獣使い 6章 Mission(まとめ |
「ぇー、またかよ。。。。。」
長身の方は、どうやらリリアというらしい。
かなりがっかりした顔をした。
なんというか浮き沈みが激しい性格のようだ。
「まぁ、京は6割がた記憶を継承しない大馬鹿野郎ですからもう慣れました。
それよりリリア、ただでさえでかいのですから、
わたしの前に立たないでください。視界の邪魔です。
そしてうるさいです。
象ですか?あなたは。」
と、蒼い短髪がか細い声で毒をはく。
リリアは、どっちかというとスレンダーでモデル体型なのだがそれをそこまでいうとは、
ぱっと見、可憐なだけに少し残念な気がした。
「んな!?ちょっと今のはひどいんじゃないかな!?楓!!!」
短髪は、耳をふさいでしれっとしていた。
楓という名前らしい。
「相変わらずじゃな。リリア、楓。少しは成長せぬのか・・・」
ねぇさんはあきれていた。
「はいはい。とりあえずお前達。ここだと響くから戻れ。」
っと、レベッカが話を切った。
とりあえず、僕達はさっきの大広間に腰を下ろすことにした。
「改めて紹介しよう。
こっちは響。あんまり感情を出さないのが難点だが悪い奴じゃない。犬の獣だ。
そっちの赤いのはリリア。鷹の獣だ。鷹のタイプは無口と決まってるのだが
けっこうおしゃべりだからな。困ったら色々聞くといい。
こいつは楓。こいつには気をつけろよかなり性格悪いから。
最後に、汀だ。」
なんとなく以前より汀のこっちを見る目が違って見えた。
なんというか、どこか悲しみを持ってるような・・・。
あの綺麗な青い目が揺らいでるように見える。
「さて。では獣が使えるようになってるだろうから仕事だ。
ちょうど機関から仕事が来ていたのでな。
明日、出発する。今回行くのは私と京、雛乃さんにリリア、汀だ。
響、楓は留守番だ。家事とかやっといてくれないか?」
そして、僕とねぇさんは、仕事の手伝い兼修行をすることになった。
「ふむ。ここか。」
ここは、郊外に存在する寺の近くの墓地。
なかなかに歴史のある寺らしく有名な武将の墓地もあるらしい。
歴史が古く土地も広いのもありに様々な霊が入ってくる
つまりここの墓地は善悪のバランスが安定していない。
入ってきた霊によって正負がチョコチョコ変わる。
「?」
レベッカが、ふと何かに気がついた。
足元には黒い三角錐の物体
それを手に取り興味深そうに見ている。
僕はそれに見覚えがあった。
「ねぇさん、あれって・・・」
「うむ。わらわの世界で京がぶっ壊したのに似てるな。」
その物体は、昨日見た黒い物体にそっくりだった。
大きさこそ違うが、まちがいないだろう。
するとリリアが突然話しかけてきた。
「あれは、封印石の一種じゃないか?」
「封印石?」
「あぁ、間違えないと思うぜ?」
リリアがいうには、主に霊的なものを封印するために使われるらしい。
霊的なもの、悪霊とか自縛霊とか精霊などのことで
大きければ大きいほどその封印が強いのだとか。
「それがどうしたんだよ?レベッカ。」
「どうも封印石のように見せてるが何かが違うな。
調べてみないとわからないがどうもこの淀みはこいつのせいかもしれん。
こないだの場所にも落ちていたんだ。」
レベッカは、マッドサイエンティストとしての一面を持ってるらしい。
ねぇさんがいうには、一度興味を持ってしまうと研究せずにはいられないところがあるらしい。
どういう経緯で知ってるかは教えてはくれなかったがけっこう知ってるようだ。
今の状態を見る限り、うなずけてしまう。
レベッカの体がうずいてるのがすぐわかった。
「よし。また夜にここで集合だ。それまで好きにしていいぞ。私は近くの知人のところに行く」
リリアは、やれやれという顔をした。
とりあえず僕達は、適当に暇をつぶすことにした。
いちお、金を使うならこれを使えといわれカードを渡されている。
とりあえずこのへんをぶらつくことにした。
ここは海の近くということもあり、風が吹くごとに潮の香が鼻をくすぐる。
そういえば、こんな感じの景色を僕はどこかで見たことがある気がする。
始めてきた場所なはずなのだが・・・・。
「おっほー!海だ!海!!」
「リリア。少し落ち着かぬか。」
波打ち際の近くで、ねぇさんたちは、はしゃいでいた。
正確にはリリアが・・・・か。
そんな姿を見てるとふと、何かが脳裏をかすめる。
「?」
はじめてきた場所のはずなのだが・・・。
「・・・・京。」
突然、汀が話しかけてきた。
今回は、黒いワンピースを着ている。
「ん?」
「・・・少し話があるんだけどいい?」
