第1話 使い魔生活の始まり
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「ヤマト?なんか変な名前、どこの平民?」

 

「平民?どういうことです?」

 

の言葉も周りにいるルイズと同じような魔法使いの格好をしている少年少女達にかき消された。

 

「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を召喚してどうすんだよ」

 

「しかも平民じゃん! ゼロのルイズにはお似合いだな!」

 

「おまけになんだあの服、貧乏人じゃねえの?」

周りの生徒の言葉に少しイラッとするヤマト。

 

「何ですか?平民平民って…」

 

周りが口々に苛立つヤマトと同時に、桃髪の女の子――ルイズと呼ばれた少女は顔を真っ赤にして叫んだ。

 

「ミスタ・コルベール、今のは失敗です! もう一度チャンスを・・・」

 

「残念だが、それは出来ない」 

 

ルイズの願いも虚しく、コルベールと呼ばれた、真ん中が禿げた中年の男性は、静かに首を振った。

「一度サモン・サーヴァントで召喚した以上、例外は認められない」

 

「そ、そんな・・・」

 がっくりとうなだれたルイズは、しばらく悩み込んだまま動かないでいたが、やがて顔を上げると、意を決したように立ち上がりヤマトの方へと寄って行った。

 

「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」

 

そう言うと、未だに状況をつかめていないヤマトをよそに、ルイズは杖を振りかざし、何やら変な呪文を詠唱し始める。

 

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

 

そしてそのまま、杖をヤマトの額に当てる。

 

「んっ!?」

 

なんと口元に向かってキスをした。さすがのヤマトも目を丸くして後ずさる。

 

「い、一体何を・・・っ・・・?」

 

と同時に、焼けるような痛みがヤマトの左手に襲いかかった。何かと思い見てみると手の甲当たりに文字のようなものが刻まれ始めていたのだ。

象形文字の類なのだろうか、一通り焼きあがると痛みも徐々に消えていった。

 

「ふむ、これは珍しいルーンだな」

 

ふと気づくと、いつの間にかコルベールがヤマトの左手に刻まれた文字を見て、なにやら書き込んでいた。どうやら記録しているらしい。

やがて書き終えると、未だにどよめきが上がっている周囲に向かっていった。

 

 

「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」

 そう言うなや否や周囲の子供たちは杖を取り出し、何か短く唱えるとふわりと宙に浮き、そのまま上へと飛んでいった。

 

『浮遊魔法か・・・』

先程のキスで、頭がはっきりとしていたヤマトは彼らを見ておかしいと心中思った。

 

「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」

 

「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ!」

そんなことを言いながら去ろうとする彼らを見て、ヤマトは・・・

 

「さてと・・・」

 

 

ヤマトが筆入れに入っている数本の羽ペンを持つと・・・ナイフ投げの要領で羽ペンを彼らに向けて投げたのだ。

 

ドス!ドス!ドス!ドス!

 

『うわぁ!?』

 

その彼らの目先ギリギリで羽ペンが勢いよく壁に突き刺さり、浮いた生徒数人が尻餅をついた。

 

「次は…当てますよ?リクエストがあるなら何処でも投げますよ?」

 

ゆっくりと尻餅をついている生徒数人に向かって殺気を放ちながら歩くヤマト。

 

「自分はここに来るのが初めてなんですからそんなに邪険に扱わなくても…」

 

「へ、平民の分際で貴族に刃向かうのか!」

 

さらに暴言を吐く生徒にヤマトは生徒の二・三人を自分の側に寄せた。

 

「次言ったら殺すぞガキ共…(ボソ)」

 

「!!」

 

ヤマトのドスが利いた呟きに生徒数人が顔を真っ青にして走って出て行った。

 

『ちょっと怖かったかな?』

 

そう思いながら壁に刺さっている羽ペンを回収してルイズがいるところに戻った。やがて二人きりになったところで、ようやくルイズを見て口を開いた。

 

「あのー、ここ……どこです?」

 

「はぁ? 『ここ』をどこか知らないなんて、あんたどこの田舎から来たのよ!」

至極真っ当な質問のはずなのに、なぜかルイズは呆れながらため息をついた。

 

ルイズの説明を簡潔にするとこうだ。

 まず、自分は『コモン・サーヴァント』なる儀式として、使い魔としてここ『トリステイン魔法学院』に呼び出されたこと。ルイズと契約(さっきのキスがそうだったらしい)したため、彼女を主人として――要は従者となって仕えること。この世界には魔法なるものがあって、それを行使できるメイジが一番偉いということ。

 

