IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者?
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episode206 救出と再会と真意

 

 

「・・・・」

 

 煙が晴れると、隼人が居る場所を中心に壁にクレーターが出来ており、サイコフレームの輝きが消えると隼人はめり込まれた壁から出てくるとそのまま床に落ちてうつ伏せに倒れる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

 ヴィヴィオは息を切らしながらもうつ伏せに倒れているバンシィ・ノルンを見る。

 

 

「・・・その・・・程度か」

 

「っ!」

 

 すると隼人は両手を床に付けてバンシィ・ノルンのあちこちから悲鳴を上げながらも立ち上がる。

 

「あの程度じゃ、俺は倒せんぞ」

 

「何を・・・・・・っ!」

 

 するとヴィヴィオは再び両手で頭を抱えて苦しみ出す。

 

「ヴィヴィオ・・・」

 

「そ、その名で呼ぶなと・・・うっ!?」

 

 言葉を続けようにも頭痛がして続けられない。 

 

 

 

「・・・すまなかったな」

 

「な、なに?」

 

 隼人の言葉の意味が理解できず、ヴィヴィオは一瞬戸惑う。

 

「・・・あの時・・・約束したのにな・・・なのに、守ってやれなかった」

 

「何を言って・・・」

 

 

「・・・何を言っても、言い訳にしかならない。それに、俺はお前を守るって言ったのに、お前を守ってやれなかった」

 

「や、やめろ・・・」

 

「何かがあってから言うのも無責任だが、今度こそは・・・必ず守る」

 

「・・・やめろと・・・ぐぅ・・・」

 

「だから・・・ヴィヴィオ―――――」

 

 

 

「やめろと、言っている!!母上の偽者がぁぁ!!」

 

 ヴィヴィオは頭痛を受けながらもその場から跳び出し、右拳を突き出してバンシィ・ノルンに殴り掛かろうとする。

 

「・・・・」

 

 隼人は殴られる事覚悟でその場から動こうとはしなかった。

 

 

 

 

 しかしいつまで経っても隼人は殴られなかった。

 

「・・・・?」

 

 隼人は恐る恐る目を開けてみると―――――

 

 

 

「くぅ・・・!」

 

 ヴィヴィオの拳は顔面の数センチ前に止まっており、ヴィヴィオはその拳を左手で手首を掴んで止めていた。

 

「・・・ヴィヴィ、オ?」

 

 状況が理解できず、その間にもヴィヴィオは右手首を掴んだまま数歩後ろに下がる。

 

「お、お父・・・さん」

 

 と、ハイライトが戻った瞳でヴィヴィオは隼人を見る。

 

「ヴィヴィオ・・・お前なのか?」

 

「う、うん」

 

(馬鹿な!?自らの力で洗脳を解いてゴッドの意思を抑えているのか!?)

 

 ノルンは目を見開いて驚く。

 

(洗脳まだまだしも、ゴッドの意思を抑えるなど・・・)

 

「・・・・」

 

 

「くっ!私の邪魔をするな・・・!」

 

 ゴッドの意思が表に出て来ようとしたが、ヴィヴィオは何とかして意思を抑えこむ。

 

「は、早く。私が抑えている間に・・・!」

 

「・・・ヴィヴィオ」

 

 

 

(何をしている!今が絶好のチャンスだぞ!)

 

「っ!」

 

(これを逃せばもう助け出す事は出来ない!)

 

「・・・・!」

 

 隼人はすぐに飛び上がって壁に突き刺さっているグラディウスを引き抜くと着地してヴィヴィオを見る。

 

(洗脳装置を破壊しても、ゴッドの意思は消えない。ゴッドの意思ごと洗脳装置を破壊しろ)

 

(意思ごとって、どうやって!?)

 

(アブソリュート・ブレイク。その名の通りどんなものでも必ず破壊する。それが目に見えないものでもな)

 

(仮に破壊できても、そんな雲を掴むような事をどうやって・・・・・・)

 

 

 

(可能だ。このバンシィ・ノルンならな)

 

(なに?)

 

(サイコフレームを最大稼動にして、神経を集中させて、見てみろ)

 

(・・・・)

 

(後はお前次第だ。それが見えるかはな)

 

(・・・・)

 

 隼人は神経を集中させると、サイコフレームを最大稼動にして金色に輝かせ、更にエメラルドに輝かせる。

 

(神経を研ぎ澄ませて、やつの気を探るんだ)

 

(・・・・)

 

 いつも以上に神経を集中させて研ぎ澄ませ、ヴィヴィオを見ると、脳裏に何かが走る。

 

(っ!そうか!)

 

 それでゴッドの意思が居る場所を特定し、隼人はグラディウスのカートリッジを二回リロードし、空になったマガジンを排出して新しいマガジンを装填し、更に六発のカートリッジをリロードする。

 

 

 

「ぐぅ!離せ!離せ!」

 

「離さないよ!」

 

 ヴィヴィオはゴッドの意思を必死に押さえ込もうと左手で右手首を血が滲み出るぐらいに握り締める。

 

(集中しろ。やつの意思と洗脳装置だけを破壊するイメージを固めて・・・集中しろ!)

