IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode202 引き換えにした物
『・・・・』
ノルンはその場に座り込み、隼人の頭を自身の膝に乗せていた。
(しかし、ここまで限界だったのによくあれだけ戦う力が残っていたな)
優しく隼人の頭を撫で、隼人の様子を窺う。
(執念と言うやつか。
だが、限界をかなり超えている。もう命は風前の灯と言った所か)
隼人はまだ生きているも、顔色は極めて悪く、もう虫の息で心音もいつ消えるか分からない状態だった。
『お前は本当に命が惜しくは無いのか?』
気を失っているので返事は返ってこない。
『それほど・・・自分の命より仲間達や大切な者、そしてあの子の方が大切なのか』
少し心配そうに隼人を見る。
(まるで・・・・・・父上と同じだな。自らの犠牲も・・・構わない・・・。仲間や、部下、そして愛する者為に戦う。そんな人だった・・・)
するとノルンの右手が少しブレる。
(やはり、完全とは行かないか)
消えかけている右手を見ると、次に隼人を見る。
『隼人・・・お前はここで死んでいい男ではない。私の残った力で生き延びろ。
だが、お前には荷を背負ってもらう事になるかもしれない・・・私の代わりに』
ノルンは左手を隼人の胸に当てると、掌より光が現れて隼人を包む。
『オリ・・・・・・いや、今はヴィヴィオだったな。我が娘を・・・・・・あの子を・・・頼んだぞ』
すると足元から少しずつ光の粒子がバラバラになるように消えていく。
『お前に力を託してしまえば、私は二度と実体化は出来なくなる』
ただでさえ少ない力の中で実体化した為にもう殆ど残っていない。
その残りで隼人の身体を回復させると同時に身体の構成を書き換える。強大な力に耐えられるように。
『お前には私と同じ運命を辿って欲しくはない。無茶をして身体を壊し、仲間や兄妹、愛する者、そして娘を遺して逝ってしまうような事を』
徐々に身体が消えていく中、左目より一筋の涙を流す。
『だが、これからも・・・お前と私は一緒だ。この世界の行く末を見届けるまでな』
そしてノルンは笑みを浮かべて、消滅する。
「・・・・」
隼人は重い目蓋を開け、目を覚ます。
「・・・お、俺は・・・何を―――――」
すると隼人は「ハッ!」として起き上がる。
「あれ?身体が・・・軽い?」
さっきまで指一本すら満足に動かせない状態だったが、今はそれどころか重かった身体が軽く、痛みなどが一切無い。
「一体何が・・・」
と、その瞬間違和感を覚えると、自分の髪に触れる。
「って、あれ?何で髪が・・・元の長さに伸びているんだ?」
見れば、短く切ったはずの髪が以前の長さまでに戻っている。
(気を失ってから、何が起きたんだ?それに――――)
隼人はもう一つの違和感を覚えていた。
(・・・前より、何かが違う。力が満ちているような―――――)
(私がお前に力を託したのだからな。多少違うのもある)
その瞬間脳裏にノルンの声がする。
(ノルン?お前・・・)
(・・・・)
「そうか。俺を・・・助ける為に・・・」
(気にするな。どの道消えてなくなる運命だったんだ。その前にお前に力と私の意志を宿した)
「・・・・」
(これからはお前のサポートに入ろう。まぁ役に立てるかどうか分からないがな)
「・・・・」
(それより、急ごう)
「・・・あぁ」
隼人はゆっくりと立ち上がる。
「・・・ヴィヴィオ」
隼人はバンシィ・ノルンに変身し、背中のアームドアーマーXCに左手にアームドアーマーDE付きシールドを展開してマウントし、前を見る。
「待っていろ」
スラスターを噴射して飛び出し、通路を飛んでいく。
――――――――――――――――――――
「くぅ!」
「っ!」
一夏と闇一夏はメビウスの輪を描くように上空を飛び交う。
闇一夏は対艦刀を勢いよく左斜めに振り上げるも一夏は雪片零式を前に出して刀身で斬激を受け止める。
直後に背中のバインダーを展開してソードビットを放つも、闇一夏はとっさに一夏より離れて左手の甲よりリフレクターを出して勢いよく横に振るい、ソードビットを掻き消す。
「ちっ!」
