地球防衛軍3/4 その他兵器
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・EJ24

 EJ24はロッキード・マーティン社とボーイング社が共同開発した双発単座でマルチロールのステルス戦闘機である。

 アメリカ空軍のF-22はその高いコストと冷戦の終結による軍縮傾向により、生産が終了することが決定した。また空軍、海軍、海兵隊や諸外国の戦闘機や攻撃機などをF-35という一機種に統一することを目的としたJSF計画(統合打撃戦闘機計画)は、先行きが不透明なことからイギリスやイタリアなどの出資国が離脱し計画そのものが消滅してしまった。

 アメリカはJSF計画の反省から各軍の新型機を統一することを諦め、任務に合わせた機体を開発することを決定した。国防総省には空軍機と海軍機を統合しようとする動きも見られたが、JSF計画の失敗を理由に空軍が反発したことで、空軍と海軍で別の戦闘機が必要となった。

 F-22の生産停止が決定したことで継続して生産される次世代の戦闘機を欠いており、JSF計画のF-35も開発中止の憂き目にあっていたことから、空軍省はロッキード・マーティン社とボーイング社に速やかな開発を要求した。

 ロッキード・マーティン社とボーイング社は、F-22の機体設計を元にJSF計画から得られた技術を使ったマルチロール機の開発を開始した。この計画はMF計画(汎用戦闘機計画)とよばれ、JSF計画で得られた技術が多分に用いられている。

 企画段階では名称はF系列になる予定だったが、2015年のEDF発足によりこちらにも配備されることとなり、EDF仕様のEJという新しい型式が与えられた。24という数字は一見中途半端に見えるが、1から23にはF-15やF-22などの既存の戦闘機が充てがわれている。ハイフンがない理由は不明である。

 EJ24はF-16の代替を目的としており、F-22をハイ、EJ24をローという二機種によるハイローミックスの体制が考案された。だがF-22の生産が終了することからEJ24には将来的な発展性も要求されており機体とエンジンは大きく設計された。

 MF計画ではJSF計画で得られた技術がふんだんに使われ、エンジンこそ双発であるがそれ以外の部分はF-35との共通点が非常に多い。機体設計は手堅く空軍のみの運用を前提とした仕様となっており、海軍と海兵隊での運用は考慮されていない。

 エンジンはプラット・アンド・ホイットニー社製のターボファンエンジンが2つ搭載される。F-35に搭載される予定だったF135の派生作であり、推力が下がっているが騒音が小さく整備性も良好である。ミリタリー推力でのスーパークルーズ能力を実現している。

 コクピット内の情報表示は従来のHUD(ヘッドアップディスプレイ)からHMD(ヘッドマウントディスプレイ)に変更された。本来これはF-35に搭載されるものであったが、EJ24に転用された。従来HUDに映されていた戦術データもHMDに投影することが可能になっている。

 機首部に火器管制用のフェーズドアレイレーダーを搭載している。また機首下面には対地攻撃用のセンサーを搭載しており、レーザー誘導兵器やGPS誘導兵器の運用が可能である。

 データリンクにはリンク16に加えてMADL(発展型多機能データリンク)を運用できる。MADLはF-22用のIFDL(編隊内データリンク)の発展型である。リンク16によるデータ転送速度は決して速いものとは言えなかった上に、IFDLもステルス性を維持するためにデータの受信しかできず送信ができなかったが、MADLは送受信の両方が可能になりブロードバンド化で映像データのライブ中継も可能となった。またF-16やA-10と同様にSADL(状況認識データリンク)にも対応しており地上のJTAC(統合末端攻撃統制官)とのデータリンクが可能である。SADLはEPLRS(強化型位置評定報告システム)のネットワーク上に配信されている味方地上部隊の位置を受信できるため、味方への誤射の危険性を低減している。

 固定装備として25ミリ機関砲を搭載している。ステルス性を確保するため普段は閉鎖しており、発砲時に開口する仕組みとなっている。またステルス性のためにミサイルは機外に露出させず、胴体内兵器倉に搭載される。ステルス性を考慮する必要のない場合は、機外のハードポイントにパイロンを装着させ、武装や増槽を装備可能にすることができる。

