超次元ゲイムネプテューヌ 3dis Creators_021
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第2章 ニュー・フレンズ

 

 

 

 

 

C021:飛び出すケダモノ

 

 

 

 

 

 

○ラステイション・教会前通り・朝

 

    黄色のフォンギアを構えるage嬢盛り、サイドテールのヘアースタイルをした少女。

    何者かと電話で談笑中。

 

少女「ん? えー知らないしそんなの。別に興味ないし」

 

    視線の先に本来あるのはラステイション教会。

    しかし今はその未完成な鉄骨しか見えない。

 

少女「だからウチじゃねーし。教会堂々とぶっ壊すとかどんだけバカに見られてんの? ウチ」

 

    少女は、モノクロームなビジュアル系メンズファッションに包まれた様相。

    この間、ビルの屋上で寝転がって電話していたが……。

 

少女「どうすんだろうね? ラステイションこれブッ潰れるっしょ確実に」

 

    せせら笑いながら言うが、その目は笑っていない。

    吸い込まれそうな深紅の目。

    じっと見つめている。

 

少女「予想GUYデス」

 

 

 

○ラステイション・教会跡地

 

    基礎と鉄骨だけ、それも誰がどう見ても物足りない、さびしく残念な教会の姿。

    ラジオの音声を垂れ流しつつ、それぞれ修繕作業にいそしむ女神達。

 

ラジオ音声『もう構わないでほしいですね。ほっといてくれって感じ』

 

    街頭でインタビューを受ける一人の30代くらいの男性がそう言っている。

 

ラジオ音声『こっちはこっちでどうにかできるからー』

    『女神様かえって邪魔』

    『必要ではない』

 

    今度は若い女性二人組の声が聞こえてくる。

    ユニ、『KENKIいっぱつ! 女神建設』と書かれ張られたテントの下で座禅を組んで目をつむっている。

 

ラジオ音声『ようやく落ち着ける場所に腰を据えられたので、やっぱり戻ろうとは思えませんね』

 

    淑女は丁寧にこう話す。

 

ラジオ音声『このように、アイデン村住人は、「祖国に戻るつもりはない」「女神は必要ではない」という意見が──』

 

    凛とした声の女性アナウンサーが言いかけた所、ノワールがラジオのスイッチを切る。

    曲げた腰を正し、前髪をかき分けてため息をつく。

 

ノワール「はぁ……」

 

    とぼとぼと歩いて仕事に戻ろうとするノワール。

 

ノワール「聞いてたらもっとやる気をなくすわ……」

 

    一方のブラン、ある程度コードとして機能するよう文章化された3次元立体の文字列の塊を、魔法使いのように手で操る。

    そして真っ黒な背景に、コードとなる文章が並べられたテキスト作成用コンソールへと文字自体の縮小を指先のピンチインで施し、

    2次元平面に直して画面と一体化させるようにはめ込む。

    その文字列の動きに合わせて教会の部品が宙を舞って動く。

 

ブラン「どこもかしこもアイデン村ね……」

 

    その横にいるベールも同じことをしている。

 

ベール「なにをしてもシェアが回復しないわけですわね……」

 

    ネプテューヌ、自身の周囲を浮いて漂っているったバラバラの英数文字と作業コンソールの前で、

    両手に「gl_dr」と「swi」という手のひらサイズの文字を持って悩んでいる。

 

ネプテューヌ「うーん……」

 

    悩みかね、振りむいてユニを呼ぶ。

 

ネプテューヌ「ねぇユニちゃーん! あとどーすんのー!?」

 

    すると、作業コンソールの隣にコード文章がみっちりと指定されている、教会元々のソースコードを予測した完成見本図のコンソールが開く。

    これに反応して思わず声を洩らすネプテューヌ。

 

ネプテューヌ「うおぅっ……」

 

    ヴォコーダーがかかった様なユニの音声が響いてくる。

 

ユニの声『いま解析してますから焦らない』

 

    ノワール、英数文字がある程度画面を巣食う、自身の作業コンソールから目をそらすように下を向く。

 

ノワール「ほんとはこんなことしてる場合じゃないのに……一刻も早くシェアをアイデン村から──」

モコの声「ちょーおーちょーっ! ちょーおーちょーっ!」

 

    モコの耳障りにうたうような声が耳に入り、思わず声のした方へ首を向ける。

    モコが「i」という文字を振りまわして野生の蝶を追いかけっことしゃれこんでいる。

 

