仮面ライダー Rainbow of the oblivion―忘却の虹― 27話 |
「何だ、あの姿は…」
ヴェルデは二人の仮面ライダーを見て呟く。
どうやら予想外の出来事に驚いたのだろう。
仮面ライダーディケイド・コンプリートフォーム
仮面ライダークウガ・ライジングアルティメット
彼が知らないその形態は目の前の敵…アルティメットDを見据えている。
そして間髪入れずアルティメットDが攻撃を仕掛けてきた。
『グォオオ!』
「はぁ!!」
ディケイドCFはアルティメットDの腕を掴み、その力を利用して腹にパンチをする。
そしてすかさずクウガRAは回し蹴りを顔面に命中させる。
その際、メゴッ、という音が鳴り響いた。
アルティメットDの顔面は陥没しているところを見ると掃討な威力なのだろう。
よろよろとアルティメットDは再び攻撃をしようと近づいていた。
『ヴ…オオ…!』
「すごい…体から力が溢れてくる…」
「それだけじゃないっぽいな…はぁ!!」
クウガRAは手をアルティメットDの方に翳すとクウガRAの目の前とアルティメットDの目の前に白い空間のようなものが出来る。
クウガRAは目の前の空間にラッシュをするとその拳はアルティメットD側の空間から出てくる。
アルティメットDはその全てを受けきり、後方に倒れる。
――ヴェルデはこの現象を見て目を光らせていた。
クウガ・アルティメットフォームのときには【超自然発生能力】と【ブラックホール発生能力】が見られた。
今目の前で起きている現象は【ホワイトホール発生能力】とでも言うべき現象だ。
「素晴らしい…彼は今後の実験台だ!」
「お前そんな事しか考えてねぇのか」
「!おい、あれを見ろ、コラ!」
コロネロが指差した方向を見るとそこにはアルティメットDが先程までのダメージを黒い靄のような物で直していた。
どういうことだ、とスカルがわめいたがそこにバミューダが説明をする。
「ここは超螺旋宇宙…認識が実体化するのなら傷なども回復可能だ。沢田綱吉があのアイテムを持っているのも思いが実体化したからにすぎない。アイツを倒すには核となっているおしゃぶりを破壊しなければならないが…」
「その前に回復すると…」
「ああ…だから回復速度よりも上回るほどのダメージを与えなければならない」
「なら……全員でやるぞ!」
ディケイドCFはケータッチをバックルから取り外し、クウガ以外の紋章をタッチする。
『SHINING SURVIVE BLASTER KING ARMED HYPER SUPER-CLIMAX EMPEROR』
地球――でムガンと戦闘中のキャッスルドラン――のなかにある一室。
そこで大きな揺れが起きた。
笛のような音が鳴り響くと、天井と壁からなにかが出てくる。
『びゅんびゅーん!ドラマチックにいきましょ〜〜!』
魔皇竜タツロットと魔皇剣ザンバットソード……封印されしものがなにかに呼ばれて、空間移動した。
――――。
「「「「ん?」」」」
一方、外で戦っていた仮面ライダーのうち電王達はなにかに呼ばれたような気がして放り向いた。
気のせいか…と思った次の瞬間、電王達はそれぞれの電仮面のオーラの状態になり飛び上がる。
『えっ!?ちょっと!』
『なんや?飛んどるやないかい!』
『うわー…スッゴーい!』
『見よ、皆のもの。美しいであろう』
オーラになった電王達は別の空間に移動した。
―――――――。
「まだだ!まだやれる…!」
インフィニティビッグバンストームを受けている天元突破グレンラガンはまだ耐えていた。
「シモォン!!ここは任せて…もらおうかぁぁぁ!!!!」
ロージェノムの叫びに反応し、腹部にある顔面が動き出す。
そして次第に体が形成外科され、……真・螺旋王専用機に変わる。
『ラゼンガン・オーヴァロォォォォド!!!!』
ラゼンガンが天元突破グレンラガンから分離、そしてインフィニティビッグバンストームを受け止める。