「ファーストキスだったのに、もう!」

 顔を真っ赤にして叫ぶルイズに対し、ヤマトは脳みそをフル回転させ、これまでの状況を整理する。考えてみれば、あまりに突飛すぎる。いきなり異世界へ移動させられ、そこで使い魔をやれ? おまけに貴族と呼ばれる種族は魔法なんて力をもって、空を飛んだりすることだってできるだって? ・・・ちょっと待って・・・俺も魔法楽勝で出せるぞ、と言いたいがああいう子簡単には信じてもらえないだろう。

 

夢物語は夢の中にして欲しいものだが、あの時感じた左手の火傷や、今感じる風を打つ感触は、紛れも無く本物だった。状況が状況だけに、まだモヤモヤした部分があるが、とりあえず今、ハッキリと分かることはただひとつ―――。

 

間違えなく俺、ヤマトは魔界から異世界に来た…

 

 

 

 

「…一応聞くけど、自分は帰れますか?」

 

「何言ってんのよ、そんなのわけないじゃん」

 

「ですよねー聞いてみただけですハイ…」

 

 元々サモン・サーヴァントで呼び出したものを、送り返す手段はない。この学院で進級するための大事な伝統であり儀式のため、召喚したものはたとえどんなものだろうと、それこそ人間だったりしても異例は認められない。

 仮にあったとしても、最早契約まで済ませてしまった使い魔をみすみす返したりなどしないだろう。ルイズはルイズで、なぜ理想の使い魔を呼べなかったのだろうと肩を落としていた。

 

(ドラゴンとか、サラマンダーなんて高望みはしない、せめて犬とかフクロウでもよかったのに…よりによって人間……しかも平民…)

 

落胆しているルイズを見て何かを察したヤマト。

 

「その顔だと、ドラゴンとかの生き物系の方がいいっていう顔ですね」

 

「べ、別に…(な…何でわかったのよ!)」

 

また大きなため息が出そうになったとき、ふと思い出したようにヤマトの方を見た。

 

「そういえば私の紹介がまだだったわね、私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。仕方ないからあんたのご主人様になってあげるわ。感謝しなさいよね」

そう言ってルイズは、平坦な胸を大きくそらしてふんぞり返った。ヤマトはそんな彼女を見て微笑み、彼女の前に膝をついてまるで王の前でする挨拶の体勢をとった

 

「自分の名はヤマト。以後よろしくお願いいたします」

 

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あれからの夜――ヤマトはルイズに案内されて彼女の部屋へあがった。 途中、自分は別の世界からやって来た、という言葉もルイズはさして取り合おうともしなかった。

確かに、身なりや風貌は見たこともないが、言葉がこうして通じる以上彼女からして見れば、この国のしきたりや習わしを知らないこの男こそがおかしいのだった。

 

ヤマトも地球の別世界だろうと思ってはいたのだが…

 

あの月を見るまでは―――。

 

「月が…二つ…?」

 

「当たり前じゃない、何驚いてんのよ」

 

やはり確信した。間違いなく自分が住んでいる魔界とは全く違う世界だったと。

 

「とりあえず、使い魔としての使命でも教えておくわね」

 

「とりあえず何をすれば?」

ヤマトの問いに、ルイズは大きく胸を張って答える。

 

「まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力が与えられるのよ」

 

「・・・すみません、ピンとこないですね」

 

「じゃあその次に、使い魔は主人の望むものをみつけてくるのよ。例えば秘薬とか?」

「この世界に着たばかりですが…」

その言葉に、聞いただけ損したと、ルイズは力なくガックリとうなだれた。

「もういいわ…、それで最後に使い魔は主人を守る存在でもあるのよ。これが一番大事!でもね…」

 

ルイズはまじまじとヤマトを見た。体格はいいがあんまりパッとしない。

 

(もう、なんでこんなヤツ呼んじゃったのかな…)

 

心中でため息をつきながら、ルイズはヤマトの目の前でいきなり制服を脱ぎ始めた。

 

「あの…何脱ぎ始めてるんですか?」

 

「別に平民のあんたの前で脱いでもいいじゃない」

 

「まあある意味珍しい体型ですね…そのお歳で」

 

「何が珍しい体型ですって!」

 

「グフッ!」

 

そう言って顔を赤らめてヤマトの顔を殴ってを部屋から追い出した。

 

 

「今日からあんたはそこで寝なさい!」

 

するとルイズがヤマトに服やら下着やら投げつけた。

 

「それ洗っておいて」

 

そう言ってドアを思いっきり閉めたルイズに溜め息をつくヤマト。

 

『寝ますか・・・』

 

そう言って横になるヤマトは目を閉じた。

説明
どうもMinosawaです。
ゼロの使い魔と魔王シリーズのコラボです。

恋姫はミノル・アキラで、ゼロ使はヤマトといった形です。
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Minosawa 駄文 オリキャラ ヤマト ゼロの使い魔 

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