 

 念仏を唱えるように内心で呟き、頭の中でイメージを固める。

 

(落ち着け。チャンスは一回だけだが、落ち着けば・・・必ず成功する)

 

 自分に何度も言い聞かせてグラディウスの柄を両手に持って構える。

 

 

 

「は、早く!」

 

「・・・あぁ!」

 

 

 

《アブソリュート・ブレイク・・・発動!》

 

 サイコフレームが一層輝き出して、隼人は振り被ると勢いよく飛び出す。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 隼人はイメージで固めた太刀筋通りにグラディウスを振り下ろし、ヴィヴィオに外傷を負わせる事無く斜めに切り付ける。

 

「ぐあぁぁっ!?」

 

 何かが砕ける音がすると、ヴィヴィオの抵抗を突破したゴッドが悲痛な叫びを上げる。

 

「お、おのれぇ・・・貴様如きに・・・偽者の貴様如きにぃぃぃぃ!!」

 

 ゴッドの断末魔と共に、ヴィヴィオの身体に纏っている鎧が粒子が分解されるように消え、倒れそうになる。

 

 隼人はグラディウスを捨ててとっさにヴィヴィオを支える。

 

 

 

「ヴィヴィオ・・・」

 

 彼女を抱えたままその場に座り込み、容態を見る。

 

(心配ない。気を失っているだけだ)

 

「そうか・・・」

 

 隼人はヴィヴィオを見つめるも、いつまで待っても彼女は元に戻らない。

 

(・・・どうやら、まだ元の身体には戻れないようだな。最も、今の彼女が本来の姿なのだがな)

 

「・・・・」

 

(それで、どうするのだ?)

 

「・・・・」

 

 隼人は気を失っているヴィヴィオを所謂お姫様抱っこのようにして抱え上げ、その場から歩いて離れる。

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「・・・・」

 

 ハルファスベーゼはユニコーンを押し返すと周囲を見渡す。

 

(さすがに現状を維持するのは無理か。フェニックスゼロも鍵を手に入れたことだ。もうこの場に居続ける理由も無い)

 

 その場から離れるとマスターフェニックスに通信を入れる。

 

(もうこの場に居る必要は無い。撤退するぞ)

 

(・・・分かったよ)

 

 マスターフェニックスもバンシィに向けてバインダーソードより砲撃を放って牽制をし、一気に底から飛び去る。

 

「運が良かったな、人形」

 

「・・・・」

 

 ボロボロになり、装甲がない箇所の服が焦げて破けているユニコーンはハルファスベーゼを睨む。

 

「まぁ、その運もいつまで持つものかな」

 

「くっ・・・」

 

「せいぜい抗うがいい」

 

 ハルファスベーゼは中に出来た割れ目の中に入って姿を消す。

 

 

 

 

「・・・・」

 

 ユニコーンは右手で左二の腕を持って支え、周囲を見渡して状況確認をする。

 

(事実上前線基地の制圧は完了した・・・。でも、もし残りの専用機持ちが増援として来なかったら、たぶんやられていた)

 

「ふぅ」とため息をして島を見つめる。

 

「どう思うかな?」

 

 と、呟くように口を開くと、近くにリインフォースが近付いてくる。

 

『何をだ・・・?』

 

 

「やっぱり、隼人君は中に居るのかな」

 

『・・・・』

 

「・・・無事にヴィヴィオの所に着けたのかな」

 

『・・・・』

 

 

 

 ドガァァァァァァンッ!!!

 

 

 

 すると島の中腹辺りより爆発が起きる。

 

『っ!?』

 

 その爆発に全員驚き、とっさに臨戦態勢を取る。

 

 

 

 

 煙が晴れると、そこからヴィヴィオを抱え、隼人のバンシィ・ノルンが歩いて出てきた。

 

『隼人(君)(さん)!?』

 

 バンシィ・ノルンの姿を確認して、とっさにユニコーンとリインフォース、颯が隼人の元に向かう。

 

「・・・・」

 

 隼人は顔を上げ、ユニコーンとリインフォース、颯を見る。

 

「・・・隼人君」

 

「・・・久しぶりだな、ユニコーン」

 

『・・・隼人』

 

「・・・リインフォース」

 

「・・・兄さん」

 

「颯・・・」

 

 

 三人は変わり果てたヴィヴィオを見て驚く。

 

「これが・・・ヴィヴィオなの?」

 

「・・・あぁ」

 

『まるで・・・大人の女性ではないか・・・』

 

「一体・・・何が?」

 

 

「・・・後で・・・詳しく言う」

 

「・・・・」

 

『・・・・』

 

「・・・・」

 

 

 しばらく沈黙が続き、周囲のメンバーも気まずかった。

 

 

 

 

「・・・すまなかった。勝手に逃げ出したりして」

 

「・・・・」

 

「・・・リインフォース」

 

『は、はい』

 

「・・・後で、話せるか?」

 

『・・・分かりました』

 

「颯も、その後で・・・」

 

「う、うん」

 

 

 気まずい空気の中、隼人達は前線基地を離れてIS学園へと戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

「良かったな。無事に助け出せてな」

 

 隼人達が立ち去った後、ファントムは姿を現す。

 

「これであいつも気が晴れるだろう。来るべき戦いの時でも支障なく戦える」

 

 バイザーを隼人達が飛んでいった方に向ける。

 

「次に会える時を楽しみにしているぞ。まぁ、次に会った時は敵同士だがな」

 

 再び景色に溶け込むように姿を消す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!
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ガンダム ユニコーン バンシィ インフィニット・ストラトス IS 

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