「お父様!!」
『嘆くな、娘よ!』
「!」
『一度は絶望と倦怠の海に沈んだ魂がここまでこれた……。仮初めの体が螺旋の命の明日を創るなら…本望だぁああああ!!」
ラゼンガンがだんだんと崩れ去っていく…もう限界に近いのだろう。
だがなぜラゼンガンは受け止めるのか。
それは数秒しないうちにわかる。
「ラゼンガン…量子分解します!」
『それを……待っていた!!」
ラゼンガンは完全に量子分解された…だがしかし、それだけでは終わらなかった。
何とロージェノムはインフィニティビッグバンストームのエネルギーと同化していくではないか。
そして同化しきった頃にはそれは巨大なドリルとなる。
ドリルの先端にいる頭だけのロージェノムは叫んだ。
「シモォォォンッッ!!うけとれぇぇぇぇいッッッッ!!」
天元突破グレンラガンは螺旋力のドリルを吸収……膨大な螺旋力が溢れ出す。
「……ロージェノム…一緒に行くぞ!!」
螺旋力のメーターが割れ、虹色の光が溢れ出す。
天元突破グレンラガンは螺旋の光を纏ってフルドリライズ形態となりグランゼボーマに突っ込む。
――――――。
獄寺達の目の前にカード状のエネルギーが現れる。
モモタロスと白蘭の近くには電仮面とタツロット、ザンバットソードが。
「うおお!?なんじゃこりゃあぁぁぁ!!?」
「あれ?君って確か封印されてたタツロットだったっけ?」
『おお!久しぶりだな、タッちゃん!』
『はいー!お久し振りです、キバットさん。それに初めまして、我主!」
カード状のエネルギーは獄寺達をくぐり抜ける。
そしてそこには彼らの姿はなかった。
太陽のように神々しい戦士――仮面ライダーアギト・シャイニングフォーム
紅蓮の竜騎士――仮面ライダー龍騎サバイブ
フォトンブラッドの赤に染まった戦士――仮面ライダーファイズ・ブラスターフォーム
黄金の鎧を身に纏い、大剣を持つ王――仮面ライダーブレイド・キングフォーム
紅き体に鎧を着けた清き鬼――仮面ライダー装甲響鬼
重厚なアーマーが追加され、金色の剣を持つ戦士――仮面ライダーカブト・ハイパーフォーム
両肩、胸部、そして背中に電仮面を着けた戦士――仮面ライダー電王・スーパークライマックスフォーム
黄金の鎧と紅のマントを纏った魔族の皇帝――仮面ライダーキバ・エンペラーフォーム
「これは一体なんなのだ!!」
「かっけーな―これ」
「十代目……ありがたき幸せ!!」
「クフフ…新しい力、ですか」
「やれやれ…最終決戦らしいですね」
「ふーん……」
「お、おい…まさかテメェら…」
『ちょっとセンパイ狭いって!』
『桃の字、何とかせぇへんのか!?』
『うっわー、気持ち悪い!!』
『降臨…満を…』
「ギャァアアア!!カメ公達にとりつかれたぁぁぁ!!」
「うっわーすごいねこれ♪」
それぞれがそれぞれのリアクションをしているなか、アルティメットDはうろたえていた。
そしてその一瞬のうちにカブトHFはハイパークロックアップで移動し、アルティメットDを上空へ打ち上げる。
さらにファイズBFは飛行し、追い討ちを掛ける。
「「「「はぁあああ!!」」」」
「どりゃああああ!!」
アルティメットDが墜ちたところをすかさずアギトSF、ブレイドKF、装甲響鬼、電王SC、キバEFがそれぞれの必殺技で斬りかかる。
それでも再生しようとするが今度は【マキシマムハイパーサイクロン】とシュートベント、そしてファイズブラスターによる砲撃を食らっていた。
体の殆どが焼かれているが、まだ再生しようとする。
『Final Attack Ride DE-DE-DE-DECADE!』
「おおおおおおおお!!」
『グオッ!』
打楽器その前にディケイドCFは【強化ディメンションキック】を繰り出す。
アルティメットDはそれに耐えきれずボロボロだ。
「リト!」
「ああ……シモン!やるぞ!!」
天元突破グレンラガンとグランゼボーマの攻防は凄まじかった。