モコ「それーっ!」

 

    それを見てノワール、肩を落とし深くうなだれる。

 

ノワール「なんで原因作った本人は遊んでるのよ……」

 

    ひらひらと自由に舞う蝶。

    モコもぱたぱた動く。

    ネプテューヌ、モコに呼びかける。

 

ネプテューヌ「モコー! ちょうちょいじめちゃだめだよー!」

モコの声「はーい!」

 

    ノワール、モコの元気のいい声を気にせず、作業コンソールの隣を右手で軽く撫で、ユニが解析したソースコード予測のコンソールを開く。

 

ノワール「……呑気なものね」

 

    ネプテューヌ、ノワールの方を向いて。

 

ネプテューヌ「んー?」

ノワール「あの子っていつもああなの?」

 

    やれやれといったような表情で。

 

ネプテューヌ「まぁ、あんな感じだねー我が家の末っ子は」

 

    ノワール、大きなため息をつく。

 

ノワール「はぁぁぁぁぁぁぁ……」

ネプテューヌ「ノワールどうしたの?」

 

    ため息の後ノワール、ため息のうっ屈さを忘れたかのような鮮やかで滑らかなキーボードタッチ。

 

ノワール「なんでもないわ。あなたもあなたで余裕そうね」

 

    そうノワールが話している間に教会の残骸から立体になっている英数文字が現れ吸い寄せられて、

    「tick = GetTickCount();」と文章化して指先の先に集まる。

    ネプテューヌ、軽く跳ねながら全身をノワールに向けて反論する。

 

 

ネプテューヌ「そんなことない! 昨日なんて修理の前ずっと書類((山|やま))崩しして、頭脳肉体ダブルでフルタイムだったんだよ!?」

ノワール「圧倒的国民不足のとこで、山ほどの書類を抱えるなんて不思議ね……」

 

    ネプテューヌに構わず文字を文章化し吸い寄せ続けるノワール。

    ネプテューヌ、ばつが悪そうに。

 

ネプテューヌ「いやぁ、それはその……なんていうか……積み書類?」

 

    ようするに今まで書類仕事サボったツケ。

    それを聞いてがくんとうなだれるノワール。

 

ノワール「書類を積みゲーみたいに……」

 

    苦笑から一転、真面目に訴えかけるように。

 

ノワール「今がどういう状況か分かってるの?」

 

    ネプテューヌ、たじたじ。

 

ネプテューヌ「や、こっちもシェアがヤバいのはわかってるんですよ? ただ……国民のみなさんは……ねぇ?」

 

 

モコの声「どーしてシェアがやばいまんまなの?」

 

 

    ネプテューヌ、モコの声に気付いてモコの方に目をやる。

    ノワール、振り向いて背後にモコがいたことを確認。

 

 

 

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ネプテューヌ「あ、モコ」

 

    モコ、ノワールを軽く見上げ、手をぱたぱたさせながら。

 

モコ「こくみんのみんなとはともだちなんでしょー? それでどーしてシェアがやばいまんまなの?」

 

    ノワール、ハエをうっとうしがるような目でモコを見る。

    ネプテューヌがモコにもわかるように説明の言葉を探す。

 

ネプテューヌの声「いやぁ、国民のみんなは友達ーっていう、なんかそのー……『ボールは友達ー』みたいな感覚にはならなくてー……」

 

    ノワール、しばらくするとそんなモコから目をそむけて自分の作業に移ろうとする。

    しかし、集中できず二人の会話だけが耳を通る。

 

モコの声「なんでー? みんなともだちじゃないのー?」

ネプテューヌの声「道歩いてーちょっと目があったくらいのレベルじゃ……」

モコの声「なんでなんでなんでなんでー?」

 

    ノワール、そろそろ耐えかねる。

 

ネプテューヌの声「う〜ノワール助け──」

 

 

ノワール「聞いた私がバカだった!」

 

 

    ネプテューヌ、モコ、共にノワールの大声に驚く。

 

ネプテューヌ「ねぷっ!?」

モコ「もっこ!?」

 

    その後、黙々と自分の作業を続けるノワール。

 

ネプテューヌ「……」

モコ「んー?」

 

    モコ、ひとしきり首を傾げた後、再び去っていく。

    ネプテューヌ、そんなモコを目で追いながら。

 

ネプテューヌ「手伝おうよモコ……」

 

    ベール、作業しながら浮かない顔でモコを横目に。

 