何かを決意したかのような目をしていた。
その目を見てしまったら拒否などできないだろう。
僕は、話を聞くことにした。
「・・・・京は、今は覚えてないだろうけど、私はもともとあなたの獣だったの。」
僕の思考は停止する。
あまりにも信じがたい事実を突きつけられた。
「あなた・・・・京という存在は・・・・・・
現在存在する獣使いの中でもっともふるい存在なの。
何世紀という時を転生してきた。
私はその中でも雛乃と同じぐらいにあなたによって作られたわ。・・・」
僕は、汀の一言一言を聞き漏らすことなく頭に入れた。
この眼は嘘を言うような眼じゃない。
真実なのだろう。
「それからしばらくして人形師のころのレベッカと出会った。
そしてあなたとレベッカは、いっしょに旅をするようになったの。
あなたもレベッカも同じ永遠に生きる存在ということもあってね。
だから貴方の獣のいくつかがレベッカに渡された。
それが私とリリアと楓」
・・・・・そう、僕とレベッカは、永遠に生き続ける存在になのだ。
僕は、転生という形で生き続け、
レベッカは、永遠に朽ちることのない肉体を自らの手で作り上げた。
「そしてあるとき、あなたは転生が不完全で非常に情緒が安定しないときがあった。
そのとき見つけた獣使いが悪意を持った人間だったの。
その人間はあなたの力を使ってこの世界を壊そうとさえしてきた。
もともと貴方の転生は、記憶が飛ぶことが多かったから。
そこに漬け込まれたのね。
そしてその人間は、京とレベッカを戦わせた。
レベッカの存在が邪魔だったから。
そして、その結果、レベッカは私を使って・・・・・貴方を殺したの。
二度と会うことがないと誓ったうえで・・・・」
・・・そのときの二人の気持ちはどんなだっただろうか。
転生するとはいえ、仲間を殺すという残酷な現実に
耐えられる人間などいるのだろうか?
それは、仕方ないとはいえひとつの罪として本人に重くのしかかる。
雛乃ねぇさんたちは、そのときの記憶を覚えている。
自らを封印することで僕の力を押さえたのだから
「そのとき、リリアと楓はいなかったの。だから彼女達は知らないわ。
でも私は、その事実に耐えられなかった。
私の力によって貴方を殺したんですからね・・・・
私はレベッカに頼んで記憶を封じ込めたの。」
「そっか・・・」
「でも私とレベッカは貴方に会ってしまった。
機関の鉄の掟であなたを見つけたら見つけた人物が貴方の能力を開放しなくてはいけないの。
これを破ると私やリリアたちも消えてしまうの。
だからレベッカは貴方と再びかかわることを決めた。
そして、これはきっとこれが私達への贖罪なのだとも思ったわ。
私達は逃げていたのかもね。貴方を殺したという事実から」
「でも悪いのは僕だろ?汀やレベッカがそんな風に思わなくても・・・」
っと言おうと思った。
でもいわないことにした。
なぜなら、例え僕が悪かったとしても親友を殺したという事実は変わらないのだ。
最も信頼をしていて、最も親愛をもった人間を自らの手で殺したという事実。
それはひとつの重い罪なのだ。
どんな理由があろうとその事実は変わらない。
なぜ会わないと誓ったか。
それは、その事実からの逃亡ではなく、
その記憶とともに自分たちも消えるつもりだったのだろう。
しかし、僕とレベッカは会ってしまった。
そしてレベッカは、真実を告げることで自らの罪をさらけ出し、
もう一度、僕と関わることにしたのだろう。
「・・・・記憶がかなり戻ったようじゃな。」
突然、ねぇさんの声がした
「して汀、これからおぬしはどうするつもりなのじゃ?」
「・・・・・私は、今から再び貴方と契約をするわ。
おそらく黒幕は、アイツだろうから。」
「・・・・本当にいいんだな?汀」
最後の問いかけを僕はする。
「私は一度いったことは曲げない主義よ」
「そうだったな。」
そして、再び契約を行った。
ちらほら細かな記憶がないものの大まかな記憶は戻っている。
再契約の呪文も簡単に思い出した。
「EXEC Re=geeow parce」再び契約の印を
契約を終えると突然、リリアが近寄ってきた。
「んぁ?なんだ汀、京との契約きってたのか。」
「うん。まぁね。」
汀はこっちを振り向くと無言で訴えかけてきた。
さっきのことを話さないでほしいようだ。
まぁ、そのときリリアや楓はいなかったのだから
知らないほうがいいだろう。
そのまま、夜になり僕達は、再び集合場所まで行った。
すでにレベッカが何本かタバコをすい終えている。
