リリカル龍騎 −深淵と紅狼− |
「さぁ、説明して貰うわよ」
「…はいはい」
現在、二宮は強制的に椅子に座らされていた。彼の前ではベッドに座ったアリサ、その傍には鮫島。アリサがかなりの剣幕で睨みつけてくる為、二宮は事情説明に若干の面倒臭さを感じていた。
(自分から話すとは言ったものの、何から話すべきか…)
髪をポリポリ掻きつつ、二宮はボソリと呟く。
「…仮面ライダー」
「「は?」」
二宮はカードデッキを見せながら言ってのける。
「さっき、俺が変身していた姿の事だ」
「仮面ライダーにミラーワールド…」
「おまけにモンスター、ねぇ…」
二宮から聞かされた内容。
自分が変身している、仮面ライダーという戦士の事。鏡の中に存在する世界、ミラーワールドの事。そのミラーワールドに巣食う人食いの怪物、ミラーモンスターの事。自分はそのミラーモンスターを退治するべく、仮面ライダーとなって戦っているという事。
「まず簡潔に説明した。理解はしたか?」
「いや、あのねぇ…」
アリサが困ったように頭を掻く。
「いきなりそんな非現実な話をされて、こっちがそんなアッサリ信用なんて出来ると思う?」
「先に非現実な話をして来たのはお前だろうに」
「う…」
二宮にそう言い返され、アリサは言葉に詰まる。確かにアリサも次元世界や魔法の件について説明している為、人の事を言えた話ではないだろう。
「そしてあなたは自身が眠りについている中、気付けばこの世界に来てしまっていたと…」
「まぁ、そんなところだ」
鮫島の問いに二宮がそう答える。
「鏡の世界とやらに住む怪物を、仮面ライダーとか言う姿になって退治って……まるで子供が見るヒーロー番組みたいね」
「誰でも一度はそう思うだろうな。だが、さっき俺がライダーに変身する所をお前も見ただろ?」
「まぁ、確かに目の前で見せられたから、信じざるを得ないわ」
「…と言っても、俺は英雄なんて器じゃないけどな」
「え?」
「何でもない」
二宮はボソリと呟くが、すぐに何でもない素振りを見せる。
「それにしても、いくら何でも説明がアバウト過ぎない? もうちょっと詳しく説明しなさいよ。その仮面ライダーの事とか、モンスターとやらの事とか」
「んん〜……正直、説明するのが面倒臭い」
「んな事で面倒臭がるなぁっ!!」
アリサの突っ込みが二宮の頭に炸裂する。
「アンタねぇ、自分が今どういう状況なのか分かってんの!? 何でそんな呑気でいられんのよ!!」
「あのな〜こっちだって色々起こり過ぎて、もはや考えるのも面倒臭くなってきてんだよ。いっそ何も考えない方が楽に思えるぐらいに」
「何処まで面倒臭がれば気が済むのよアンタはっ!!」
「まぁ、追々説明はしていくさ……適当にだけど」
「適当な説明で済ませようとするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
アリサが二宮の胸倉を掴んで揺らしまくり、その度に二宮の頭もガクガクと上下に揺れまくる。
「お嬢様、そんなに揺らし続けると流石に彼もキツいかと…」
「…フンッ!!」
「のごぁ!?」
鮫島に言われたアリサは仕方なく乱暴に突き離し、二宮は椅子の背凭れに後頭部を打つ。
「ぐぅ…地味に痛いなオイ…」
「たく、ここまで危機感の無い奴は初めて見たわ。元の世界に戻れなくなっても良いとでも言うつもりなの?」
「元の世界ねぇ……うん、どっちでも良いな」
「「…はっ?」」
二宮によるまさかの「どっちでも良い」発言に、アリサだけでなく鮫島も驚く。
「確かに自分の世界じゃない事には驚いたさ。と言っても、意地でも元の世界に戻りたいって思えるような感じでもない」
「しかし、それではあなたのご家族が心配なされるのでは…?」
「そ、そうよ!! アンタこのままだと一生家族に会えなくなるわよ、それでも良「あぁ、家族ならもういないぞ」いの……え?」
「事故で死んだよ、俺が餓鬼の頃にな」
何処か冷めたような目で、二宮がそう告げる。
「あ……ごめん」
「申し訳ありません、失言でした」
「いや、良い。気にするな」
アリサと鮫島が謝罪するが、二宮も特に気にはしていなかった。
「…それで、明日からどうする気なの?」
聞いてはいけない事を聞いて流石に悪いと思ったのか、アリサは先程みたいに怒鳴ったりせず恐る恐る二宮に問いかける。
「…さぁな」
二宮が椅子の背凭れに寄り掛かりつつ天井を見上げる。
「よく考えてみれば、この世界じゃ俺は無一文だったな。さて、どうしたもんか…」
「なら、ここに住んでみない?」
「はっ?」
突然のアリサの提案に、二宮は目を見開いた状態で即座にアリサの方に向く。
「ここに…何だって?」
「住まないかって言ったの。私の親が大企業を経営してて、おかげで私も生活は裕福なの。ここに住めばアンタも不自由なく暮らせるわよ。鮫島だって文句は無いでしょ?」
「えぇ、私は特に何の文句もありません」
「だそうよ。どうする?」
アリサだけでなく鮫島も、二宮が住む事については特に文句は無いらしい。
しかし…
「…そんな風に言って貰えるのはありがたいが、何故そこまで親切になるのかが分からんな。アンタ等から見たら、俺は全く関係の無い赤の他人だぞ?」
何故わざわざ、自分に対してこんなに親切にしてくれるのか?
