英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 684
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〜クロスベル大聖堂〜

 

「あれっ?」

「どうしたの?」

日曜学校の教室に入ろうとし、不思議そうな表情をしたロイドを見たエリィは尋ね

「いや、まだ授業をやってるみたいだけど―――」

尋ねられたロイドは教室の中を見つめながら答えた。

「えっと、ここの式がこうなって、こうなるから……………………」

ロイドが教室の中を見つめていたその頃、キーアは年長の生徒と教師役のシスターが見守る中、黒板に何かの数式を書き

「はいっ、答えは512平方セルジュでーす!」

嬉しそう表情で答えた。

「おお〜っ!」

キーアの答えを聞いた年長の生徒たちは驚き

「はい、正解です。式の展開がユニークでしたけど今、自分で考えたのですか?」

シスターは頷いた後キーアに尋ねた。

「えへへ、こっちのやり方のほうが何となく気持ちよかったからー。キーア、まちがってた?」

「いえいえ。とても素晴らしい解法でした。―――皆さん、公式というのはあくまで正解を導き出すための指針の一つでしかありません。時には工夫して、楽しみながら問題に挑戦してみてください。」

「はいっ!」

キーアに尋ねられ、答えた後自分達に言ったシスターの言葉に生徒たちは元気よく返事した。

「あ、あれって……」

「日曜学校の年長クラスの授業よね……」

「キーアちゃん、凄い……あの問題、あたしだったら結構手こずりそうですけど……」

その様子を教室の出入口で見ていたロイド、エリィ、ノエルは驚き

「いわゆる中等数学だね。ふーん、なかなか見事な解法じゃないか。」

「ああ、さすがはうちのキーアだよな……」

「そうね、キーアちゃんならあのくらいできても……」

(…………………………)

感心した様子で呟いたワジの言葉にロイドとエリィは嬉しそう表情をして呟き、ルファディエルは目を細めて考え込んでいた。するとその時

「「―――じゃなくて!」」

ロイドとエリィは我に返ったて声を上げた。

「やれやれ。少しは落ち着きなよ。」

「と、とりあえず授業が終わるのを待ちましょう。」

2人の様子を見たワジは溜息を吐き、ノエルは苦笑しながら言った。そして10分ほどすると授業は終わり、生徒達が帰りだしている中、キーアはシスターと会話をしていた。

 

「えっと、キーア?」

2人が会話をしているとロイドが声をかけ

「あら、あなたたち………」

「あれれ……みんなどーしたの?」

声に気付き、ロイド達が出入口付近にいる事を見たシスターは驚き、キーアは不思議そうな表情をした。そしてロイド達は2人に近づいた。

「いや、キーアが遅いから迎えに来たんだけど……」

「そ、それよりキーアちゃん。どうして年長クラスの授業を?」

「あ……えっと、そのぅ。」

エリィに尋ねられたキーアは驚いた後言い辛そうな表情になった。

「ひょっとしてロイド達に事情を話していないのですか?」

キーアの様子を見たシスターは尋ね

「…………………………」

尋ねられたキーアは頷いた。

「察するに、彼女の学力はかなり高いみたいだね?年長クラスの授業についていけるくらいに。」

「ええ、本人の希望もあって少し前から年長クラスにも参加してもらっているんです。と言っても、数学などの自然科学に限ってですけど。」

ワジの質問にシスターは答えた。

「そうだったんですか…………」

「まさかキーアちゃんがここまで頭がよかったなんて……」

「えっと……だまっててゴメンね……?キーア、まだコドモなのに数学なんか勉強しちゃって……」

驚いているロイドとエリィにキーアは申し訳なさそうな表情で言ったが

「はは、謝ることないだろ?キーアが興味あるんだったら俺は反対しないよ。」

「そうね………知的好奇心はそのまま延ばしてあげたいし。うん、私も賛成かな。」

「ホントー!?」

2人の反応を見て嬉しそう表情をした。

「ただし、リュウたちと一緒の授業もちゃんと受けるんだぞ?日曜学校で得られるのは何も勉強だけじゃないんだし。」

「うんっ、わかってる!リュウとモモに、わからない所を教えてあげるのもたのしーし!」

「そ、そっか。」

「キーアちゃん……本当に頭がいいんですね。」

「ふふ、おかげで私も助けられているくらいです。年長クラスへの参加は週に一度くらいですし……私も見ていますからどうか安心してください。」

感心しているノエルの言葉にシスターは微笑みながら頷いた後説明した。

「ええ、もちろん。」

「よろしくお願いします。」

「フフ……話がまとまったようで何より。それじゃ、日が暮れる前にとっとと支援課に戻ろうか?」

「ああ、そうしよう。マーブル先生。それでは失礼します。」

「どうもお疲れ様でした。」

「センセー、さよーなら!」

「ふふっ、さようなら。気をつけて帰るのですよ。」

その後キーアを連れたロイド達は車が止めてある所まで戻った。

 

