第四話
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 ビッグウェイブスとの死闘を潜り抜け、チームとしての成長をみせる新生イナズマジャパン。すべては順調に進むと思われた矢先に再びの暗雲を呼ぶ一本の電話がかかってくる。久坂が逮捕された……と。

 

『VSシャムシール 〜守れなかった過去〜』

 

天馬「世界大会もついに三戦目か。最初はどうなるかと思っていたけど、なんとかなるもんだね」

 

剣城「確かにな。だが、今までは運がよかっただけかも知れないんだ。油断は禁物だ」

 

ドナルド「もちろんさー!」

 

伊吹「それはそうと……。ところで二回戦目っていつやったんだ?」

 

鉄角「いや、前回やっただろ。つーか、お前、必殺技でシュート止めてただろ……」

 

伊吹「え? そうだったっけ? まあいい。見たか、神童! 俺はシュートを止めたぞ!」

 

 二回戦を突破して自信と実力の両方を備え始めたイナズマジャパン。良好な状態が続けば仲間同士の連帯感も強くなり、小さいながらも絆が生まれ始めていた。

 

 全てこのまま順調に進めばいい……。誰もの心の奥底にそんな希望が見え始めてとき、全てを覆す一報が届く。

 

真名部「大変です! 久坂君が逮捕されました!」

 

 予期せぬ凶報に皆の時間が止まったのはいうまでもない。たとえ、それが前科者たちであってもだ。乾いた空気が張り詰める中、責任感からか、単に空気を読まないだけか、最初に声を出したのは天馬だった。

 

天馬「それって…… どういうこと? 久坂がなんで……」

 

真名部「どうやら他校の生徒と喧嘩を起こしたみたいです。因縁をつけてきたのは相手側ですが、手を出したことには変わりありませんからね……」

 

剣城「しかし、信じられないな。普段はあんなに温厚そうなのに」

 

 剣城は今まで見てきた久坂の様子を思い起こす。少なくともチームの中で暴れたりした様子はない。

 

真名部「彼は元々、五つの学校を統べる番長でしたからね。ここでの生活もうまくやっているようで色々と溜まっていたんでしょう。色々と……」

 

皆帆「それに彼は仏の顔と鬼の顔、二つの顔を持つといわれてるんだ」

 

天馬「仏と鬼……。じゃあ、俺たちが見ていたのは仏のほうだけだったわけか」

 

皆帆「彼が鬼の顔を見せるのは相手が勝負をしかけてきたときだけだからね。久坂君の鬼の顔を見たものは皆、一様にトイレに連れ込まれ、二度と逆らう気が起きなくなるような傷を負わされる……。そんな噂がたつほどに恐ろしいらしいよ」

 

 仲間の知らない一面。それは築かれつつあった絆にヒビを入れるには十分なものだった。二つの試合を乗り越えることで表面上は仲よくなったようだが、所詮はその場だけの集まり。腹の底を吐き出してぶつかり合ったわけではない。天馬は皆と向き合っているようでまるで向き合えていなかったことに悔しさを滲ませる。

 

天馬「久坂……。そんなに溜まっていたなら、なんでもっと俺たちに相談してくれなかったんだよ。言ってくれれば、いくらでもグラビア貸したのに……!」

 

瞬木「下着なら男子、女子揃ってたのに……!」

 

ドナルド「ドナルドは男子に夢中だったのに……!」

 

剣城「お前らの基準がそんなだから相談できなかっただけだろうが!」

 

 悔やんでも仕方ないながらも、天馬達は後悔の念に足をとられてしまう。その雰囲気をなんとかしようとしたのは鉄角だ。話題を変えることで無理にでも前へと進めようとする。

 

鉄角「でもよ、それじゃあ次の試合はどうするんだよ? まさか久坂抜きの十人で試合しろっていうのかよ?!」

 

伊吹「え? 十人? 今まで十二人でやってたから十一人じゃ……?」

 

天馬「何言ってるのさ、伊吹。サッカーは十一人でやるものだよ。それで一人減ったんだから十人だよ」

 

