第一話 |
セカンドステージチルドレンとの激闘を超え、サッカーを取り戻した天馬たちを待ちうける新たなステージ。それは少年サッカー世界大会「フットボールフロンティア・インターナショナルビジョン2」であった。
新生イナズマジャパンとして世界に挑む。その思いをもった仲間たち、そしてかつてのライバルたちが一堂に集結し……
そして、今、新生イナズマジャパンが今まさに選ばれようとしていた……。
『君のことは忘れない』
セカンドステージチルドレンとの激闘の記憶も穏やかな日常へと埋もれ始めた頃……
雷門イレブンは新たなステージへと歩を進めようとしていた。
少年サッカー世界大会「フットボールフロンティア・インターナショナルビジョン2」の開催である。
今日というこの日を祝福するかのような熱い日差しの中、全国でも屈指の中学サッカー選手たちがスタジアムに並び立つ。彼らを見守るのは観客席を埋め尽くすサッカーファン。
彼らがここに集められたこと。そして観客たちが熱い視線で見守り続けること。すべては少年サッカー世界大会の代表選出、そのためであった。
天馬「ついに今日という日が来たんだね。なんていうか、とっても感慨深いよ」
信介「世界と戦うための日本代表……。絶対、選ばれたいよね!」
大勢の観客に見守られる中、天馬たちはそれぞれに希望を胸にする。
剣城「ふっ……。ずいぶんと落ち着いてるじゃないか。もう自分は選ばれるって確信してるみたいだな」
天馬「そ、そんなことないよ。でも、俺も剣城も、信介はともかく…… きっと選ばれる。そんな気がするんだ」
信介「さりげなく僕を外すのやめてよ!」
天馬「ははっ、ごめんごめん。つい本音がでちゃって」
信介「なんだ、本音か。じゃあ、しょうが……って、本音じゃもっと性質悪いよ!」
フェイ「でも、天馬たちはホーリーロード優勝して、セカンドステージチルドレンさえも倒したんだ。それだけの実力があるなら、きっと選ばれるよ」
天馬「そ、そうかな」
フェイ「それはそうとクロノストーン編の記憶がないんだけど、どうしたのかな」
天馬「そういえば、ホーリーロードの後、一年くらい連載が止まっていたような……」
天馬のその言葉に、フェイを除く雷門の選手たちの表情は急に強張る。まるで触れてはいけないことに触れたかのように……。その違和感に気付けないほどに天馬は鈍感でもない。すぐに自分がなにかおかしなことを言ってしまったかと先ほどの言葉を思い起こすが特におかしなことなどなかったはずだ。
戸惑う天馬に重苦しい空気をまとったまま、信介が静かに吐き捨てる。
信介「何を言ってるんだよ、天馬……」
天馬「信介?」
信介「クロノストーン編は…… クロノストーン編はもう終わっただろ?! そしてフェイはもういないじゃないか。もう未来へ帰っていったろ!」
天馬「えー?! いや、ここにいるじゃないか!」
神童「……天馬。フェイとの別れは確かに辛かったかもしれない。だけどな、いつまでも引きずるのはよすんだ」
天馬「いや、だから……」
剣城「この馬鹿野郎が!」
戸惑う天馬の頬を剣城の容赦のないストレートが打ち抜く。
天馬「ぶべふぉぉっ!」
フェイ「て、天馬?!」
剣城「辛いのは…… 辛いのはお前だけじゃないんだよ! フェイは……フェイはもう死んだんだ!」
天馬「剣城だけなんか悲しむ理由が違うんだけど!」
フェイ「というか勝手に殺さないでよ!」
信介「フェイとは急な別れだったからね。ちゃんとさよならも言えないで……」
フェイ「さよならをいうどころか、クロノストーン編始まってもいないよね?!」
剣城「馬鹿野郎!」
再び剣城の拳が鋭く頬を抉る。
フェイ「ぐはぁっ!」