 EJ24はアメリカ空軍とEDF北米方面軍に納入され、その後両軍の共同保有として統合された。そのほかにも日本やイギリス、イスラエルなどに販売された。販売価格についてはJSF計画での諸費の回収も兼ねていたことからかなりの高額となった。

 EJ24の実戦参加は2017年の戦いが初である。日本が保有していたものと、日本に暫定的に配備されたEDF北米方面軍機が連合空軍に参加し、マザーシップ攻撃戦に投入された。

 マザーシップ攻撃戦の際、EJ24の主な任務は対艦ミサイルを装備した航空機の護衛であり、大半の機体は空対空ミサイルを装備していた。しかしマザーシップへの攻撃が失敗し、逆に飛行ドローンの攻撃を受けてEJ24は大損害を被った。飛行ドローンの圧倒的な機数を前に、EJ24は惨敗を喫してしまった。

 飛行ドローンとの戦闘における敗因はEJ24それ自体の問題というより、フォーリナーの数的優勢と、少数の戦闘機をミサイルで圧倒するという人間同士の戦争を主眼においていた軍事ドクトリンとの齟齬である。

 数機の飛行ドローンが相手であれば、ミサイルによって敵の探知範囲外から確実に撃破可能である。しかしEJ24に積載できる空対空ミサイルは機外に装着されるものを含めて最大で10発。撃墜できる飛行ドローンの数は1機のEJ24で10機、4機編隊でも40機しか撃墜できない。もちろんこれはミサイルを最大まで搭載した場合であり、増槽などを取り付けた場合はさらに撃墜できる数が減ることになる。

 これでは数百機以上の数で侵攻する飛行ドローンを阻止しきれず、また1発の値段が非常に高価なミサイルを1機の飛行ドローンに使うには、費用対効果の面であまりに効率が悪かった。戦争中期からは胴体内兵器倉の扉などにステーションが増やされた仕様が登場するが、すでに空軍は壊滅状態でこの仕様に改良された機体は少ない。

 街や基地への直接攻撃を遅延するために、ミサイルをすべて撃ち切った後に強引に接近戦を挑む必要もあった。飛行ドローンは一定高度以上の低速域での運動性に優れており、イクシオンビーム砲の弾幕、あるいは飛行ドローンとの追突によって戦闘機は確実な勝利を得られなかった。

 またフォーリナーは戦術規模の索敵に電波を用いておらず、何らかの方法で位置を特定するためEJ24のステルス性はまったく機能しなかった。早期に制空権を完全に奪われ、各地の航空基地が次々壊滅したため、空軍の再建は為されることなく2017年の戦いは終わりを迎えた。

 戦後に従来の戦術ではフォーリナーに対抗できないと考えたEDFは、対フォーリナー戦に特化した戦闘機ファイターを開発している。

 しかしEJ24は2017年の戦いを経た後であっても、対人間戦争でのミサイルによる長距離攻撃は依然として有効であるため、改良型が生産され配備されている。レーザー兵器による中近距離戦が主体のファイターとの模擬戦においても、持ち前のステルス性を活かして探知させず、長距離からのミサイル攻撃で一方的に撃墜判定を出している。

 2018年の巨大生物掃討戦では空爆任務に従事。その後改良によってAR(エアレイダー/空爆誘導兵)との連携を主眼に置いたデータリンクシステムのアップデートなどが施された。2025年の戦いにも参加しており、フォーリナーの航空戦力に対し直接対峙はせず、空中炸裂榴弾やプラズマ空中炸裂弾などを使った空間制圧によって戦果をあげた。

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・ファイター

 2017年の戦いにおいて世界各地が壊滅的な打撃を受けた大きな理由に、制空権の喪失が挙げられる。戦闘機は飛行ドローンの飽和攻撃に対抗できず、爆撃機や砲兵も飛行ドローンの攻撃によって満足に機能しなくなってしまった。

 飛行ドローンは百機を越える数で行動することは珍しくなく、戦闘機の持つミサイルでは一回の交戦ですべてを撃破することはできない。飛行ドローンの推力や揚力を無視した機動性が相手では格闘戦でも有利とは言えず、そもそも数が多すぎるため機関砲の弾も足りなくなってしまった。