舌打ちをして雪片零式の刀身を展開し、幅が広く長いエネルギー刃を形成するとウイングスラスターを噴射して飛び出す。
闇一夏は背中の左側の長距離ビーム砲を展開して一夏に向けると、トリガーを引いて赤く太いビームを放つも、一夏は瞬時に零落白夜を発動させて雪片零式を振るいビームを切り裂くと同時に消滅させる。
「いいね。いいね、いいね!!」
長距離ビーム砲を収納すると背中の光の翼を羽ばたかせて飛び出し、対艦刀を振り被り、一夏はとっさに雪片零式を振るうと同時に対艦刀を振り下ろして零式のエネルギー刃に叩き付ける。
「やっぱりお前との戦いは一味違うぜ!」
「あぁそうかい!!」
一夏は闇一夏を押し返して左掌のビーム砲を放とうとするが、闇一夏は右脚を振り上げて白式の左腕を蹴り上げ、直後に掌よりビームが放たれる。
「っ!?」
その直後に一夏は闇一夏の右横腹に右脚の展開装甲を展開してフィン状のエネルギー刃を出し、切り付けると同時に蹴り返しを入れ、その反動で宙返りをしながら雪片零式を振り上げるも、闇一夏は後ろに下がって斬撃をかわすも、剣先が胴体を擦る。
「かわしやがったか・・・!」
体勢を立て直すと雪片零式を構え直す。
「中々腕を上げていやがるようだな。
だが、Gの力を無くしたおめぇに俺を倒せるものか!」
闇一夏はスラスターを噴射して飛び出し対艦刀を素早く振るい、一夏はとっさに左手の甲のリフレクターで防ごうとするが、パワーで押し切られて吹き飛ばされる。
「くそっ!」
箒はビームサーベルを横に振るってレギナを切り裂くも、次々と背中のバインダーライフルを放ってきてとっさにリフターのブースターを噴射してかわす。
「一夏の元に行かせないつもりか!」
かわしきれないビームを左腕のシールドのリフレクターを展開してビームを弾く。
(次々と倒しても、これでは・・・!)
周囲を見渡すだけでも、レギナの数は尋常ではなかった。
完全にこの空域を囲まれている。
「っ!」
ユニコーンはエクサランスカノンを放つも、ハルファスベーゼは身体をずらしてビームをかわし、一気に飛び出してビームサイスを振るうもユニコーンはとっさにエクサランスカノンのシールドで受け止める。
「さっきより仲間達に勢いが無いな。さすがに増援によってスタミナが大幅に削られているようだな」
「・・・好きなだけ、ほざいていれば良い!!」
ハルファスベーゼを押し返してバレルを向けてエクサランスカノンを放つも、ビームサイスを振るってビームを切り裂く。
「それに、お前達だけでここを陥落させるなど、笑止!」
ユニコーンを強引に押し返すとクロスバインダーキャノンを展開して四つのビームを放ち、とっさにエクサランスカノンのシールドを前に出すも威力に耐えられずシールドが破壊されてエクサランスカノンが爆散する。
「くっ!」
爆風で吹き飛ばされるもとっさに体勢を立て直すも、ハルファスベーゼはその隙に接近してビームサイスを振るってくるも、とっさに左腕のビームトンファーを展開してビーム刃で受け止める。
《ソニックムーブ!》
バンシィは音速以上のスピードを出してマスターフェニックスに切り掛かるも、バインダーソードを振るって斬撃を受け流す。
「くっ!」
斬撃を受け流されるも、直角に曲がって再度飛び出してライオットブレードを振るうも、マスターフェニックスはバインダーソードを前にだして受け止める。
「・・・・!」
「さっきより動きが鈍いな。最初から飛ばしすぎたようだな」
「くっ・・・」
「だが、それを見逃すほど俺は甘くは無い」
と、左手に持つバインダーソードを振るってライオットザンバーの刀身の腹を叩き付けると、刀身を打ち砕く。
「っ!?」
バンシィは目を見開くも、その直後にマスターフェニックスが右手にバインダーソードを横に振るってきてとっさに後ろに飛び退こうとするが、刀身の先端がバンシィの腹部を切り付ける。
「うぐっ!」
更に左手のバインダーソードを振り上げてバンシィの胸部装甲を切り付けると真っ二つに割れ、すぐに後ろに飛び退いて左手で切り付けられた箇所を押さえる。
「紛い物の身体でも、血は出るんだな」
「・・・・」