剣城「フェイは……フェイはもういないって何度言わせれば気が済むんだよ!」
天馬「いや、今、剣城が殴ったのがフェイだろ!」
剣城「あ……。馬鹿野郎!」
天馬「ごふぉぁぁっ!」
三度、剣城の拳が天馬の頬を貫く。
剣城「フェイは……フェイはもういないって何度言わせれば気が済むんだよ!」
天馬「わざわざやり直さないでよ!」
フェイ「いや、それ以前に僕がいることに気付いていることをツッコんでよ!」
剣城「くっ……。天馬、そんなにフェイがいないことを認めたくないのか……」
天馬「いや、フェイを殴っておいてなんでそんなこと言えるのさ?!」
剣城「仕方ない。本当はこんなもの見せたくはなかったんだが……」
剣城は一層、翳りを帯びる口調で前置きしてから、一本の錆びついたネジを差し出すのだった。
剣城「すまない。ワンダバの部品しか取り戻せなかった……」
天馬「ワンダバに何があったっていうのさ?!」
信介「剣城……。いくらなんでもそれだけじゃ天馬も納得できるわけないよ!」
剣城「だが…… だが、あんなものを見せるわけには!」
天馬「いや、ネジ以外に何を見せるつもりなのさ」
剣城「こんなもの、本当は見せたくなかったが……」
そういって剣城は信介から受け取った一つの細長い包みを差し出す。それは受け取ると見た目以上にズシリと重みがあった。妙な重量感にわけもわからず嫌な汗が溢れだす。やけに強く早く打ち出す心臓の鼓動を、荒ぶる呼吸をないこととしながら、恐る恐る包みを開く。
……そのなかから現れたのは毛深い機械の腕……。見間違えることなどない。それはワンダバの腕だった。
天馬「本当にワンダバに何があったのさ?!」
神童「詳しいことは俺にもわからない。ただ、菊一文字という掛け声とワンダバの悲鳴を聞いて、駆けつけてみれば既にこの腕しか残っていなかったそうだ」
剣城「まったく、何があったっていうんだ!」
天馬「思い切り犯人バレてるよ!」
剣城「ともかく、フェイのことは…… クロノストーン編のことはもういいだろう」
信介「そうだね。ホーリーロードから急にギャラクシーに飛んだけど、その間に起こったことはちゃんと僕たちの心の中に刻まれているんだから」
神童「フェイ…… 君のことは決して忘れない!」
フェイ「ちょ、ちょっと待って! これじゃあ、僕の出番はここで終わりみたいじゃないか!」
『君のことも忘れない』
黒岩「それでは新生イナズマジャパンのメンバーを発表する」
イナズマジャパンの監督、黒岩がスタジアムに姿を現すと観客、選手ともに緊張と熱気が瞬く間に最高潮へと達する。それもそのはずだ。黒岩はともかく、待ちかねていた日本代表の発表がついに来たからだ。
信介「天馬、ついに…… この時が来たんだね!」
天馬「うん。さようなら、信介。君のことも忘れないよ」
剣城「お前のDFとしてボケをブロックして、俺に繋ぐ才能には何度となく助けられたな。出来れば、もっと一緒にやりたかったが、仕方ない」
神童「お前の抜けた穴はみんなで埋めるから、安心して見守っていてくれ」
三国「俺たちが世界に行ってる間、部室に残してある辛いだけでまるで旨みのないラーメン、賞味期限が1年過ぎたものから順に食べていっていいからな」
天馬を筆頭に剣城、神童、三国は次々に信介に別れと励ましの言葉をかけてゆく。その姿に信介は胸にくるものを感じつつ、それでも笑顔を見せる。
信介「みんな…… って、まだ発表されてないのになんで自分たちだけ選ばれて僕だけダメみたいな展開にしてるのさ! あと三国先輩は絶対にそっち側の人じゃないし、辛いだけで旨みのないラーメンの処分をこっちに押し付けないでください! あと賞味期限を一年過ぎたものを部室に置いておかないでください!