伊吹「え? そうだったか? 何故だか、今まで十二人でやってたような……」

 

剣城「こんなときに冗談はやめてくれ、伊吹」

 

伊吹「くっ……。そんなつもりはなかったんだが……」

 

天馬「でも、本当にこれからどうすれば……」

 

 後悔や不安などの入り混じった暗い雰囲気に落ちる一同。そこへ見慣れた二つの姿を現す。監督の黒岩と、その傍らには久坂の姿があった。

 

天馬「久坂! 警察に捕まったんじゃ……」

 

黒岩「警察など、更に上の権力を使えばすぐに大人しくできる」

 

剣城「なにか恐ろしいことを聞いた気がするが、ツッコミはやめておくか……」

 

黒岩「賢明な判断だ」

 

 そう言って不敵な笑みを浮かべる黒岩であった。

 

皆帆「しかし、久坂君ともあろうものが警察に捕まるなんてどうしたんだい?」

 

真名部「そうですね。僕の計算によれば、君なら98%の確率で逃げ切れたはずなのに」

 

久坂「いやあ、面目ないっス。相手校の奴らを掘って…… じゃなくて、シメてるのに夢中でちょっと出遅れてしまって」

 

ドナルド「あー…… あるある!」

 

剣城「おい! シメてっていう前になんか不穏なこと言ってなかったか?! つーか、ドナルド! お前が同意すると余計に恐ろしい意味に聞こえてくるんだが!」

 

天馬「やめろ、剣城! それ以上、詮索したらお前までシメ…… いや掘られるぞ!」

 

剣城「言い直すの逆だろ! シメるでよかったのを言い直すな! つーか、もうわざとだろ! わざと本質ついただろ!」

 

黒岩「なに、抵抗があるのは最初のうちだけだ。すぐに病み付きになる。この私のようにな」

 

ドナルド「もちろんさー!」

 

剣城「おい! 監督からしておかしいだろ! なんでそういうの前提で話してるんだよ! つーか、久坂! お前もなんか否定したらどうなんだ!」

 

久坂「いやあ、俺は男子も女子もどっちもいけるんで」

 

剣城「おい! こいつの二つの顔って仏の鬼じゃねぇよ! 男子と女子の両方OKって顔だぞ! 男子に夢中なのはドナルドだけで良かっただろうが!」

 

天馬「剣城だってブラコンだから男子もいけるからいいだろ! 俺は女子以外、嫌だよ! いくら男子しかいないからってそういう展開は嫌だよ!」

 

ドナルド「あはっはっはっはっはー!」

 

 一部を除く男子たちが身の危険を感じて場が混沌と化した頃に、天馬の傍に久坂はそっと立ち、耳元で囁いた。

 

天馬「ひっ! く、くさか?!」

 

久坂「……キャプテン、気を付けてくださいっス。俺が捕まったときの警察の動き、あれはまるで最初からそうなることを予想していたみたいだったっス」

 

天馬「え? それって……」

 

久坂「考えたくはないっスが、次の試合…… 荒れるかもしれないっス」

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『VSシャムシール 〜守るべき現在〜』

 

久坂「な、なんで…… ここに……!」

 

天馬「こ、ここにいるのさ……。君は、もう……」

 

剣城「そうだ……。貴様はもう……戻ってこれないはずなのに……!」

 

 世界大会という大舞台で予想外の快進撃にその心持は嫌でも高くなるイナズマジャパンの面々。皆、表面上は無関心さを見せているが心のうちでは意気揚々とシャムシールとの試合会場へと入っていった。

 

 だが、そこで待ち受けていたのは天馬達のよく知る、いや因縁浅からぬ男であった。

 

スネ夫「よう、久しぶりだな。雷門の奴らと…… 最古ののび太!」

 

 のび太としてスネ夫が指さしたのは久坂であった。

 

天馬「久坂もあいつを知ってるのか?!」

 