互いのドリルが砕けちり、それでも尚激突し合う。
「リト……ああ、わかった…アンチスパイラル!!聞け!俺達は一分前の俺達よりも進化する!一回転すればほんの少しだが前に進む……それがドリルなんだよ!!」
「そう!!人間にだって、もっともっと大きなヤツがいたわ!その人の為にも私達はもっと前に進む!!」
「人の心は無限!!その大きさに私も賭けたい!!」
「覚えておけ!!このドリルはこの宇宙に風穴を開ける!!その穴は、後から続く者の道となる!!倒れていった者の願いと、後から続く者の希望………」
「二つの想いを二重螺旋に織り込んで、明日へと続く道を掘る! 」
『それが、天元突破!』
『それがグレンラガン!』
「俺のドリルは、天を創るドリルだぁあああ!!!!」
その口上と共に天元突破グレンラガンはグランゼボーマに突撃する。
互いのドリルがぶつかり合い、強い衝撃波が発生し一瞬、二機共止まる。
そのタイミングを見計らって天元突破グレンラガンから超銀河グレンラガンが出てくる。
だが、グランゼボーマからドリル状の触手がその動きを止めた。
だが、まだこれだけではない。
超銀河グレンラガンの口からアークグレンラガンが出てくる。
先程より早いスピードで突撃するがまた触手が動きを止める。
さらにアークグレンラガンは口からグレンラガンを出撃させる。
グランゼボーマの母星により近くなり突撃……小さい体格もあり、なかなか触手も当たらない。
だが、近づくに連れて触手の数も多くなってきた。
兜が、腕が、脚が……触手の餌食となるがヴィラルはグレンを使い、ラガンを放り投げる。
「シモォォォンッッ!!!いぃいいいっけぇえええええ!!!!」
――――。
それと同時刻、クウガRAはホワイトホールを使い、アルティメットDをその中へ蹴り飛ばす。
ホワイトホールの先は……現在ラガンが移動している軌道上の真正面。
クウガRAはホワイトホール目掛けて助走しながらキックする。
「ラガン!!!!」
「ライダァアアアアッッッ!!!!」
「「インパクトッッッッ!!!!」」
ボロボロのラガンの一撃とクウガRAの一撃に挟まれたアルティメットDの中にあるおしゃぶりは完全に破壊された。
それと同時に大爆発が起こる。
やった、と喜んだのも束の間……バミューダの母星が所々爆発している。
「な、何だ!?」
「……制御装置が無くなったことによりこの星と超螺旋宇宙が崩壊し始めた…早くにげるといい」
「何だと!?」
そう言っている間に近くで爆発が起こる。
シモンと後からきたヴィラルはそれぞれのガンメンにツナ達を移動させるが…リトはバミューダのいる方向へ走っていった。
「リト!?」
「リトさん、早くしないと…」
「バミューダも助けなきゃ…」
リトはそう言って走り去ってしまった。
シモンはラガンを使って追いかけようとするが、動かない。
連戦で既にボロボロなのだ、仕方がない。
「バミューダ!」
「や、あ…君か…早く脱出…しろ…」
リトはバミューダのいる場所へつき、起こそうとする。
だが、バミューダの体に異変が起きていた。
―体が光になっているのだ。
「これは……」
「僕は今までこの宇宙と共に存在していた……この宇宙が滅びることは僕の死を意味する、何の不思議でもない…」
「……………ごめん…」
「…なぜ謝る必要が…あるんだ…。君には…君達には感謝しているよ…。僕の諦めた選択肢を選んでくれて…」
「バミューダ……」
「この宇宙……必ず守れよ……僕の最後の希望……」
「バミューダ!」
「最後に……ありがとう……」
―――ライダー
最後の一言を言い残し…バミューダは光となった。
リトの心は虚しさで溢れ、支えていた手をぐっと握る。
そしてリトはツナ達のところに走っていった。
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