IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode203 目覚める刃
「・・・・」
海へと墜落し、どんどん意識が薄れ、視界が暗くなるが、一夏は何とか気を失っていなかった。
(・・・今度こそ・・・俺は・・・死んでしまうのか・・・?)
以前にも福音との戦いで昏睡状態になるまでの瀕死の重傷を負ったが、今回は右腕を切り落とされ、身体を切り裂かれている。
それに大量出血をして白銀の輝きを持つ白式の装甲が赤く染まり出している。
(本当に・・・情けなぇな・・・。せっかく白式が戻ってきて守るを得たって言うのに・・・あいつが・・・俺の為に作り直してくれたって言うのに、な・・・)
ユニコーンとバンシィによって白式は再建されたと聞いているが、密かに隼人も関わっているんだと心のどこかで思っていた。
理由は分からない。何となく勘でそう思っただけ・・・
(・・・・)
一瞬の間に、一夏は今までの事、そして過去の事がフラッシュバックの様に脳裏に映り込む。
隼人とや箒との出会い。そして別れ・・・
第二回モンド・グロッゾで亡国機業に誘拐された時・・・
初めてISに触れて起動させた時・・・
隼人と箒と再会し、初めてISを纏っての隼人との戦い・・・
バインドとの初の接触と戦闘・・・
福音と戦い、第二形態移行して激戦を勝った時・・・
初めて知った兄の存在・・・
学園祭で亡国機業と接触した時・・・
自身の闇との出会い・・・
全学年トーナメント決勝で隼人と激戦を交え、初めて勝利を収めた時・・・
隼人がナンバーズの連れ去られた時・・・
自身がバインドに連れ去られた時・・・
白式が第三形態移行した時・・・
ドイツ本国奪還戦の時・・・
鈴が死に、隼人が暴走してナハトヴァールを覚醒させた時・・・
インフィニティーガンダムが覚醒した時・・・
変わり果てた父親との再会と戦い、そして別れ・・・
白式を失った時・・・
隼人の豹変と失踪・・・
再び白式を得た時・・・
そして、気付かなかった箒の想い・・・
『一夏!!』
その瞬間箒の声が脳裏に響く。
(箒・・・)
そして色んな場面での箒の顔が思い浮かぶ。
冷たい時があれば、暴力を振るわれる時もあった。だが、時より嬉しそうにする時もあり、根は優しい・・・いつも傍に居た幼馴染。
『一夏』
そして優しく声を掛け、笑みを浮かべる幼馴染の姿が映る。
(こんな所で・・・・・・こんな所で・・・俺は!!)
その瞬間一夏の中で何かが弾ける。
――――――――――――――――――――
「こいつで終わりだぁ!!」
闇一夏は対艦刀を振り被り、光の翼を羽ばたかせて勢いよく墜落する一夏へと飛び出し、勢いよく対艦刀を振り下ろす。
『一夏(君)!!』
助けようにも誰も距離がありすぎて間に合わない。
誰もが諦めかけた・・・
しかし、一夏は突然動き出して斬撃をかわす。
「なに!?」
闇一夏が気づいた時には一夏は背後に回り込み、左手を背中の左側の長距離ビーム砲を掴んで掌のビーム砲を零距離で放って破壊する。
「くっ!」
とっさに後ろに振り返り際に対艦刀を横に振るうが、一夏は宙返りするようにかわし、その間に背中のバインダーよりソードビットを射出して全てを闇一夏へとぶつけて爆発させる。
「この死に損ないが!!」
爆風に吹き飛ばされるもとっさに左手にリアアーマーにマウントしているビームライフルを手にしてビームを連続で放つも、一夏は片方のウイングスラスターを失ってコントロールがしにくい状態でありながらも全てを回避する。
「馬鹿な!?お前のどこにそんな力が残っていやがるんだ!?」
闇一夏が戸惑う中、一夏は左手にどこかへと飛ばされたはずの雪片零式を呼び寄せて展開し、柄を持つと刀身を展開してエネルギー刃を形成する。
「・・・・」
それからして、一夏はハイライトが消えた瞳で闇一夏を見下す。
「あれは・・・」
マスターフェニックスの攻撃をかわしながら、バンシィは突然復活した一夏を見る。
(あんな状態であの動き。普通じゃありえない。
それにさっきと動きがまるで違う。一体一夏の身に何が起きているの・・・?)
