バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第三十三話
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 翌日の朝。居心地のいいベッドから姫路、美波、優子は身体を起こす。

「ふぁ〜〜〜・・・・・おはよう。」

「おはようございます。」

「快適に眠れたわね。」

 冴島邸に置かれているソファーは身体にほとんど負荷を掛けないほど柔らかい物で結構金が掛かっている。

「こんなのってホテルとかじゃないと味わえないものかと思ってました。」

「確かにそうね。」

「てか鋼牙の家ってこういうのを普通に揃えれるのね。」

 三人がそう思っていると外かななにやら物音が聞こえてくる。三人は外を覗くと邪美と烈火が鋼牙に二人がかりで格闘戦を行っていた。

「はっ!」

烈火が鋼牙の頭に目掛けて右足を蹴る。鋼牙は左腕で受け止め弾き返す。そこを後ろから烈火が上から踵落としを喰らわそうとする。

「はっ!」

鋼牙はバク転して拳を突き出す。邪美は腕を交差させその攻撃を防ぐが後ろに弾き飛ばされる。

「腕を上げたな、鋼牙。」

「邪美も烈火もな。」

「まあお前には敵わないがな。」

「これくらいにして朝食にするか?」

「賛成だな。」

 三人は冴島邸に戻っていく。その光景を見ていた三人はその光景をただ見ているだけであった。

 

 昼時になるまでは皆で宿題をすることが決まり皆して宿題をしているのだが・・・・・

「なんでお前らは夏休みの宿題を終わらせていないんだ・・・・・」

 鋼牙、姫路、霧島以外の皆は夏休みの宿題が終わっていなかった。烈火と邪美は成人しているが大学のレポートをノートパソコンでレポートを作成していた。カタカタとキーボードを叩く音はちょっとした音楽のようなものになっていた。

「軽快にリズムを奏でるように打っていますね。」

「ただただ打っていたら耳障りだろうしな。」

「・・・・・慣れた手付きで打っているからあんなことを思いつくのかな?」

「まあ普通に資料を広げてテーブルを占領するのは普通だしな。」

「鋼牙君はそういうのを見たことがあるんですか?」

「ああ。特に週末はその光景があちらこちらで必死になって調べ上げていたからな。」

「そういえばそんな光景があったな。」

「ああ。向こうではいまさらになって課題をやる奴らが多かったな。」

「どうやって入ったのか逆に気になるな。」

 鋼牙のその言葉に邪美と烈火は頷いた。

「そういえば玲の奴が間違った知識を吹き込まれていたな。」

「・・・・・・・・・どんな知識だ?」

「日本ではメイド服でいることが普通だとか。」

「よし!それを教えた奴をここに連れてこさせるぞ!」

「まあ待て。俺が間違った知識を教えた奴をサンドバックにしてやったから安心しろ。」

「そうか。助かった。」

「だが・・・・・どうしてあいつは常識が欠けているんだ?」

「さあ・・・・・・何処であんな人になってしまったのか謎だな。」

「りん様が玲様を社会的に教育すると言っておりました。」

「そうしてもらうと助かるな・・・・・・」

「・・・・・・そうでございますね。」

「・・・・・・・・苦労しているんだな、鋼牙。」

 なんだか雄二の同情を買ってしまったよだが・・・・・苦労しているのだな。

 

 他のやつらの夏休みの宿題が鋼牙たちが教えてくれたこともあってかみんなの宿題が半分以上終わった。残りは自分でやれと強く言い聞かせておいた。一応言っておくが宿題は答えを見てでも自分の力でやらなければ意味が無い。まあ、状況が危険なときは致し方ない事もありますが。

「この後はどうする気だ?」

「夜までは時間があるからなぁ・・・・・乗馬でもするか?」

『え?』

 鋼牙の言葉に皆は驚いた。

「う、馬なんてあるのか!」

「いや、正確には近くに牧場があるんだがそこから借りるんだ。」

「・・・・・私は乗馬したことが無い。」

「まあ日本は少し狭いからな。それにあちらこちらコンクリートジャングルでは馬を自由に走らせる場所は少ない。それに相反して向こうは結構広いからな。一応基本的に乗馬は必需だ。」

