語られし者たちとIS 世界樹大戦 第32話 夏休みの一幕 大人たちの場合 |
夏休みも終盤
休日に自宅で休んでいた真耶は千冬に呼ばれ、商店街の地下にあるバーに向かっていた
勿論アンジュも一緒である
「遅れてしまってすみません、それと私の知り合いも一緒ですが構いませんか?」
「……ああ、構わん」
真耶一人だと思い込んでいた、千冬は少し驚いたが、特に問題はないと思い、一緒に飲むことにした
バーのマスターは、新しく来た真耶とアンジュのためにビールを用意した
三人とも軽く飲んだ後、千冬は真耶に話しかけた
「急に呼び出してすまなかったな、ところでそちらは?」
「いえ、暇だったので構いませんよ。そうでした、私の知り合いです」
「アンジュ・セレーナと申します。あなたのお話は真耶から聞いていますよ、織斑千冬さん」
アンジュの態度に少し不満を感じる千冬。しかし酒の席であるため、気にするのをやめる
「それにしても今日は休みで自宅へ帰宅していたのではなかったのですか?」
「そのつもりだったが、家に女子達がいたんだ」
千冬の答えに対して真耶とアンジュはすぐに誰の事かを理解した
「ああ、専用機組の子達ですね。で、気になるものですか?」
「確か織斑一夏君でしたっけ? あれくらいの年の男の子なら女の子の友達だっていてもおかしくないはずですけど?」
「いや、確かにそうかもしれないが……何というか弟は姉のものだろう?」
その答えに首を傾げる二人
「だろう、と言われましても……私は一人っ子ですしよくわかりませんよ」
「おっしゃっている意味が分からないのですが……」
アンジュはつまみのチーズを食べながら話を聞く
「いや、何だか今日女子連中に会った時に感じた視線が……ライバル視されているように感じたんだ。それにぎこちなくなっているような気がして」
「はあ、それで織斑君が誰かと付き合うのは反対なんですか?」
「それはない。あいつは他人や女のことを色々と知るべきだが……変な女に引っかかったりしないかは気がかりだな。女を見る目はないからな」
「一夏君のことが心配ってことかしら?」
「心配ではない、あいつの人生だから好きにさせてやるつもりさ」
真耶とアンジュが出した質問の回答を聞き、余計に訳が分からなくなっていた
「私が認めた人でなければ許さないとかですか?」
「いや、そういうわけではないのだが、自分でもどういえばいいのかが分からん」
そのまま千冬はビールをお代わりして飲み始めた
千冬の回答にアンジュはお酒を飲みながら考えている
「随分と過保護なお姉さんですね」
「ほう、どういう意味だ?」
アンジュの言葉に千冬は質問する。機嫌が悪いのか、持っているグラスを握りつぶす勢いだ
そんな千冬の様子を見た真耶は慌ててアンジュを止めようとする
「ちょっとアンジュ……」
「あら? 私はただその年齢で、弟のことを構いすぎているなと思っただけですよ。特にあなたと一夏君は年齢が結構離れているから」
笑顔を絶やさず、冷静にアンジュは千冬に指摘する
「……ふん、他と比べる意味などないからな」
「あなたは良くても一夏君はどう思っているのかしらね」
千冬とアンジュは顔を背けた。お互いに仲良くなれないと思ったのだろう
そんな二人を心配しておろおろしている真耶をアンジュはなだめる
「真耶、気にすることないわ。私と千冬はただ相性が悪かっただけよ」
「そいつと同意見だ、不愉快だがな」
「口に出して言うなんて空気が読めないのかしら?」
「ふん、わざとだ」
マスターもやれやれと言う感じで三人を見ていた。店の雰囲気はピリピリしている
彼女たちが帰るまでそんな空気だった
「よいしょ、こんな物かな?」
「上出来だ、束。このモンスターを一人で倒せるようになるとは」
異世界にある火山地帯
束は倒した巨大な炎のドラゴンの体の上に立ちながら自分のパートナーと話していた
「そろそろクロエの食事の準備が終える頃だろう。いったん、元の世界に戻ろう」
「了解」
倒した竜を放置したまま元の世界に戻った
そこはとある研究施設
いるのは束とクンツァイト、そしてクロエと呼ばれた少女の三人だけだ
「お帰りなさい。束様、クンツァイト様。お食事の用意ができています」
「もう、クーちゃん。私の事はお母さんって呼ぼうよ」
「すでに六十回はそう言っているが一向に直そうとしない。諦めるべきだ。それからクロエ、ご苦労」
それもそうかという感じで束はクロエの作った食事を食べることにした
メニューはクンツァイトから教わったサラダと焼き魚だ
三人はおいしそうに食べている
「それにしても成長したな、クロエ」
「いえ、クンツァイト様や束様に比べたらまだまだです」
「そんなことないよ、最初は炭やゲル状のものだったのが、ここまでできるようになったんだから誇っていいんだよ」
