リリカル幽汽 −響き渡りし亡者の汽笛−
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「何処にもいねぇな、くそっ!!」

 

アレックスを見失い、街中を走って探し回っているG女性。人間、一度見失うと見つけ出すのはなかなか大変である。

 

「あぁもう、これならダリル達と一緒に行けば良かったな…!!」

 

今更な事を言いつつ、G女性は探し続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、無傷で確保というのも面倒なもんやな」

 

一方、つい先程まで友人の屋敷を訪ねていたはやて一行がデバイスのデータを見ながら呟く。

 

つい先程来た聖王協会からの連絡で、ロストロギアの所有者が判明した事が伝えられた。今回のロストロギアはその所有者が運搬中に偶々噴出してしまった物らしく、事件が絡んでる訳でもなければ攻撃性のある物でもないらしい。ただしロストロギアの中ではかなり高価な物ではあるようなので、なるべく無傷で確保するよう機動六課に伝えられたのである。

 

「サーチャーの設置も全て完了しています。それほど難しいものでもないかと」

 

「やるのはアタシ等だけじゃねぇんだ。なのはやフェイトだっているし、フォワードのガキンチョ共さえしっかりしてりゃすぐ終わるって」

 

「まぁ確かに、シグナムとヴィータの言う通りやけどな」

 

ピンク髪をポニーテールに結んだ女性―――シグナムと、赤毛の少女―――ヴィータがはやてに語りかける。

 

「大丈夫よはやてちゃん。皆しっかりしてるんだし、問題無く終わると思うわ」

 

「思うですぅ〜♪」

 

金髪の女性―――シャマルがそう言い、妖精みたく小さな少女―――リインフォース・ツヴァイもそれに賛同する。

 

「まぁそれはそうとして、今日の夕食用の材料も早く買いに行かないといけないわね」

 

「「……」」

 

シャマルが“夕食用の材料”という言葉を口にした途端、シグナムとヴィータがシャマルを睨み付ける。

 

「な、何よその目は…」

 

「シャマル……お前は一切料理に参加するなよ?」

 

「こんな時まで、死人を出したくないからなこっちは」

 

「うわぁ〜ん二人が酷い事言うよ〜!!」

 

「あ〜よしよし、また今度料理の練習しような」

 

泣きついてきたシャマルをはやてが慰めつつ、一同が移動する中…

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁもう、本当に何処行った…!!」

 

捜索を続けているG女性が、そちらに向かって接近しようとしていた。

 

「くそ、こっちか…!?」

 

G女性が曲がり角を進もうとしたその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「…へ?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

−ゴチィィィィィンッ!!−

 

 

 

 

 

「「のがぁぁぁぁっ!!?」」

 

 

 

 

 

曲がろうとした先で、G女性とはやてがぶつかる羽目になってしまった。

 

「はやて!?」

 

「大丈夫ですか主!?」

 

「痛ぅ〜…!!」

 

お互いに思い切り額を打ってしまったらしく、はやては額を抑えながら転げ回る。が、それはG女性も同じ事だった。

 

「ってぇ〜……おい、痛ぇじゃねぇか!!」

 

「んな!? 先にぶつかって来たのはそっち、や…ろ……」

 

逆切れされた事に文句を言おうとしたはやてだったが…………目の前の人物を見て言葉を失った。

 

「貴様、主に危害を加えとい、て…」

 

「え…?」

 

シグナムやヴィータ、シャマルですらも同じような反応になる。

 

「あぁ〜くそ、頭が痛ぇ―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リイン……フォース…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方…

 

「ハァ、ハァ、ハァ…!!」

 

G女性が探していたアレックスは、人の通りが少ない道をひたすら逃げ続けていた。

 

そう…

 

 

 

『『『クカカカカカカカッ!!』』』

 

『『『ケタケタケタケタケタケタケタケタ…!!』』』

 

 

 

謎の異形―――スケルトンイマジン達に。

 

「く、コイツ等は一体…!!」

 

『カカカカカッ!!』

 

「うわっ!?」

 

一体のスケルトンがカトラス剣を振るい、アレックスに襲い掛かる。アレックスは振るって来る剣をスレスレで回避し…

 

「覇ァッ!!!」

 

−ドゴォォォォンッ!!−

 

『ガカァッ!!?』

 

スケルトンの腹部に強烈な掌底が炸裂。喰らったスケルトンはたまらずぶっ飛ばされ、他のスケルトン達にぶつけられる。

 

「これは正当防衛だ、悪く思わないでくれ…!!」

 

『グガガガガガガガッ!!』

 

仲間が攻撃されて怒ったのか、他のスケルトン達も一斉に襲い掛かる。それに対してアレックスも姿勢を低くして構え、スケルトン達を迎え撃つ。

 

「遅い!!」

 

『グカッ!?』

 

振るわれるカトラス剣を回避してから、一体目の顔面をなぎ払う。その後ろを狙おうとした二体目が剣で突こうとするが、アレックスはそれを予測していたかのようにしゃがんで回避、右足で二体目の足を引っ掛けて転倒させる。

 

『グガガ…!!』

 

「ふんっ!!」

 

−ゴキィッ!!−

 

『カ、カ…』

 

転倒した二体目のスケルトンの首を掴んであらぬ方向に捻じ曲げ、二体目が動かなくなる。

 

『『クカカカッ!!』』

 

他のスケルトン達がカトラス剣を振るうも、アレックスは前転して難なくかわし、再びスケルトン達と向き合う。

 

「君達が何者なのかは知らないけど…」

 

スケルトンの蹴りをガードし、顔面を殴りつける。

 

「僕だって、魔導師の息子なんだ…!!」

 

