真・恋姫†無双 異伝 〜最後の選択者〜 序章ノ一
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〜まえがき〜

 

この作品は『真・恋姫†無双』を基に構想した二次創作です。

 

無印の要素だとか、コンシューマで追加されたEDだとか、その辺りの要素も入ってくるので、

 

全体的に冗長かな?と思ってます。

 

恋姫らしさは薄いかもしれません。シリアス重視で話を作るので、ギャグ要素はあまりないです。

 

ただし、比率としては、の話で、時折ギャグエピソードを入れることは考えてます。

 

 

以下の点が「許せる」方に読んでいただければと思います。

 

生暖かい目で見守っていてくだされば幸いです。

 

 

 

・茨の道を歩む一刀と朱里

 

・種馬にならない一刀

 

・一刀・朱里両名の(あくまでもその殆どは努力による)チート級能力保持

 

・戦闘をこなし、一刀と同等の強さを誇る朱里

 

・若干のオリキャラ(若干で済むかは未定)

 

 

 

それと、嵐はスルーしますのでご容赦のほどを。

 

私も一刀を全肯定したいわけではないし、敵役となる恋姫達を全否定したいわけでもありません。

 

寧ろ、この物語の中でより強く否定されるべきは一刀のほうであると思っています。

 

恋姫二次創作界隈では『北郷一刀』が嫌われ者になっていることが多々あるのは承知しています。

 

ただ、どうにもなんか、彼への非難には納得し難いものがあると感じていて……

 

なんだかんだ言いましたが、結局私も『恋姫』が好きなユーザーの一人です。

 

悪いところばかりに目が行くのは人間の性のようなものでどうしようもないですが、それだけで

 

終わらず良いところも見出していきたいと思います。でないと教職課程の先生方に何を教わって

 

大学を出たのかわかりませんから……

 

そういうスタンスでいくのですが、「一刀が嫌い」という人は不快感を覚えるかもしれませんし、

 

この物語をこれ以上先に読み進めず、ブラウザの「前に戻る」で外史の扉を閉じて下さい。

 

親戚からすら「変わり者」扱いされる私には、万人受けする作品なんて作れませんので。

 

それだけは、お断りしておきます。(2014/12/07 追記)

 

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序章ノ一、『去りし日々 〜朱里編〜』

 

 

「――ふぅ」

 

聖フランチェスカの図書館で、私は広げていた本を閉じた。窓の外を見遣れば、もう太陽は西に傾き、黄金色の陽光が私の手元を

 

照らしていた。嘗て私が見ていたそれとは少し色合いが異なるように思えるけれど、それでもその美しさは変わらない。

 

私は改めて、手元にある本を見やる。

 

 

 

――『三国志演義』。

 

 

 

この世界に再び来てからというもの、三国志関連の資料を読み漁り、研究する日々が続いていた。幸い、聖フランチェスカ学園の

 

図書館は大きいので、資料に困ることは無かった上に、この世界では情報を手に入れることは決して難しいことではなかったので、

 

私は多くの情報を入手出来た。

 

正史と呼ばれる『三国志』とそれを基にした歴史小説である『三国志演義』を比較して、あの外史はどちらかと言えば『演義』の

 

方に近似していることが分かった。但し、かなり短い期間で黄巾の乱、反董卓連合、群雄割拠、そして蜀、魏、呉の三国の勃興が

 

再現されていることから、起きている事象こそ似通っているが、その順序及び密度は有り得ないほどのものだったらしい。

 

 

 

――あの外史を後にして、早1年の時が経つ。

 

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一度はこの世界に来ていた筈だが何らかの事態が発生し、私は再びあの外史に戻され、幾度となく繰り返される物語を歩んでいた。

 

全てを思い出したのは、当時呉陣営で軍師を務めていた一刀様と出会った時だ。

 

反董卓連合の場では気付かなかった。だがその後、私達劉備軍は呉から敗走してきた恋さん――呂布を保護したので孫呉が戦いを

 

挑んできた。それというのも、その当時は孫策軍と劉備軍の間に結ばれていた同盟・友好関係は此方の一方的な通告によって破棄

 

されていたので、向こうも躊躇う理由など無く、戦いは起きてしまった。

 

結果論だが、それは私にとっての福音であったのかもしれない。当時の私は、甦りつつあったかつての外史での記憶によって精神

 

崩壊寸前まで――いや、その時の私はもう壊れていたかもしれない。だけど、戦いの最中に突然曹操軍が現れ、周瑜さんの提案で

 

