空の育成日記 その2 |
●●月▲▲日 天気:血の雨
ポチと協力して、家を再び建てた。
前は洋風のお城みたいな外形だったけど、今回はのどかな雰囲気をする古風の屋敷にしてみた。
縁側でお疲れにとお酒をポチと一緒に?んだ。
鯉が泳ぐ小さい湖、適度の大きさをした砂と地面から生える花や木を見ながらまだまだだと思った。
やはり、良い庭を造るには時間が必要だ。この庭に足りないのは、自然の味だ。
暫く、ポチとぼーっとしているとミイラの様な顔をした紅夜が水を求めて部屋から這い出てきた。とりあえず襟首を掴み湖に放り投げた。
ポチが気を利かして、体から傘を造って散った水から僕を守ってくれた。流石僕の可愛い従者。
ごぽごぽと泡が立ちながら助けてと言わんばかりに伸びた手を掴んで引き上げる。
口からぴゅーと水を吐く紅夜、まだ顔が赤い僕以上に二日酔いらしく目を回していたのでベットに横にした。
酔い覚めの薬を持ってきたが、唸るだけでうんともすんとも言わないで口移しで無理やり飲ました。……うん、柔らかった。
●●月▲▲日 天気:晴れ
ポチと一緒に洗濯物を干していると紅夜が復活した。
まだ頭が痛そうだった。僕を見るといきなり顔真っ赤にして色々言ってきた。
心配しなくても、口移しするときは女体化したから問題ないよねと言い返すと更に憤慨された。
逆(ピーー)で童貞を散らした癖に、全く進歩ないね。僕は善意でやったのになんで怒られなきゃいけないの?心はまだ童貞なの?純粋だね〜(爆笑)
ティシフォネが紅夜の背中に突撃して、プリンを子供のように強請っている。
重度の二日酔いの紅夜にとってそれは音響兵器だったらしく眉を細めて頭を痛そうに抱えた。……こっち睨むなティシフォネ、君が殺気だすから庭の木が一瞬で枯れて、湖の中に居る鯉が死んだ。
こっちも二日酔いで頭が痛い故に気分が悪い時に、せっかく作った庭を嘲笑うかのように滅茶苦茶にしてくれてカチンっときた。
よろしい、ならば戦争だ。
●●月▲▲日 天気:雲と言う名の包帯状態
……畜生。勝てん。
因果律操作されて、僕の攻撃無駄に終わるし、その因果律を破壊しようとした隙に重い一撃をくらう。
更にどこの帝王のように過程をぶっ飛ばす様な技を平気でやってくるから、ほとんど一方的にフルボッコ状態だ。
物理的な破壊ならば、特に苦労しないが概念的な破壊になるとどうしても隙が出てしまう。
理解するより早い、見るより早く、刹那より早い煌めき、ティシフォネの野郎は未来を読んでその一瞬に重い一撃を決めてやがる。
やっぱり、僕自身の力を完全に制御できないのが問題だよね。
明日から修行頑張るぞ……と言いたいところだけど、まずは半壊した家を直そう……。
●●月▲▲日 天気:曇り時々雨
今日もいつものようにポチと一緒に朝食を作って、眠っている紅夜を叩き起こす。
周囲には人間なら見ただけで発狂するレベルの魔導書が机に散らばっており、とりあえずその魔導書を本棚に戻して、眠たそうな紅夜を引っ張りながら朝食を食べさせる。
僕は既に食べた後なので、半壊した家をポチと直す為に活動を開始した。
他の世界から、問題にならないほどに良質な木材を厳選して、魔術的措置をして耐久力と永続力を強化してポチに加工をお願いしているので、凄まじい速度で貸したバルザイの偃月刀(レプリカ)で木々を切り刻み、触手で半壊した家を物凄い速さで修復していく。
僕は、鯉の生息している世界に行って綺麗な鯉と木々を購入して、家に戻り指定の場所に揃えていく。
額に流れた汗をタオルで拭いていると、紅夜はティシフォネと一緒にかき氷を食べていた。思わず空間からアハト・アハトを取り出してぶっ放したのは悪くない。
そのあと、キレたティシフォネが襲ってきたが、紅夜が介入して引き分けになった。
あの凶悪な猫の様な性格をしたティシフォネがだが、紅夜のいうことには絶対だ。
勝てなかった思いを抱きつつ、ポチがいつの間にか作ってくれたかき氷を食べた。……本当にいい従者を得れたよね。
●●月▲▲日 天気:曇り
その日、旧神から緊急の連絡がきた。
『((神殺しの頂点|パンテオン・エヘクトル))』ーーー全ての神々を殺すことが出来る最恐で最悪の概念生物の居場所は曖昧ながら特定できたとのことだ。
直ぐに旧神たちは動いた。いままで、捜索に出発した全ての神々は尽く消滅している。
そろそろ僕に順番が来るかなと思っていたが、今がその時だ。
ポチにこのことを伝えると触手で拘束された。『テケリ・リ!』とそれしか発音出来なかったのに、僕にはっきりと『行かないで』と言っている様に聞こえた。
複雑な気分のまま、無理やりポチを離した。少し力を入れ過ぎたのか、紅夜がやってきた。
遺書でも書いてここから静かに立ち去ろうと思っていたが、尋常じゃない木に気づいてしまった。
ポチの様子に、紅夜が問い詰めてきた。頭を掻きながら事情を伝えると一発殴られた。そのあと、一緒に行くと言ってきた。
神々の全てを否定して、拒絶して、破壊するこの世界を一から作り変えることが出来るある意味で究極のアンチチートと言ってもいい存在。
『円環外れ』とは言っても紅夜の身には神性がある。危険だと言ったのが、ニッコリ笑ってなにが合っても付いてくる気だった。
更に紅夜は、まだ生まれてもないあの娘をどうする気だと問い詰めてきた。
僕が死んだら、紅夜の遺書を読ませて後は任せるつもりだっと伝えると、どこから出したハリセンで頭を叩かれた。痛いです。
そのあと、ちょっと正座されて色々説教された。
『お前の手で託されたのだからお前が責任を取れ!』と滅茶苦茶怒られた。
その夜、僕は地下室で徐々に人の形になっているピーシェを見つめて、冷たい鉄の子宮に触った。
……確かに、この子が生まれて、いつか好きな人が出来て、結婚して、子供を産んで、幸せな家庭を作って、いつか自分の息子娘や孫に囲まれて息を引き取るぐらいの時間は造ってやりたいな。
その為にまずは、明日を生きないとね。
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