殴ったスケルトンの肩と腰辺りの布と掴み、他のスケルトン達に向けて投げつける。

 

「簡単に……やられるつもりは無い!!」

 

 

 

 

 

 

「あぁそうかよ」

 

 

 

 

 

 

−ドゴォッ!!−

 

「ッ…!?」

 

その直後だった。

 

突如真後ろからシャドウに後頭部を殴りつけられ、アレックスがその場に倒れ伏せる。

 

「安心しろ、命までは取りはしない。ただ」

 

「うぐ…!!」

 

倒れたアレックスの首をシャドウが左手で掴み、持ち上げる。

 

「ある人間の下まで、案内してくれるだけで良いんだ。そうすりゃお前を解放してやる」

 

「ぐ、ぅ…!!」

 

「あぁ、もし却下するようなら…」

 

シャドウの右手に鎌が出現する。

 

「ちょっとばかり、痛い目に遭って貰うがなぁ…!!」

 

 

 

 

 

−ガキィッ!!−

 

 

 

「っとぉ…!!」

 

突如飛んできたバインドに、シャドウが素早く鎌を振るって粉砕する。

 

「そこまでです!!」

 

「お前は…!!」

 

シャドウの前に現れたのは、バリアジャケットを纏ったフェイトとエリオ、そしてキャロだった。キャロの後ろではフリードも飛んでいる。

 

この中で、シャドウはフェイトに見覚えがあった。

 

「チッ、よりによってお前等までいる訳かよ…」

 

「今すぐ民間人を解放し、投降しなさい!! それ以上やるなら、本当に容赦しません!!」

 

「誰が離すかよ……行け!!」

 

『『『カカカカカカカカッ!!!』』』

 

シャドウの命令で、スケルトン達が一斉に突撃する。

 

「奴等は私が引き付けるから、エリオはその隙に救出を!! キャロはロングアーチとスターズに救援を!!」

 

「「了解!!」」

 

フェイトはバルディッシュを振るい、向かって来るスケルトン達を迎え撃った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で……リインフォースが…?」

 

「痛ぅ……あん?」

 

一方で、はやて達は目の前にいる人物を見て驚きを隠せないでいた。しかもはやては今、G女性の姿を見て“リインフォース”と呼んだ。

 

「お前等、今俺を…ッ!?」

 

G女性は不審に思うが、はやて達が着ている局員の制服姿を見てゲッと焦り出す。

 

「くそっ!!」

 

「あっ!?」

 

G女性は急いで立ち上がり、その場から逃げ出した。

 

「待って、リインフォース!!」

 

「主、私が追います!!」

 

逃げ出したG女性を、シグナムが後を追う。

 

「何で…」

 

シャマルに手を貸して貰い、はやてが立ち上がる。

 

「何で、リインフォースが…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそ、アイツ等も管理局の連中かよ…!!」

 

一方、G女性は全力で走って逃走中だった。その後ろからはシグナムが全力で追って来る。

 

「ついて来んじゃねぇ!!」

 

「聞かせろ!! 貴様、本当にあのリインフォースなのか!?」

 

「あぁ!? 俺が知るかよそんな事!!」

 

「あ、こら!! 逃げるな!!」

 

G女性は更に走るスピードを上げ、路地裏へと入り込む。

 

(くそ……最初はそんなつもりじゃなかったが、仕方ねぇ…!!)

 

G女性は全力で逃げつつ、右手にパスを持つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「リインフォース!!」

 

G女性を追い続けるシグナム。入り込んだ路地の先は袋小路、上手くいけば確実に追い詰められる。

 

(もし本物なら、何故ここに……いや、今は確保するのが先…!!)

 

G女性が奥へと奥へと進んでいき、通路を右に曲がる。

 

(よし、追い詰めた!!)

 

シグナムも同じように通路を曲がる。しかし…

 

「ッ!?」

 

袋小路である事は確かだった。

 

しかし、肝心のG女性の姿が何処にも見当たらない。

 

「消えた? 一体どうやって―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪Skull Form≫

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「な、くっ!?」

 

真上から幽汽が剣を振り下ろし、シグナムもすかさず自身の剣型デバイス“レヴァンテイン”で防ぐ。

 

「貴様…!!」

 

「さっきから本当にしつこいんだよ……えぇ!? ピンクの女ぁっ!!」

 

「くっ!!」

 

パワーで勝った幽汽がシグナムのレヴァンテインを弾いて彼女を大きく吹き飛ばし、シグナムは吹き飛ばされつつも上手く地面に着地する。

 

「レヴァンテイン!!」

 

シグナムも瞬時にバリアジャケットを纏い、改めてレヴァンテインを構える。

 

「貴様が何故、リインフォースの姿をしているのか……それは後で聞いた方が良さそうだな」

 

「はっ、良いねぇ……お前、思ったより楽しめそうだ!!」

 

幽汽も剣で肩を叩いてから、またシグナムに突撃する。

 

「烈火の将、シグナム……参る!!!」

 

そしてシグナムも突撃し、互いの剣がぶつかり合うのだった。

 

説明
第11話
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コメント
まぁ、消えた筈のリインがいきなり目の前に現れたらこうなるでしょうね(竜神丸)
あらら・・・女の人とはリィンでしたか、これは気まずいこと極まりないですね・・・・。(Blaz)
さぁ、どうなるでしょうねぇ…?次回もお楽しみに(竜神丸)
シグナムが噛ませ犬臭い(ohatiyo)
リインフォースがどうなるかは、書いていくうちに分かるかと(竜神丸)
ついにエンカウント!次回のバトルも楽しみだけどリインがどうなるかも楽しみで仕方ないwww(okaka)
はい、次回をお楽しみに(竜神丸)
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