三国「いや、賞味期限一年くらい超えたくらいじゃないと、ラーメンに混入している寄生虫が死滅しないんだよ。俺ならともかく信介じゃ寄生虫にやられてしまうだろ?」
信介「いや、むしろ寄生虫食べるの前提で話を進めないで下さいよ!」
これから代表が発表されるというのにまるで動じない雷門一同。その姿は緊張に包まれる他校の選手には鬱陶しいと同時に、この状況下でも揺るがないその強靭な精神力に畏怖すら覚えさせる。
そして、彼もまたそんな雷門の姿を鬱陶しく思うのだった。
黒岩「三国選手のオウンゴール(ボケ)に対して、動揺することのない見事なブロック(ツッコミ)。それもこの大観衆が見守り、代表が発表されようとしているこの時に……。さすがはホーリーロード優勝校の選手なだけはあるな、西園信介」
信介「く、黒岩監督!」
雷門選手「信介のやつ、この状況下でも黒岩監督にアピールするとはのう……。もうダメじゃとわかっていても諦めきれんのじゃな。出来ることならわしの代表としての座を変わってやりやいぜよ」
天城「まったくだド。けど、そんなのは信介や影山に世界はまだまだだド。やはり代表の座はは俺たちしかないド」
怒羅えもん「ジャイアンってば、なに選ばれてる気になってるのさ。代表は僕と古いのび太君に決まってるのにねぇ?」
真帆路「例えそれが儚い幻だろうと、夢くらい見させてやれよ、怒羅えもん」
剣城「留学から帰ってきて日本語の話せない先輩は何言ってるかわからないからいいとして。残りの三人、あんたらこそなんで選ばれてる気になってるんですか! 日本代表レギュラーどころか、番組レギュラー出演すら怪しいってのに! ついでに幻影学園の二人もさりげなく雷門の列に紛れ込んでんじゃねえ!」
天馬「なっ! つ、剣城のやつ、黒岩監督を前になんてキレのあるツッコミ! 信介だけじゃなく剣城まで黒岩監督にアピールするなんて……! くそっ、こんなことなら俺もグラビアを持ってきていれば……!」
剣城「いや、別にアピールするためにツッコミしてるわけじゃねぇよ! つーか、お前はグラビアで何をアピールするつもりだ!」
黒岩監督を前にして代表選出にむけて自分の実力をアピールする信介たち。ともすれば、ここで代表メンバーの入れ替わりが発生するかもしれない状況。だがしかし神童は慌てることなくその様子を傍観する。
神童「……出遅れた……!」
その姿はただ単に出遅れただけだというのに、まるでアピールする必要などないと言わん限りの風格すら漂わせ、他校の選手が付け入る隙を完全に封殺していた。
ざわめき立つ選手たち鋭い視線で一瞥してから、黒岩監督は静かに、だが全身に響き渡る重厚な声で信介を評価する。
黒岩「ボケに対する反応速度、的確なツッコミをする判断力、そしてこの環境下で全力を出せる度胸……。ホーリーロード優勝校の選手としては十分だ。……だが」
信介「だ、だが……?」
黒岩「これから選ぶのは学校の代表じゃない。日本の代表だ。その程度のツッコミでは世界の突破力(ボケ)を…… 止められはしない!」
信介「そ、そんな……!」
落ち込む信介を傍目に黒岩はそのまま代表選出という無情な選別結果を言い渡す。
黒岩「世界と戦う…… いや、世界をも凌駕すべき日本代表……。キャプテン・松風天馬! FW・剣城京介、瞬木隼人!」
天馬「やった!」
剣城「ふっ……!」
神童「よしっ!」
観客『うおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーー!』
黒岩「MF・野咲さくら、久坂隆二! DF・森村好葉、皆帆和人、鉄角真、真名部陣一郎。GK・伊吹宗正! 以上!」
観客『うおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーー!』
選出されたものとされなかったもの……。ただそれだけの違いが決定的な明暗となって、その場にいる者たちに下される。
天馬「これからもよろしくな、剣城!」
剣城「ふっ……。まさか日本代表になってもお前と組むことになるとはな」
神童「天馬、今はお前にキャプテンの座は譲るが、不甲斐ない様を見せたなら俺がいつでもキャプテンの座を奪うからな」
