新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第017話 |
重昌「それじゃ、手筈通りに頼む」
華雄「了解しました」
こうして連合より一騎の騎馬が駆けて行った。
新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第017話「友人が出来ました」
虎牢関にて――
???「………最悪なのです」
張遼「すまんな音々。ウチが華雄を止めきれんかったばっかりに」
関の城壁にて連合の大軍を見て項垂れている者が居た。
名前は陳宮と言い、緑色のショートヘアーで二つの小さなお下げ髪を残し、その小さな頭には黒くて可愛い軍帽子的なモノを被り、下はショートパンツでその素足を惜しげもなく晒している。
しかし身丈が普通の女性よりも小さく過ぎるが、まだまだ成長の可能性は秘めていることだろう。
音々と言われたのは彼女の真名であり、彼女が項垂れている理由は――
陳宮「華雄の事ではないのです!連合にいるあの旗の人物が問題なのです!」
彼女は両腕を大きく上げた後にとある方向に指を差すと、西涼軍がいること象徴たる”西”の旗印と、重昌の旗印である” 上杉笹”の旗印を指し示す。
張遼「あれは……影村か。あっこには華雄を討ち取った影村が……必ず華雄の仇はウチg「待つのです!絶対先生には戦いを挑んではいけないのです!」どういうことや?」
影村の旗印を差された時、張遼は、今は亡き同僚の敵討ちで心を燃やしていたが、しかし陳宮がそれを止めに入った。
また彼女が影村に対して、「先生」と言っていたのも、何か疑問を感じていた。
張遼「なんやえらい警戒するやないか?あんた影村について何か知ってるんかいな?」
陳宮「知っているも何も、音々は元影村塾の生徒だったのです。あの旗印に本当に先生がいて、そして本気で音々達を潰す気なら、音々達に勝利は無のです。あの人を知っている者だったら、必ずそう思うのです」
張遼「ほなら……アンタもその一人かいな?」
彼女の言葉に、張遼は彼女を睨みつけるが、陳宮は――
陳宮「まさか……先生はいつも言っていたのです。『本当の卒業は、私(先生)を越える事』だと」
張遼「せやったら――」
陳宮「………負けるわけにはいかないのですよ。塾を卒業する為には――」
一方連合側では……
袁紹「なんですって!?影村さんは後方下がるですって!?」
重昌「大声を出すな、袁紹殿。それもまとめて説明もするから」
連合の軍議の席では、参謀である重昌を中心とした会議が開かれていた。
水関にて、少数であるが精強な董卓軍のほとんどを捕えた影村軍が、後方に下がるというのだ。
周りの諸将も”何故?”と言いたげそうな顔であるが、その理由も今語られる。
重昌「北郷が出した案もなかなか捨てがたかったが、少し案を代えさせてもらう。まず、水関の件も踏まえて、今度は董卓軍も徹底抗戦で来るに違いない。我が西涼軍のほとんどは騎馬主体だ。よって、攻城戦においてはそれほど役にはたたないのだ」
曹操「なら影村殿。貴方はこの関をどうやって抜けるのかしら?」
重昌「別に関を抜けるとはまだ言っていない」
その言葉に、その場にいる諸将の頭に((?|クエスチョン))が点滅する。
重昌「まず改めて各軍の兵数を確認しよう」
連合軍
影村軍(騎馬中心) 50,000
袁紹軍 30,000
曹操軍 20,000
袁術軍(+旧呉軍) 30,000
陶謙・劉備軍 12,000
公孫賛軍 10,000
その他の軍 18,000
計 170,000
董卓軍
水関よりの残兵 75,000
虎牢関駐屯兵 25,000
計100,000
重昌「今回、敵は先の対戦の反省を踏まえ、徹底抗戦で挑んでくる事は明白だ。敵にはまだ、黄巾三万の大軍を単騎で壊滅させた飛将軍呂布、神速の張遼がいる。ここで抵抗されて日数を稼がれても面倒だ。よって別働隊を率いる事にする」
張勲「別働隊?」
皆の疑問を代表して、張勲がそう言う。
