超次元ゲイム学園 二時間目 (各々の思惑)
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弱肉強食

禽獣の世界では、強者が弱者の肉を食うことから。

生存競争の厳しさをいう。

「弱の肉は強の食なり」とも読む。

 

窮鼠猫を噛む

絶体絶命の窮地に追い詰められれば、弱い者でも強い者に逆襲することがあるというたとえ。

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〜超次元ゲイム学園 屋上〜

蒼。青。藍。

遥か高い空を見上げ、私はただぼーっとしていた。空はどこまでも青、青率100%の見事な晴天と言える。

青とは古きでは非日常、別世界を表す色とされていた。死体を連想させることから良い色ではないとすら言われていたらしい。

 

そんな縁起の悪い色がこんな空一杯に広がっているのなら、昔の人々はさぞや空に怯えていたのだろう。

よく考えれば海も青だ。陸海空の内二つにここまで怯えていながらもここまで繁栄できた人類というのは本当にすばらしいものだ。

人は考える葦である、とは誰の言葉だったか。

 

人間の身体能力は決して高いほうではない。動物全体から考えれば寧ろ低い。頗る低い。

ただしその代わりなのか人は高い知能を持ち、そしてその知能から引き出される叡智を実現する力を併せ持っている。

もし、その人間が新たなる力のステージに立ったら。それは最早人ではないのだろう。

 

 

この世界には女神というシステムが存在する。

人が何らかの要員によってその女神になる資格があるとき、女神化と呼ばれるステップを踏み女神と言う簡単に言えば人間の上位種に一時的に姿を変えることができるのだ。

この世界では女神は人々を統治するものとされ現在世界に存在する四国、

【プラネテューヌ】【ラステイション】【ルウィー】【リーンボックス】すべてが一人の女神によって統治されているのだ。

 

女神は人間ではない。人型の別の生き物だ。

その理由として最も大きいのが((信仰|シェア))の存在だろう。人々の想い、好意、願いによって女神は力を振るうことができ、また存在することができる。

逆に言えば人々から信仰をもらえなくなった時。その女神は事実上の死を迎える、ということだ。人も一人では生きていけないとはいうがこれはあんまりなのではないだろうか。

………いや、女神は殆どが望んで足を踏み入れる道。覚悟は、誰しもできているのだろう。

私、超次元学園女神候補科三年【キャストリーム・リ・ラ・フィリアーヌ】もまたその覚悟を持った一人なのだ。

 

 

この学園に入り三度目の入学式。

新入生歓迎会だの、オリエンテーションだの。参加必須でない色々を丸ごとすっぽかした私は屋上で一人寛いでいた。

春特有のぽかぽかした太陽光が気持ちいい。植物が光合成する気分がこのような感じなのだろう。そう今決めた。

今私がいるこの空間。孤独でありながらも心地いい落ち着いた場所であり密かなお気に入りだった。

見た目の数十倍は広いこの学園は教室などの安全地帯、ダンジョン等の危険地帯とも別にこういった密かな場所が多く点在している。だが狙った場所に行くのも結構苦労がかかり完全に道を覚えるのに一週間はかかる。だがそれだけの価値はあるというもの。まさしく休憩所と言ったところだろう。

 

「見つけた。やっぱりここにいましたねキャストリーム」

 

頭上に影が堕ちる。

真上には二つに分けられた腰まで届く黒い長髪と黒いドレスのように改造された制服が特徴的な少女……というよりは女性の顔があった。

 

「なに、どうしたのグリス。何か問題ごとでもあった?」

 

彼女の名は【グリス・ネグリシア】。私と同じ女神候補科の三年だ。

私がプラネテューヌ出身、グリスがラステイション出身。結構交友が深いこの二国の出身であり尚且つこの学園の中等部からの腐れ縁なのだ。だからかお互いに大体相手のことは知り尽くしている。今の表情は【サボるのをやめろ】と言いたげなものでそう聞いて見ると一瞬驚いた顔をして頭を抑えた。

 

「確かに必須ではありませんがだからといってすっぽかすのはどうかと思いますよ?」

「だってめんどくさいし。授業でもないのにそんなクッソ真面目にやるのもどうなのよ」

「後輩、次代への引継ぎのためにも交友を深め自らの教えを次に託す。それの繰り返しで時代とは出来上がるもの。完全である私は当然ですわね」

 

豊満な胸(多分DかEはある)を張りなにやら言い始めたグリス。こいつの特徴でもあり悪い癖が始まった。

過去に何があったかは(面倒くさいので)知らないが、偏執的なまでにこいつは【完全】というものを好む。故に誰にも隙を見せようともせず裏では血反吐を吐いているのだろう。こいつが何より嫌いなのは完全でない自分なのだから。

そういった熱狂するものがない私としては羨ましくもあり哀れみもあり。なんとも複雑だった。

 

「で、結局何の用?面白いイベントでもあったの?」

「ええ。これを見てください」

 

グリスが出したのは古臭い辞典のようなもの。確か二年のとき、図書館の奥にあった禁書の類だったと思う。貸し出し申請は義務とか言い出したグリスと一緒に禁書を持ち出そうとしたってことでこっぴどく理事長に叱られたこともあったっけか。

