真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第121話「愛紗」
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真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第121話「愛紗」

 

 

赤斗「まさか、あんなものがあるとは……」

 

政務室から逃げ出すように退室した赤斗が廊下を進んでいた

 

暫くすると、前方に愛紗の姿が見えた。

 

だが愛紗の顔色が悪く、そのまま赤斗には気がつかずに、部屋の中に入ってしまった。

 

赤斗「……関羽さん」

 

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愛紗「ふぅーー」

 

部屋に入った愛紗は一息ついた。

 

赤斗「痩せ我慢ですか?」

 

愛紗「っ!!」

 

誰もいないと思っていたはずの部屋に、いきなり赤斗が現れたので、愛紗は身体を飛び起こす。

 

愛紗「赤斗殿っ!! いつの間に!?――痛っ!」

 

赤斗「すいません。驚かすつもりじゃなかったんですが……」

 

愛紗「黙って人の部屋に入ってきた者のセリフじゃないぞ」

 

赤斗「本当にすいません。こうでもしないと入れて貰えないと思ったので」

 

愛紗「あたり前だ。いったい何用なのだ?」

 

赤斗「気になる事があったので、ちょっと辻斬りにやられた傷を見せて貰えますか?」

 

愛紗「……何?」

 

赤斗「だから、傷を見せて下さい」

 

愛紗「何故、赤斗殿に見せなければならないのだ?」

 

赤斗「これでもちょっと医学をかじっているんですよ。肩の傷……開いてますよね?」

 

愛紗「…………」

 

赤斗「関羽さんを診た医者から聴きましたよ。絶対安静だって。それなのに模擬戦の場に現れたから、変だなぁとは思っていたんですよ」

 

愛紗「むぅぅ……」

 

赤斗「とりあえず傷を見せて下さいよ」

 

愛紗「…………わかった。良いだろう」

 

観念した愛紗は渋々だったが了承した。

 

赤斗「ありがとうございます。ちょっと待っていて下さいね。すぐ戻りますから」

 

そう言うと赤斗は部屋を出て行った。

 

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赤斗「お待たせしました」

 

五分もしないうちに赤斗は部屋に戻ってきた。

 

愛紗「どこに行っていたのだ?」

 

赤斗「部屋からMy救急箱を持って来たんですよ」

 

愛紗「まい? ……あぁ、天界語で自分のという意味だったな」

 

赤斗「ええ、そうですよ。とにかく、まずは服を脱いで下さいね」

 

愛紗「ああ、わかった」

 

愛紗は上着を脱ぐ。

 

愛紗の上半身には包帯を巻かれていたが、包帯からは血が滲み出ていた。

 

赤斗「包帯を取りますよ。……やっぱり」

 

包帯を取った赤斗が見たのは、すっかりと開いてしまった傷だった。

 

赤斗「絶対安静なのに動いたから、傷が開いたんですね」

 

愛紗「それで、これからどうするつもりなのだ?」

 

赤斗「もちろん、傷の縫合をしますよ」

 

愛紗「…疑う訳ではないが……できるのか?」

 

赤斗「うわ〜。そのセリフは〜、全然信用してませんね〜」

 

愛紗「い、いや、すまない。そういう意味ではなくてだな」

 

赤斗「じゃあ〜どういう意味ですか〜?」

 

愛紗「…えっと、つまりだな……その、赤斗殿は多才だな。と思ってしまってだな」

 

赤斗「多才? 僕がですか?」

 

愛紗「実際にそうではないか。剣だけでなく医術も使い、外交役も任されているではないか。これを多才と言わずして何と言おう」

 

赤斗「うーーん。剣や医学は自分でも結構がんばっているとは思うけど、外交について違いますよ。だって、ほとんどの事を藍里や亞莎がやってくれていますからね。だから、僕ができる事なんて限られてますよ」

 

愛紗「……」

 

赤斗「そんな納得いかないって顔されても困りますよ。本当の事を言っただけですから。それよりも治療を始めますよ」

 

そう言うと赤斗は持参してきた薬箱から、薬草を取り出して愛紗の傷口に当てる。

 

赤斗「麻酔です。暫くすると傷の痛みがなくなってきますからね」

 

愛紗「………」

 

赤斗「不安ですか?」

 

愛紗「いや、大丈夫だ。早く始めてくれ」

 

赤斗「はいはい。それじゃあ始めますよ。縫合中は動かないで下さいね。まあ痺れて動けないでしょうけどね」

 

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赤斗「はい。終わりましたよ♪」

 

処置は10分もしないうちに無事終了した。

 

愛紗「左腕がまだ痺れてて動けないのだが、どれくらいで動かせるようになるのだ?」

 

赤斗「そうですね。……あと20分もすれば、痺れは取れると思いますよ」

 

愛紗「そうか……」

 

赤斗「それじゃあ、関羽さんお大事に。傷が塞がるまでは安静にしていて下さいね」

 

愛紗「ま、待ってくれ!」

 

部屋を出て行こうとする赤斗を、愛紗は慌てて引き止めた。

 

赤斗「どうしました?」

 

愛紗「なあ、あなたはいつまで、私のことを関羽と呼ぶのだ?」

 

赤斗「はい?」

 

愛紗「そ、その、な……赤斗殿になら我が真名を預けても良いと、そう思うのだが…」

 

赤斗はいきなりの事で驚く。

 

愛紗「今思えば、未だに真名を預けていないのが不思議なくらいだ」

 

赤斗「いきなりですね。どうしたんですか?」

 

愛紗「反董卓連合や徐州を脱出する時には、真名を預けようなんて夢にも思わなかったのだがな」

 

赤斗「それがどうして今になって真名を預けてくれる気になったんですか?」

 

愛紗「……南蛮での事を憶えているか?」

 

赤斗「…………」

 

愛紗「あの虎は赤斗殿なのであろう?」

 

赤斗「……気がついていたんですね」

 

愛紗「随分前だが、司馬懿が言っていただろう。他の生き物に意思を移したのどうのと」

 

赤斗「南蛮での出来事は、僕にとっては夢でしたけどね」

 

愛紗「だが、赤斗殿にとっては夢でも、私にとってはあの時の事は、まぎれもなく現での出来事だった。今更とは思うのだが、出来れば、いや、是非そう呼んで欲しい……呼んでくれないか。私の事を愛紗…と。もし嫌でなければだが…」

 

赤斗「…………」

 

愛紗「ダメ…だろうか?」

 

赤斗「いいえ、嬉しいです。これからも、よろしくお願いしますね。愛紗さん♪」

 

愛紗「ああ♪ こちらこそ、よろしく頼む♪」

 

 

つづく

説明
久々の投稿です。
主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきますので、ご注意ください。
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