 むやみにミサイルの搭載量を増やせば機体が大型化するし、大きな推力が必要になる。それにミサイルの搭載量を数発増やした程度では、飛行ドローンの飽和攻撃を防ぐことはできない。そこでEDFは中距離でも有効で、かつ弾数にゆとりのある装備を求めた。

 この装備として挙がったのがレーザーである。アメリカでは戦前からレーザー兵器を研究しており、他国に先駆けて艦載用のレーザー兵器を実用化していたほか、戦闘機用のレーザー兵器も開発していた。

 戦後には研究が再開し、フォーリナー技術の解明によって日進月歩のごとくレーザー兵器は強力なものになっていた。特に射程の長大化は顕著で、攻撃衛星に搭載されたレーザー兵器の射程は実に400キロメートル以上にも上っていた。

 EDFは戦闘機用レーザー砲の開発と平行して、レーザー砲の搭載を前提とした戦闘機の開発計画をアメリカとロシアを中核に進めることを決定した。このAFF計画(対フォーリナー戦闘機計画)は当初、戦前のJSF計画の失敗を理由にアメリカのみで行う予定であったが、戦略兵器の拡充に重点を置く戦略防衛大綱の決定により、戦略兵器に予算を大きく奪われたため諸国から出資を募ることとなった。

 AFF計画ではひとつの機体フレームからCTOL型(通常離着陸型)、STOVL型(短距離離陸垂直着陸型)、CV型(艦載型)の3種類が開発された。CTOL型は空軍向け、STOVL型とCV型は空・海軍向けである。これらにそれぞれコクピットを廃した無人戦闘機型が存在する。人間が搭乗するものには単座型と複座型とがあり、前者は通常任務用で、後者は無人戦闘機型の管制を担う。

 翼は前進翼とカナード翼を採用している。前進翼とカナード翼は電波に対するステルス性を損なうが、本機ではステルス性を考慮していないため問題とはされなかった。フォーリナーは主に電波以外の何らかの手段で目標を捜索するため、電波に対するステルスは無意味であるとされたからである。一応、電波吸収材を塗布する事で旧世代機とほぼ同等のステルス性を得ることができるため、対人戦においても十分に運用可能である。

 前進翼という運動性を重視したこの翼を採用した理由は、格闘戦に持ち込まれやすいことが想定されたためである。中距離レーザー砲によって敵を接近させる前に撃墜するのが主な戦術ではあるが、万が一接近を許した場合の保険である。

 コクピット内での情報表示はHMDに依存するが、攻撃と操縦にはサイオニックリンクを使用できる。サイオニックリンクで脳波と火器管制装置や飛行制御システムを接続させることで、手足で操作することなくパイロットがイメージすることで攻撃と操縦が可能になる。これはあくまで高G環境下や僚機への指示出し中など、操縦と攻撃に集中できないときのための補助的なものであって、常に使用するものではない。サイオニックリンクは脳への負担が大きいため、常時使用すると目眩などの副作用が生じるためである。

 ネットワークに接続されたほかの航空機と連携を取れるクラウドシューティングを実現し、他機がロックオンした敵に攻撃することができる。またフライバイライトを採用し電磁干渉にも高い防御力を発揮する。

 名称のファイター(Fighter)とは戦闘機を意味する単語である。従来の戦闘機を過去のものにし、当機こそが真の戦闘機であるという意味を込めて名付けられた。

 固定装備は胴体下部に中距離レーザー砲を1門、機首に25ミリ機関砲を1門。ハードポイントは10個で、ミサイルやポッド、増槽などを取り付けられる。センサーは対地攻撃に対応しているため誘導爆弾なども運用できる。

 レーザー砲は機体のプラズマジェネレーターと直結している。長時間の連続照射を続けると緊急チャージに移行するが、航行用の動力とは別なので墜落の危険性はない。

 射程は目視外射撃を実現しており、射程内であれば飛行ドローンを容易く撃墜できる。脅威度判定システムや味方機とのデータリンクによって攻撃目標を適切に判断し、味方機と攻撃対象が被らないように効率的に攻撃ができる。もちろん脅威度が高い目標に対しては味方機と連携した同時攻撃が可能である。攻撃力は機関砲に匹敵し、距離による減衰も射程内であれば誤差の範疇に留まる。弾数はプラズマジェネレーターのエネルギー供給によって半無限を実現している。

