武器の御遣い
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迦楼羅は美以・ミケ・トラ・シャムの4人を連れて成都の城に戻った。玉座ではまだ五胡に対する軍議の最中で、迦楼羅が入って来た時は揃って『マジかコイツ』みたいな顔をしていた。そして、迦楼羅は美以達に食べ歩きをして来いと言って愛紗や鈴々の給金と同じくらいの額の金を渡して街に出した。その際、一刀が『なんでそんな金額をポンと渡せるんだ?』と聞き、『…………秘密』と迦楼羅が応えると言うやり取りが有った

 

 

そして、五胡に対する軍議を再開しようとした時。一人の兵士が飛び込んで来た

 

 

伝令兵「申し上げます! 五胡が軍を率いて攻めてきました! その数凡そ70万!!」

一刀「70万か。朱里、蜀の兵力はどれ位?」

朱里「凡そ50万程かと。南蛮軍や義勇兵を募るなどすれば、何とか70万には届くかと」

愛紗「むぅ、未だ曹操や孫策がどう動くか分からぬ以上、総力戦は出来んぞ」

 

 

あーでもない、こーでもない。と、軍議が続いている中。迦楼羅は影の中に沈み込み、誰にも気付かれずの玉座を抜け出し、五胡討伐に向かった。((銀狼|インロウ))も連れずに

 

 

そして、翌日。兵士の一人が玉座に入ってきて

 

 

伝令兵「報告します!なんか馬謖殿が五胡を傘下にして帰ってきました!!」

 

 

その日、成都の城には35人の説教の怒号が飛び交っていた。迦楼羅の言い分は『……中々五胡討伐を誰がするか決まらなかったから、俺が行った。五胡の皇帝の劉豹を一対一の決闘で倒したら下ってくれた』らしい

 

 

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迦楼羅が五胡と南蛮を無血で蜀旗下に加えてからから幾らか月日が流れたある日、蜀と呉の同盟が成立した

 

 

この同盟が成立したのは曹操率いる魏が呉に侵略を開始してからほどなくしてからのことであった。そのため蜀は、呉との同盟を魏に知らしめるために呉に援軍を送った

 

 

援軍の面子は一刀と桃香を筆頭に愛紗・鈴々・星・翠・焔耶・桔梗・恋・音々音・迦楼羅・菖蒲・秋桜・玲・楓・雫・椿・美羽・麗羽・斗詩・猪々子である。他のメンバーは留守番だ

 

 

 

 

そして、呉との合流地点

 

 

其処では雪蓮・蓮華・冥琳・祭・亞莎・明命・思春・陸遜が居た

 

 

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『………楓、気を静めて』

 

 

呉との合流地点で合流した時から思春を凄まじい形相で睨みつけている楓を迦楼羅が窘める

 

 

思春「………何か言いたい事が有るのか?」

楓「いえ、何も」

 

 

かれこれ一刻近くこのやり取りが続いている

 

 

雪蓮「……ねえ迦楼羅。あの子、凌統って言ったかしら? さっきからずっと思春の事睨んでるけど、何かあったの?」

『…………知らない。直接聞けばいいと思う』

 

 

嘘だ。実際迦楼羅は楓から聞いている。迦楼羅以外に馬謖5暗部と馬謖隊三和烏と菖蒲が教えてもらい。知識として一刀が知っている

 

 

 

 

甘寧――思春が楓の父――凌操の仇だと

 

 

 

 

勿論楓自身、自身の父が((仇討|そんなこと))を望んで居ないと理解している。しかし、実の父親を戦で有ったとは言え殺した人物が目の前に居て落ち着く等、無理な話。見た瞬間斬り掛からないだけましだった

 

 

『………楓は体調が優れないみたいだ。悪いが、退幕させて貰う。策が決まったら、連絡くれ』

 

 

そう言って迦楼羅は楓を連れて天幕を出た

 

 

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迦楼羅が退幕した後、決まった事。まず、決戦は赤壁。そして、現在地から曹操軍を赤壁まで持って行く策は何度も一当てして撤退を繰り返す

 

 

始めは警戒していた曹操軍だが、連勝で気を良くした最前線の将が敵を発見する度に打って出る為、軍師達や曹操は渋々と言った感じで進軍して行った

 

 

一刀「みんなお疲れ様」

雪蓮「作戦はとりあえず成功……って感じね」

 

 

迦楼羅達一当てした全部隊の将が陣地に戻ると一刀と雪蓮が皆に労いの言葉を掛ける

 

 

冥琳「ああ。敵の主力を戦場に釘付けに出来ている。今の状況こそ、最大の戦果……と言ったところだろう」

 

 

冥琳は一刀の言葉に頷きながらそう言う

 

 

朱里「しかしこの均衡も長くは続かないでしょう。あとはどうやって策を仕上げるか、ですが……」

雛里「例の策を実行するにしても、最大の効果を求めるには今の状況は素直すぎますね……」

 

 