束の笑顔にクロエは頬を赤らめる
褒める言葉を発した束は自分の言葉に懐かしそうにしていた
「それにしても一年か、随分経ったね」
「自分と束達が初めて会った時だな。それくらいは経過しているな」
彼女が世界樹大戦に選ばれたのは、約一年前の夏の終わりの頃だ
変わらない一日を送るはずだった束とクロエ
だが、それは簡単に崩れた。いきなり束が首に痛みを感じたからだ
「くう、何これ……熱い……」
何が起こっているのかを理解しようとした時、彼女の目の前に肩のあたりに腕のようなものが付いた鎧を着た男性が現れた
「キミが自分のパートナーか、名前は何だ?」
「……誰だい、君は」
いきなり現れた人物に束は嫌そうに質問する。クロエはいつでも束を守れるように戦闘準備をしていた
「私の名前か? 主より発行されたオリジナル識別コード……クンツァイト」
その自己紹介に束は疑問を持つ。人間の自己紹介には思えないからだ
「束、君のことはこの世界に来た時に少し知っている。特定の人間と話す気がないらしいが安心してほしい。自分は……こちらの世界で言うならば心を持ったロボットだからな」
「束様、こんな奴の言うことなんて……」
「話を聞いてあげるよ。それから判断してあげる」
未知のものに興味を持ったのか、束はクンツァイトの話を聞くことにした。上から目線だが
そこで束とクロエは世界樹大戦について聞く。最初は物語だけの話だと、バカにしていたが実際にブローチをつけることで移動できる異世界の存在を知ることで、話が本当だと理解した
ただし、ブローチは参加者にしか効果が発揮されないため、クロエには疑われたままだった
「……なるほど、いいよ。参加させてもらうよ」
「束様!?」
「大丈夫だよ、くーちゃん。いざとなったらちゃんと守ってあげるから」
束の決定にクロエは驚いていたが、彼女が反対した所で決めるのは束
何より、束の意見に反対できるわけがない
「決まりだな、これからよろしく頼む」
「りょうか〜い」
クンツァイトのことを信用しているのだかしていないのかわからない返事をした
「あれからもう一年近くたったんだ。最初はくーちゃん、クンツァイトに何度も戦いを挑んでいたよね。毎回負けちゃったけど」
「だが、自分の主を守るという意思が伝わってきたぞ」
「あまり思い出させないでください……」
談笑しながら昔のことを思い出していた。束を知っている人がこの光景を見たら驚くだろう。あんな風に笑っている人が篠ノ之束なのかと
彼女自身も自分は変わったと思っている
クンツァイトと出会い、つまらないと思っていた世界はまだまだ楽しいのだと知る事が出来た
彼女はこの出会いに感謝していた
スキット
軍人の旅立ち前
アメリカ軍の基地
ある場所で荷造りをしている女性に一人の狩人が近づく
「チェスターか、要件は何かしら」
「ちょうど銀の福音の修理が終わったみたいだぜ、今連絡があった」
足音だけで理解したのか、ナターシャは彼に顔もむけずに話す
だが、そのことに対して彼は不満に思っていない
「それにしてもあんたが教員になるなんてな。大丈夫なのか?」
「……正直自信はないわね。私の本職は軍人だから」
「でも、やるしかないのよ。命令だからね」
諦めているともとれる彼女の発言に少し不安を覚えるチェスター
「安心しなさい、あなたのパートナーはそんなことでくじけたりしないわ」
「だよな、信頼しているぜ」
「そうね、でも今度風呂を覗こうとしたら……分かっているわよね?」
彼女の笑顔にチェスターはただ、頷くだけだった
忙しく、投稿が遅れました。
気が付けば一年近くこちらで投稿していました。
いつも読んでくださる方、ありがとうございます。
今回で夏休み編は終了です。
次回から2学期編に入ります。
感想・指摘等あればよろしくお願いします。
説明 | ||
書かせていただきます。 今回は大人たちの話です。 |
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コメント | ||
感想ありがとうございます グッチ2さん>一夏は剣技です。福音戦で使用しています。基本的にISを持っている人はISを主軸にして戦い方をします。(鈴がフォルスと龍砲を組み合わせたように)持っていない人は格闘系になることもありますが、パートナーが指導してパートナーと同じ武器を使うこともあります。確かにその二人は想像しにくいですね……(しゅーろう) 感想ありがとうございます biohaza-dさん>忙しくて更新ができませんでした。続きも頑張っていきます。(しゅーろう) やった〜、久しぶりの続きだ〜!そして続きを楽しみにしてます!(biohaza-d) |
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