しかし、その申請を(恐らく)すっぽかしてきてまで持ってきたんだ、トンデモ級の何かがあったとみてまず間違いないだろう。

 

グリスが開いた本のページには多数の文章と1ページ丸々使った挿絵だ。

挿絵では紫の鎧を身に纏った黒髪ロングの少女が飛行機や戦車をなぎ倒す様が描かれている。女神…ではない。【紫の鎧】と【黒髪ロング】は同一の女神としてはありえないからだ(まぁどこぞの女神は女神化で髪が白くなるけど)。

 

「精霊。人間を守護する女神とは対局の位置に存在する人型生命体。女神と同じような姿をしながらもその力は人間に振るわれ挙句は世界を滅ぼす破壊者。そう綴られています」

 

綴られている。つまり空想上の生物というもの。どこぞのラノベにありそうな強キャラヒロインと同じにおいがするが、そんなただの産物を禁書にするわけがない。

……つまり、実在している可能性がある、ということ。

 

「その精霊とやらがこの学園に存在してる、ってこと?」

「確証はありませんが。この本に綴られている中で最もイメージに近く、かつ危険なものをチョイスしました」

「それじゃないもうちょい楽な生物であることを祈りたいね」

 

おどけた感じで言ってみたものの、完全を好むこいつが確証もなしに私に相談するなんてことはおかしい。言うにしても裏づけが取れてからか、解決してから。そこまで深刻な問題……なのだろう。

人間でもない、女神でもない(しかも人間と敵対している可能性がある)生物が紛れ込んでいるなんてことが知れたらどうなるか。間違いなくエイリア○VSプレ○タークラスの惨事になるだろう。

 

「で、なんでこんなやばげなものがいるって思ったわけ?確証ないんでしょ?」

「あなたは半分寝ていたのでわかっていなかったでしょうが、入学式のとき違和感を感じる者がちらほら存在していました。人間【では】あるものと、人間でも女神でもないものの波長です。解析に特化したあなたならばちゃんと見ればわかるでしょう」

 

ふむ、となるとソレは新入生に紛れてこの学園に侵入してきたわけか。人間ではあるもの、については今は保留でいいだろう。ソレに協力するものならともかくそうでもなければ別段気にするものでもないだろうし。

 

「後、その気配は二年生のほうからでしたよ」

「なっ!?じゃあ何、私達は一年もそんなヤバ気な存在をほったらかしにしてたわけ!?」

「そうなりますね。随分と巧妙な隠れ方をしていたそうですが、頭を出し始めたようです」

「何が目的……二年から動き出したってことは……学園の掌握?」

「可能性としてはそういえます。一年のときは学園の把握と獲物の品定めを行っていたのやもしれません」

 

随分と知恵者らしい。まぁ人間……というよりは女神と似た姿で知能もないような存在だったら女神のイメージが下がりそうだからよかった……いや、根本的には全くよくなっていないけど。

 

「キャスト。あなたにこれを相談したのは調査を依頼したいからです。感じた方向に座っていた生徒のリストを纏めてあります。この者達の解析を」

 

 

グリスに渡された紙束には、入学式の座席列とそれぞれに座った生徒の名前が載っている。こんなもの一介の生徒に渡していいのかおい。

そんな意図を込めて見つめてみたら「内密にしてください」と言われた。そんなこったろうと思ったよちくせう。

 

しかし、二年か……。紅ペンで囲った範囲には女神候補科の生徒も混じっている。女神候補科……上手く使えば戦力にはなるだろう。

えーっと、まず名前は……夜刀神十香?随分と物々しい名前だなおい。後はネプテューヌ、ノワール……。正直この二人以外全員聞いたことない名前だ。となるとこの二人以外…念のためこの二人も解析をしておく必要がある。だがノワールはともかくネプテューヌが問題だ。こいつは超弩級の不真面目として学園で最も有名な女神候補科の生徒だろう。物事の基準を面白そうと面白くなさそうで判断している節があり、学業も体育系列以外悲惨……典型的な肉体派といえる。こいつが面白半分で介入してきたら大惨事は必至だ。

対してノワールは若干ドジをやらかすが基本的には真面目だ。グリスのおめがねにも適い去年から個人的に指導をしているところを見ている。こっちは信頼できるだろう。

 

「そんでグリス。私にこんな忙しそうなことを頼んでおいて自分は何をするんだい?」

「この後、生徒会長に報告します。悔しいですが私よりこの手の問題には慣れているでしょう。危険性を煽り、願わくば秘密裏に対精霊組織の設立を願ってみようかと」

「生徒会長にぃ?大丈夫なのそれ」

 

グリスが言っている生徒会長、というのはこの学園の生徒会長(正確には次期生徒会長筆頭候補)、ルールローゼのことだ。何やら学園の奥深くの生徒会室にひっそりと在学しているそうだ。私も見たことはないがグリス曰く『いけ好かないポエマー』とのこと。斬刑に処すとかそんなこと言っちゃうタイプなのだろう。

 

生徒会と豪勢な名前だが生徒会長は表沙汰には出ない、会員は下僕となにやらいけない匂いが漂う組織だ。何より私はグリス以外の生徒会員を見たことがない。私兵団か何かなのだろう。