二宮はそんな疑問が尽きないでいた。
「さっきも言ったけど……アンタ、後先の事なんか本当に何も考えてないわよね」
「む……悪かったな、何も考えてなくて」
「見てられないのよ、こんな状況にも関わらず呑気でいられるアンタがね。それに…………まぁ、ほんのちょっぴりカッコ良かったし…」
アリサは先程モンスターの攻撃から二宮に助けられたのを思い出し、台詞の最後辺りを二宮に聞こえないくらいの小さい声で呟く。
「それに……何だって?」
「な、何でもないわよ!! とにかく!!」
アリサは顔を赤くしながら誤魔化し、二宮に向かってビシッと指差す。
「アンタは今日からここに住みなさい!! これは決定事項よ!! 逆らったりしたら、この私が絶対に許さないんだから!!!」
(おいおい、本当にハッキリ言うなコイツ…)
(アリサお嬢様の少々強引な所、私も久しぶりに見ましたな…)
アリサの命令口調な提案に、二宮は思わず口をヒクヒクさせ、鮫島は何故か感慨深そうにしていた。
「…まぁでも、他に行く当てが無いのも確かだしな」
「む、では…」
「あぁ」
二宮が椅子から立ち上がる。
「せっかくだ、お言葉に甘えさせて貰おう」
せっかく住む場所を提供してくれるのだ。二宮からすれば、断る理由など何もありはしなかった。
「…決まりね」
アリサもベッドから立ち上がる。
「なら自己紹介もしておきましょう。私はアリサ・バニングス。これからよろしくね」
「アリサお嬢様に仕えております、鮫島と申します。以後、お見知り置きを」
「俺は二宮鋭介だ……まぁ、今後ともよろしく」
アリサと二宮は右手を差し出し、互いに握手を交わすのだった。
一方、アリサがいるのとは違う別の屋敷にて…
「んん〜…」
アリサの友人である月村すずかは、既に自分の部屋のベッドで就寝中だった。
そんな時だ。
−キィィィン…キィィィン…−
『…なるほど、彼女がそうか』
部屋の窓を通じて、ミラーワールドから彼女の様子を窺う金色の幻影。幻影は自身が手に持っていた物を見つめる。
『彼女なら、きっと…』
それは何のエンブレムも刻まれていない、未契約状態のカードデッキだった。
説明 | ||
第3話:これから | ||
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1982 | 1913 | 2 |
コメント | ||
はい、残念ですがハズレですww(竜神丸) なん・・・だと・・・(okaka) そういえばゴルトバイザーってサバイブ三枚入れられるようになってましたね。ちなみに新ライダーについては残念、ハズレですw(竜神丸) サバイブは烈火、無限、疾風の3枚で一つの大きな不死鳥の絵柄になるからオリジナルになるとどんな絵柄になるか楽しみだ・・・ヤゴ・・・トンボ・・・( ゚д゚)ハッ!そうか!新しいライダーは銃使いだな!(okaka) オーディンのサバイブ前の形態は……流石に想像がつきませんねw(竜神丸) あれ?オーディンそうでしたっけ?てことはあれの前があるわけで・・・みずぼらしいのかな?(デーモン赤ペン) それ色んな意味でストーリーが破綻しますねwww(ちなみにオーディンは既にサバイブ形態)(竜神丸) 全員サバイブ持ってたらどうなったんだろ・・・?王蛇とオーディンが使ったら止められるやついないよな(デーモン赤ペン) 私もよくやりましたねぇ〜wwクジラ系ライダーなんか考えてた時期ありましたよw(竜神丸) 龍騎やってるころ厨二真っ盛りで、オリジナルライダーをよく考えたな〜 カメのライダーオーシャンとか、クモのライダーデュークとか………………(ohatiyo) げんぶ:さてさて、どうなるでしょうねぇ?(ヒント:前回出てきたモンスター)(竜神丸) ohatiyo:はい、そういうものです(竜神丸) げんぶ:さぁ、どうなるでしょう?次回もお楽しみに(竜神丸) ロキ:はい、龍騎の名前を載せた方が分かりやすいと思いましてw(竜神丸) ohatiyo:※ヒント、前回出てきたモンスターに注目(竜神丸) それもそうか…………………(ohatiyo) 俺の場合リリカルアビスだったら「は?意味わかんねwww」だった。リリカル龍騎だから仮面ライダー物だなわかった(キリヤ) よく考えたら主役がアビスなら、題名も「リリカルアビス」で良くないですか?(ohatiyo) |
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