久坂「……くっ。あ、あいつは…… あいつは…… ああぁぁぁ!」

 

 スネ夫を前にして久坂はだんだんと取り乱し始め、最後には声を詰まらせ叫びを漏らす。鬼と呼ばれるほどの男をここまで取り乱させるのはとても尋常じゃない関係であることは間違いないようだ。

 

剣城「もういい、久坂。誰だって言いたくないことだってあるはずだ……」

 

久坂「す、すまないっス……」

 

天馬「それよりスネ夫……。お前は天城先輩たちによってMUGEN牢獄へと送られたはずじゃ……」

 

 骨川スネ夫……。そう、彼は天城、真帆路、怒羅えもんとの戦いに敗れ、網走プリズンへと送り戻された。しかし、そのい執拗な復讐心によって再度の脱獄に成功する。逃亡生活の果てについには怒羅えもんのタイムマシンを強奪の末、未来世界へやってきて雷門へ最後の戦いを挑んできたのだ。反則ばかりの戦いで雷門を追い詰めるも最後にはまた天城と怒羅えもんに敗れ去り、MUGEN牢獄へと送られた。こうしてもう二度と戻ることなどないはずだったのに……。

 

スネ夫「君たちにとって残念だったのは僕のパパの子孫が未来世界にいてね、金で解決させてもらってもらったのさ。まあ、この時代に戻ってすぐにまた新大久保プリズンってところに捕まったけど、他の囚人が暴動をおこしているどさくさに紛れて脱獄させてもらったのさ」

 

天馬「またこいつを外にだす原因を作るなんて、なんて迷惑な囚人なんだ……!」

 

剣城「まったく迷惑極まりない奴らめ……!」

 

久坂「でも、なんでお前が…… シャムシールにいるんだ?」

 

スネ夫「僕のパパの友達がシャムシールの監督でね。お前ら…… 特に久坂に復讐するために入れてもらったのさ!」

 

 スネ夫はそう吐き捨て薄汚い笑みを浮かべると、懐からだした火炎瓶をグラウンドの外へと投げ捨てる。それにあわせてシャムシールのメンバーの一人が必殺技「オイルラッシュ」でグラウンドの周りを石油で満たせば、火炎瓶の炎が引火して猛火に包まれる。

 

天馬「熱っ!」

 

真名部「僕の計算によるとこの熱さではおよそ42分36秒で命に危険がある極度の脱水症状に陥ってしまいます」

 

皆帆「残念だけどそれは僕たちだけみたいだよ。シャムシールのメンバーはこの熱さでも平気な顔をしている。暑い国出身の彼らにとってはこの程度は大したことないみたいだね」

 

剣城「くそっ、あの野郎。また卑怯な手を使いやがって……」

 

 卑怯と罵られてもスネ夫はまるで気にした様子もみせなかった。それどころか、さらに醜い笑みを浮かべながら久坂へと近寄る。

 

スネ夫「言い忘れてたけどな、のび太……」

 

久坂「……」

 

スネ夫「さとちゃんをこの会場に呼んでおいたぜ」

 

久坂「な、なんだと?!」

 

天馬「さと…… ちゃん? 久坂の知り合いか?」

 

久坂「……む、昔の知り合いっス」

 

スネ夫「かわいい子だったよなぁ? 今はどんなふうに成長してるのかなぁ?」

 

天馬「かわいい……? 久坂、今度紹介してよ」

 

剣城「いや、今、そういうこと言ってる場合じゃないだろ! お前はそういうところは全くぶれないな!」

 

スネ夫「そうそう、みっちゃんとかよちゃんも呼んでおいたっけな」

 

久坂「き、貴様! まさか、ゆーちゃんとあーちゃんとしーちゃん、あとせーちゃんとかーちゃんも呼んでるのか?!」

 

スネ夫「そんなの当然だろ?」

 

天馬「久坂、全員、紹介してよ!」

 

久坂「え? じゃ、じゃあ、かーちゃんでいいっスか? 今年で40になるっスけど」

 