 円盤やマザーシップを攻撃するための対艦ミサイルも装備可能である。少なくとも円盤に対しては十分に効果を発揮すると見られていたが、2025年の戦いが始まってすぐにその予想は大きく外れることとなった。マザーシップの防御スクリーンはもちろん、円盤の装甲すら貫通できなかったのである。これは単純に2017年時に比べて円盤の外部装甲強度が増していたためである。これにより大戦初期は円盤の侵攻を阻止することができず、撃墜を陸軍に任せることになってしまった。

 戦中に新たな対艦ミサイルが開発されており、これはミサイルが円盤のハッチの開閉状況を認識し、閉まっている場合は円盤の真下で旋回しながら待機、開いたら突入するというものである。こちらは一定の戦果をあげており、ファイターでも円盤を撃墜することが可能となった。

 ファイターは2025年において大戦を通して活躍を続けた。特に大戦初期においてはフォーリナーの数的優勢に対抗できるレーザー砲は航空優勢の維持に絶大な役割を果たし、爆撃機や砲兵の活動を可能にした。

 だがフォーリナーがアースイーターを投入し始めるとファイターの活動に大きな制約がかけられてしまった。アースイーターは六角形状の板のようなもので、それぞれヘクス型に連結することで空に壁を形成する。アースイーターの高度は場所によって違いはあるが、概ね700メートル前後であり、滑走路上空に出現するとそれだけで離陸が不可能になってしまう。アースイーターの装甲は円盤の外郭並みに堅牢で、対艦ミサイルを用いても破壊は不可能である。

 アースイーターは強力なジャミングを放つため、接近するだけでレーダーに異常をきたす。衛星測位システムの信号も妨害されるため、ジャイロを搭載しているといえど、長時間アースイーター周辺を飛行すると自機の正確な位置さえも把握できなくなる。

 また上面に砲台がとりつけられているアースイーターは対空砲台として機能しているため、上空を飛行すると撃墜される恐れがある。日本で行われた最初のブレイン攻撃作戦に参加したファイターは、この対空砲台によって大きな損害を被り撤退する羽目になっている。

 このようにアースイーターは戦闘機の天敵であったが、大戦後半からはドラゴンが出現し、これもファイターにとって脅威となった。

 ドラゴンは巨大生物の一種であり、高い飛行能力を獲得している。飛行ドローンのような不規則な機動ではなく、まるで鳥のように羽ばたきや滑空で飛ぶが、それに加えて羽から放出する物質の反動によって推力を得ている。この物質はドラゴンが大気からエネルギーを得て生成しており、まるでロケットのように機能する。勢い余って墜落しないようにするためか、高度が低い場所では放出しないが、高度が高ければこれによって戦闘機に匹敵する速度で飛行する。また放出角度もある程度自由が効くため、推力偏向ノズルのような役割も果たすことができる。そのため鳥類とは比較にならない高い旋回能力も獲得している。

 中距離レーザー砲であればドラゴンの火炎放射範囲外から撃破できるが、ドラゴンは飛行ドローン以上の速度と数によって強引にレーザーの射程圏を突き進み、ファイターに格闘戦を強要した。

 ドラゴン出現直後はドッグファイトに突入しそのまま部隊が全滅するケースが多発したが、時期が経つとファイターの推力を活かし、距離をとってから反転して攻撃する一撃離脱戦法が周知されたためキルレシオは改善した。だがパイロットの損失が激しく、訓練不足の者を実戦投入するケースも増えており、アースイーターとドラゴンによる被害がなくなることはなかった。

 一方で飛行型巨大生物や飛行ビークルなど新たに投入された敵に対しても十分な戦果をあげており、弾数制限のない中距離レーザーを使う戦闘教義そのものは間違っていなかったことは明白である。

