超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 リーンボックス編 |
哄笑。大口を開けて、大声で笑う姿があった。
人とは思えない程、半分は真っ白な白磁の肌、もう半分は真っ黒な暗黒の肌。
痛々しい薔薇の蔦を体の至る所に巻きつけられ、胸が開けて見えるほど露出度がある服装。
整った顔つきだが、それは狂った様に歪んでおり、元からある思わず引かれてしまう様な妖しい雰囲気は台無しだ。
「あ■あああ■ああぁぁ!?!?」
ネプテューヌ達の目の前に居る存在は『負』に?まれた元女神。
既に理性の欠片は垣間見れず、悲鳴に近い絶叫を響かせ、周囲に展開した魔法陣から幾多の光弾を発射する。
「うわぁ!?闇墜ち?魔王様に魂売って魔改造したタイプ!?」
その迫力に思わず一歩下がり愛刀を抜き、光弾を切り裂くネプテューヌ。
背後にいるアイエフも同じようにカタールでコンパに光弾が当たらないように遥か彼方の空に向かって弾く。
そして、コンパの武器である巨大な注射器の針から圧縮された液体弾が発射、マジェコンヌは猛獣のような雄叫びを上げながら、突進してコンパの射撃を身に受けてダメージを見せず、ネプテューヌに向かって先端に四つの刃をしたステッキを突き刺す。
「−−っ!バックステップーー!!」
それを間一髪で後ろに跳ぶことで躱す。
ステッキは、そのまま地面を突き刺し込められた魔力が爆発して地面を吹き飛ばす。
後ろに下がりながら、ネプテューヌは危機感を感じて目を薄く染めると、光が彼女を包んで、それが解けた時、そこには凛々しい顔つきの背が伸びたネプテューヌがプロセッサユニットを装備して、空中に浮遊していた。
「貴方と遊んでいるほど、私たち暇もないし、気分じゃないのよ。だから……瞬殺させてもらうわ!」
シェアエナジーにより、姿を変えた紫色の長太刀を構えてバックプロセッサからブーストを吹かし、一気に距離を詰める。
マジェコンヌが魔法陣を展開して、光弾を放つが、それを全てネプテューヌは回避する。
「私も、忘れちゃ困るわね」
空のネプテューヌに意識が向いている間にアイエフはマジェコンヌの懐に潜り込んでいた。
声に反応して、マジェコンヌは視線を送るが既に防御する時間もない。
「ソウルズコンビネーション!」
蹴りと斬撃による縦横微塵の強烈な攻撃に、思わず顔を歪めてマジェコンヌが下がる。
「もらった!」
その隙を利用して、ネプテューヌは既に斬撃の範囲が届くほどに接近していた。
流星の落ちるような軌跡を描きながら、ネプテューヌの一撃はマジェコンヌのステッキに流される。
それでは終わらない。体を回転して斜めに斬撃が振り下ろされる。それをマジェコンヌは僅かに体を逸らして躱す。まだ終わらないバックプロセッサのブーストを吹かして、マジェコンヌの頭上を取り渾身の力を込めて振り下ろす。
「クロスコンビネーション!」
無駄のない動きから放たれる三連撃。弾き、躱して体制を崩したマジェコンヌには、それを受けることしかできない!
「−−−がぁぁっ!!!」
「!?」
マジェコンヌの手が伸びる。ネプテューヌの渾身の一撃を受け止めた。((片腕を|・・・))犠牲にして!