信介「……神童先輩、代表に選ばれてませんよね?」
怒羅えもん「どうする、のび太君。二人くらいなら証拠も残さず消して、空いた席に僕たちが収まれると思うけど」
天城「ちょ、ちょっと待つド! なに恐ろしい企みをスタジアムのど真ん中で平然と言ってのけてるド?!」
怒羅えもん「あっ、三人だとさすがに無理だから、ジャイアンは自分の分は自分で殺ってね」
天城「いや、そういうことじゃなくてだド! 三国、お前も何か言ってやってくれド!」
三国「……代表メンバーにこの賞味期限の切れてない辛いだけで旨みのまったくないラーメンを贈れば、もしかしたら……! いや、むしろこれを黒岩監督に贈ったほうが確実か?!」
天城「何をやってるド! って、うわぁー、ダメだド! 俺のブロック(ツッコミ)じゃこいつらを止められないド! これが世界の壁かド……!」
信介「あ、天城先輩! しっかりしてください! よく考えたら世界を相手にボケとかツッコミとかあまり関係ないですから!」
選ばれたものは歓喜し新たなステージへ胸を躍らせる。選ばれなかったものはただひたすらに嘆くもの、虎視眈々と代表の座を奪おうと狙うもの、選ばれてなかったことに気付かずに代表入りしたつもりになっているもの……。それぞれであった。
黒岩「これより30分後、新生イナズマジャパンのエキシビジョンマッチを執り行う。代表に選ばれたものは控室へ行き、準備を済ませておくように。以上だ」
天馬「知らない選手ばかりなのにいきなりエキシビジョンマッチ?」
剣城「どんなチームであろうと俺は俺のプレー(ツッコミ)をするまでだ」
神童「控室はこっちだな。よし、行くぞ、天馬、剣城!」
信介「いや、だから、神童先輩は選ばれませんって!」
こうして新生イナズマジャパンの戦いが始まるのだった。
『君のことは忘れたい』
新生イナズマジャパンのエキシビジョンマッチ。お互いのことをよく知らない者同士のちぐはぐさとはまた違う。もっと単純な違和感を見せながら試合は進んでいた。
解説『松風選手、たった一人でゴールへと駆け上がる!』
天馬はドリブルで敵ディフェンスラインの突破を試みる。卓越したドリブル技術はホーリーロードという試練を越えて、更に磨きがかかったものになっていた。一対一、いや一対二であっても十分に突破できたであろう。だが……
帝国学園選手A「させるか!」
帝国学園選手B「いかせねぇ!」
帝国学園選手C「甘い!」
帝国学園選手D「うえっへへへ!」
帝国学園選手E「貴様を亡き者にすれば俺が代表入りだー!」
一気に五人もの選手に狙われれば一たまりもない。
天馬「くそっ!」
剣城「こっちだ!」
天馬「剣城! よし、頼む!」
天馬は囲まれる前に剣城へとパスを通す。だが、それも帝国学園選手Fによってすかさずカットされてしまう。
剣城「なに!」
神童「やっぱり、こんなチームじゃ……!」
神童が嘆くよりも早く帝国学園のカウンターによりまた一点が取られる。電光掲示板には0−300というありえない数字が刻まれる。
神童「三国先輩ですら100失点に抑えたっていうのに! いったい、どういうことなんだ、これは!」
新たな失点に観客たちはもはや怒りをぶつける気力すらも失ったようだ。もう誰も何も言う気配すらなかった。その様子を黒岩監督は一人、見下ろす。
もう何をどうすることもできない試合は残り時間を消化するためだけに再開される。
解説『一方的な試合展開でもまだ戦う意志は投げだない! 新生イナズマジャパン・キャプテン松風天馬!』
???「松風天馬……。雷門中学グラビア愛好会とサッカー部のキャプテンを務める。かつては女子生徒のスカートをめくるために新必殺技を編み出したり、女子トイレに入ろうと様々な策を弄する変態でしたが、元性帝・豪炎寺の指導により今は持て余す思春期の性欲を正しい方向へ発散するできるようになりました」
天馬がドリブルであがり、剣城にパスをだす。何度も…… 何度も何度も繰り返してきた攻撃パターン。そして同じ数だけ破られてきた攻撃である。だが、それしか彼らが選べる選択はなかった。
剣城「くそ! こうなったら…… 二人でいくぞ!」
天馬「剣城!」