実はこっそり生徒会長の座を狙っている(らしい)グリスだが無理だと思っている。ルールローゼと同じ年に在学なのが運が悪かったと言わざるを得ない。何より生徒会長は二年らしく、グリスは三年。大体どういうことかはわかるだろう。

 

「事実、学園長イストワールに次ぐ権力と学園最大の勢力を持つ生徒会長に目を付けられる可能性は多大にあります。ならば先手を撃ち存在を認めさせることが重要です」

「とはいっても信じてくれんの?貸し出し禁止の禁書まで持って」

「彼女、結構なシスコンですから。やりようはありますよ」

 

関係あんのかそれ、と言いたくなるがぐっと我慢。私はルールローゼのことを一目みた程度にしか知らないのだ。ああだこうだいっても良く知るこいつには太刀打ちできない。

 

「さて、では私も行動を開始しましょう。ああそうだキャスト」

「なんだよ」

 

わざとらしく終わらせようとした直後にわざとらしく振り返るグリス。劇じみた振る舞いはこいつの癖だ。正直付き合ってられないのでそっけなく応える。

 

「二年のリリアーヌ・シュートリッヒ・ウィングナイツ、知っていますね?」

「リリアー……?」

「イヴ、と言えばわかるでしょうか」

「イヴぅ?。入学早々不良相手に無双した札付きの悪っしょ?そんじゃなに、あのワルとあの生徒会長は姉妹ってこと?」

「そう言えるでしょうね。忠告しておきますキャスト。彼女を巻き込んではいけません」

「そりゃどうして」

 

そもそもリリアーヌなんて名前すら知らなかったし、巻き込みたくても巻き込めなかっただろう。いやまぁ不良を束ねるなんてことやってるって噂のある奴だし戦力に使えるかもしれないとかは一瞬思ったよ?一瞬だけ。

それに生徒会長の妹を鉄砲玉に使うなんて発想は私にはもうできない。うん、何されるかわかんないもん生徒会に

 

「彼女、リリアーヌが騒動を起こした原因は不良に絡まれた女子生徒を救出するため、だそうです」

「それが?」

「今だ決定的な証拠が存在していない現在、私達が精霊に敵対する行為はその不良に近いものになります。彼女の介入を招く可能性がありますので、完全な証拠を取るまで、最悪取った後でも介入を許してはいけません」

「敵に回るかもしれない、ってこと?」

「はい。それに……、上手くやれば生徒会長の化けの皮も剥げると思いまして」

「あんたら本当に性格悪いね。そうじゃないと生徒会入れないとかあんの?」

 

最後に若干濁したが、何にせよイヴの動向には注意する必要がありそうだ。

謎の生徒会長の妹………多分ひねくれ者なんだろう。そんな予感がする。

 

グリスは「では、また明日」と残し屋上を去っていった。

結構平静を保っているつもりのようだが、結構あいつはあいつで怒っている。生徒会長に遭わなければいけないこと四割、この精霊(暫定)のこと六割だろう。

あいつが生徒会長、ルールなんとかと(グリスからの一方的な)確執ができたのは……確か、去年の年度末だったか。

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〜一年前〜

生徒会というものの存在は前からもあるにはあった。今と同じく謎の組織ではあったけれど。

成績優秀、品行方正。極度の完璧主義からくるメンタルの弱さを除けばグリスは正しく理想の生徒といえた。

だからこそ、生徒会副会長という地位にいることが出来たのだ。

 

「あんたもよくそんな面倒臭いことに心血注げるよね」

 

ふと、私が零した皮肉。私もやらなきゃいけないときはやるタイプだけど、一年の頃から志願し、副会長にまで上り詰めたグリスが羨ましくもあり、呆れてもいた。

私の問いにグリスは、笑顔でこう答えた。

 

「私達女神候補生は何れ女神になるべき存在。神とは人智を超えているものゆえ、女神となる私達は人という存在の限界に立っていなければなりません。完全な女神。それが私が認める唯一の私ですから」

 

何一つ迷いなくそんなことを言った。

智略、策謀、策略。そんなことを得意としているくせにこいつ本人は異常なほどまっすぐだ。ついでにすぐ復帰するとはいえメンタルも弱い。そんな矛盾だらけなこいつがよくもそんな立場にいられるなぁ、と思っていた。

……私は、こいつならそういった理想に殉じ、もしかしたら叶えるかもしれない、なんて密かに思っていた。

理想とされる女神、人を護る守護者。人であることを棄てた者。今の女神がそうではないとは言わないし言えないけど、グリスなら、その先の何かにたどり着けるのではないか、と思っていた。

この学園の生徒会長。生徒の頂点。通過点とはいえあいつにしてはいい道標じゃないか。

 

そんな確信は、あっさりと打ち砕かれた。

 

 

ここからは、全てグリスに聞いた話。

年末。次期生徒会長と言われていたグリスに代わり、来年度転入予定という奴に生徒会長を勤めてもらうというという話を教員から聞かされた。

当然グリスはその話に納得できず、男に詰め寄った。

 