「それではすぐに連絡いたします。皆様、少々お待ちくださいませ。」

 そう言ってゴンザは電話を掛けに行った。雄二は鋼牙に質問をした。

「なあ鋼牙。」

「なんだ雄二?」

「その・・・・・お前って乗馬しながら何をするんだ?」

「ん?そうだな・・・・・乗馬しながら並行二連銃で的を狙い撃つくらいだな。」

「そんなこともすんの!」

「まあ日本では出来ないことだがな。なにせ日本は銃を所持することが難しい国だからな。」

「外国だと出来るんですか?」

「まあ一定年齢を満たしていれば使えるし、競技目的の銃もあるからな。」

「・・・・・・撃ったことがあるのか?」

「まあ・・・・・交流相手と競うときは多少手を抜いたりしたことがあったからな。バレないようにするのは結構苦労したものだ。」

「手を抜くことがあったの?」

「まあ・・・・・ある国で上級階級のボンボンで生意気な奴との時にな。」

「たまにそういう奴の相手をするのは結構大変だな。」

「負け惜しみを言う奴もたまにいるよな。」

 話をわかっている邪美と烈火以外は生きている世界の違いを体感した。

 

「皆様、お待たせいたしました。」

 三十分経ってからゴンザが馬を冴島邸まで運んできてくれた。

「結構馬って大きんだな。」

「まあ外来種はこうだからな。」

『外来種!?』

「ああ。日本の時代劇の撮影に使われる馬は主に外来種なんだ。本来日本にいる馬は日本人の身長と同じくらいの大きさなんだ。大体、全身の鎧を身にまとってあんな高さの馬に乗馬するだけでも至難だしな。」

「意外に小さいんですね。」

「ああ。後雄二、少し気をつけろ。」

「なんでだ?」

 雄二は馬の後ろに立とうとしていた。

「馬は後ろに立たれるとゴルゴ13になる。」

 刹那、馬が後ろ足で後ろを蹴る。有事はギリギリの所にいたため助かった。

「うおわ!」

 雄二は驚きのあまり倒れる。

「よかったな。今回の馬は生きがいい奴だぞ。」

「そこじゃねえぞ!てか普通の馬なら後ろを蹴らないやつを選べよ!」

「いやいや、後ろを蹴らない馬を選ぶと楽しみが減少するぞ。」

「ところで鋼牙、組み合わせはどうするつもりだ?」

 烈火が鋼牙に尋ねてきた。

「そうだな・・・・・・霧島と雄二は既に確定しているとして・・・・・・」

「お前くらいしか馬に慣れていないからな。それにあたしと烈火は馬にしばらく乗ってないから馬をいきなり走らしてしまうかもしれないしな。」

「そういやロデオくらいしかやったことないな。」

 その後、こういう組み合わせになった

雄二&霧島

鋼牙&姫路、美波、優子、秀吉

土屋&工藤

「じゃあ・・・・・・女子は男子の後ろにするか。」

「何故なのじゃ、鋼牙よ。」

「・・・・・・土屋。」

 その瞬間二人は納得した。よく訳すると土屋の貧血回避術である。

「じゃあ俺が馬の手綱を引っ張って馬を歩かせるから。」

「・・・鋼牙。」

「なんだ霧島?」

「・・・私は雄二の後ろがいい。」

「あ〜・・・・・霧島、昔から男が女を守るって定義が日本にあるのは知っているな。」

「・・・うん。」

「つまり雄二に背中を預けることは守られているって意味にならないか?」

「・・・なる。」

「わかってもらえて嬉しい。」

 もしこれで霧島が納得しないで雄二の後ろにでも乗っていたらきっと他の女子達も意見を言い出してきただろう。

 雄二と霧島は馬に乗馬する。

「・・・雄二の身体、温かい。」

「夏だからだろ。」

 いい加減正直になれよ。全く、変なところで意地を張っている。

「じゃあ馬を歩かせるぞ。」

 鋼牙は手綱を引っ張り馬を歩かせる。雄二が霧島の背中を押すように揺れる。

「・・・こういう経験も・・・・悪くない。」

「そうか?」

 微笑ましいな。これで素直になれば雄二も少しは大人なのだがな。

 そう思いながら鋼牙は馬を歩かせる。

 

 次は土屋&工藤。こっちはいろんな意味で心配だな。

「ムッツリーニ君、胸触ってもいいんだよ。」

「・・・・・遠慮する。」

「え〜、つまんないな〜。」

 そんなことをしながら二人は馬に乗馬する。すると工藤がなにかを思いついたのか土屋のほうに顔を向け上目遣いをする。

「・・・・っ!」

 土屋の瞳孔が開く。魔導薬飲ませていなかったら絶対鼻血を出していたな。鋼牙は馬の手綱を引っ張と馬は歩き出す。

「うわっ!」

「・・・っ!」

 いきなり馬を動かしえ仕舞ったことにより土屋の唇が工藤の額に当たる。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ///////」