同盟を再締結することになったのだけど、そこで周瑜さんと一緒に現れた一刀様を見て、全身が暖かくなって、そして遂に全ての

 

記憶を取り戻した。具体的には一刀様御自身についての記憶。それによって私は半廃人状態から脱出することが出来た。

 

一方で相互の立場もあったので、その時はその場で別れた。赤壁の戦いの前に話す機会を得て、私は一刀様がまだ気付いていない

 

可能性も視野に入れ、軍議の前に一刀様と話した。すると、一刀様も外史が繰り返されている事実に気付いていたことがわかった。

 

なんでも孫策さんが亡くなったことを契機に、その後徐々に思い出していったとのこと。そして抜け落ちていた記憶は、私よりも

 

多かったと伺っている。ただ、貂蝉さんと接触したことで、私と再会する前に全ての記憶を取り戻せたそうだ。

 

全てを思い出した一刀様は、すぐにでも私達に接触しようと思ったそうだけれど、当時の彼の立場もあって、私事で動くのは無理

 

だったそうだ。私の方も同様の理由でそう簡単に動くことは出来ず、結局私達が接触するのは赤壁の戦いまで待つことになった。

 

赤壁の戦いが終わって曹操さん達が行方知れずになり、大陸東部を孫呉が、大陸西部を私たち劉備陣営、つまり蜀が治めることに

 

なってから数年。その間色々なことがあったけれど、蜀の運営がある程度安定してから、私は戦での献策が結果的に多くの人命を

 

奪ってしまい、それに傷付いたことを理由として桃香様の許を去った。そして建業で一刀様に接触し、泰山に赴いたところ、あの

 

鏡があったので、それに触れて外史とこの世界を結ぶ門を開いてこの世界に来た。

 

そして今、私は一刀様と共にこうしてこの世界で過ごしている。嘗ても過ごした、私が生まれ育ったのとはまるで違う世界で……。

 

 

 

貂蝉さんの案内が無ければ、この世界には戻って来れなかっただろうと思う。

 

閉じられた輪廻の環の中で繰り返される外史。私はもうそんな世界で不毛な茶番を繰り返すのは嫌だった。親友である雛里ちゃん、

 

盟主である桃香様をはじめ、蜀の皆には申し訳なく思う。

 

それでも私は、もう嫌だった――これ以上、修羅を背負うのは。

 

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でも、呉の皆さんには本当に申し訳なかった。赤壁の戦いが終わってから数年、一刀様は孫権さんをはじめ、複数の女性との間に

 

お子様を儲けていらしたのだ。もう物心ついた子も居たし、まだおしめの取れない――それは呂jちゃんだったか、色々な子供が

 

居た。それを見た私は、一刀様と共にこの世界に帰ってくることを諦めようかと思った。けれども孫権さん、陸遜さん、甘寧さん、

 

孫尚香ちゃん……つまり私と同じく『超越者』の方々は理解してくれていたようで、一刀様が遂に『天の御遣い』としての役割を

 

終える時が来たのだと周囲を説得してくれ、一刀様は私と共に往くことを許された。

 

貂蝉さん曰く、

 

 

『ご主人様が真相に気付いた場合、その周囲に居る『超越者』達は同じく真相に気付いてしまうのよ。時間的な誤差はあるけどね。

 

 だから、孫権ちゃん達はいずれご主人様が消えること……いえ、また同じような歴史を繰り返してしまうことをわかっていたわ。

 

 今回はもう終端を迎えても外史は終わらない。このままずっと続いていくことになると思うけれど、それをあの子達は知る由も

 

 無い。私が教えてもいいんだけど、あまり外史の人間に干渉したくはないから、やめておくわん。あの子達はもう、愛する人に

 

 苦しんで欲しくないと思ってる。だから、身を切られるような思いをしてでも、あなたにご主人様を託すことを選んだのよ』

 

 

何故私だったのか。何故私が気付いたのか。

 

愛紗さん、鈴々ちゃん、星さん、翠さん、紫苑さん……劉備陣営には『超越者』が多く揃っていた筈。なのに何故、私だけがその

 

事実に気付いたのか?何故他の人は気付けないのか?