「何故、今まで生徒会にいた私がポっと出の転入生などに生徒会長の座を譲らなくてはならないのですか!」

「これは決定事項だ、変更はない」

「決定事項ならば決定事項で理由を聞いているのです!」

「もう一度言う、決定事項だ」

 

男は聞く耳を持つことは無く、機械のように決定事項としか言わなかった。これだけでもグリスのプライドや心をへし折るには充分だった。

グリスはその場で泣き崩れた。いつの間にか男の姿はなく、電気の消された暗い会議室で一人、鳴き続けていた。

一頻り泣いた後、グリスは決心した。例え今は屈辱を味わおうともすきあらば生徒会長の座を掠め取ってやろうと。その転入生を見定めてやる、と決めたのだった。

 

それから二ヵ月後。定例会議が終わり生徒会員が帰り始めた頃。

「完全なものは上下全てを把握しなければならない、故に指揮から雑用までこなせなければならない」を当時の信条にしていたグリスは会議後、というか毎日の生徒会室の掃除を任されていた。

この学校に無数にある(恐らくダミーが殆どなのだろう)生徒会室の掃除をするのはどう考えても罰ゲームか何かだろう。

だが信条を何より優先するグリスは進んで数々の生徒会室の掃除を行っていた。

その掃除を進める中、グリスは一つの部屋の扉が目にはいった。

当時の生徒会長に【決して開けてはいけない】と言われた扉だ。馬鹿正直にそれを護っていたグリスは好奇心の波に襲われ、その禁を破ってしまった。

 

ギィ、と古びた木の扉を開けると、その部屋はまるで城の一室のような光景だった。

大きく敷かれた絨毯に天井の先に繋がっている暖炉。そして天井から吊るされた煌びやかなシャンデリア。これの維持だけでいくら使ってるんだと思いたくなるような部屋の中央のテーブルにひとりの少女が座っていた。

 

「……ここに立ち入らせないように、と言ってあったはずなんだけど」

 

少女は透き通るような声でグリスに話しかけた。

突然のことに驚きながらもグリスは必死に頭を回転させる。【立ち入らせないように言ってあった】と少女はいった。グリスにここに来てはいけないと言ったのは生徒会長、つまりその生徒会長に命令できる立場であるということ。だが教員であるようには見えない。つまり生徒か部外者である。

だが少女はここを根城にしているかのような雰囲気がある。少なくとも一日二日住んだという感じではない。部外者でもない、ということは生徒のはずなのだが今まで一度たりとも見たことがない。

一旦結論を見送り、グリスは少女に話しかけた。

 

「好奇心に負けてしまいまして。それで、あなたはどなたでしょう?少なくとも今まで貴女のような生徒を見たことはありません」

「当然ね、まだ生徒じゃないもの」

 

まだ、と少女が言ったことでグリスは完全に理解した。

例の生徒会長を約束された転入生というのは、目の前のこいつだと。

 

「まだ……。貴女が次期生徒会長となる転入生ですか」

「そうね、ルールローゼ・シュートリッヒ・ウィングナイツよ。でもこの名前はあまり好きではないの。…アダムと呼んでくださる?グリス・ネグリシア【副】会長」

 

わざわざ副を強調する辺り完全に見下して言っていることがわかる。

グリスの嫌いなことは見下されることと、向上心がない奴。この場合は前者に的中した。

基本言われると流すグリスだったがそのときは言い返していた。

 

「なるほど、貴女が。よろしくお願いしますね、ルールローゼ・シュートリッヒ・ウィングナイツ会長。先輩として、副会長としてあなたを支えることを誓いましょう」

 

満面の(嘲)笑みを浮かべてグリスは答えた。

其の時微かに笑っていたルールローゼの眉が少しだけ潜められ、声のトーンが低くなった。

 

「……ええ、お願いするわね」

「御意に。では、私は失礼いたします」

 

大仰に一礼しルールローゼに背を向け、部屋を出ようとする。扉を開け、潜り、閉める瞬間。グリスは棄て台詞のように言い放った。

 

「まぁ、私を御せるほどあなたの器が大きいとは思えませんが。では…」

 

半ばどころか完全に言い逃げるかのようにしてグリスはその部屋を後にした。

後聞いた話によるとこれは苦し紛れらしく、とりあえず言い返したかったからこういっただとか。子供かおい。

 

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〜現在〜

………今思い出してなんだけど、初対面がコレでよく今まで生きてるな、グリスの奴。

転入後即生徒会長ってことは相当のコネ、バックがあるはずだ。そいつにそんなこと言い放って今まで無事なのがおかしい。まさか気に入られたのか?まぁ優秀なのは優秀だけど。

……きな臭くなってきた。グリスのほうはやっぱり期待できないし、こっちでなんとか人を集めるしかないな。

頑張ろう、うん。グリスどっか抜けてるし。完璧主義者の癖に抜けてるし。わたし苦労人とかそういうポジション嫌なんだよなぁ……

 

とりあえず携帯を出し、手頃な奴に電話をかけ歩き出す。まずは扱いやすい奴から味方にしないとね。

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〜教室 2-A〜

「つうわけで、一枚噛みなさいネプテューヌ」

「いきなり呼び出したかと思えばなんという恐ろしいことをっ!?」

 