ベール「無邪気ですわね。あなたの妹みたいに」

 

    ブラン、少しムッとして。

 

ブラン「ロムラムが教会壊すようなテロリストとでも?」

ベール「違いますわよ。まぁ迷惑を被っているのは確かですが」

ブラン「そうね。大迷惑よ」

ベール「子供はいいですわね……自由でのびのびしてて」

 

    ブラン、軽くため息をつく。

 

ブラン「えぇ……どこかに泊まるなら連絡くらいよこしてほしいわ」

 

    通りがかったネプギアがブランの顔を覗く様に。

 

ネプギア「まだ、二人とも帰ってきてないんですか?」

ブラン「昨日の朝出たっきりね」

 

    遠くからモコの声が聞こえてくる。

 

モコの声「あー! ラムちゃんにロムちゃん!」

ブラン「なに!?」

 

    すかさずモコの声がした方向へと向かって走るブラン。

    コンソール達と宙に浮いたままの文字列を残して。

 

 

 

○同・教会正門前

 

    モコの目の前に、全身からぼたぼた液体を垂らしているずぶ濡れのロムとラムが並んで立っている。

    二人も頭にアンテナのようなアホ毛が立っており、帽子をしていない。

    ラム、少しかがんだ姿勢でモコにガンつけ。

 

ラム「だれよーアンタ」

 

    ロム、ラムの横でふりふりと身体をゆっくり揺らしながら。

 

ロム「だれ……?」

モコ「え……?」

 

    ブランがロムラムの前に駆け寄ってくる。

    二人の身体から垂れている液体を見て。

 

ブラン「お前ら! 今までどこに……なんか垂れてる……」

 

    続いて、頭のアンテナを見て。

 

ブラン「なんでアンテナ!?」

ラム「どこにって、さっき教会出たばっかりよ?」

 

    ラムの返答に顔を近づけてみるブラン。

 

ブラン「はぁ?」

ロム「おばあちゃんのところにいくって、言わなかった……?」

 

    ロムの返答に姿勢を戻す。

 

ブラン「それ昨日の話だろ!?」

ラム「昨日は絵本の取材よ?」

ブラン「はぁ!?」

 

    遅れてネプテューヌ、ネプギア、ノワール、ベールがやってくる。

 

ネプテューヌ「どうしたのどうしたのー!?」

ネプギア「……うわ、二人ともどうしてそんなべとべとなの!?」

ベール「ほんとですわね……」

ノワール「ていうか、なんかアンテナ立ってる……」

 

    ロム、ラム、腕を広げ自分の全身に垂れている液体をみる。

 

ラム「気が付いたらこーなってたのー!」

ロム「きもちわるい……」

 

    ネプテューヌ、ブランの方に首を向け。

 

ネプテューヌ「これは”アレ”だね」

 

    ブランもネプテューヌの方を向く。

 

ブラン「”アレ”ね……確実に”アレ”ね」

 

    ロム、小首をかしげる。

 

ロム「あれ……?」

 

    モコ、ひょんひょん軽く跳ねながら。

 

モコ「あれってなにー?」

 

    ネプギア、気まずそうな表情。

 

ネプギア「モコちゃんは知らない方が……」

モコ「ラムちゃんロムちゃん! あれってなにー?」

 

    ラム、モコを指さし。

 

ラム「ところでだれなのこの子ー! なれなれしいわ!」

モコ「え?」

ネプギア「え? 昨日一緒にいたはずじゃ!?」

ラム「知らないわよ、ねーロムちゃん!」

ロム「(こくこく)」

 

    素早くうなずくロム。

 

ノワール「何かあったっていうのは確実ね……」

 

    モコ、あたふた。

 

モコ「しらないって……しらないって……ん?」

 

    モコが妙な風の音を耳にした。

    後に続いてロムとラムが風の音に気がついた。

 

ロム「あ……」

ラム「あ!」

 

    残りの4人がロムとラムが見つめる方向に振り向く。

 

モコ「ほ?」

ネプテューヌ「ん?」

ブラン「ん?」

ノワール「え?」

ベール「ん?」

 

 

 

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    四女神が振り向いた先には、山とその上に刺さっている見慣れない風車が回っている。

    その見た目は((風車|ふうしゃ))というより((風車|かざぐるま))である。

    とにかく、ちゃちぃ。

 

ネプテューヌ「風車だ!」

ノワール「え……あんな、おもちゃみたいな風車、ラステイションに……」

ベール「……? きゃっ!?」

 

