「貴様は！　�ｹ艾！」

「姜維！　ここからは私が相手をする！」

　寸でのところで一刀を助け、姜維の前に現れた。

「江里香さん、どうして此処に？」

「私が頼みました」

　一刀の疑問に後ろから理奈が答える。しかしそこに居たのは彼女だけでは無かった。

「み、皆……」

　理奈の周りには、闇那、澪羅、綺羅も居た。

「一刀様、無理はなさらないでください！」

「あ、闇那」

　闇那は一刀に駆け寄りながら涙目で訴える。

「お頭は優しい、だから皆は俺が守るとか思っていたのかい？」

「そ、それは」

　澪羅には図星を付かれる。

「でもね、何かを守ろうとしているのは、あんただけの話じゃないのよ」

「え？」

　綺羅から予想もつかないことを言われる。

「そうです、貴方が私達を守ろうとしてくれているのは嬉しいですが、私達も貴方を守り、助けたいのです」

「り、理奈様」

　理奈は一刀に自分達の意思を伝える。

「兵達の皆が言っていました」

　そして江里香は姜維の動向を見ながら、一刀に振り返らず、兵達の意思を伝える。

「一刀様が助けてくれたから、自分達も一刀様のために戦いたいのだと！」

　一刀は泣きそうになりながらも気付いた。

（ああ、何をやっているんだ俺は！　戦は俺一人で出来るものじゃないだろう！　皆が俺を信じて戦ってくれたから今まで勝てて来れ

たんだろ！　皆の力を借りて勝つ事が出来たんだろ俺達は！　忘れていたのか俺は！　それが分からなかったのか俺は！　馬鹿かよ俺

は！　いや！　馬鹿だ俺は！　この戦だってそうだ！　劣勢でありながらまだ戦えているのも、皆が戦意を失わず戦っているからこそ

だろ！　なのに自分一人だけで、どうにかしようだなんて！）

　一刀は歯を食いしばりながら立ち上がる。

（焦るな、俺！　思い上がるな、俺！　戦の勝敗は俺だけの問題じゃない！　そうだ、俺達は！）

　立ち上がった一刀の表情は先ほどとは一変していた。憑き物が取れたようにすっきりしたものだった。

「ありがとう、皆、もう大丈夫だ」

　そして、一刀は高らかに指示を出す。

「江里香さん！　姜維の対処をお願いします！」

「はい！　承りました！」

「理奈様！　江里香さんの援護をお願いします！」

「ええ、任せてください！」

「闇那！　董卓軍と公孫賛軍、鐘会にそのまま戦線の維持するように伝えてくれ。その後はそのままそれに参加しろ！」

「はい！　仰せのままに！」

「澪羅！　俺に付いてきてくれ！」

「ああ！」

「綺羅！　すぐに控えている兵を全て集めて俺達を追いかけてくれ！」

「わかったわ！」

「行くぞ皆！　この戦！　俺達で！　皆で！　勝利を掴むぞ！」

　五人は一刀の指示にすぐさま従い、行動を開始する。軍の全ての力を借り、勝利するために。

　　第５話

　　　「第三次五胡撃退戦　覚醒」

「茶番は終わりか、そこを退け！　�ｹ艾！　司馬望！」

「茶番で終わるかどうか……その目で、その肌で感じなさい！　姜維！」

「一刀の信頼、絶対に応えます！　貴様こそ大人しくなさい！　姜維！」

　三人は戦闘態勢に入り、睨み合う。

　そして姜維から動いたことで戦闘が始まった。