剣城「だからそういうこと言ってる場合じゃねぇだろ! あと久坂、かーちゃんってそれお前の母親のことだよな?! さりげなくとんでもないもん混ぜてるんじゃねぇ!」

 

スネ夫「この試合でお前がズタボロにされるところを見て、お前が弱いってことをみんなに知らせないとなぁ? そう、お前はジャイアンなんかじゃない、のび太なんだよ!」

 

久坂「弱い……だと?! 貴様はー!」

 

 弱いと言われ、怒りを抑えられなかった久坂はそのままスネ夫に襲い掛かる。だが、その手がスネ夫に触れるよりも早くホイッスルが鳴り響く。

 

審判「イエローカード!」

 

久坂「なっ?!」

 

 試合開始を前にして早くも久坂はイエローカードを取られてしまうのだった。

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『VSシャムシール 〜守り抜く未来〜〜』

 

シャムシール選手「おらおらおらー!」

 

 シャムシールの選手は隠すこともなく久坂へと飛び膝蹴りを決めると、巨体を大きく後ろへと弾き飛ばしてしまう。試合中の事故なんてものじゃない常軌を逸したラフプレーに会場からはブーイングが大きく上がる。しかし、審判はまったく動こうとはしない。

 

久坂「ぐ…… くそが……!」

 

解説『シャムシール選手のラフプレーにまたしても審判は動かずー!』

 

 ボロボロになった久坂達の前にスネ夫は嫌味な笑いを浮かべながら悠々と近寄り倒れる者たちを上から見下す。

 

スネ夫「あれー、お前らってこんなに弱かったっけ? パパのコネを使って審判の家族を人質にとる必要もなかったかな? もうちょっと歯ごたえがないとつまらないんだけどなぁ。まあ弱い奴はなにやっても弱いってことか?」

 

久坂「このクソ野郎が!」

 

天馬「やめろ、くさぶばぁっ!」

 

 憤る久坂の拳が止めにはいる天馬の顔面を打ちひしぐ。その拳の痛みを前にして、気付けば怒りは行き所を失っていた。

 

久坂「キャ、キャプテン……! す、すんませんっス!」

 

スネ夫「よかったなぁ、のび太! こいつのおかげでまだまだ退場しないですんで」

 

久坂「く…… ぐぅ……!」

 

 久坂の怒りと迷いがぐるぐるとまわり、沸点を超えるかどうかの瀬戸際でホイッスルが鳴り響く。前半終了だ。

 

解説『ここで前半終了! 試合は両チーム無得点ながらもイナズマジャパンはドナルドがレッドカードで退場、松風、剣城、久坂、真名部、野咲がイエローカード、更に森村と伊吹が炎にのまれると散々たる状況! 審判のジャッジが不公平な極まりないこの状況を覆すことができるのか?!』

 

スネ夫「ちっ、あとちょっとだったのに。まあ、お前を潰すのは後半のお楽しみにしといてやるよ!」

 

 つけるだけの悪態をついてスネ夫は高笑いをあげて去ってゆく。もっともグラウンドの周囲は炎に囲まれているのでベンチに戻ることもできなかったが。

 

 残されたイナズマジャパンのメンバーはそのほとんどが熱とダメージで身動きすらとれずにいた。このまま続けてもただ苦しい時間が続くだけ……。天馬と剣城を除く誰もがその思いに呑み込まれてしまうのだった。

 

久坂「くっ…… 俺の…… 俺のせいで、すんません!」

 

天馬「がはぁっ…… く、久坂? なんで久坂が謝るんだよ!」

 

久坂「でも、スネ夫がここまでのことをしたのは俺への復讐なんです! だから、せめて俺があいつを道連れにすれば!」

 

剣城「馬鹿なことをいうな! スネ夫がどんなに卑劣な手にでたとしても、俺たちは全員で堂々と戦うんだ! そして勝つんだ!」

 

久坂「でも、既にドナルドは退場、森村と伊吹は丸焦げになってるっス! 全員とかそういう問題じゃ……」

 