「くそがっ!!」
闇一夏は勢いよく飛び出すと対艦刀を振り下ろすも、一夏は身体をずらして斬撃をかわす。
そのまま連続で対艦刀を振るうが、一夏は全ての斬撃をかすりもさせずにかわす。
直後に左脚を勢いよく振るって闇一夏の横腹にぶつけて吹き飛ばすと、雪片零式を振るって闇一夏の左腕を切り付けるも、表面に切り傷が入るぐらいだった。
闇一夏は煩わしいように左腕を突き出して掌のビーム砲を向けるが、一夏はウイングスラスターを前方に向けて全開で噴射して下がるとその推進力で闇一夏の体勢を崩し、同時に背中のバインダーを展開してソードビットを射出して闇一夏にぶつけて爆発させる。
「なんだよ!何がてめぇに起きたんだよ!!」
「もう二度と――――」
「あぁ?」
「二度と・・・失ってたまるか」
すると白式が輝き出す。
「俺の仲間を・・・家族を・・・そして!」
白式の輝きが増すと、背中のバインダーがブロックを組み替えるかのように変形していってバックパックに二つのユニットをマウントした形状に変形し、片方のウイングスラスターがそのバックパックに接続されてブロックを組み替えるかのように変形して赤い翼に変化すると、失ったはずのもう片方のウイングスラスターが突然再生して現れるとバックパックに接続して同じように赤い翼に変化する。
次に白式の装甲もブロックを組み替えるかのように形が変化していき、一夏の全身を装甲で覆っていくと、切り落とされた右腕にも装甲が形成されていく。
「あれは・・・!」
ユニコーンは変化していく白式の姿を見て驚く。
(自らGの力を形成している!?これも特異点の力なの!?)
そしてもう一つ驚くべく点にも気付く。
(それに、切り落とされた右腕が再生している?まさか白騎士の生体再生能力が働いている?・・・でも、なんなの、この再生能力の高さは!?)
この事にはユニコーンも驚きを隠せない。
「いち、か?」
突然の出来事に箒は唖然としていた。
(何が起きて・・・)
心配そうに箒は一夏を見る。
「大切な人を・・・失ってたまるかぁぁぁぁぁ!!」
そして光が弾かれて、黄緑のツインアイが発光する。
「・・・馬鹿な!?こんな事があってたまるかよ!?」
闇一夏は驚きを隠せなかった。
なぜなら、その姿が自らの姿と瓜二つなのだ。
「『インフィニティーガンダム』の力を宿した・・・運命を断ち切る光の翼―――――
―――――『デスティニー』」
ユニコーンはボソッとその名を口にする。
一夏は雪片零式が変化した『アロンダイト』を左手から右手に持ち替え、刀身を展開して両手に持って構えるとビーム刃を出す。
そして背中の翼を展開して輝く赤い翼を出して闇一夏へと向かって飛び出す。
「こいつは驚いたな」
さっきと別の場所でファントムはその光景を見て驚く。
「『向こう側』とは違って、『こちら側』の一夏は俺と同じ『特異点』とは・・・」
頭を下げて一夏のデスティニーを見る。
(限りなく近く、限りなく遠く、同じ世界であって異なる世界。・・・別世界だけでこれほど異なるものなのか・・・)
ファントムは戦域を見渡す。
(面白くなってきそうだな)
――――――――――――――――――――
その頃隼人は―――――
「ここか!」
隼人は最後の一発のビームマグナムを放って目の前の隔壁を撃ち抜いて破壊すると、中へと入る。
「・・・・」
ビームマグナムを収納すると、周囲を見渡す。
そこは薄暗く、結構広い場所であった。
「っ!」
少しして広い部屋の奥にあるイスに両腕を固定されているヴィヴィオの姿があった。
「ヴィヴィオ!」
「お、お父・・・さん?」
隼人の声に気付き、ヴィヴィオは少し苦しそうに顔を上げてバンシィ・ノルンを見る。
「待っていろ!すぐに助ける!」
隼人はすぐにヴィヴィオの元に向かおうとした―――――
「っ!?」
しかし突然エネルギーチェーンが壁より出てきて隼人の両腕と両脚、身体を縛り付ける。
「こ、これは・・・!?」
「おっと。まだですよ、黒獅子」
「っ!」
隼人はとっさに顔を上げて前を見ると、ヴィヴィオの隣にフェニックスゼロが立っていた。
「よくここまで来れましたね。そこは評価に値します」
