武器の御遣い
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此処は赤壁の蜀・呉同盟軍の船の上。ここには蜀と呉の主要な将が揃っており、攻める準備は万端! だったのだが………

 

 

愛紗「衛生兵はまだか!」

一刀「確りしろ迦楼羅達!傷は浅いぞ!」

 

 

迦楼羅を筆頭に菖蒲・秋桜・玲・楓・雫・椿・霞・戦姫・翠・焔耶の計11人が船酔いでぶっ倒れたのである。全員顔の色が紫っぽくなっている(迦楼羅は仮面やらマスクやらで分からないが)。迦楼羅達以外にも蜀兵3割が船酔いに苦しんでいる

 

 

雪蓮「迂闊だったわ。迦楼羅達が此処まで船に弱いなんて」

星「蜀の戦力がガタ落ちだな」

冥琳「報告では魏の夏候惇と夏候覇、曹仁、諸葛誕、郭淮、荀攸が船酔いで使い物に成らんらしい。他にも一兵卒も2割が船酔いだとか」

鈴々「どっちも踏んだり蹴ったりなのだ」

 

 

ここで仕方なく、船酔いした蜀の将兵を舟5艘に乗せ、その船を直ぐに外せる鎖(一刀考案)で止めて置くと言う応急措置が取られた

 

 

 

 

 

 

 

 

船酔いをした将兵の応急措置後、暫くして風向きが変わり東南の風が吹き始める

 

 

冥琳「時は来た……雪蓮。力を貸して頂戴」

 

 

冥琳がそう言いながら立ち上がると

 

 

雪蓮「もっちろん♪」

 

 

雪蓮は笑顔で返事をしながら立ち上がる。朱里、雛里、一刀もそれに続いて立ち上がる。すると、そこに明命が偵察の報告をしに来る

 

 

明命「曹魏の船団から火が上がっております!」

 

 

冥琳は明命の報告に頷くと

 

 

冥琳「すぐに出陣だ! 黄蓋殿を迎えに行くぞ!!」

 

 

冥琳の言葉に明命は短く「はっ!」と返事をするとすぐに駆け出し、その場を後にする。雪蓮や冥琳、一刀達も続いてその場を後にし、船首へと移動する。その視線の先には赫く燃え盛る曹魏の船団があった

 

 

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迦楼羅は曹魏の船団を鎖を伝いながら移動し、魏兵を斬り伏せていた。そして、あたり6艘程の船に居る魏兵を倒し尽くし、次の船に移動しようとした時

 

 

春蘭「おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

ガキン!!

 

 

突如として何処からともなく夏候惇が迦楼羅に斬り掛かって来た。迦楼羅はそれを冷静に持っている武器を仕舞い、黒刀『夜』を取り出して受け止める

 

 

夏蘭「馬謖!これ以上貴様の好きにはさせないぞ!」

 

 

夏蘭も登場し、緊迫した空気が舟を支配する

 

 

『………分かった。相手に成る。………でも、その前にちょっと待って』

春蘭「奇遇だな。私もしばし待てと言おうと思っていたのだ」

夏蘭「私もだ」

 

 

三人はそう言うと各々少し離れた場所の船の端に行き、迦楼羅は覆面を二つとも外して

 

 

迦楼羅・春蘭・夏蘭『「「おえええええええええええええええ!!!!!!!!」」』

 

 

測ったように同じタイミングで3人が一斉に吐いた

 

 

迦楼羅・春蘭・夏蘭『「「おえええええええええ!!げえええええええええええ!!」」』

 

 

しかも可也長い。そしてもう暫くしてから

 

 

『………全部出た』

春蘭・夏蘭「「私もだ」」

 

 

吐き終わって胃の中を空っぽにした3人は己の武器を構える

 

 

『…………参る………!』

春蘭「行くぞ夏蘭!」

夏蘭「分かってるって惇姉!」

 

 

かくして3人は激突した

 

 

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迦楼羅対夏候惇・夏候覇の斬り合いが初めって早1刻

 

 

司馬師「春蘭様!」

司馬昭「我等司馬姉妹も加勢します!!」

 

 

途中で司馬師と司馬昭の二人が相手に加わり、4対1の攻防でも迦楼羅が少し押していた

 

 

そして、魏の4将が一撃を放つ為に武器を振りかぶって突撃する。迦楼羅はそれを迎え撃とうと黒刀『夜』を構える。そして、4人が飛び掛かって来た時。迦楼羅は4人の背後から3本の火矢が飛来してくるのを視界に収めた

 

 

『!………邪魔を、するな!!!!』

 

 

火矢を視界に収めた迦楼羅は迎撃の為に振るう筈だった黒刀『夜』を4人から火矢に目標を変え、火矢を切り落とした。そして

 

 

 

 