 

それについて尋ねると、貂蝉さんは教えてくれた。

 

 

『それはね。朱里ちゃん……あなたが『最初の超越者』だからなのよん。全ての始まりとなった外史で、ご主人様に選ばれた存在。

 

 あの始まりの外史ですら、幾度か繰り返されたような痕跡があるわ。けれど、その中でも最初に選ばれたのがあなただったのよ。

 

 あなたが今挙げた娘たちは、確かに『超越者』よ。特に強い部類のね。しかし、あなたにはその中でも最も強い力が与えられて

 

 いるの。あなたという存在は、最早ご主人様と同じく『天の御遣い』と呼べるほどのものになっているわん』

 

 

――最初の超越者。天の御遣いに最初に選ばれた者。

 

おそらく、一刀様が蜀陣営にいらっしゃった場合、更にややこしいことになっていたかもしれない。魏陣営にいらっしゃった時の

 

話も聞いたけど……あの時は歴史の大局の流れに逆らって魏を勝利させたために、一刀様は曹操さんと最後の会話を交わした直後、

 

消えてしまったそうだ。

 

そういえば魏を主導としての三国統一後、暫くしての宴会――立食パーティーだったか、あの場に一刀様がいらっしゃった記憶は

 

無い。他の皆は居たけれど、あの人だけが居なかった。全てを知った今となっては、その理由も理解出来る。その時の私は、魏に

 

降臨して様々な貢献をし、戦を終わらせたという『天の御遣い』という存在に憧憬を抱いていた。同時に、私達の策を悉く破って

 

私達を追い詰めた策略家として尊敬もしていた。今でこそ私達を破れた理由は納得出来るけど、自分という存在を懸けてまでとは、

 

やはり一刀様はどこまでも一刀様なのだと改めて思った。曹操さん達も、そんな一刀様を愛していたのだと思う。

 

だから、あの世界の繰り返しは決して無駄ではなかったと思いたい――だって、それが無意味だったらあまりにも救いが無いから。

 

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色々なことがあった、あの外史から脱して一年。

 

そろそろ整理をつけるべきなのだと思っていても、自分が生まれた世界だからか、中々整理をつけられない。元々孤児である私は

 

家族の事を心配する必要は無い。雛里ちゃんのことは心配だけど、きっとうまくやっていると思う。

 

――時間はある。今は無理でも、ゆっくりと整理していけばいい。

 

そう自分に言い聞かせ、私は席を立つ。巨大な本棚にちょっと苦労しながらも本を戻し、もう人も疎らになった図書館を後にした。

 

 

 

この世界での私は『北郷 朱里』と名乗っている。理由は簡単。私の嘗ての名――『諸葛亮 孔明』は、この世界ではあまりにも

 

有名過ぎて使えないから。加えて、戸籍を調べてみたところ、私の名前は前者のものになっていたし、変更する気も無かった。

 

真名を大っぴらに使うことに、躊躇いが無かったわけではない。真名というのはその人の魂を表す神聖な名前、出来るならそれは

 

隠していたかったけれど、あの世界から解放されるには、嘗ての名を捨てる必要があった。

 

そう――嘗ての名は『外史の中での役割』を規定するものに過ぎず、あの外史で私は「諸葛亮 孔明」であるとして存在していた。

 

私という個人の存在を証明するものは、この『朱里』という真名しかない。つまり真名というのは、そうした『外史の演者達』の

 

本来の姿を示す、残滓のようなものなのかもしれない。

 

だから、私は名を捨て、真名を名乗ることを選んだ。それがこの世界での私という存在を証明するものだから。

 

愛する人が知っていてくれれば、もう孔明の名を名乗る必要は無い。そう思い、私はごく普通の少女としてこの世界で生きている。

 

 

 

「さて、早く帰って夕飯の支度をしないと……って、はわわっ!?もう陽が沈みかけてる!?大変!」

 

――未だに、「はわわ」の口癖は消えていない。

 

わたわたと学園の正門を飛び出し、自宅に向かって走る私は、きっとあの頃から変わっていないんだと思う。変わった部分もある、

 

でも結局私は私。私が私に戻れたなら、それはそれで良しとするべきなのかもしれない。

 

それはいいけど、やっぱり早く成長したいな――などと思いつつ、私は疾風のように街中を駆け抜けていった。

 

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あとがき(と言う名の説明文)

 

 

みなさんこんにちは。迷走創作家(自称)のJack Tlamです。

 

今回はヒロイン・朱里のモノローグ的なものをお送りしました。

 

コメントを拝見させていただき、これを書き足しておこうと思った次第です。

 

 

基本、本作では一刀・朱里共に戦闘をこなします。

 

朱里は基本的に一刀専属の軍師ですが、戦闘ができないことを気にしている描写が無印であったもので、

 

「戦える朱里」とはどんなものだろうかと、想像して書いてます。

 

 

武器設定もありますが、それはもう少し先で。

 

 

なぜ朱里を戦闘要員にしたか?

