなんか・・・』
「分からない。でも、あの時の兄さんは・・・・・・とても苦しんでいた」
「隼人が・・・?」
「リインフォースさんから兄さんの身体のことは聞いていたけど、あの時の兄さんは身体がきついだけじゃない。
・・・何か・・・他の事で苦しんでいたような・・・」
『苦しんでいる・・・?』
「その直後に、いきなり兄さんから殴られて、気づいた時にはもう兄さんの姿は無かった」
「・・・・」
『・・・・』
(・・・やっぱり、か)
その場でユニコーンだけは、確信を得た。
――――――――――――――――――――
所変わってとある海域の小島の地下にあるネェル・アーガマの秘密ドッグ。
しかし以前の所ではなく、別の場所にある秘密ドッグである。
「・・・・」
束は少し戸惑いの表情を浮かべて「うーん」と静かに唸る。
その視線の先には、格納庫の隅で右目を虚ろにさせて体操座りをしている隼人が居た。
ただでさえ薄暗いのに、隼人が居るそこだけが「ズゥゥゥン・・・」と重々しい空気が異様に漂って更に暗く感じられる。
昨夜に突然隼人が秘密ドッグに訪れて来たので、さすがに束は驚いていた。
しかしそれよりも驚いたのはここが以前の秘密ドッグではないのにこの場所にやって来た事だ。なぜなら、隼人はここを知らないはずだからだ。
「誰にも俺がここに居るとは言わないでください」と一言言って昨夜からずっと今の状態のままになっている。
と言っても、ここは外部との通信は出来ないようになっているので、IS学園より通信が来る事は無い。
(理由を聞きたいけど、これは・・・近寄り難い)
あまりもの重々しい空気に束は足が竦み、身体が引けていた。
何より近付こうとすると全身に鳥肌が立ち、ピリピリとしていた。
(・・・でも、あんな隼人君・・・今まで見たことが無い)
完全に虚脱感に陥っている隼人を見て表情に心配の色が浮かぶ。
言うなれば、魂が抜けた人形のようであった。
(一体・・・何があったんだろう・・・)
束は色々と気になるも、今はそっとして置く事にした。
「少しして話せたら良いな・・・」
そう呟くと、ゆっくりと格納庫を出る。
――――――――――――――――――――
「神風が失踪しただと?」
「はい」
千冬も隼人が居ないことをユニコーンより聞いていた。
「今朝からずっとみんなで探していたのですが、颯ちゃんからそれを聞きました」
「・・・・」
千冬は険しい表情を浮かべる。
「恐らく理由を知っているであろうリインフォースも、部屋に篭ったままになって事情が聞けない」
「・・・どういう事なんだ」
「少なくとも、ただならぬ事が起きているのは確かだろうね」
「・・・・」
「ヴィヴィオが誘拐されてから、隼人君はかなり変わってしまった。
と言うより、また不安定な状態になったのが正しいかな」
「どういう意味だ?」
「・・・今の隼人君は感情をうまく制御出来なくなっている。だからいつもより怒りっぽくなったり、気難しい所が増えてしまっている。
私はそう推測している」
「・・・・」
「悲しみが感じられなくなって、その様な状態になってしまったかもしれない」
「・・・・」
「どちらにしても、早く隼人君を見つけ出さないと、何をしでかすか分からない。
さもないと、最悪の事態に陥るかもしれない」
「・・・・」
「捜索に当たって、心当たりのある場所に行ってみるよ」
ユニコーンはそのまま千冬の元を走り去る。
(次から次へと・・・何が起きているのだ・・・一体・・・)
千冬は表情を険しくし、そのままある場所へと向かう。
「隼人君が・・・」
楯無もバンシィより隼人が失踪した事を聞く。
「未だに隼人が失踪した理由は分からない。ユニコーンがリインを連れて捜索に向かったけど・・・」
「・・・・」
楯無は表情を険しくする。
「でも、置き土産を置いて行ったって言うのは、隼人らしいかな」
バンシィが右の方を見ると、そこにはほとんど改装が終わっているフォビドゥン・ヴォーテクスがあった。
機体の各所にブースターが追加され、背中のユニットのアームに接続されてるシールドにミステリアス・レイディーの『アクア・クリスタル』が組み込まれており、左腕には小型のシールドとビームガン、大型ソードが一体化した武装を装備し、右手にはミステリアス・レイディ改の『蒼激流旋』をベースに新機構を搭載したランスを装備していた。
両足には『ラスティー・ネイル』の刀身を搭載させ、蒼激流旋のガトリングを背面ユニットの前方に搭載させていた。
「更識の為に隼人が作っていたんだよ」
「私の為に・・・?」
「そう。まぁ本当の所隼人はどういう意図があって作ったのかは分からない。自分の都合に合わせてなのか、それとも更識の為に作ったのか」
「・・・・」
「どちらにしても、殆ど完成している様だから、少し調整をしたら使用できるよ」
「そう・・・」
しかし楯無はあまり嬉しそうではない。
「・・・・?」
バンシィはその様子に片方の眉を顰める。
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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