私が呼び出したのは二年、女神候補科のネプテューヌ。私と同じプラネテューヌ生まれの学生だ。

私個人としては公私を混同するよくない生徒の例とも言えるこいつだが戦闘に置ける実力は本物だ。そしてこいつは面白いことを優先する傾向がある。これを利用すれば良い駒になるだろう、と私は踏んだ。

こいつに説明したことは大きく分けて二つ。ひとつは精霊というものの存在と危険性について。もう一つはその精霊が紛れ込んでいる可能性があることについて。

 

「うーん、キャスト先輩がこんな嘘を付くとは思ってないけど流石に現実離れしすぎっていうかー」

「これ言い出したのグリスよ。あいつがそんな嘘を付くと思う?」

「……思わないけど。じゃあなんで私?ノワールじゃ駄目なのー?」

「ノワールよりかはあんたのが扱いやすい。さてどうするネプテューヌ、この学園を巻き込むだろう出来事に首突っ込んで面白おかしく地獄に生きるか。それともこの出来事から目を背け、つまらなくここに生きるか。」

 

うー、と悩む素振りを見せるもののネプテューヌの中では恐らく決まっているだろう。こいつはこうして楽しいことを目の前にするとニンジンをぶら下げられた馬鳥のように我慢ができなくなる。

こうして楽しいこと、と建前上でもぶら下げればこいつはあっさりと釣れる。実際俯いて悩んでいるかのようにしながらチラチラこちらの様子を伺うようにしているからだ。若干ウザい。

 

「楽しいこと、って言われて黙ってるねぷ子さんじゃあないけど……けど…」

「ああ、心配は無用。この件は生徒会も絡んでいる。つか絡ませる。あんのうざったい連中を使わなきゃやってらんないよ」

「……うう、わかったよー協力するよー。あでも!ネプギアは出来れば危険な目にあわせたくないから誘っちゃ駄目だよ!」

「わーってる。生徒会が公にするまでは潜伏しながら調べるつもりだから。一枚噛めっつったけど動き始めるのはそんな近いわけでもない…と思う」

 

ネプテューヌから疑惑の視線が飛んでくるもスルー。

とりあえずネプテューヌの協力は取り付けた。こいつはなんだかんだで人脈が広いし役にはたつだろう。所謂ハイリスクハイリターンだ。

あまり詳しいことを言われていないことに不満げだが、私が知ることは全て話した。正直な話私だってまだ半信半疑……なんだけど備えあればなんとやら、ということで。

 

「そういうわけで用事は終わり。何かしらあったら追って連絡するよ」

「うーん、今更ながら早とちりしたかもしれないなー。セーブとかできない?」

「人生はセーブもロードもない一本の通しプレイ。諦めな」

「ねぷ〜ん……」

 

さて、後は……

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〜同時刻 校舎一階 保健室〜

「調子は、どうや?」

 

保健室の一角、白いカーテンで覆われたベッドに倒れる少女に、傍らに立つ女性が声をかけた。

制服ではなく白地に紅い水玉模様の着物を見に纏った女性【キュービアス・アンジェリカ】の瞳には横になり自らを恨めしそうに睨む緑髪緑目の少女、【エクシス・ラスティオーレ】。着慣れたかように病人服で横になるエクシス。

キュービアスが声をかけてから数分後、吐き捨てるようにエクシスは答えた。

 

「すばらしく最悪……今日も生きとし生けるものすべてが憎たらしいですよ」

「いつも通り、やな」

 

二人とも女神候補科の生徒ではあるが、エクシスは心臓やら色々を患っているためほぼ保健室通い。キューはちょくちょく授業をサボってまでここに様子を見に来るため二人とも異端扱いを受けている。まぁどちらもそれを気にする様子はないが。

 

「そういや、あの妹分はどうしとる?」

「お見舞いにはたまに。僕を妹扱いしているようですけどね……そうして見下して優越感に浸っているのでしょう」

「そこまで根性曲がった子でもないやろうけど……ん?」

 

コンコン、と廊下の方向、保健室の扉からノック音が響く。

教師は基本出ているため動けるキュービアスが対応するのが最早この保健室の常となっている。身長や雰囲気からキュービアスが保険医だと間違われることも多い。

 

「…こ、こんにちは」

「おお、こんにちはぴーちゃん」

 

キュービアスが扉を開けると、そこには顔だけ出した青い長髪にヘッドフォンを載せた少女、三年生5pb.の姿があった。

病に加えその偏屈な性格から学園一の嫌われ者を自称するエクシスにとってキュービアスに次いで会話が可能な人物である5pb.の来訪に、キュービアスも表情を綻ばせ、後ろに声をかけた。

 

「エクシスちゃん!ぴーちゃんきたで!」

「5pb.……。どうぞ」

 

5pb.を迎えるもののエクシスの表情は殆ど変わらず、睨むような表情で外の日と、わらわらと歩く生徒群を見続けている。

何かをしようとでもなく来た5pb.も何も言えず沈黙が流れようとしようとしたとき、キュービアスがエクシスの顔面を掴み、無理やり5pb.の方向を向かせる。

「お友達ってのは目を見て話すもんやで?」というキュービアスの言葉もあり渋々と言った様子でエクシスもきちんと5pb.の方向に向きなおした。

 

