ソードアート・オンライン 黒と紅の剣士 第十五話 賭けデュエル
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大地視点

あれから3週間様々なことがあった。

黒猫団やスリーピング・ナイツと一緒に狩りの成果を競ったり、合同でアインクラッドに挑んだりし、夜にはアスナがユウキと約束していたというバーベキュー大会が、二十二層のログハウスで盛大に催された。

いつもの仲間達の他にサクヤやレコン、アリシャ・ルー、ユージーンなど、他にも黒猫団からバスターズまでいろいろな意味で凄い人が集った。

結果、合計四十人以上に膨れ上がった大集団の胃を満たすために、わざわざ食材狩りのパーティーが結成されたほどだ。

乾杯の音頭に先駆けて、アスナはスリーピングナイツの面々を改めて紹介していた。

無論、病気のことは伏せていたが、彼らが数々のVRMMOを渡り歩く凄腕集団ということや、解散前にALOで思い出作りをしていることなどを話した。

賑やかな乾杯の後は、嵐のような暴飲暴食の宴が始まり、全員で大いに食べ、飲み、語り合った。

その席上で、こうなったら二十八層以降のボス攻略も狙っちゃおうという話が持ち上がった。

二次会が二十八層迷宮区踏破ツアーに決定してしまうと、なんとそのまま大人数でボス部屋になだれ込んで、巨大な甲殻類型のボスを屠ってしまったのは笑い話に類するだろう。

最初はやたらと感の鋭いキリトに警戒していたユウキだったが、同じ片手用直剣使いということもあって、あっさりと打ち解けていた。

こうして俺たちはアルヴヘイムを一緒に冒険しながら、現実世界ではプローブを使って俺達の家やエギルの店にも遊びに行った。

だがこの後、予想外の出来事が現状を大きく変えるとは、誰も気づかなかった。

 

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通常視点

それは、ある日の狩りの帰り道で起こった。

 

?「やあ、君が絶剣クンかな?」

 

狩りを終えて飛び上がろうとしたキリトたちに、見知らぬ男性プレイヤーが声をかけてきた。

身長180cm代のやせ気味の長身で、スーツにも似た黒いシャツとパンツの上に、白衣を思わせる白いロングコートを着ている。

 

ユウキ「誰、君?」

 

?「これは失礼、自己紹介がまだだったね。僕はスカイ。」

 

デュオ「何しに来た?」

 

この男の正体に気付いたデュオは、背中の剣に手を掛けて男を睨み付ける。

 

スカイ「おいおいデュオくん。その態度は酷いんじゃないかい?僕はただ絶剣クンとデュエルしに来ただけだよ。」

 

ユウキ「ボクと?」

 

スカイ「そう。もし君が勝ったら、君とスリーピング・ナイツのメンバー全員の病気を治してあげるよ。」

 

全員『っ・・・!?』

 

スカイの言葉に、俺を含めその場にいた全員が息を呑んだ。

 

スカイ「安心して、もう薬自体は完成してるし、100人の人間で試したけど全員完治したよ。ちなみに副作用もなし。しいて言えば、薬が苦いことかな?」

 

最後に「まあカプセル剤だから味は関係ないけどね。」と付け足す。

それを聞いて最初に反応したのはアスナだった。

 

アスナ「そ、そんなものがあるなら、早くユウキたちを助けてあげてよ!」

 

助けられるのに助けようとしないというスカイの態度が気に入らなかったアスナは怒鳴ると、スカイを睨み付ける。

すると、スカイは不敵な笑みを浮かべたまま、光を失った眼でアスナを見て言う。

 

スカイ「お前の意見なんて訊いてねぇんだよ小娘。」

 

その言葉が発せられた瞬間、全員に悪寒が走った。

一部を除き、女子たちは皆震えて男陣の後ろに回る。

 

ユウキ「君が勝ったら?」

 

スカイの威圧感に抗うかのように、ユウキはしっかり立ったまま問い掛けた。

ユウキの問いに、スカイはニヤリと口許を歪める。

 

スカイ「絶対に君たちの病気を治してあげるよ。」

 

全員『っ・・・!?』

 

またも、しかし今度は別の意味で全員が息を呑んだ。

 

スカイ「やるかやらないかは君の自由だよ。ちなみにあと1人までなら一緒にかかって来てもいいよ。どうする?」

 

してやったりという顔のまま、スカイは返事を待つ。

ユウキとアスナは顔を見合わせると、同時に頷きスカイに向き直る。

一歩踏み出すと、ユウキが答えを返した。

 

ユウキ「もちろん。やる!」

 

そう言いながら、ウィンドウを操作してデュエルの申し込む。

スカイはそれを受託すると、手を前に突き出して言った。

 

スカイ「システムコマンド。オブジェクトID【ハードグラヴィティ】ジェネレート。」

 

すると、スカイの前の空間が歪み、微細な数字の羅列猛烈な勢いで流れ、一本の剣を形作った。

先端から徐々に質感を与えられていくと、無骨な両手用直剣になる。

やがてジェネレートが完了すると、スカイはその柄を握って、ぶんっと振り切る。

 

スカイ「よし。こんなのでいいかな。」

 

剣を一瞥して呟くと、スカイはユウキたちに視線を戻した。

一方でアスナは世界樹のワンドをストレージに戻し、代わりに赤い鞘に収めた白銀の((細剣|レイピア))、【ランベントライト】を装備する。

そして、ユウキと同時に抜剣。

 

ユウキ「えーと、ルールはありなのかな?」

 

スカイ「もちろん。魔法もアイテムもばんばん使っていいよ。僕はこれだけだけどね。心配しなくても管理者権限なんて卑怯なものは使わないから安心していいよ。」

 

即答しながら、スカイは剣を右肩に担ぐ。

 

スカイ「そうだ。地上戦と空中戦は、どっちが良い?」

 

ユウキ「う〜ん・・・ボクはどっちでもいいんだけど、アスナは?」

 

アスナ「じゃあ・・・地上戦・・・かな?」

 

スカイ「OK。ジャンプはありで、翅を使うのは無しってことで!」

 

スカイがそう言うとアスナとユウキは、背後に広げていた翅を畳んだ。

3人の間にはデュエル開始のカウントダウンが表示された。

 

[Sky vs Yuuki&Asuna]

 

アスナは右手を体側に引き付けてレイピアをほぼ垂直に構え、ユウキは自然な半身の姿勢を取って、剣を中段に構えた。

対するスカイは、剣を担いだままの姿勢で特に構えはしない。

カウントがゼロになり、[DUEL]の文字が表示されるのと同時に、アスナとユウキは地を蹴った。

 

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武器【ハードグラヴィティ】はソードアート・クエストにあった武器で、超重量の両手用直剣です。

 

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後書き

 

次回はアスナ&ユウキVSスカイ戦or番外編(海か夏祭りか迷っていますが)を書こうと思います。

どちらが良いか言っていただけると、ありがたいです。

 

説明
遅くなりました。
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コメント
本郷 刃さんへ 空の威圧感は軽くても、暴走時(言葉使いがカタカナになっている時)の大地と同等以上の強さがありますからね。戦闘では、スカイの異常さの片鱗が垣間見えます。(たぶん・・・)(やぎすけ)
お兄さんの威圧も中々ですね〜、アスナがかなり怯んでいましたね・・・さて、どんな戦闘になるか楽しみです!(本郷 刃)
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