ザシュ

 

 

 

 

ドサッ

 

 

 

 

迦楼羅は4人に斬られ、舟の上に倒れこんだ。4つの斬り傷からは紅い液体が流れ出、舟の足場を赫く染めた

 

 

春蘭「ば、馬謖?」

 

 

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一方、曹操軍の旗船では

 

 

 

 

既に三夏候・司馬姉妹・于禁以外の将は捕えられ、曹操は一刀・雪蓮と対面していた

 

 

一刀「なぁ曹操さん、まだ詰んでいないつもりでいる?」

 

 

半ば降参しろと告げている様な言い分に、思わず笑みがこぼれる曹操

その笑みは、自分だって既に気づいていると告げているかのように見える

 

 

華琳「無理ね、微かな希望は総力を持って貴方と孫策を倒すことだけ。でも、それも無理そうだもの」

 

 

一刀と雪蓮だけなら、全員で掛かればなんとかなる可能性はある

ところが現実は、雪蓮に思春に明命

更には敵兵を抜いて鈴々と愛紗と星がたった今、合流した

加えて逃げ道までないとなれば、既に詰んでいる

 

 

華琳「それで、私達をどうするの? ……殺すの?」

 

 

曹操の口から出た最悪の結末に、魏の将と軍師の表情が変わる

同時に、一刀の表情も

 

 

華琳「殺すのなら頼みがあるわ。せめて彼女達の命は助けて――」

一刀「断る」

 

 

全てを言い切る前に断りを入れ、一歩ずつ歩み寄る

断りの意味を皆殺しと捉えたのか、魏の面々の視線が一刀に集中する

やがて立ち止まった一刀は曹操に尋ねる

 

 

一刀「なあ、負けたから殺される。って決めつけるのは早計じゃないか?」

華琳「何故?そう考えるのが普通でしょ?」

一刀「………ハァ、君達魏は俺達同盟軍に負けた。劉表・陶謙・劉璋ならいざ知らず。俺達は君達を殺したりはしないよ」

華琳「あら、何故かしら?」

一刀「これからの先。君達魏軍の力も必要に成る。自分で言うのも何だが、俺や桃香は王として甘い。孫策は有る時はやるが、普段は自由奔放。そんな3人だけに大陸を任せられるか?」

華琳「無理ね。そんな王の部下だったら私なら独立するわ」

一刀「だろ?俺達に足りない物を曹操は持っている。逆に言えば、曹操には俺達の甘さや孫策の自由さが足り。なら4人で足りない部分を補えばいい。違うか?」

華琳「……………負けよ、私達の。まさかこんな形で言い負かされるとはね」

 

 

王自らの敗北宣言により、この瞬間をもって戦は決した。

一刀と雪蓮の宣言によって蜀と呉の勝ち鬨が上がり、歓声が辺り一帯を包み込む。

遠くにいる桔梗や祭の部隊、万が一逃げられた時に備えて迦楼羅の指示で両岸で待機していた蜀で留守番をしている筈の蒲公英・紫苑・桜・緑・神楽の部隊

そして敵の陣を襲撃した恋達の部隊

全ての歓声が一刀の耳に届いていた

 

 

 

 

 

 

こうして、魏は蜀呉同盟に負けた。この後、一刀・桃香・雪蓮・曹操の4人で話し合った結果。天下を三分するということで合意した。というよりも、反対していたのは曹操だけで

 

 

華琳「敗者に口無し。私たちは負けたのだから特に何も言う事はないわ」

 

 

と言って他の3人の意見に素直に従ったのだから当然のことと言えよう

 

 

こうして、赤壁の戦いは終わった

 

 

 

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赤壁の戦いから数日後。蜀で三国同盟を記念する祭が開かれた。その席には迦楼羅の姿も有る

 

 

春蘭「か、迦楼羅。もう動いても良いのか?」

『……ん。だって、怪我してないし』

夏蘭「え!?ど、どう言う事!?」

((菖蒲|しゃうほ))「貴女方が見た師匠の服から流れ出る赤い液体と言うのはこれです」

 

 

菖蒲が話に入ってきて酒瓶を渡す

 

 

春蘭「ぶ、葡萄酒か!?」

菖蒲「はい。恐らく服と一緒に酒瓶が斬れて酒が流れ出たのでしょう。それに、師匠は服の下に鎧を着ていますから滅多に斬られたりしません」

由真「で、では何故迦楼羅殿は倒れたのだ?」

菖蒲「ああ。それですか? 唯の過労です。考えても見てください。1日で匈奴・鮮卑・羯・?・羌を全て旗下に加えて帰って来るんですよ?((銀狼|インロウ))さんに乗って行って帰って来るならともかく。生身で成都と五胡を1日で往復したんですよ?倒れない方が可笑しいです」

 

 