「それで……何の用ですか。ライブの日にちでも決まりました?」

「あ、それは一応……。近々ある新入生へのハイパーオリエーテーリングに乱入ライブ、っていうのどうかな?」

「……いつも言っていますよね、5pb.?あなたを疑う余地などない。僕はただ謳う、それだけ。あなたの示す条件で謳うだけです。僕の賛同を求めないでください」

「あ、ごめん、ね……」

 

しょぼんとする5pb.にやってしまった、と言いたげな表情のエクシス。

この二人、入学した年からちょくちょく二人でライブを行っており割と学園内でも有名なのだがエクシスはこの通りの難儀な性格をしており5pb.も5pb.で結構臆病というか人見知りなのだ。結果エクシスに一番近いキュービアスが二人を取り持つことになってしまっている。本人は割りと喜んでいるが。

 

「はいはい。それでそのなんとかテーリングいう行事にライブしにいくわけやな?」

「僕はこの通りですから。基本暇ですし」

「入学式は逃しちゃったし新入生にボク達の歌を聞かせるチャンス!」

「いつも思うけどなんで部活みたいに公式に許可とらないん?」

「「メンバー増やしたくないから」です」

 

真性だ。キュービアスですらそう確信するほどにはっきりと二人は言い放った。ライブには二人いれば充分だと。確かに吹奏楽やらああいうのはこの二人とはタイプが違うが本音は他に多く人と係わり合いたくない、というのなのだろう。どこまでも筋金入りの他人嫌いである。

 

「とりあえずそれで決まったわけやな。わては音楽ようわからんし」

「無用です、キュー」

「そうそう。ボクたちこれでも二年間ずっとやってきたんだから!」

「頼もしいのに何故か毎度不安一杯やでぇ。がんばりや、」

 

キュービアスが二人の頭をそっと撫でる。

5pb.は少し恥ずかしそうに、エクシスは「見下さないでください」といいながらもまんざらでもないのか大人しく受けている。

傍から見れば姉妹にも、または母娘にも見えるその光景は、数分した後エクシスが「いつまでやるんですか?」と聞くまで続いた。

女神は天然の気がないといけないのかな?と唯一女神じゃない5pb.は内心思っていたという。

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〜同時刻 超次元ゲイム学園-ラステイション寮間通路〜

「どう?学校の雰囲気は」

 

昼を少し過ぎた辺り。二人の少女が自らのすむ寮に向かって歩いていた。

春の陽気は大多数の生物に温かさを与えるものの、服装に黒が多い二人にとっては暖かな心なしか強い熱気を与えるものだった。

 

先に話しかけた少女、ユニ。超次元ゲイム学園女神候補科の新入生である。少しウェーブのかかった黒のツインテールと胸元に下げられた大きな銀の輪が特徴的だ。

昼過ぎではあるが、入学式当日なだけあってその式と当てられた教室での少しの説明で終わり、現在帰寮中になる。

 

「おおよそ予想通り、ですね。ねーさんもいますから不安は感じていませんよ」

 

答えた少女、ネロ。同じく女神候補科の新入生。ユニより少しだけ高い身長と、寝癖のように飛び出た小さなツインテールと右肩に埋め込まれたように見える装置が特徴的だ。

 

ネロがねーさん、と呼んだ事から判るとおりこの二人は姉妹関係にある。といっても血が繋がっているわけではないが、それでもネロはユニをねーさんと呼び、ユニ、そしてさらにその姉であるノワールもネロを妹として接している。その間に様々な事情があるものの本人たちはこれで満足しているようだ。

 

 

「ま、何にしても特に問題はなさそうでお姉ちゃん嬉しいわ」

「ねーさん、似合ってません」

「うっさい」

 

数cmとはいえユニの身長はネロよりも小さい。本当にわずかな差なのだがプライド高めなユニにとっては割とコンプレックスになっている。

ネロにとっては身長差は関係なくユニを敬ってはいるようだが妹の心姉知らずか、気付いてもらえはしていない。

 

ふと、ネロが太陽を見上げた。

春先の暑くはない温かい程度の日差しがさんさんと差し込んでおり、大よその生物が過ごしやすい気温になっている。

この太陽にネロは不思議と懐かしさ、のようなものを感じ取っていた。

 

ネロがノワールとユニに拾われたのは三年前のこと。

春先のラステイションでユニが行き倒れらしき少女を拾った。黒い布で全身を包み、自分のことを何一つとして覚えていないユニぐらいの子供だった。

名前のない少女にノワールは【黒い布に包まれていたから】ということからネロと名づけた。そこからネロと姉妹の生活が始まった。

 

その生活が始まりノワールとユニが最初に感じたのはネロの態度だった。

ユニとノワールを「ねーさん」と慕う、ここまでは何の問題もなかった。しかし、あまりにも【気負わなさ過ぎた】のだ。

例え記憶がなくとも、ないからこそ知らない相手に拾われる、というのは不安の一杯のはず。そのノワールの予想を裏切り、ネロはあまりにも二人をまるで生まれたての雛鳥なのかのように信頼しきっていた。または、【ユニとノワールを知っている】かのように。