朱里と雛里は眉間に人差し指を当てて、「う〜ん」と唸りながら必死に策を考える

 

 

祭「……なんじゃ。また軍議か。下手な思案は休むに同じじゃな」

 

 

そこへ、祭がトゲトゲしい言葉を言いながらやってくる

 

 

冥琳「黙れ黄蓋。たかが前線の一指揮官が、偉そうな口を叩くな」

 

 

祭の言葉が気に入らなかったのか、冥琳は祭を睨みつける

 

 

祭「ほお。公謹よ。わしに喧嘩を売っているらしいな?」

 

 

祭もまた僅かな殺気を放ちながら言葉を返す

 

 

桃香「ねえねえ御主人様。止めたほうがいいんじゃ……」

 

 

そんな様子を見た桃香は心配そうに祭と冥琳を見ながら一刀の服の袖を引っ張る

 

 

一刀「いいから黙って見てよう」

 

 

一刀は不安そうな表情の桃香に微笑む。その間にも冥琳と祭の言い争いは激しさを増し、遂には

 

 

冥琳「もう良い! 黄蓋! 貴様の役を剥ぐ! 一兵卒として戦場で散るがいい!」

 

 

その冥琳の大声は陣中響き渡る

 

 

祭「ワシを一兵卒に落とすじゃと……!」

 

 

祭は冥琳の言葉に表情を歪ませる

 

 

冥琳「上官に対する侮辱・命令不服従・主を冒涜する発言……役を剥ぐには充分な理由だ。失せろ、黄蓋。自分の天幕に戻り、謹慎していろ! この戦いが終わった後、貴様に正式な罰を通達する」

 

 

冥琳の言葉に祭は拳を震わせながら

 

 

祭「……勝手にせい!」

 

 

そう吐き捨てると背を向け自分の天幕へと去っていった。その姿を見送った冥琳は側にいた将に何か言いつける。その将も何か言いたそうにしていたが、冥琳の剣幕に諦めたのか、俯いて去っていった

 

 

桃香「あ、あのぉ〜……。この時機に喧嘩は良くないと思うな〜」

 

 

桃香はおどおどしながら冥琳にそう言う

 

 

冥琳「劉備よ。いくら同盟を結んだからといえ、呉の内部に関することに口出しはしないでもらおう」

 

 

冥琳がそう言うと愛紗が一歩進み出て文句を言おうとする。が

 

 

『………ダメ。呉の内部問題。俺達が口出す事じゃない』

愛紗「止めるな迦楼羅!彼奴等の不仲が戦況に響いたらどうする心算だ!!」

星「迦楼羅よ、私も同じ気持ちだ。其奴等の不仲の所為で負けました。等、笑い話にも成らんぞ」

『………それでも、駄目』

 

 

迦楼羅の真剣な雰囲気に愛紗と星はしぶしぶ引き下がる。そして、その場は一旦解散となり各自自分の天幕へと戻る中、蜀の面々は一刀の天幕で、一刀・迦楼羅・朱里・雛里を中心にして小さな輪を作り話し合っていた

 

 

一刀「まずみんなに言いたいんだけど、周瑜さんと黄蓋さんの喧嘩は演技だから安心して欲しい。俺たちの大本命の策を尤も大きな被害を相手に与えるためにはこうするのが一番なんだ」

 

 

一刀が小さな声でそう言うと、朱里・雛里・音々音・馬謖5暗部・菖蒲以外が驚きの表情をみせ、朱里と雛里に本当なのか? と、言うような視線を向ける

 

 

朱里「はい。恐らくは周瑜さんと黄蓋さんが事前に打ち合わせをしていたのかと思います」

 

 

朱里がそう言うと雛里もゆっくり頷く

 

 

星「しかし、我らにも言ってくれれば……」

 

 

そこで星は何かに気がついたようにハッと顔を上げる

 

 

一刀「下手に皆に話すと何処からか漏れ出る可能性もあったからね。それに敵を騙すにはまず味方からって言うだろ?」

 

 

一刀がそう言うとその場にいる一同が頷く。そして、その場に居る一同は納得したような顔で迦楼羅以外は自分の天幕へと去っていった

 

 

一刀「迦楼羅は何で分かったんだ?知識としても有るだろうけど、それ以外にも有るんだろ?」

『………普通に考えれば分る。一つ、雪蓮が祭の発言に対して何も言わなかった事。二つ、呉の将達は理由も無しに仲間を罵倒し無い事。三つ、呉の絆はこの程度では壊れ無い。真名を預かっているから言える。断言できる』

一刀「成程」

『……俺も戻る』

 

 

そう言って迦楼羅も自分の天幕に戻った

 

 

 

 

そしてその夜、黄蓋は自身の兵を引き連れ曹魏へと降った。その報は蜀呉同盟の陣中を大いに混乱させた

 

 

しかし、その混乱こそが軍師達と一刀、そして迦楼羅の臨んだ状況だった

 

 

 

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