 戦後の現在では、ファイターに代わる新たな戦闘機の開発が始まっている。

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・要塞空母デスピナ

 2017年の戦いを最後まで戦い通した陸軍と比較して、海軍の活躍は惨憺たるものであった。大戦初期こそ艦砲射撃、あるいは巡航ミサイルによって地上部隊を積極的に支援したものの、飛行ドローンの攻撃が開始されると人類は瞬く間に航空優勢を喪失した。

 各国空軍は壊滅し、また海軍も空軍と同じ末路をたどっていった。たとえば強大な軍事力を誇るアメリカ軍を擁する北米方面軍では、空母から発艦した戦闘機がまず飛行ドローンに攻撃を加えるが、ミサイルですべてを撃破しきることはできず、そのまま空母へ帰還することになる。

 その次にイージス艦などが艦対空ミサイルによって飛行ドローンを攻撃するが、こちらもすべてを撃墜できない。最終的には飛行ドローンの接近を許し、イクシオンビーム砲の攻撃を受け海中に没していくことになった。

 また海軍基地の保持も難しく、フォーリナーの地上戦力による攻撃で基地を喪失するケースも多かった。帰港する場所を失った艦は補給を得ることができないまま飛行ドローンとの戦闘に突入することになり、満足な戦闘すらできなかったのである。

 これらの戦訓を得たEDFは、単艦で物資生産を可能とする海上移動都市の構想を打ち立てた。これは核融合炉を搭載し、食料生産用の農業プラントや魚類の養殖場、武器弾薬の生産工場を備え独立した補給能力を持つ艦を建造するものであった。たとえ海軍基地がフォーリナーの手に落ちたとしても、この海上移動都市さえあれば海軍の活動が可能となるのである。

 また地球の7割を占める海の防空が求められ、太平洋、大西洋、インド洋の3つの大海にそれぞれ1隻ずつの巨大空母を配備する海上制空計画が打ち立てられた。前述の海上移動都市計画はその特性から艦の大型化は確実であり、そのため海上制空計画の巨大空母と統合することとなった。

 食料生産施設と航空母艦を組み合わせた本艦はEDF海軍の威信をかけたものであり絶対に撃沈させられない艦であった。そのため戦闘機の離発着だけに留まらず、数々の武装が搭載される統合戦闘艦になることになった。ただし武器弾薬の生産工場を置くことは難しく、見送られることとなった。

 全長は約1400メートル。全幅はそれの5分の1程度であるが、既存の艦船と比較すると巨大であるため航海に際し制約が多い。寄港地はデスピナが収容できるよう巨大化した岸壁を必要とするため、真珠湾やサンディエゴ、横須賀など極一部の改造された基地にしか寄港できない。パナマ運河も通行できないほか、島と島の間を航行することさえも危険なケースが存在する。

 船体各所にVLSが装備され、対空多目標対処に艦対空ミサイル、対地精密集中攻撃用のN型巡航ミサイルやライオニック巡航ミサイル、及びテンペスト対艦ミサイルを収容する。長砲身レクイエム砲、レーザー艦対空迎撃システム、近接防空ミサイル、CIWS、四連装魚雷発射管を搭載し、さらに人工知能の搭載によって艦載型サイブレード中距離誘導砲、艦載型ミラージュ短距離誘導砲といった思念誘導兵器の運用も可能である。

 防空システムに実弾兵器よりもエネルギー兵器の搭載が重点に置かれている理由は、大戦末期のような補給が満足に行き届かない状況でも戦闘継続を可能とするためである。起工当初は実弾兵装の搭載が予定されていたが、核融合炉による安定した電力供給はエネルギー兵器と相性が良く、また故障率や整備性もフォーリナー技術の解明による急激な技術発達によって、実弾兵装と遜色ない程度に安定したためである。

 ディフレクター発生装置を船体四隅に設置し、センサーが敵の攻撃を検知すると自動でディフレクターを発生させ攻撃を反射させる。またディフレクターの下には電磁トーチカによって覆われている。これも核融合炉の莫大な電力供給によって成し得たものだが、過度な攻撃を受けると発生装置そのものが自壊し防御性を失ってしまう。