 工藤の顔が真っ赤になる。土屋も少しばかりか鼻血を垂らしている。

『愛子ちゃん、よかったですね。』

『ウチにあんなことが起こったら鋼牙を殴っているわ。』

『でも羨ましい光景ね。』

『・・・・・・私も雄二にしてもらいたい。』

 なんか外野から声が聞こえてきたがよく聞き取れなかった。

 

 そして鋼が立ちの番になったのだが順番をジャンケンで決めた結果最初に乗馬することになったのは―――

「よろしく頼むのじゃ、鋼牙よ。」

「ああ。少し感覚を思い出したいから軽く走らせるぞ。」

 鋼牙は馬の胴を蹴って馬を進ませる。

「うおっ!結構揺れるのう。」

「ロデオはこれ以上に揺れるぞ。あいつらはたまに小遣い稼ぎでやるからな。」

「お主はしないのか?」

「馬を挑発して暴れさせるのは可哀想だからな。俺はあんまり好きじゃないんだ。」

「そうか。それにしてもおぬしの懐は大きいのう。」

「そうか?」

 

 二人目は優子。

「よ、よろしく///」

「そう硬くなるな。馬は後ろに立たない限り襲わないぞ。」

 鋼牙がそう言うと優子は溜息を吐く。何故?

 そんなことは置いておいて優子と鋼牙は乗馬する。

「馬を歩かせるか走らせるか・・・・・・どちらにする?」

「じゃあ・・・・歩かせる方で。」

「わかった。はっ!」

 鋼牙は馬の腹を軽く蹴り馬を歩かせる。

「ま、目に強く揺れるのね。」

「ああ。ラクダは左右に激しく揺れるから腰使いの使い分けが結構苦労した。」

「ラクダにも乗った事があるの!」

「まあな。エジプトで生き残る術を知るための方法を学んだときは水のありがたみを体感した。」

「・・・・なんでエジプトに?」

「ああ、論文のテーマに『砂漠で水を極限まで摂取せずに何処まで正気を保てられるか』を題材にして俺はずっと耐えられたが他の奴は三日でダメになった。それに向こうの文化で水を使わない料理を学んだ。」

「そ、そうなんだ・・・・」

 

 三番目は美波。

「た、頼むわよ。」

「走らせるか?」

「う、うん・・・」

 美波がそう答えると鋼牙は手綱を強く振り「はっ!」と声を出し馬を走らす。

「うわっ!」

 島田は馬の揺れに驚く。

「こ、これ、以外に腰に来るのね。」

「自分で揺れに反発しているからだ。俺に身体を預けろ。」

「う、うん。」

 鋼牙に背中を押されるように南は鋼牙に身体を預ける。次第に腰に掛かる痛みは無くなっていった。

「結構、馬っていいのね。」

「まあな。ただ世話が大変だそうだ。あと馬糞も出してしまうことが多々あるからその処理も大変なんだ。」

「エコって大変なのね。」

「テキサスは関係ないがな。」

「どうしてよ?」

「荒野で誰も迷惑にならないし乾燥して塵と化す。だが同時に恐怖も与えられる。人間も生活できる範囲も限られるしな。」

「そ、そうなんだ・・・・」

「まあ、人生の経験であそこでは水を忘れてはいけないと感じたな。なんせ夜はハイエナの群れが出てくる。」

「どんな人生送ってきたのよ!?」

 

 そして最後は姫路。

「よ、よろしくお願いします。」

「固くなるな。どっちにする?」

「じゃあ・・・・・走らせる方で。」

「わかった。」

 姫路と鋼牙は乗馬し、鋼牙は馬を走らせる。

(こ、鋼牙君が私を押してくれているようで・・・・・・なんだかいいですね。)

 姫路は過去を少し思い出していた。

 小学生の頃、姫路はクラスの女子からハブられていた。飼育員を押し付けられていた姫路に鋼牙は同情なのか一緒に飼育委員をすることになった。回り彼女氏からも圧力が掛けられてきたが姫路は鋼牙が近くにいてくれたため何とか乗り越えてこられた。

 ある日、姫路が病気で入院をしている時の事であった。飼育しているウサギが変に地面に頭をこすり付けている光景が頭から離れず母からウサギに関する本を買ってもらった。そのとき姫路は驚愕の真実を知った。気に掛けているウサギが病気に掛かっていることであった。