「御託はいい!ヴィヴィオを返してもらうぞ!!」
隼人は力任せに強引にエネルギーチェーンを引き千切る。
「さすがにその程度ではあなたを押さえ込むのは無理でしたか。まぁ、僅かに時間を稼げただけでも良いとしましょう」
「なに?」
すると、フェニックスゼロは右手を広げて掌を表に向けると、エネルギー状のデータが出現する。
「マテリアルに隠された鍵が手に入った以上、その器には用はありません。マテリアルはあなたにお返ししましょう」
「・・・・」
「ですが、器には少し働いてもらいますがね」
「なに?」
脳裏に一瞬嫌な予感が過ぎる。
するとフェニックスゼロは左手の指をパチンと鳴らすと、電流に似たエネルギーがヴィヴィオを襲う。
「う、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
部屋にヴィヴィオの悲痛な叫びが響く。
「っ!!貴様ぁぁぁぁぁ!!」
隼人はとっさに右腕のアームドアーマーBSを展開してビームをフェニックスゼロに向けて照射するも、目の前でフィールドに阻まれて弾かれる。
「無駄な事ですよ」
「くっ!ヴィヴィオに何をしている!!」
「簡単なことです。彼女には本来あるべき姿に戻っていただくだけですから」
「何・・・?」
(まさか!?)
「精々助ける事が出来れば良いですね。但し、聖なる王を倒せれたらならの話ですがね」
フェニックスゼロはそのまま宙に出来た割れ目の中に入って姿を消す。
「っ!」
するとヴィヴィオよりエネルギー波が放たれて隼人は吹き飛ばされそうになる。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!うぅ・・・!!」
「くっ・・・!ヴィヴィオ!!」
「お、お父さん!!」
そしてヴィヴィオより眩い光が放たれて、隼人は腕で目を覆う。
「・・・・」
光が収まって隼人は腕を退けると―――――
「っ!?」
視界に入った物を見て、隼人は目を見開く。
そこには、変わり果てたヴィヴィオが立っていた。
子供の姿だったヴィヴィオは大人の女性へと変貌しており、髪型もサイドポニーになっていた。身体のスタイルが見て分かるような黒い全身スーツを着て、その上に黒っぽい灰色に紺のラインが入ったジャケットを羽織り、腰にはアーマーを後ろ側に着用している。
最も目立つのは身に纏う鎧で、両肩に両腕、両脚、腰、背中に装着されており、額には四本の黄色い角型のアンテナの様な物が付けられ、両腕に黄色い二本の爪を持つ青い篭手を持つ腕部装甲に、両手の甲に紫に輝くパーツが埋め込まれている。腰にもフロントアーマーにリアアーマー、サイドアーマーを装備し、サイドには二本の棒がマウントされている。背中にはブースターを基部に白、赤、白の順で並べられている六枚のウイングが搭載されている。
「『ゴッドガンダム』・・・」
その鎧の形状に見覚えがあり、その持ち主の機体の名を口にする。
(恐れていた事が現実になるとは・・・これはまずいぞ・・・)
ノルンの声にはかなり緊張の色があった。
「・・・・」
ヴィヴィオは顔を上げてハイライトを失った目でバンシィ・ノルンを見る。
「ヴィヴィオ・・・」
「気安くその名で呼ぶな」
「っ!」
ドスの入った声でヴィヴィオは喋り、隼人は驚愕する。
「我が名は『ゴッド』。破壊の王の力を受け継ぎし者」
ヴィヴィオは背中のウイングを展開し、両脚の脹脛のアーマーを展開する。
「眼前の敵は、全て破壊する・・・」
(・・・・)
(隼人。ヴィヴィオはもうお前の知っているヴィヴィオではない。連中に操られた、聖なる王ゴッドだ)
(・・・・)
(戦うしかないのだ。それしか彼女を救う方法は無い)
(・・・やるしか・・・無いのか・・・!)
隼人は苦悩するも、身構える。
「立ちはだかる者は、何であろうと全て叩き潰す!」
その場の床を蹴って勢いよく跳び出す。
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! | ||
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