    ベールの足元からシャワーヘッドのような例のスピーカーが生えてきた。

    ネプギアがスピーカーの出現に目を見開く。

 

ネプギア「これ……っ!!」

 

    すぐさま剣を取り出し、スピーカーが伸びきる前に居合切りのように叩き斬る。

    その行動を奇異にみるノワール。

 

ネプギア「てやっ!」

ノワール「ちょっとなによ!?」

 

    スピーカーの先端部分がたしかに斬り落とされ、地面に落ちる。

 

ネプギア「ふぅ……」

 

    ネプギアが一息つく。

    剣を収めようとしたその時。

 

一同「!!?」

 

    一瞬にして、一同の周囲にたくさんのスピーカーが生えてきた。

 

ネプギア「そんなっ!?」

 

    そして全スピーカーから一斉に放送が流れる。

 

スピーカー音声『エンゼルたちはどこー? エンゼルたちはどこー? エンゼルたちはどこー?』

 

 

 

ロム、ラム「Oh-Oh-!」

 

 

    ロム、ラム、口を右手で抑えるしぐさ。

    その声に一斉に振り向く6人。

 

ネプテューヌ「え、なに?」

 

    その直後、急に高速な早歩きをしだすロムとラム。

    ネプテューヌ達など気にも留めず、ぶつかるのも気にせずに歩き去っていってしまう。

    ネプテューヌ達、突然ロムとラムが自分達に激突する勢いで歩き去っていったために、勢い余ってくるくると回転してしまう。

 

ネプテューヌ「ねぷぅぅぅっ!?」

ネプギア、モコ、ノワール「ひゃああああっ!?」

ブラン「おおおおおおっ!?」

ベール「あらららら、らら、らら!?」

 

    しばらく回り続けた後、各々地面に倒れ込む。

    ネプテューヌは大の字に倒れる。(他は指定なし)

 

ネプテューヌ「あだっ!?」

 

    それぞれ土埃を払って起き上がる。

 

ネプテューヌ「あいたたた……なにどうしたの急に!?」

ネプギア「あのスピーカーから放送が流れると、みんな急にどこかへ行っちゃうんです!」

ノワール「とにかく追いましょう!」

ネプテューヌ「これは、対決フラグの予感……」

 

    そうしてロムとラムの後を追う一行。

 

 

 

○同・教会跡地

 

    テントの下で座禅を組んでいたユニ。

    突然カッと目が開く。

    立ち上がりながら。

 

ユニ「さて、あらかたコードの解析は終わったからそろそろ休憩──」

 

    ユニが気付いた時には辺りは静寂に包まれていた。

    他のメンバーはロムとラムを追ったので現場には不在。

 

 

    ユニ、一人。

 

 

 

○リーンボックス・第3階層・噴水広場

 

    噴水を中心に透明感のある円形上の憩いの場を形成している。

    椅子やテーブルなどが光を透き通らせるクリアな色を保っている一方で、純白の床は聖域を思わせるかのように光を反射させている。

    いつものように、吹き出された水が綺麗で薄いハート型の膜を形作っては、出迎えるように回転し水が流れていくが、

    今日はいかんせん((人気|ひとけ))がない。

    落ち込んだのか、吹き出した水で作られたハートの薄膜が、うなだれるように垂れ曲がりながら貯水部に流れていく。

    そこへ、上下2画面の携帯ゲーム機を開いて見て歩くブランを先頭に、ネプテューヌ、モコ、ネプギア、ノワール、ベールの一行が噴水の近くまでやってきた。

    ゲーム機の画面にはレーダーのように自分達の位置と目標の位置が記されている。

 

ブラン「『すれ違いレーダー』だと、この辺で留まっているはずよ」

ネプテューヌ「『スレが違う』って意味じゃなければいいけどね」

ブラン「なら噴水に聞いてみましょう」

 

    噴水、呼ばれた気がして吹き出す水で「!」の薄膜を形作る。

    そして丁度一行が噴水の前までたどり着く。

    ブラン、噴水に尋ねる。

 

ブラン「この辺でロムとラムを見なかった?」

 

    すると噴水、吹き出す水で「←」を形作る。

 

ブラン「ありがとう。行きましょ」

モコ「ばいばーい!」

ネプテューヌ「ばいばーい」

 