 多数目標を同時に捜索探知し発射されたミサイルの指令誘導のためにスーパーイージスシステムを搭載する。空中と宇宙を探知する広域索敵レーダーのSPY-5と、ミサイル誘導などに用いられる多機能レーダーのSPY-6を搭載している。同時に追尾できる目標数は2000以上とされ、艦隊に群がる飛行ドローンのすべてを探知できるとされる。

 艦載機はファイターの海軍仕様機、早期警戒機、対潜ヘリ等合計で300機以上を搭載可能。船体が大きいため、艦載を考慮していない航空機でも着艦が可能である。ただし滑走路が一番長い中央デッキのみに限られ、また付近の駐機機体を移動させる必要がある。

 このような万能艦とも言える仕様は、当然ながら建造費と維持費を過去に例を見ないほどに高めた。そのため太平洋沿岸国の共同保有が決定し、費用を各国が捻出することになった。通常、EDFの戦力は各国軍によって構成されるが、このデスピナに関しては所有国家が存在せず、EDFの確固たる戦力になる稀有な例であった。

 高すぎる費用は共同保有でありながら各国の国家予算を圧迫するほどであり、大西洋に展開するはずだった2番艦と、インド洋に展開するはずだった3番艦の建艦は各国の要望に従いキャンセルされることとなった。

 デスピナ級要塞航空母艦のネームシップは2019年に起工、2024年に就役した。就役後は太平洋艦隊に所属。当初の母港はハワイ基地である。

 2025年の戦いの初戦では戦闘に参加することは叶わなかった。これはデスピナが移動要塞X4に並ぶEDFの最大戦力であり、本艦の喪失を総司令部が恐れたためである。そのため大戦初期はハワイ基地に停留し続け、時折襲撃してくる飛行ドローンを迎撃するため艦載機を発艦させる程度に留まっていた。

 しかし逼迫する戦局はデスピナの停泊を許さなかった。太平洋沿岸国を支援するため艦載機による航空優勢の確保並びに、地上部隊のエアレイダーと連携して巡航ミサイルの精密投射により積極的に各地を支援した。

 大戦中期、東南アジアを支援していたデスピナは任務終了後、ハワイ基地に帰還しようとしたものの当該基地はアースイーターの出現により壊滅した。電子妨害により北米総司令部と連絡が取れなかったデスピナは司令官の判断で横須賀に転進した。横須賀に停泊した中、北米からの海底ケーブルのホットラインを介した指令によりハワイ奪還作戦に参加した。

 作戦が失敗に終わった後、横須賀に寄港しようとしていた折にドラゴンに遭遇。優秀なレーダーシステムにより電子妨害の中でもドラゴンのすべてを探知し、戦闘機と防空システムによってこれを撃破。攻撃されていた部隊を救助した。

 日本のEDFが決行したブレインに対する決戦の際にはデスピナは艦載機を発艦。少数残っていたファイターを護衛に、攻撃機や戦術爆撃機、輸送ヘリを発進させ地上部隊を支援した。デスピナ自身もまた隙を見て巡航ミサイルを発射し支援したとされる。

 地上部隊がブレインと戦闘を続けている最中、デスピナは単艦でアースイーターと交戦していた。アースイーターから発進した飛行ドローンや飛行ビークル、大型輸送船から投下された飛行型巨大生物やドラゴンを相手に奮戦し、甲板上に敵の残骸や死骸が山積みになるほどであった。ディフレクター発生装置と電磁トーチカは飽和攻撃に耐え切れず破損し機能を停止。船体は攻撃により穴だらけになり、防空システムも破壊されていった。

 徐々に艦が傾斜し各所で火の手があがったものの、ストームチームがブレインを撃破したことでアースイーターは爆散し、フォーリナーの残存戦力は撤退していった。これにより戦局は一気にデスピナに傾き、残存する巨大生物の撃破に成功した。

 戦後、損傷が激しいデスピナを廃艦にするか、修復し今後も太平洋に展開するかは議論が続いており、応急処置が施されたデスピナは今もなお横須賀に投錨している。

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・攻撃衛星ノートゥング

 2017年の戦いの後、EDFはフォーリナーの再襲来に備えて戦略防衛大綱を策定した。戦略防衛大綱の第1次防衛に定められたのが、地球に接近するフォーリナーを早期に発見する対宇宙レーダーの敷設であり、第2次防衛として赤道上のリニアキャノンや弾道ミサイル用サイロの建設が定められた。