驚くあまり目を開くネプテューヌ、マジェコンヌの口が吊り上った。長太刀をを握りしめられ、動くことが出来ないネプテューヌに四つの刃をしたステッキが伸びたその時、木々を薙ぎ倒すほどの質量を得た漆黒の弾丸がマジェコンヌに直撃した。
「がはっ!?」
思わず奇襲にまともな防御姿勢を出来ずに吹っ飛ぶマジェコンヌ。
手が離れて長太刀を握りしめたネプテューヌは、後ろにいるアイエフとコンパもそれを見て戦闘中であるにも関わらず、見つめた。
何度も見た漆黒の鎧。それは、荒々しいドラゴンを模ったような造形だ。
その手には、黒く輝く二つの大剣が握りしめられ、兜の先には蠍の様な尾が伸びている。
「待たせたな」
全身鎧の為、表情も性別も分からない。
けれども、その姿と声だけでネプテューヌたちは確信を持てた。
いつものように、優しく自分たちを案じてくれる零崎 紅夜はここにいた。
◇
なんとか間に合ったみたいだ。心の中でそう呟いて、笑みを浮かべる。
何故、この場所にネプテューヌ達がいたのか、原理はよくわからないが、何故かネプテューヌの存在を感じることが出来た。
最初は走って目的地に向かっていたが、いままで感じ事がないほどの大きなモンスターの気配がして思わず鎧を装着して来たのだ。
半分が闇が浸食されているように真っ黒で魔女のような姿が異質だが、それは人型だった。もっと巨大なモンスターの感じがしたのだが、とりあえずあれは((人間じゃない|・・・・・・))。それだけははっきりと理解できた。
そう結論が出来た所で、横に衝撃が伝わった。
「よがったです……よがだでずぅぅ!」
「ちょ、コンパ?」
丸っこい瞳から大粒の涙を流して、存在を確認するように見ただけで力強く抱きしめられた。
上から除けば、セーター服の合間から微かに谷間が見えて急いで、目を逸らす。
『なんというご褒美!!このためだけ生きています!!』
「少し黙れな?」
鎧越しだと、俺は接触した物の感覚が分からん。
発情期の獣の様に興奮するデペアに黙れと指示を送りつつ、黒曜日を地面に突き刺して、余った手でコンパの頭を撫でる。壊さないように優しく。
「……よく、来てくれたわ」
「色々と大変だったけどな」
アイエフも、少しだけ瞳に涙を溜まったことを隠すように俺から目を逸らして、鎧をポンポンと叩いてきた。
「ネプテューヌ、毒を飲まれただけど大丈夫か?」
「えぇ、コンパが作ってくれた解毒剤で元気よ……紅夜も、ありがとう。私達の為に」
恐らくグリーンハートと俺の間の噂を聞いたんだろうな。
複雑な表情で、変身時のネプテューヌは頬に触れた。
鎧の上、故に触られているのは分かるが、掌の温度は分からないけど、心は静かに底から温かくなった。どことなく溢れた忠実感に浸っていた。
「おお■ぉぉ■お■ぉ!!
だが、雄叫びを上げる魔女に視線が集まる。
「私たち、パーティー再結集の初めての相手よ。やるわよ紅夜、あいちゃん、コンパ」
剣先を向けるネプテューヌ。
惜しむようにコンパは離れ、アイエフは既に戦闘へ意識を傾けている。
俺も地面に突き刺した黒曜日を抜き取り、目前の敵に意識を集中させる。
「…………」
疑問と不安が脳裏を通りすがる。
あの魔女の((中|・))はなんだ?昏い昏い光が全く届くことなく広がる暁夜のようだ。
モンスターの気配も彼女の中からする。胸がざわつく、あれはモンスターの類じゃないのに、もっと深いなにかだ。
「行くわよ!」
「−−あぁ!」
こんなことを考えている暇はない!
とにかく、こいつを倒すが先決だ!
足と手の装甲が開き、噴射口を後ろに集中させ一気に魔力の火を噴かす。
魔女は、空中に魔法陣を展開して光弾を放つが、その程度の威力なら躱す必要はない!
「紅夜、そいつの杖に気を付けて!」
背後のネプテューヌに忠告を頭に叩き込み、光弾を身に受けながら黒曜日を重ねて斬りかかるが前方に展開された魔法陣が斬撃を阻む。
黒曜日を手から離し、ブーストで頭上を取る。そのまま、体に遠心力を掛けて拳を叩き込むが、これも寸前に魔法陣を展開されて防御される。
「−−はぁぁ!!」
魔女が四つの刃がある杖を俺に定めた時、横からネプテューヌが突進した。
光弾を放つ魔法陣がネプテューヌを照準に捉えた瞬間、兜から伸びた先に刃がある尾でその魔法陣に突き刺した!
『((Deain|ドレイン))!』
全身の至る所にある闇色の宝玉が点滅する。
その瞬間、魔女の周囲に展開されている光弾を放つ魔法陣に使用していた魔力は鎧が吸収して消え失せる。
自分を守る壁がなくなったのに、魔女は笑うように口を細めたことに俺は直ぐにその場を離れた。
「ネプテューヌ離れろ!」
「!?」
その瞬間、視界が真っ白に染まった。
莫大な熱量が鎧を飲み込み、至る所が溶けて落ちたが、俺自身のダメージはない。
奴は、俺が攻撃した時に展開させていた魔法陣を爆発させたのだ。本人は、巻き込まれてダメージを負っていたが相変わらず笑っていた。
「チッ、しぶとい!」
手に再び黒曜日を顕現させる。
コンパの援護射撃が始まり、アイエフがカタールで魔女に斬りかかるが、それを空中に飛ぶことで回避した。
あの爆発を回避できたネプテューヌがブーストを吹かして、魔女を追撃する。
俺も、魔力を噴出して一気に魔女との距離を詰めようとするが、巨大な魔法陣を展開してこれまで以上の弾幕と威力のある光弾を放ってきた!