 

そちらについては実際に彼女が戦う場面を描写してからご説明できればと思います。

 

一言申し上げておきますと、恋姫軍師ーズの中では最強です。

 

というかそこらの武官より強い…どころの話ではないですね。超強いです。

 

 

本作はSF要素が入ってきます。

 

もう恋姫世界のテクノロジーには突っ込みどころ満載(ドリルだとかパイルバンカーだとか)なので、

 

正直自由に入れられるかな、でも制約は付くよね、的な感じで夢は尽きません。

 

 

次回は一刀君の番です。

 

それが終わったらいよいよ本番です。

 

四人目の登場人物はだれか?

説明
『真・恋姫†無双』を基に構想した二次創作です。
無印の要素とか、コンシューマで追加されたEDとか、
その辺りも入ってくるので、ちょっと冗長かな?

無茶苦茶な設定とか、一刀君が異常に強かったりとか、
ありますが、どうか生暖かい目で見守っていてください。

恋姫らしさがちょっと少ない気もしますが、
あえて茨の道を行く一刀と朱里を描きたくて、こんな
作品になりました。

今回は朱里のモノローグ的なものです。

※2014/12/15 本文を加筆・修正した改訂版に差し替えました。
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コメント
>>心は永遠の中学二年生様 コメントありがとうございます。新しい話の執筆と並行して既に掲載済みの話のリメークをしています。更新順序はバラバラです。(Jack Tlam)
Σ改訂版になってた(心は永遠の中学二年生)
>>Seigou様 コメントありがとうございます。夜分遅くにご覧頂き大変ありがとうございました。無印だと朱里は戦えない自分に悩んでいたので、なら戦えるようになったらどうか……という発想ですね。(Jack Tlam)
なるほど、戦える朱里ですか、一刀もそうですが朱里の武器も楽しみです、時間が時間ですので今回はこれくらいにして明日から読ませていただきます、おやすみなさい(Seigou)
>>なるっち様 あ、なるほど…そういえばmokiti様の作品は読んでました。でもこちらは『真』を無限に繰り返した後…という設定なので、無印後の設定であるmokiti様の作品とは被ってはいないと思いたいです。コンセプトも違うので…(Jack Tlam)
↓↓もしかするとですが、下の方にコメントしているmokitiさんの作品ではないでしょうか?(なるっち)
>>Tomycustom様 コメントありがとうございます。自分はSSを書くのは初めてです。あまり他のSSを読んでいないので、被ってるかどうかがちょっとわからないです…(Jack Tlam)
これって、書き直しですか?このSSと同じような設定のSSを見たことがあるのですが。(Tomycustom)
>>漆黒の戦乙女様 コメントありがとうございます。あれは確かにツッコミどころが多すぎて笑い転げた経験があります…でも夢があっていいですよね(マテ(Jack Tlam)
>>naku様 コメントありがとうございます。一刀が種馬にならない分、腐女子成分を増やせれば…なんて。純粋な武力で言えば化け物とまでは行きませんが。(Jack Tlam)
真三國無双の世界も突っ込みどころ(爆弾やらガトリング砲とパイルバンカーの複合兵器に謎の浮遊する剣、おまけに搭乗して火を噴き大砲放つ戦車)ありありですからね、現代の要素込みならSFがあってもいいでしょう(漆黒の戦乙女)
>>mokiti1976-2010様、コメントありがとうございます。間違いなく原作の朱里みたいな感じにはなりません。可能な限り血まみれにならないようには気をつけますが、当方どうしても戦争を描くに残酷になってしまうので、彼女には辛いかもしれません。でもやっぱり朱里が一番な作者なのであります。(Jack Tlam)
朱里ヒロイン物とは…とっても大好物です。続きを期待しております。(mokiti1976-2010)
>>劉邦柾棟 コメントありがとうございます。慌てながらビームを撃つのは危険ですねwww。でも雛里が魔法を使うのは正直やってみたい…祈祷とかそっちの方向で。朱里は技で強い感じですが。(Jack Tlam)
逆に、雛里が「あわわ! あわわ! あわわwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww!?」っと言いながら『魔法』を使うというのを是非ともやって頂きたいです!?(≧∇≦*)b(劉邦柾棟)
取り敢えず、「はわわ! はわわ! はわわwwwwwwwwww!?」っと言いながら『ビーム』を撃つのだけは無しの方向で……。  んなのが実際に起きたら味方や城に自軍の陣営に多大な被害が出そうだ。(劉邦柾棟)
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