つまり、春蘭・夏蘭・由真(司馬師の真名)・唯(司馬昭の真名)と戦っていた時。迦楼羅の体に蓄積された疲労はピークに達しており、腹に4人の一撃を受けた為気絶したと言うのだ。迦楼羅が起きた時に又しても蜀に所属する将兵29人・軍師4人・君主2人に説教されたのは言うまでもない

 

 

香菜「お〜〜い、唯〜〜。呑んでるか〜〜」

唯「か、香菜!お前もう酔ってるのか!?」

香菜「なにお〜〜、わらひは酔ってにゃんかにゃいぞ!」

 

 

このべろべろ酔って由真に突っかかってるのは王元姫。真名を香菜と言う。赤壁では愛紗と一騎打ちをし、住んでの所で負けてしまったらしい

 

 

香菜「うりうり〜、皆も呑め〜〜〜」

 

 

そう言って春蘭・夏蘭・由真・菖蒲にも酒を飲ませて行く香菜。迦楼羅は既にその場から脱出している

 

 

そして哀れな5人は香菜に酒を飲まされて酔いつぶれてしまった

 

 

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城壁の上

 

 

 

迦楼羅は宴の席から外れ、夜風に当たる為に城壁の上に来ていた。しかし、城壁に先客が居るのに気が付いた

 

 

『……大将?』

 

 

迦楼羅が声をかけると先に城壁に居た一刀は少しだけ肩を震わせた

 

 

一刀「なんでこんなときだけ…」

 

 

そう呟いていたが、その呟きは小さく、迦楼羅の耳には届かなかった

 

 

『……どうしたの?大将。その脚』

一刀「…………帰らなきゃいけないみたいなんだ」

『………そう』

 

 

一刀の脚は向う側が透けて見え、更に一刀自身からも存在感や氣が感じられなかった

 

 

一刀「俺は迦楼羅みたいに、天の世界――現代で死んでこっちに来た訳じゃ無い。だから、戦乱の世が終わったら戻らなきゃいけないんだ」

 

 

ただ現実を告げる

 

 

『…………皆には、なんて説明すればいい。俺は口下手だから上手く伝える事なんて出来ない』

一刀「そうか〜」

『………一つ、約束してくれ。必ず戻って来ると』

一刀「ああ。約束する。何年かかろうと、俺は必ず戻って来る」

 

 

そう言っている間も、一刀の体はどんどん存在感が無くなって行き、下半身が薄く透けている

 

 

『……最後に呑んでけ』

 

 

迦楼羅は酒瓶と杯を取り出して酒を杯に入れ、一刀に渡す

 

 

一刀「(グイッ)…ふう。じゃあそろそろお別れだ」

『………ん。早く帰って来い。じゃないと、愛紗とかが暴走しそうだ』

一刀「ああ。そうだな」

 

 

一刀はそう言って笑いながらスゥーーーーっと消えて行った

 

 

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迦楼羅は一刀が消えた後、直ぐに城壁を降り、宴の会場に歩いて行った

 

 

『………さて、どうやって伝えるか。愛紗は獲物振り回すだろうし。朱里と雛里と桃香と璃々は泣くだろうし。怖いのは星と鈴々だな。何するか分からない』

 

 

まあ、最終手段としては止められなかった事を攻められるだろうが、それも已む無しだな。

そう言いなが未だに宴が続いている会場に向かって歩いていく

 

 

 

そして、宴が行われている大広間に戻り、部屋に入ると

 

 

 

 

 

 

ガチャン

 

 

 

 

 

 

迦楼羅は手に持っていた酒瓶を落とした

 

 

何故なら

 

 

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大広間に酔った桃香と愛紗に詰め寄られている一刀の姿が有ったからだ

 

 

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プッチーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 

 

っと、迦楼羅の中で何かが切れた

 

 

 

 

 

 

 

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迦楼羅から冷たい気配が流れ、その気配は酔っている者全員の酔いを冷まし、迦楼羅に気付いた一刀は顔を真っ青にして冷や汗をダラダラと流していた

 

 

『おい大将。これは一体どう言う事だ? うん?』

 

 

迦楼羅の声は地獄の底から響いてくるような底冷えする物があり、誰も言葉を発するどころか指一本動かす事が出来なかった

 

 

一刀「ま、待て迦楼羅!こ、これには深い訳が――――」

『問答無用!!!!!!くたばれ大将!!!!!!』

一刀「ギャーーーーーース!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

その一刀の悲鳴は大陸中に響き渡ったとか

 

 

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オリキャラの3人は設定に追記

 

 

説明
第拾玖話
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コメント
ですよね〜。因みに 迦楼羅は武器をほぼ全部展開してます(頭翅(トーマ))
一刀。それは流石に、切れるに決まってる(東文若)
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