「……ぐぅ!」
思わず腕で防御。鎧が削れるほどの破壊力だった。
地面に体が叩きつけられるが、直ぐに立ち上がり光弾を回避する。
「前に戦った時より、遥かに強くなっている……!」
アイエフが光弾を回避しながら、鬱陶しく呟いた。
空から降り落ちる光弾の破壊力は凄まじく、地面に落ちれば波紋が広がり、小さなクレーターが出来る程だ。
ネプテューヌも下がることしか出来ず、危なげな光弾を長太刀で弾くしかないと言う防戦一方を強いられていた。足の遅いコンパに当たりそうな光弾を弾く。一発一発に腕を持って行かれそうなほど衝撃が走る。
「ッ……デペア!至近距離で((黒竜撃|ドラグーン・デストラクション))を打ち込む!」
『……ダメだ。危険があり過ぎる』
「ある程度の傷なら大丈夫だ!」
罪遺物とか、とにかくすごい者で俺の肉体って不死身属性があるんだろう?
それを有効的に使わないと、こっちのスタミナがいつまで続くか分からない!
あの魔女に展開されるあの防御に使う魔法陣、ある程度の攻撃ながら寧ろ使わず当たりながら突っ込む獰猛さから見えて、一撃で仕留めないと直ぐに襲ってくる。あれは、自分の肉体が欠落しても容赦なく突っ込んでくるタイプだ!
『無茶だけは……しないでよ!』
充電されていくデペアの魔力は、黒曜日に黒い紫電と轟音を響かせる暴風を纏わせる。
それを俺自身の魔力で二重螺旋に織り込みながら、ブーストを一気に吹かせて光弾の嵐の中に突っ込む!
ネプテューヌは、弾いた光弾を俺に当たりそうな光弾にぶつけて相殺してくれる。それでも、幾つかの光弾が体に直撃する。鉄バットでも殴られたような衝撃が走ってくるが、構わず二つの黒曜日とブーストに魔力を込める。
「…………!!」
「喰らえぇぇぇ!!!」
『((黒竜撃|ドラグーン・デストラクション))!!!』
突きだした二つの黒曜日から放たれる二つに重ねられた暴虐の双嵐。
それを魔女は、咄嗟に手を前に出して魔法陣を展開するが、黒い稲妻を纏う最大出力の前には、成すすべなく飲み込まれた。
「……ハァ、ハァ、ハァ!!」
『使用時間終了、解除するよ。……お疲れさん』
地面に降りた所で、使用時間が終わったのか、鎧が解除される。
魔力の使い過ぎで思わず倒れそうになった時、横からネプテューヌが支えてくれた。
「お疲れ様、かっこよかったわよ」
「はは、どうもありがとう」
「こぅさん、怪我はありませんか?」
「塵ひとつ残さず消し飛ばしたわね……紅夜、中々エグイわね」
袖を捲ると、肌が紫色になっている部分が多々あった。
鎧を装着しても、凄まじいこれだけのダメージだ。改めてデペアの存在が俺にとって最強の矛であり、盾であることを実感する。
要約、再開できたネプテューヌ、コンパ、アイエフの顔を見て思わず頬が緩む。
短いようで、長かった。ベールことがあり、まだまだ問題が山の方にあるが、今はきっと喜んでいい。
「そういえば、お前らどうしているんだ?」
「貴族側にお世話になっているわ。紅夜のことだから、それで分かるよね?」
「あぁ、面識は誰一人としてないが、……教会側だと悪いイメージしか聞かないんだよ」
「すっごくいい人達です。ねぷねぷの解毒剤について教えてくれたです」
「そうか、お前らがそんなに評価するんだ。きっといい人達なんだろうな」
「そういえば、ネプ子いつまで変身しているの?」
「…そうね。ふぅ、今日の敵は本当に強敵だったわ」
四人で肩を並べて、俺達は今まで話したくても話せなかったことを解放して、会話に花を咲か『グサッ』
『紅夜!!』
「……グフッ」
口から鉄の味がする液が溢れてきて思わず口から零れる。
下に視線を送ると、胸から((四つの刃が生えていた|・・・・・・・・・・))。無意識に隣にいたネプテューヌ達を押して離す。同時に莫大な波動が体に走る。視界が一瞬にして真っ赤に染まる。まるで体の中で爆発が起きたような衝撃。胸から異物が抜き取られると同時に地面に倒れる。地面は既に血沼だった。
「こぅちゃん/こぅさん/紅夜!!!!!」
なんで、俺は、またーーー………
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