足元には吸殻が散らばっていた。
「ん?」
ふとこちらに気がつく
そして、汀の方をむくと一瞬レベッカが微笑んだ気がした。
「ふむ。やはりそうしたか。」
小声でそうつぶやいた。
「さて、じゃぁ今回の依頼だが
単純にいおう邪の殲滅だ。簡単だが無駄に広い二手に分かれよう
汀と京たち、私とリリアでそれぞれ西と東を受け持つ
結界は、張ってあるから好きなだけ暴れていい。」
結界とは、その周辺の地形や破壊された対象を自動的に戻すものをいうらしい
また外部への進入、干渉を完全に拒絶する異界なのだとか
「ところで邪って結局なんなんだ?汀」
ふとした疑問を汀に問いただす。
主に昼間に戻った記憶は、汀やリリア、楓そしてレベッカとの関係とそれに関する記憶。
重要なところがほとんど戻ってない。
「邪っていうのは、雑念の集合体よ。
死者の未練だったり願望だったり。あとは周辺地域の無意識下の雑念よ。
最近流行ってるでしょ?コックリさんとか
あれ、交霊術の一種なの。まぁ実際きたのはほとんど皆無だろうけど。
でも大半は残りカスができるのよ。それが無意識下の雑念
人間の無邪気な雑念、こうなったら面白い。こうなったら楽しい。
それには正負の方向性がないのよ。方向性がない雑念が漂い方向性のあるものに導かれる。
・・・・そうね。例えるなら磁石と鉄の関係かしら。
鉄を無意識下の雑念とすると磁石という強力な方向性を持ったものにひきつけられるのよ。そして強力な方向性によって方向性が決定される。
そして、邪はそんなものがマイナス方向になったものが集合したものよ」
すると、後ろからドロリという音がした。
振り向くとそこには見覚えのあるスライム状のものがいた。
「・・・ちょうどいいわね。私の武器化したときの使い方を思い出してもらおうかしら。」
そういって汀は、僕の手を握った。
「月紋拘束封第一解除」
すると僕の手には、一振りの刀があった。
長さ的には、ちょうど僕の胸の辺りまである長い刀。
柄から刃先まで真っ黒だ。
刀の刃の部分だけが怪しく光っている。
【私との記憶が戻ってるなら扱えるはずよね?京】
気配に気がついたのか、邪がこちらに向かってくる。
不思議と集中力が増してゆく・・・
殺るか殺られるかも意識のそこ。
呼吸も脈動もごくごく普通に
見えるのは相手と周りの地形だけ。
不要なものが視界から消えてゆく。
僕は、無意識に走り出した。
邪の触手がこちらに向かって高速で伸びてくる。
あれに触れてはいけないと体が反射的によけ、
そしてその伸びた触手を切った。
切れた場所が見る見る凍っていき砕ける
が、気がつくとすでに目の前まで何本もの触手が迫ってきた。
瞬間、体が何かに引っ張られ上に跳んでいた。
【なるほど、使い方は覚えてるのね。それじゃぁ終わらせましょうか】
つばの部分から黒い光が刀の刃を包みこむ
そして、僕は刀を横に振る。
空を切った刃からは黒い猫のような物体が何体も現れ
邪にむかって一斉に襲い掛かる
そのすべてが邪を貫く・・・・
そこにあった物体は凍りつき砕け散り何もなくなった。
「さって、使い方は覚えてはいるけど勘が鈍ってるわね。京
私があの時うごかなあったらどうなったか・・・・。」
「まぁ、しばらくおうてなかったのじゃ。しかたなかろう。汀」
ねぇさんがいった。
「まぁそれはそうと今の動き、悪くなかったぞ。京」
「もう雛乃は、すぐ京を甘やかす。」
汀が、不機嫌そうに言う。
なんというかすごく懐かしい気がした。
・・・・・なにかもう二人、誰か大切な人を忘れてる気がした。
そして今気がついたことがひとつ・・・・。
イデスについてほとんど記憶がない
何も思い当たる点がない。
彼女が何者なのか。そしてなぜ僕の心の中に封印されてるのか。
「知りたいか?ぼうや?」
イデスの声がした。
不意に・・・・眼前の景色を暗転させ、意識が遠ざかった・・・・・。
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5章にてまちがい大量発覚したため 編集しなおしました。 6章もかなり見つかってますので大量に編集しなおしました(オマ AnoterView http://www.tinami.com/view/59198 7章 http://www.tinami.com/view/65821 5章 http://www.tinami.com/view/58459 |
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