???「おいおい、誰が丸焦げだって?」

 

 そのとき炎の中から聞き覚えのない声と共に一発のシュートが放たれる。

 

???「ホワイトハリケーン!」

 

 暴風吹き荒れるそのシュートは周囲の炎を根こそぎ飲み込み、そのままシャムシール選手たちがくつろいでいたゴールへと突き刺さる。このとき見える者は見えたであろう。スネ夫を除くシャムシール選手が巻き込まれて残らず散っていったことを……。

 

天馬「ぐふっ…… こ、この技は!」

 

剣城「まさか!」

 

???「またせたな!」

 

 そう言って姿を現したのは全身を包帯で包んだ三人組。

 

伊吹?「イナズマジャパン、究極のゴールキーパー! 伊吹! ……下の名前は忘れた!」

 

森村?「同じくイナズマジャパン、どこかのポジション! 森村 怒羅葉!」

 

森山?「契約、しようよ! イナズマジャパン、森山 Q葉!」

 

 全身を包帯に包み、その隙間から白髪をのぞかせる少年は伊吹を名乗る。同じく全身を包帯で包んだ人間離れした二頭身のそれは森村を名乗る。最後にこれまた全身を包帯で包んだ既に人間の姿すらしていない猫のような生き物は森山を名乗った。

 

剣城「ちょっと待て! お前ら包帯で隠してるけど明らかに伊吹と森村じゃないだろ! なんとなく似せてるようでまるで別人じゃねぇか! つーか、伊吹と森村がいなくなったのになんで三人になるんだよ! つーか最後の森山って誰だよ!」

 

伊吹?「ふっ…… さすがのツッコミだな、剣城。だが、その程度のツッコミでうろたえる俺たちと思ったか?!」

 

剣城「狼狽えなくていいから答えろよ!」

 

森村?「別に二人が三人になったって別にいいじゃないか。どうせまともな試合なんてしてないんだし」

 

森山?「今まで十二人で試合してたのに今さら森川好葉が森山怒羅葉と森森Q葉に分裂したってツッコミいれるほどのことはないのにね。まったくわけがわからないよ」

 

剣城「確かにまともな試合はしてないが……。いやそれ以前に一人が二人に分裂とかいう時点でおかしいだろう! ついでに名前も間違えてるし!」

 

伊吹?「ぐだぐだ言うのは後にしな、もう後半戦が始まる。さあて、ゴールは任せてもらおうか」

 

森村?「じゃあ、僕はスネ夫のマークにつこうかな。瞬木君、審判に気付かれないように手伝ってよ」

 

瞬木「わかった、うまく動いて審判にみられないようにすればいいんだね」

 

森山?「なら僕は丸焦げになっている好葉に契約を迫るよ。虫の息の今なら簡単に契約できそうだよ」

 

剣城「ちょっと待て! ザルにすらなれない奴がゴールキーパーするんじゃねぇ! 森村と瞬木、お前ら二人で何するつもりだ! ついでに森山、お前はさっさと帰れ!」

 

 伊吹と森村と森山の加入によりイナズマジャパンは息を吹き返す。強敵を前にしても怯むことなく堂々と向かってゆく。その姿に久坂は胸の内から湧いてくる何かに体を突き動かされる。

 

久坂「……みんな、強いっスね」

 

天馬「ごふっ……! く、久坂も十分強いよ……。未だに殴られたダメージがはぁっ! ぬ、抜けないからね……」

 

久坂「俺、このチームにいられたら強さを…… 本当の強さを見つけられる気がするっス!」

 

天馬「そ、そうだね……。それにはまず……」

 

久坂「ウスッ! 過去を…… 守れなかった過去を打ち破って、未来を守り抜くっス! 見ていてくれ、サトちゃん!」

 

 痛みを希望に変えて、怒りを強さに変えて、久坂は立ち上がる。

 

 絶望の後半戦などいまだ知る由もなく……

説明
イナズマイレブンGO ギャラクシー 二次創作。作者HPより転載
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