 EDFは世界各国の軍隊に対し異星人の侵攻下において情報を共有し相互に高度な連携を促すための国際組織であったが、2017年の戦いが勃発したことでその権勢は大きく強化されていた。対フォーリナー戦のための軍備は、対人戦の軍備を優越すべきという認識の元で、各国の政治的対立を無視して対フォーリナー戦争を遂行するための軍備を強いていった。

 戦略防衛大綱の第2次防衛は対フォーリナー戦争という意味では合理的であったが、対人戦争をまるで想定していないものであった。第2次防衛に用いられる兵器はフォーリナーのマザーシップを撃墜するため、最大射程は大気圏外にまで届くものであった。

 リニアキャノンはその射程から、敷設地点によっては他国への砲撃が可能であった。命中率の問題も衛星や偵察機とのデータリンクで修正可能であり、国家間の紛争となれば強力な兵器になり得たのである。

 リニアキャノンを敷設する地点は赤道上を予定しており、アフリカ、東南アジア、中米などが予定地として挙げられていた。建設が予定されたアフリカのコンゴ一帯では紛争が多発し業者の安全が確保できないことから建設は後回しにされ、東南アジアでは中国が反対を示したことで遅々として建造は進まなかった。またコロンビアに置かれるはずだったものは、ベネズエラとエクアドル、コスタリカの反対により建設途中にパナマへの移設問題へと発展した。

 弾道ミサイルの脅威はリニアキャノン以上であり、射程にして数千キロに及ぶ弾道ミサイルを世界各地に配備することは、国防上の理由から多くの国家がEDFに反対を示した。戦略防衛大綱の策定を主導したのはEDF北米総司令部であったが、アメリカ政府すらも弾道ミサイルの配備は避けるべきとの通達を北米総司令部に送っていたのである。

 最終的にEDFは、EDF自らが世界規模の絶対的な弾道ミサイル防衛を提示した。それはかつてアメリカのロナルド・レーガン大統領が提示した戦略防衛構想を引き継いだような代物であった。

 戦略防衛構想とはスターウォーズ計画とも称される、大陸間弾道ミサイルの迎撃を目的とした80年代の軍事計画であり、EDFの提示した「地球規模の絶対迎撃体制の構築計画」は概ねそれと似通っていたのである。

 その計画の大意は、軌道上に配備された早期警戒衛星によって弾道ミサイルの発射を検知し、レーザー兵器を搭載した攻撃衛星によってミサイルを撃ち落とすものであった。レーザーのエネルギー源はプラズマジェネレーターが使われる。宇宙太陽光発電と無線送電の併用も計画されたが、こちらは技術やコストの問題からペーパープランに終わっている。

 レーザー兵器は地上建造物の破壊を可能とするほどの大出力が予定されており、リニアキャノンやミサイルサイロが不当に扱われた場合でも無力化ができる。レーザー兵器は旋回性を持ち、弾道ミサイルがブーストフェイズ、ミッドコースフェイズ、ターミナルフェイズのいかなる段階においても破壊を可能としている。

 また衛星が不当に掌握された場合のため、別の攻撃衛星によって衛星を相互に破壊可能な態勢を構築する。万一、逆に破壊された場合は、別の攻撃衛星が推進機構によって移動し破壊することもできる。

 衛星の管理は政治的に中立なEDFの衛星管理部門が統括し、己の軍区の防衛を国際法に則って行い、EDF各方面軍自体を他区の方面軍とが相互に監視し、万が一どこかの方面軍において暴走が起これば積極的に牽制するものと規定した。

 仮に衛星の管制局が暴徒によって制圧されたとしても、衛星の管制は複数の厳重な認証を超えなければならず、また暗号も頻繁に変更されるため突破は困難である。

 計画の発表当時、あまりに荒唐無稽であったことから各国から一笑に付されていたが、マザーシップや四足要塞に装備されていたレーザー兵器の解析が進むにつれ、レーザー兵器技術は飛躍的に向上した。歩兵用の短射程レーザー銃が量産化され、艦載用の迎撃兵器としても瞬く間に普及したレーザー兵器は、弾道ミサイル防衛においてさらに有効な手段となった。