それを気になったノワールはネロに聞いたことがある。「何か覚えていることはないか」と。

ネロの答えは今もノワール、そしてユニの心に疑問として残っている。

 

その答えは、【ねーさん】。自らが慕う八人の人間のこと。ネプテューヌ、ネプギア、ノワール、ユニ、ブラン、ロム、ラム、ベール。

自らのことを全く覚えていないのに、自らが慕っているとわかる八人の人間のことは覚えている。それどころか拾ったときが初対面のはずのノワールとユニ本人のことまで。

この答えを聞いて、ノワールは一度ネロを棄てようとまで考えた。あまりにも不自然かつ不気味すぎたからだ。しかし、ユニはこれに反発した。見捨てられないとの一点張りで。

そのあまりの強情っぷりにノワールも折れ、結局置いたまま。

ユニとしても疑問は結局多いまま。しかしそんなことはどうでもいい、と考えてる。自分が保護した自分の妹。それ以上はあってもそれ以下にはならないと決めていた。

 

 

「っと。じゃあネロ、また明日」

「はい、ユニねーさん。また明日」

 

双方語ることのないままラステイションの寮に戻り、それぞれの部屋に分かれていく。

互いに手を振って、自らの認識票を持って寮の中へと入っていった。

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〜??? ??? ??? sideネロ〜

気が付くと、わたしは、『  』は見知らぬ場所に佇んでいた。

周りには、崩壊した世界。何かに押しつぶされた人間と、破壊された建物、墜落した飛行機。

ただ、死や哀しみが支配した世界が広がっていた。

 

「……誰か…?ねーさん……?」

 

誰かいないか、そう信じながら声をかけながら歩き出す。

今なお崩壊を続ける街はわたしの声を簡単にかき消し、大きな瓦礫をただ量産していくばかりだ。

何故、こんなことになっている。何故、わたしはこんなところにいる。

疑問が頭を埋め尽くす中、崩壊の音とは別の音が聞こえた。金属の相打つ音……剣戟音だ。

わたしは思わずその方向に走った。

 

 

 

「あれは……ねーさん…?」

 

近場の瓦礫に這い上がり、音のする方向を見る。

少し遠めだが、確かに見えた。あれは、【ブラックハート】、ノワールねーさんだと。

しかしもう片方、ノワールねーさんと斬りあっている方はわたしには見覚えが無かった。

紫色の鎧を纏い、黒い挑発を靡かせ身の丈以上ある大剣を軽々振り回す少女。女神には見えない、一見人間に見えるそれはノワールねーさんと互角、いやそれ以上に立ち回っている。

たすけなきゃ。そう心の底から声がして身を乗り出した瞬間、突然後ろから手を引かれた。

何かと思い振り返ると、【ブラックシスター】、ユニねーさんが必死の形相でわたしの手を握っていた。

 

『  !何故ここまで戻ってきたの!?』

「戻って、きた………?ユニねーさん、なにを……」

『ああもう、時間が惜しい、急いで逃げるわよ!』

「逃げる?ノワねーさんは……」

『そのお姉ちゃんの命令よ!あれは……人間を滅ぼす存在……!あたしたちが刃向うには人が殺されすぎた……!』

 

人を滅ぼす存在?

人が殺されすぎた?

いまいちユニねーさんのいっていることが理解できない。

ただ、ユニねーさんに手を引かれノワールねーさんから離れていく。

 

数分走った後、街(らしき範囲)の端らしきところにある壊れていない倉庫のような場所についた。

その倉庫に入ると、薄暗い中に何か脱出ポッドのようなものが鎮座していた。

ユニねーさんは慣れた手つきで脱出ポッドについているコンソールを操作すると、ついている扉が開かれた。「急いで!」と声をかけられ、いそいそと中に入る。

単なる避難装置にしては小さすぎる、と思った瞬間。後ろでガコン、と音がした。振り向くと、ユニねーさんが入ってくると思っていた扉が閉められている。

 

「ねーさん、何を!?」

『仕方ないでしょ、内側からしめられないんだから!………見つかるのも時間の問題ね、  !未来を、お願い……!』

「未来……?どういうことですか!?ねーさん!ねーさん!!」

 

ドンドンと扉につけられた窓ガラスを殴ってもビクともしない。窓の向こうのユニねーさんは、何故か微笑んでいた。

まるで、我が子を送り出すような表情で、ただ微笑んでいた。

 

『……よし、準備完了!これでもう止められない!あたしたちの勝利よ……!』

『随分と安っぽい勝利ですこと。ただの敗走なのに』

『なっ、もうここま』

 

――――――パン

 

軽い、単発の音。

目の前にあるのは、拳銃。銃口からは硝煙が出ている。

今までそこにいたはずのユニねーさんの姿は消え、代わりに別の女が佇んでいた。

 

『………』

「貴様……ユニねーさんに何をした!!」

『……殺しましたわ』

 