 ウサギの掛かっている病気は姫路達が見た症状の時点で既に手遅れになっていた。姫路は病院から抜け出しウサギの方へと掛け走った。ひたすら走り飼育部屋に向かうとうつ伏せで死んでいるウサギと鋼牙の姿があった。姫路は瞳から涙を流しながら病院に戻って行った。病室に戻り姫路はしばらく泣いていた。

 そのとき窓を何かが叩く音がして姫路は窓のほうへと近寄るとそこには木に登っている鋼牙の姿があった。姫路は驚いた。姫路は窓を開け鋼牙に話しかけた。

『ど、どうしてここに!』

『姫路がウサギの死を直面してひょっとして泣いているのではないのかと思ってな。それとこれ。』

 その時鋼牙は姫路にウサギの髪止めを渡す。

『死は避けられないものだとある人が言っていた。生まれてくるものには必ず終わりが来る。だからこそ人は不老不死を望んでしまう。だが、死があるからこそ命とは美しいものだ。

 だが同時に人は死を受け入れることを拒んでしまう。それは死を恐がっているからだ。いつどんなときに死ぬかはわからない命を目の前にしてしまえば人はそれに恐怖する。人は現実から目を背けることで安心感を得ようとしても、絶対に不可能だ。』

『絶対に・・・ですか?』

『ああ。だがな、その者の死はどのような死に方で決まるわけではない。その者を思ってくれている人の数で決まると聞いたことがある。あのウサギも、きっと姫路や俺に思てもらってよかったと思っているのかもしれない。だからお前だけが背負い込むな。』

 姫路は鋼牙の優しさに惚れた。その後鋼牙は木から飛び降りその場を去っていった。

「――――めじ、姫路!」

「は、はい!」

「どうしたんだ?心ここにあらずといわんばかりな状態だったぞ。」

「ちょ、ちょっと昔を思い出していたんです。」

「そうか。だが一ついいか?」

「な、なんですか?」

「そのだな・・・・・何かが切れる音がしたんだが・・・・」

「え?」

 姫路は自分の胸元に目を向けるとブラが外れていた。

「・・・え?え、え、ええええええ!?」

 姫路の声は冴島邸全体に響き渡るほど大きかった。

 

 乗馬が終わり皆は冴島邸で休んでいた。ただ二人を除いては。土屋は輸血を受けながら駆動の膝枕をしてもらい、姫路は顔を赤くしている。

「だ、だいじょうぶ姫路さん?」

「し、仕方ないわよ。ホックが弱かったんだから。」

「うぅ・・・・・それでも恥ずかしいです。」

「・・・・雄二。私はあんなこと出来ない。」

「なんで俺にそんなこと言うんだ?」

「・・・・男の子は大抵大きい胸の子が好きだから。」

「そんなに大きく無くてもいいんじゃないのか。その・・・・人には人にふさわしいものがあるんだし・・・・」

「・・・・ありがとう、雄二。」

 そのとき何処からかバイオリンの音色が聞こえてくる。

「これって・・・・バイオリンの音色?」

「・・・・エチュード。結構いい音色。」

「ああ、これは鋼牙が弾いているね。」

『え!?』

 烈火の言葉に邪美以外の皆は驚く。

「そういや弾けたね。でもあいつあれしか弾けないんだろ。」

「それでもすげえよ。たしかバイオリンとかの弦楽器はギターなんかの弾くやつと違って弦と弦をこすり合わせるもので綺麗な音を奏でるだけでも結構苦労するって聞いたぞ。」

「まああいつの親父さん、大河さんが昔弾いていたって聞いた時にあいつはバイオリンでそれだけを覚えたからな。まあ、あいつの知り合いの友人の影響からかもしれないがな。」

「どんな人なんですか?その人って?」

「確か・・・バイオリンの腕は一流だが女たらし。でも決めたことはまっすぐ貫き通す男ってことは聞いたことがある。でもどういうわけか早くに死んでしまったらしいぞ。だが死ぬ前に『ブラッディイ・バイオレッド』って確かそんな名前のバイオリンを作ったらしいぞ。」

 そんな話をしつつ夜が訪れる。

 そして今宵、姫路達にとって常識外れのことが始まる。

 

説明
フツカメハジョブバヲシテタノシムノモイイモノダナ。ン!オジョウチャンガナニカオモイダシテイルナ。
「乗馬」
コシヲイタメルナヨ。
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