 それでも衛星を中核としたミサイル防衛はコストの理由から反対する意見も多かったが、他のすべての人工衛星の防衛も兼ねることで決着がつき、「地球規模の絶対迎撃体制の構築計画」は実行されるに至った。

 日本の三咲重工によって実証型の攻撃衛星「天門」が開発され、その後量産1号として攻撃衛星「ノートゥング」が開発された。ノートゥングは2種類のレーザー兵器、サテライトブラスターとスプライトフォールが搭載されている。2025年の戦いの最中にラグナブラスターも運ばれ装着された。

 サテライトブラスターは弾道ミサイルの迎撃、及び地上の固定目標への攻撃を担う装備である。またミサイルなどの対衛星兵器が接近してきた場合も、早期警戒衛星とリンクして破壊することができる。

 2025年の戦いにおいては偵察機が地上部隊が照射したレーザーの反射光を捕捉し、座標データに変換した上で早期警戒衛星に送信、攻撃衛星に座標をリンクすることで精密な攻撃を行った。

 レーザー誘導なため主に巨大生物の巣穴やヘクトルのような固定目標を相手に使われ、後述するようにマザーシップへの攻撃にも用いられた。当初は通信速度の問題で指示座標の送信が遅延しがちで、レーザーの照射地点を変更しても砲塔の旋回に遅れが出たが、通信速度の改良が施されたことでレーザーで敵をなぎ払うようことができるようになった。

 スプライトフォールはレーザーを拡散発射するもので、地上の面制圧を担うものである。サテライトブラスターがリニアキャノン砲台や、弾道ミサイルそのものを狙うことを想定しているのに対して、こちらは発射施設全体を狙うことに特化している。施設内に暴徒が侵入し位置がわからなくなったとき、施設ごとまとめて破壊するためである。2025年の戦いでは、砲撃支援や空爆ができない場合に用いられた。

 移動や攻撃回避のために機動することから推進剤を多く消費するため、衛星としての寿命が短いことが開発時から懸念されていた。製造費は並みの衛星よりもはるかに高価で、燃料を消費し尽くしたら大気圏に突入させ破壊するという、従来の使い捨てとしての運用はできなかった。

 軌道上を巡航する補給用シャトルによって衛星に補給させたり、リニアキャノンをマスドライバー代わりにして衛星のバスと補給物資を連結させる手法など様々な方法で衛星に補給や改修が施された。サテライトブラスターやスプライトフォールの更新は非常にコストのかかるものであったが、攻撃衛星の存在が他の衛星の防衛に寄与していたことから、これらの更新は必要不可欠であった。

 もともと弾道ミサイル防衛用の兵器として開発された兵器であるため、対フォーリナー戦争において活躍の機会は限られるものとなった。前述のように戦術規模の対地攻撃で一定の戦果を収めたが、運用上のコストがあまりにも高すぎたためである。

 フォーリナーは無人機に興味を示さないため攻撃されることはなかったが、戦争中期からはアースイーターが投入されたことで状況が一変した。地球を覆うように移動するアースイーターが進路上の衛星を轢き潰してしまったからである。

 一方で華々しい戦果をあげている衛星も存在している。試作型のサテライトブラスターを搭載した攻撃衛星が、最終決戦時に防御スクリーンを破りマザーシップを破壊している。マザーシップはブレインと合流するコースをとっており、仮にブレインと合流されていればEDFの敗北は濃厚であったことから、この衛星を功労者として高い評価を下す戦史研究者は数多い。

 なお戦中に何度か攻撃衛星がクラッキングされており、司令部の承認なしでサテライトブラスターやスプライトフォールが起動し地上に照射された記録が残っている。悪用された形跡はないが、EDFの電子防御能力の欠如が指摘されている。

 

※天門

天門はEDFと同じサンドロット社製ゲーム「ギガンティックドライブ」が元ネタ。

ノートゥングと似た感じの衛星砲です。

説明
最終更新:15/12/13 航空機と支援兵器を結合。タイトル変更。
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地球防衛軍3 地球防衛軍4 EDF 

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