左手の指の間より切り付けられた箇所より出てくる血が溢れて出てくる。
「確かに私やユニコーンの身体は人間の身体を限りなく再現した・・・紛い物の身体だよ。でも、あなたの様な血も涙も無く、温かみを感じない金属のボディーよりかは何十倍もマシだよ」
痛みに耐えながらライオットザンバーを収納すると、両腕のビームトンファーよりビームサーベルを両手に持って抜き放ち、ビーム刃を出す。
「ふん」
マスターフェニックスはバインダーソードを振るってバンシィへと飛び出す。
「ぐっ!」
一夏は闇一夏より蹴りを入れられて吹き飛ばされるも、とっさに体勢を立て直して雪片零式を振るって光波を放つ。
しかし闇一夏は対艦刀を縦に振り下ろして光波を真っ二つに切り裂く。
直後に左手に右肩の取っ手を持って抜き放つと同時にビーム刃を出し、勢いよく放り投げる。
一夏は背中のバインダーを展開してソードビットを放ち、ビームブーメランを弾き返すも、直後に闇一夏が長距離ビーム砲を展開して赤く太いビームを放ち、白式の左側のウイングスラスターに直撃して爆散する。
「ぐぅ!」
爆風で吹き飛ばされるも何とか体勢を立て直すが、その直後に闇一夏は一夏の目の前まで迫る。
「っ!?」
一夏はとっさに後ろへと飛び退こうとするが、片方しか無い為にコントロールがうまく出来ずに体勢を崩しかける。
とっさに雪片零式を振るうも、闇一夏は右足を振り上げて雪片零式を蹴り上げると、対艦刀を一瞬の速さで振り上げる。
「―――――!!」
その瞬間右腕の関節より下の感覚が無くなる。
「え・・・?」
一夏は一瞬目を疑った。
視線の先には、白式の腕と共に自分の右腕が血を撒き散らしながら宙を舞っていた。
「ぐ、ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
意識した途端右腕より意識が途切れそうなぐらいの激痛が走り、切られた腕より大量の血が噴き出す。
「一夏!?」
その光景を見た瞬間箒は目を見開き、表情が青ざめる。
『一夏さん!!』
『っ!』
遠くで戦っていたリインフォースとツヴァイは一夏の悲痛な叫びを聞いてとっさに声がした方を見る。
『織斑の腕が・・・!』
『・・・・』
「う、ぐぅ!!」
意識が途切れそうな痛みに耐えながらバインダーよりソードビットを放つも、闇一夏は対艦刀を振るってソードビットを切り裂く。
直後に再度右肩のビームブーメランを抜き放って勢いよく投げるとそのまま一夏の左太股を切り付ける。
「ぐぅ!」
痛みによって一瞬の隙が生じ、その間に闇一夏は血に染まった対艦刀を振り被る。
「死ね!」
闇一夏は対艦刀を勢いよく振り下ろし、一夏を身体を斜めにバッサリと切り付ける。
「―――――」
一夏は声を上げる事なく、身体を切り裂かれて大量の血が噴き出し、闇一夏に血が降りかかる。
その光景を見て闇一夏の黒いデスティニーのツインアイが嬉しそうに細くなる。。
『っ!!!』
その場に居たメンバーはその光景を目撃して驚愕する。
一夏はそのまま血を撒き散らしながら墜落する。
「あ、あ、あぁ・・・」
その光景を目にして、箒はその場に立ち尽くす。
大量の血を流し、片腕を失った一夏が海へと落ちていく・・・
「っ!」
その直後にレギナのバインダーライフルから放たれたビームがインフィニットジャスティスの胴体に直撃して衝撃が襲う。
「・・・い、一夏ぁぁぁぁぁっ!!!」
箒はそれで我に帰り、スラスター全開で飛び出すも、レギナがバインダーライフルを放ってきて機体の各所に直撃する。
「くぅ!」
直撃しても体勢を保つが、目の前にレギナ五体が立ちはだかる。
「邪魔だぁぁぁぁ!!!」
背中のリフターを切り離すと同時に衝角を展開し、スラスター全開で飛ばしてレギナ五体を切り裂く。
「一夏っ!!一夏っ!!」
リフターを再度装着して一夏の元へと向かおうとするも、レギナによって道を阻まれる。
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! | ||
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