既に天馬の周囲には六人ものマークが入り、パスコースもシュートコースは完全に潰される。それでも剣城は迷うことなく天馬と共に渾身のシュート体制へ入る。
天馬・剣城「ファイアートレネードDD!」
二人の必殺シュート。届くはずなどないと思われたその一撃は、誰もの予想を裏切り、帝国学園DF陣のブロックを貫き、強引にゴールへと突き刺さる。
解説『ゴオオオォォォォォォル!! 新生イナズマジャパン、松風と剣城、意地の得点を決めたあぁぁぁーーーーー!!』
???「剣城京介……。雷門中学サッカー部FW。かつてはフィフスセクターに属していたが、雷門中学サッカー部とのモミアゲを賭けた勝負に敗れ、雷門中サッカー部に入る。その正確かつ強烈なシュート(ツッコミ)はまさに代表にふさわしいレベル。ちなみに以前の帝国学園との試合では寄生虫にやられ下痢になりながらも勝利しています」
解説『絶望的な状況下でもまだ戦うのかイナズマジャパン! 次は神童がボールを取った! そのまま味方に指示をだすが…… いや誰も動かない?!』
神童「なんで誰も俺の指示に従わないんだ!」
???「神童拓人……。選ばれたわけでもないのに代表に紛れ込み何故か指示までだす雷門中サッカー部元キャプテン。もちろん、代表でもないので誰も従いませんが……。自分のチームが11人以上出ていることに彼はいつ気付くのでしょうか」
解説『こぼれ球を拾ったのは瞬木。し、しかし瞬木がいたのはずっと離れた場所だったはず……。これは恐ろしいほどの俊足だ!』
???「瞬木隼人……。元陸上選手。しかし得意の俊足を生かしての下着ドロ(前科24犯)がばれて陸上界を追放される」
解説『ボールはまたしても帝国学園に! そのままシュート! と、ここで鉄角、迫りくるボールを…… よ、避けたー?!』
???「鉄角真……。元ボクサー。そのジャブは女子に気付かれることなくブラのホックを外し、その動体視力はブラが外れた胸の揺れをしっかりと見極めるという。セクハラで前科18犯」
解説『ゴールを守るのは伊吹! 高く跳んでキャッチするが…… ダメだ! またも帝国学園が得点だー!』
???「井吹宗政……。元バスケ部。得意の跳躍力でどんな壁をも乗り越えて、露天風呂ののぞきを繰り返す。しかし、降りることが出来ずに逮捕も繰り返す。前科209犯」
解説『久坂、帝国学園の選手と乱闘を始めたぞ!』
???「久坂隆二……。5つの学校を制圧し、あまたの男子生徒を痔にしてきた不良。警官すらも容赦なく痔にしてしまうという。前科不明」
解説『皆帆、マークにつくがあっさりと抜かれたー!』
???「皆帆和人……。父親が刑事。すぐれた推理力を持ち様々な下着盗難事件を解決に導く。なお、その半数は自身の犯行である。前科15犯」
解説『真名部も抜かれたー!』
???「真名部陣一郎。計算を得意とし、女性下着の黄金率を学会に提出。しかし、そのあまりの完成度の高さゆえに将来を危惧されて異端として切り捨てられる。前科7犯」
ドナルド「ヘブンズタイム!」
ドナルドが頭上でパチンと指を鳴らすと周囲の時間が停止する。ドナルドは何も出来ないDFを悠々と抜いてゆく。
ドナルド「ふぅ……」
抜き去った後に、ドナルドが再び指を鳴らせば停止していた時間は再び動き出す。抜かれた男子達は何が起きたかも分からないままに吹き飛ばされるのだった。
帝国学園選手ABC「うわぁぁぁぁーーー!」
解説『ドナルド、DF三人で抜いた―! そして、どういうわけか帝国学園のユニフォームまで奪っているぞ?!』
???「ドナルド・魔苦怒奈留度……。前科1024犯、懲役4000年の凶悪犯。グラウンドを幾度となく痔の海にし、今もまだ犠牲者の数を増やし続けてます」
黒岩「……これが新生イナズマジャパン」
あまりにも出鱈目なメンバー。サッカー素人の寄せ集め。日本代表を勝たせるつもりなどまるでないかのような選出に観客は怒りのすべてをぶつけ、そして気力の尽きたものから次々にスタジアムを後にしていった。
黒岩監督が何を考えているのか。今はまだ誰も知る由はない。ただ一つ言えることは……
天馬「なんでイナズマジャパンは12人で試合してるんだろう……」
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