〜マインツ山道〜

 

「わあ、クルマだぁ!すごくキレイだねー!誰が乗って来たんだろ〜?」

山道に戻り、車を見つけたキーアは表情を輝かしながら車に走って近づき、車の周囲を移動しながら興味深そうな表情で見つめていた。

「あはは……」

「フフ、これは確かに喜んでもらえそうだね。」

キーアの反応を見守りながら近付いたノエルは苦笑し、ワジは静かな笑みを浮かべていた。

「んー、どうしたのー?」

2人の反応を見たキーアは可愛らしく首を傾げ

「キーア、聞いて驚け。何を隠そう、この車は俺達が乗って来たんだよ。」

「ホ、ホントー!?宝クジが当たったのー!?それともカブでもうけたとか!?もしくはキョクチョーがお金モチの女の人と仲良くなったとか!?」

ロイドの話を聞いて驚いて尋ねた。

「キーア……いつの間にそんな知識を。」

「まあ、クロスベルにいれば聞くことも多いでしょうし……ただ、局長の場合、冗談にならないかもしれないから怖いわね……」

キーアに尋ねられたロイドは冷や汗をかき、エリィは苦笑した後溜息を吐き

「ううっ……何でフランがあんなだらしない男性と……」

エリィの言葉を聞いたノエルは疲れた表情で溜息を吐いた。

「あ、あはは………………キーアちゃん、この車はお仕事用に支給されたものなの。だから正確には私達のものじゃないわ。」

ノエルの様子を苦笑しながら見つめていたエリィは気を取り直して説明した。

「へー、そうなんだー。でもいいカオしてる!すごくカッコイイね!」

「そ、そうか?」

「ふふ、キーアちゃん、わかってるみたいだね〜。さっそく乗ってみる?」

「うんっ、乗りたい―!」

ノエルに尋ねられたキーアは嬉しそう表情で頷いた。

「はは、大喜びだな。」

「ああ、せっかくだから別のルートで帰らないか?僕としては港湾区を通って東通りに抜けてみたいかな。」

「あら、いいかもしれないわね。」

「よし、そのコースで支援課に帰ろうか。ノエル、お願いできるか?」

「ええ、お安い御用です。」

「それじゃあ、レッツ・ゴー!」

その後車に乗り込んだロイド達は遠回りをして支援課に戻り、車を車庫に止めて車から降りた。

 

〜夜・西通り〜

 

「ふう……広い市内も車を使えばあっという間か。」

「フフ、なかなか悪くないね。」

「えへへー、楽しかったー!おんなじ街なのに違った感じにみえたー!」

「ふふっ、確かにそうね。まるで街明かりの中を泳いでいるみたいな気分だったわ。」

キーアの感想にエリィは頷いた。

「わあー、クルマがもう一台あるー!これも支援課のクルマなの?」

一方もう一台の車を見たキーアははしゃぎ

「ええ。局長のおかげで2台手に入れられたのよ。」

「わあー、キョクチョー、すごーい!やっぱりお金モチの女の人と仲良くなったのかなー?」

「え、えっと…………」

「あの人の場合だとそんな風に見られて当然なところが冗談になっていませんね……」

キーアがはしゃぎながら言った言葉を聞いたエリィは冷や汗をかき、ノエルは疲れた表情で溜息を吐いた。

「これからは、遠出する時はこれらに頼る事になりそうだな。」

「ええ、耐久性も高そうですし、色々な場所に行けそうですね。」

「ふふ……おじさまと局長に感謝しないと。」

その後ロイド達が支援課のビルに戻ると既に戻っていたヴァイスやリィン達が見守っている中セルゲイが通信器で誰かと通信をしていた………………

 

 

 

説明
第684話
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 まあ、ヴァイスなのでww Kyogo2012様 リセルを出したところで無駄なのでは?リセルは容認していましたし(遠い目) THIS様 キーアから見たヴァイスはまあ、そうなりますよねww(sorano)
キーアの認識。うん・・・素直すぎてWWノエルのため息が印象的です。(THIS)
キーアちゃん、それをいうと、リセルがため息つきそうだな・・・・。リセルを早く出さないとクロスベル中の女性が落ちちゃうよ?(Kyogo2012)
私生活におけるヴァイスへの周囲の見方はこんなものww(本郷 刃)
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