重昌「少しばかり日数はかかるが、先の軍議で言った洛陽に続く周り抜け道を使おうと思う。普通の軍ならばどれだけ少なく見積もっても10日はかかるであろうが、我が軍なら3日で駆け抜ける自身がある。虎牢関に多くの兵が駐屯しているおかげで、幸い洛陽にはそれほど兵がいないはず。洛陽の董卓を討ち取れば、自然に虎牢関にいるはずの兵も降伏するはずだろう?」
諸葛亮「なるほど、二面作戦を繰り広げるわけですね」
重昌「そうだ。ただ一つ肝心の事が残っている」
袁術「なんなのじゃそれは?」
袁紹「………虎牢関の董卓軍にそのことを気付かれない様にするかですわね」
皆が袁紹の方に向けて顔を向ける。
この顔を向けた理由は、まさかの回答が”アノ”袁紹の口から出た事であり、しかもちゃんと理に適っているのだから((性質|たち))が悪い。
重昌「その通りだ。それには虎牢関を攻撃する将兵の方々には、あからさまな攻め方をして欲しいのです」
曹操「あからさま?」
重昌「そう、『俺らは絶対この関を抜ける!』、『俺たちは絶対この関を落とす!』と思わせる、勢いに任せた攻め方をしてもらいたい。攻め方は任せます。とにかく相手には、こちら側は抜け道を知らないと思わせることが肝心なのです。そしてこちらは敵に気付かれないように洛陽に向かい、董卓を討つ。かと言って上手く董卓を討ちとれたとしても、また手柄にも不公平が生じる為、今回の一番手柄は、虎牢関一番乗りとする。どうです……?」
彼の案に満場一致で賛同するが、ここでまたしても空気の読めない者が彼にモノ申した。
劉備「影村さん。その部隊に、私の軍も入れてくれませんか?」
彼女の一言で重昌はため息を一つ吐いて答える。
重昌「別にそれは構わないが、足手まといになるのなら直ぐに置いて行く。そのつもりで」あることは言わなくとも判っていますか?」
劉備「大丈夫です。私達の所にも、騎馬の扱いに関して誰にも負けない将がいますから」
脇を占めて両手をグッと握りしめる彼女は自信満々に答える。
重昌もその将は誰なのか知っている。
馬超と馬岱である。
彼女の母親の馬騰とは((義兄妹|きょうだい))の杯を交わした仲であるので、彼女達の実力もよく知っている。
だが劉備軍の騎馬隊は見積もってもせいぜい200。
陶謙軍の騎馬隊と合わせても500程度。
今回、重昌が編成しようとした騎馬隊は10,000ぐらいで、500ぐらい増えても、正直居てもいなくても変わらない。
しかしここで断って後でいろいろ言う事もぶっちゃけ面倒なので――
重昌「ふぅ……わかりました。合流することは構いませんが、騎馬隊のみの編成でお願いします」
彼はどこか投げやりな感じで答えるが、当の劉備は『わかりました』と元気よく返事をする。
作戦開始は二日後。
その間、各陣はそれぞれの準備に入った。
西涼陣
ここにはただ今劉備とその家臣、関羽と諸葛亮が来ていた。
何故ここに来たかと言うのは、いつかの答えの返答を聞きに来たのだ。
いつかというのは、『文句であれば、水関攻略後にしろ』と言った件である。
そして諸葛亮も彼女自身で影村に尋ねることがあり、関羽も関羽で尋ねることがあった。
曹操「あら?」
雪蓮(雪)「またお客人?」
天幕前の兵士に話を通し、武器を預けて中を尋ねれば、そこには劉備たちよりも前に、曹操は供に夏候淵を、孫策は周瑜を連れて滞在していた。
重昌はと言うと、ただいま虎と三葉を連れて、別の陣幕で陶謙に茶を振舞っていた。
さっきまで重昌は公孫賛と同盟を結ぶ為に、彼女の陣を訪れており、帰りにたまたま陶謙に出会ったので連れてきたのだ。
陣幕の中は日本の茶室風になっており、漢民族は静座が慣れてないと思い、重昌は足を崩して座る様に言うが、陶謙はそこを曲げずに頑固に重昌達と同じく静座であった。
陶謙「はっはっは、それにしても重昌殿と話すとまだまだ学ぶべきことがございますわい。この老骨も、まだまだ捨てられませぬな!」
重昌「いえいえ、老骨で言えば私も同じ。陶謙殿の様な年長者に比べれば、私などまだまだ若輩者です」
陶謙「またご謙遜を……それに老骨などと、そんな皺も((白髪|はくはつ))もそんなに無い姿で良く言えますな。老人苛めですか?それとも嫌味ですかな?」