その女は、ゆっくりとこちらを向き、窓に張り付くように近づいてわたしを眺めている。

右目の赤い瞳と、左目に浮かぶ金色の時計が、わたしを突き刺すように眺めている。

一瞬声が出なくなるものの、再び窓を殴り、わたしは聞いた。

 

「なんなんだ……なんなんだよ、テメェらは……!」

『……精霊』

「精霊……?なんなんだよ!何が狙いで!」

『教える義理はありませぇん。それにあなたはもうすぐ消える、無に話すことほど無なしいこともありませんわ』

 

金目の女は嘲るような表情を浮かべると、キヒヒヒヒヒと笑いながら再度わたしに視線を向ける。

―――憎い。

わたしが抱いた感情はこれだけだった。

 

『愚かな      。わたくしの名は……そうですわね、<ナイトメア>……。運がよければまたお会いしましょう』

「……そのときは、殺してやる」

『こわいこわい。では、失礼しますわ♪』

 

ひらひらと手を振る女に向け三度拳を向けようとした瞬間、窓が閉められ、暗く鉄に塗れていたポッドの中が突然光りだした。

低い駆動音が鳴り響き、光が視界にまで広がり全てが白に染まり――――――――――――

-8ページ-

「……ッ!?」

 

次の瞬間、視界には見慣れていない天井が広がっていた。

 

起き上がって辺りを見回すと、ゲイムギョウ界学園のラステイション寮。わたしの部屋の光景だ。

まだ夜みたいで窓から月光が少しだけ差し込んでいる程度の明かりしかない。

……思い出してきた。確か、部屋に帰ってすぐベッドに飛び込んで眠ってしまった……はず。

 

「………精霊?」

 

あの出来事は、夢だったのか?そう思いながら一番記憶に残っている単語を呟く。

精霊。あの時、ユニねーさんを撃った女。紅い右目と、金色時計の左目。それと……色々紅い。

それに、ノワールねーさんと戦っていた少女。もしや、あれも精霊ではないのか?

ユニねーさんはアレを人を滅ぼすモノ、と言っていた。だとすれば………。

わからない。わからないこと尽くしだ。

わたしは誰なのか、何故わたしはねーさんたちのことを知っているのか。あの夢がわたしの記憶に関わることだとするのならば、何故今?学園生活になにが起こると言うの………?

 

布団ごと膝を抱き、体を抱きしめる。なんだか、不安が押し寄せてきた。

わたしが一体何者なのか、考えたこともなかった。ただねーさんがいるから、と思っていた。

……でも、いきなりこんな夢を見るようになってしまった。これには何かあるんじゃないか。

 

ただ、今のわたしに出来ることは何もない。とりあえず、ねーさんと一緒に行動すればあれに関係することと接触できるかもしれない。

『精霊』『黒髪紫鎧の少女』『ナイトメア』………頑張ろう。

そう、決意した。

説明
ついに!書き、終えたぞおおおおおお!
八月中に、宿題もせず書き終えたぞおおおお

なお、色々アカン部分もあるかもしれませんが指摘しちゃってください。執筆時間が夜に限定されるので60%ほど深夜テンションで書かれてる可能性もあったり……いやもう停滞させてほんとすいませんでした。

あ、次クリケットさんです。どぞどぞー。
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コメント
陰謀や共謀。それぞれの思惑や互の私利私欲が出てるところとか、リアさんらしさが出ていてとても面白い話だったと思います。前々から思っていましたが、他キャラとの絡みが秀逸で思わず舌を巻いてしまいました。自分も頑張らないと。細かいことを言うようだけどDOAじゃなくてDALだから覚えておいてね。そしてラウンジにあげるの忘れてるからあげといてね!(銀枠)
&gt;ヒノ氏 というかネロが既に夢で大惨事持ち、だってwikiの精霊危険物でしかなかったんだもん……るる子(ルールローゼ)がどう動くか次第かも?(リアルではおぜうタイプ@復帰)
&gt;クリケット氏 ネロはどうしても惨劇持ちじゃないとおかしくなっちゃうので頑張った結果こうなりました。個性豊か…キャラが濃い……うーんこの(リアルではおぜうタイプ@復帰)
&gt;HZH御中 わたしは犠牲になったのだ……夏休みの宿題、その犠牲にな………(リアルではおぜうタイプ@復帰)
お疲れ様です…後は宿題…ファイトです。チータR「『ネプテューヌ』、『生徒会長の妹』、『精霊』、『ネロ』、『不吉な夢』…大惨事のフラグが立ちにたったねぇ……」ユウザR「嬉しそーだな…」チR「だってそーじゃん。もしかしたら学園内が、女神の敵に回る展開だってあるんだぜ?女神を育む学び舎が女神の敵に…面白いじゃないか。」ユR「えーと…候補生な」(ヒノ)
執筆お疲れ様でした!! ネロはまさに修羅を生きる少女、って感じですね。 リアおぜさんの個性豊かなキャラがどう動くのかを楽しみにしながら、執筆頑張らせていただきます!(クリケット)
byH 宿題を犠牲にしての投稿、本当にお疲れ様です。自分も深夜テンションで執筆してるので気持ちが分かります・・・。( Z ハデス)
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超次元ゲイムネプテューヌ 学園 主人公格(予定)ネロ 

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