    噴水に教えてもらった方角へと歩き出す一行。

    モコは噴水に手を振る。

    ネプテューヌもつられて手を振る。

    噴水、去りゆく一向に向かって返事をするように水でサムズアップする。

 

ネプギア「すごいですねこの噴水……」

ベール「第3階層の名物でしてよ?」

 

 

 

○同・庭園部

 

    ガラスのような花々が至る所に咲いている不思議な庭園。

    踏み入れてよいものかと正直思えるが、一行は遠慮なく足を踏み入れた。

    先頭のブラン、急に立ち止まり、ネプテューヌがぶつかりそうになる。

 

ネプテューヌ「うぉっ……」

 

    ブラン、ゲーム機を閉じて正面を向く。

    視線の先には子供たちで出来た人だかり。

    しかも、全員が全員、頭のてっぺんにピンとアンテナが立つ。

    ブランが急いで走りだす。

    後を追うように一行も走りだす。

    少しで遅れるネプテューヌ。

 

ネプテューヌ「あ、まって!」

 

    アンテナ頭の子供たちの群れへとたどり着く一行。

    ブラン、紛れ込んだロムとラムを発見する。

 

ブラン「ロム! ラム!」

 

    ロムラムもブランの声に気付く。

    キョトンとした面持ちで。

 

ラム「あ、お姉ちゃん。どうしたのー?」

ブラン「二人とも、帰るわよ」

ラム「えーっ!? まだ来たばっかりなのにー!」

ブラン「ここは危ないのよ」

ラム「?? 何が危ないっていうのよー!? これからおばあちゃんが来るのに」

ブラン「……とにかく、帰るわよ」

 

    ブランが二人の腕を引っ張る。

 

ラム「ちょっ! なーにーよー! 離してよ!」

ロム「っ……」

 

    二人とも引っ張られるのに抵抗している。

    ネプテューヌが残りの子供達に向かって叫ぶ。

 

ネプテューヌ「ここにいるみんなー! お願いだから、今日の所はおうちにー!!」

スピーカーの声『エンゼルバイバイの時間だよ。エンゼルバイバイの時間だよ。エンゼルバイバイの時間だよ』

ネプテューヌ「え?」

 

    またもやスピーカーの声が聞こえてくる。

 

子供A「ふあぁ〜」

子供B「むぅ〜」

子供C「おやすみぃ〜」

ノワール「え?」

ネプギア「これは……?」

 

    突如一斉に眠りだす子供達に戸惑う一同。

    ブランが掴んでいるロムとラムの手も不意に力が抜ける。

 

ブラン「? お、おいっ! ロム!? ラム!?」

 

    力が抜いて倒れ込み、引っ張る勢い余ってブランに引きずられる。

    仕方なく二人の手をはなすブラン。

    二人の手はすとんと地に落ちた。

 

 

 

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ネプテューヌ「どーなってんのー!?」

ベール「確実にこちらの動向を見られていますわね……」

ノワール「寝かせたってことは、何か都合の悪いことでも起こったかしら?」

 

    辺りを警戒し始める一同。

 

ブラン「とりあえず、いつでも連絡取り合えるように準備して……」

ネプギア「手分けして犯人を探しましょう! それほど遠くにはいないはず!」

ノワール「私は管制センターの方を!」

ベール「わたくしは展望台を! 以上がなければすぐにここに戻りましょう!」

ネプテューヌ「うあっ!? ちょっと!」

 

    ネプギア、ノワール、ブラン、ベールが散り散りになる中、置いていかれるネプテューヌとモコ。

    モコはただただ小首をかしげるだけ。

    ネプテューヌ、軽く迷った末に。

 

ネプテューヌ「じゃ、じゃあわたしそこら辺!!」

モコ「ついてく〜」

 

    そうして適当に走りだすネプテューヌ。

    に、適当についていくモコ。

 

 

 

○同・庭園部・しばらくして

 

    いまだに子供達がすやすやと気持ちよさそうに眠っている庭園に、一人とぼとぼと帰ってくるモコ。

 

モコ「はぐれちゃった〜。どっからはぐれたんだろー。みんなもどってきてない」

 

    モコ、ジーンギアを取り出す。

 

モコ「ねぷちゃんにれんらくしよ」

 

    ジーンギアをいじり始めるモコ。

    ちまちまと両手を使ってキータッチ。

    それを遠くから見つめるように生えているスピーカー。

 

 

 

○同・庭園地中

 