重昌「いやいや、これでも五十路はとっくに越え、孫もおります身ですし――」
二人はそんな何もない話を楽しく談笑し、重昌は「粗茶ですが」と言い点てた茶を陶謙の前に差し出す。
それをどう飲めばいいかも判らない陶謙は、まじまじと彼が出した茶碗を見つめるが、「何も考えず、気の抜くままにお飲みください」と聞くと、陶謙は片手で茶碗を持って、豪快に茶を飲みほした。
陶謙「ふむ。なかなか興味深い味ですが、これは一体……?」
重昌「我が国の茶道で用いられる、抹茶という物です」
陶謙「なんと!茶を点てるのにもその道があるのか!?………いや、先程の影村殿の茶の入れ方の姿は、素人の私から見ても中々絵になっていた。なるほど、これが茶道ですか。それにしてもこの湯呑も、ぼこぼこと貧相な様に見えて、中々手にしっくりくるのぅ――」
彼は飲み終わった茶碗をまじまじと興味深そうに鑑賞する。
陶謙「それにしても話は変わりますが重昌殿。先ほど公孫賛殿と同盟を結びに行ったと言っておりましたが、何故公孫賛殿なのじゃ?彼女はそれなりに優秀ではあるが、特に取り柄もないと思うのじゃが?」
その言葉に重昌はクスリと笑って質問に答える。
重昌「その質問に答える前に、陶謙殿。貴方自身、何か当主としての弱点と呼べるモノは、何か答えれますかな?」
陶謙「む、弱点かのう?そうさな………最近は年のせいで戦の前線に出にくくなって、昔の勢いが無くなってしまったことかのぅ」
重昌「ならば曹操は?」
陶謙「曹操殿か………あの者は優秀な統治者で、自分磨きにも余念は無い。ただ――」
重昌「ただ?」
陶謙「……あの若さで覇気が強すぎる為、周りの者が近寄り難く、また思った事を口に出すので、敵を作りやすいですな」
重昌「なるほど。……では、劉備殿はどうです?」
陶謙「そうじゃのう。少しではあるがあの子と共にいて思ったのは……まだまだ未熟じゃ。統治者としての能力はまだまだじゃろうし、武に秀でているわけではない。しかし良くも悪くも人を惹きつける魅力を持っている。良い補佐がいれば、いずれ化ける素質もある。じゃが何かに付けて覚悟が足りず、決断を迫られれば答えを出すのが遅すぎて手遅れになる可能性もあるのぅ」
重昌「流石陶謙殿。なら、公孫賛殿の弱点をあげて下さらぬか?”普通”は抜きにして」
陶謙「ふむ………む?そう言われれば、特にないのぅ」
重昌「そうです。全てにおいて特に秀でたモノ無い。だが、全てにおいては一般の統治者、武将以上であり、弱点は無い。また何かに秀でた家臣がいるわけでもないのに、あの北の五胡も出やすい辺境な土地を一人で収めているのです。いずれその能力を曹操殿や、武力で言えば劉備殿に仕えている関羽殿ぐらいに持っていってやれば……。それを考えれば、彼女は同盟を組むに値する人物ですよ」
陶謙「……いやはや、影村殿の慧眼、畏れ入りました」
彼の公孫賛に対する拘りを聞いた後、陶謙は素直に平伏する。
重昌「重昌」
陶謙「ほ?」
重昌「私の((真名|しんめい))です」
陶謙「いいのですかな?」
重昌「かまいません。むしろ渡すのが遅すぎたくらいです」
陶謙「かっかっか、確かに。儂の真名は((隼人|はやと))です。受け取って下さいな」
それから重昌は隼人ともう暫くお茶をしてから、そのまま解散した。
説明 | ||
おかしいな、このシリーズは一刀君が主役のはずなのだが。 準主役の方がどうしても目立ってしまうww 大丈夫!!ちゃんと一刀がメインの回もちゃんと書きますので………いつか。 相も変わらず文章力には期待はしないで下さいww それではどうぞ。 |
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コメント | ||
禁なる玉さん〉いえ、おじさんも年の話題には敏感ですよww (IFZ) 素晴らしい公明正大な評価の仕方さすがは年の功…年の功と言えば弓使いのあの人はどうして重昌と異なって性格が(年の話題に対して)不細工なんだろう(禁玉⇒金球) |
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