    その大きな図体をわざわざ庭園の地中に隠し、スピーカーかと思いきや、それと同じ形状をした望遠鏡で外の様子を見ているずんぐりむっくり。

    ぎょろっとした目は懸命に望遠鏡を覗いており、だらしなく長く垂れた舌は遠慮なくよだれを出しては「0」と「1」が舞う地中の空間に溶けていく。

    膨れ上がっているような巨大な身体を持つオオカミらしきそれ、トリック・ザ・ハードは虎視眈々とモコを見張っている。

 

トリック・ザ・ハード「ハァハァ……モコたんハァハァ……い、今すぐ……今すぐにさりげなーく通りかかって「どうちたの〜こんな所で」とセンチになってる所をペロペロしたぁい……」

 

    その長く伸びた舌をかなり素早く振りまわしてみせるトリック。

    かなり熟達した舌捌きを見せる。

    はっと何かを思いぴたりと止める。

 

トリック「い、いやしかし……このままみすみす出ていったら、確実に女神共に見つかってしまう……う〜む」

 

    再び望遠鏡に目をやるトリック。

    モコが身体を振り振りしながらジーンギアで電話をしている様子が見える。

 

トリック「あぁ……誰と電話してるのかなぁ〜……まさか、男か!? い、いや……あのような可憐でか弱い美幼女に限ってそんなはずはない……むうぅぅぅぅ……」

 

    再び葛藤をし始める。

 

トリック「ペロりたい……だが見つかるわけにはいかない……ペロりたい……だがだめだ……ここは耐えるのだトリック・ザ・ハード! 吾輩は偉大なるマジェコンヌ四天王! 吾輩! やればできる子! 頑張れ吾輩!」

 

    モコ、電話が終わった模様。

 

トリック「幼女分なら見るだけでも取れる!」

 

    ぴょんととび跳ねて、トリックに背を向けた瞬間、モコのジャケットに隠れたミニスカートがめくれ、”なにか”が覗いた。

 

トリック「あ、見えた……」

 

    その”なにか”を見た瞬間だった。

 

トリック「ごっちそうさまあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

    トリック、辛抱たまらず地中を飛び出した。

    思い切りめくれる地表のガラス質の花々。

 

モコ「もっこ!?」

 

    モコ、背後から出てきた声に思わず振り向く。

 

トリック「そしてそのままモコたんにだ〜いび〜〜〜〜〜んぐっ!!」

 

    トリックがその巨体を猛スピードでずいずい引きずってモコに接近する。

    モコの目の前まで、トリックが迫ってきた。

    モコの視界からトリックの全体が見えなくなった。

 

    そして次の瞬間、モコの目の前にトリックのよだれをまとった”舌”が……。

 

 

 

 

説明
8月11日(日)東地区ケ54a〜b,『ゆう部屋』様と『RADICAL DASH』様の合間、ネプテューヌ夏の合同同人誌『Neptunia union mk2』が販売されます!
ねっぷねぷにされた作家様方の中に我々も割り込ませていただきました。(そしてまた結構なページ数を使わせちゃいました)
今回は当日にビッグサイトに行かれない方も安心、とらのあな様での委託販売もやっておられます!
ぜひぜひお手に取ってみてくださいね。

本編更新ようやくです。申し訳ありません。

音信不通だった理由その2「うつ」
正式病名、大うつ病。1月辺りからドっときまして。なにも手のつかない状態が随分と続きました。
今でも、何か作業を一つ終える度に得体のしれない絶望感だけが襲ってきます。
相方は今までこんな化けもんと戦ってたのね……。

その3、「オリジナル企画」
えぇ。アレな中でです。ひそかに温めている魔法少女ものの企画に没頭してしまうことが度々。
公開はいつになるのかは分かりません。なんせロージュにも言ってないのだから。

関係ないけど、今の中高生ってリアル(リアルタイムブログ)やってんのかな?
2009年じゃTwitterよりも主流だったけど、みんなTwitterとかmixiとかに統一したのかな?その辺の統計が知りたいって思ったり(オリ企画のために)。
あ、SNSの利用統計だとすでにリアルは対象から外れてんですけど。
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コメント
ToHさん方:これからかなり間を開けた投稿体型になるかもです・・・お返事もなかなかできないです。すみません。(柏中ロージュ&ミヤウエ)
byH お久しぶりの投稿ですね、またモコちゃんを見れて良かったです!そしてトリックのおじさんが登場しましたー。( Z ハデス)
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